2018年10月17日

KYB免震装置数値改竄

 KYBとカヤバシステムマシナリーが製造した免震制振装置のオイルダンパーで検査データの改竄が見つかった。
 改竄は00年から先月まで行なわれていた。
 00年〜07年はKYBが製造、07年以降はカヤバ社が製造していた。
 免震用903件、制振用83件、合わせて986件。
 このうち、410件で不正が確認されており、残りは調査中。
 用途別では、住宅265件、事務所175件、医療福祉施設159件、庁舎109件など。
 地域も、東京都250件、大阪府107件、愛知県93件、神奈川県71件など。

 8月上旬、カヤバ社の内部告発で発覚。
 きっかけは、従業員同士の会話の中で、検査担当者から改竄の話を聞いた1人が上司に報告したのだという。
 カヤバ社から報告を受けたKYBが調査を始め、先月19日に国交省に報告した。
 
 免震装置と制振装置では仕組みが違う。
 免震装置は、揺れを建物に伝えないようにする装置だ。
 免震ゴムの上に建物を乗せ、直接地面に接触しないようにする。
 建物の固有周期を延ばすことで、地震の揺れと共振しないようにする仕組みだ。
 免震装置は、揺れないようにするのではなく、建物が地震の揺れと共振しないようにするのが目的だ。
 これで、建物の破壊を防ぐことができる。
 だがこれだけだと揺れを減衰させる機構がないため、ダンパーを設置し、一定以上の揺れにならないように、揺れても早くに減衰するようにしている。

 制振装置は、建物に伝わった地震の揺れに抵抗し、揺れを抑えようとする装置だ。
 建物内の柱と梁との間に斜めにダンパーを設置する。
 地震の時には、このダンパーが水平方向のエネルギーを吸収し、建物の揺れを小さくする。

 今回の検査データの改竄は、このダンパーの性能が基準に達していない恐れがあるために問題となった。
 ダンパーは揺れを抑える装置なので、建物の耐震性に直接関係するものではない。
 国交省が、今回の改竄を受けて、「震度7程度の地震でも倒壊の恐れはない」としているのは、こういう理由だ。
 ただ、性能不足のダンパーが使われている可能性があり、これをそのまま放置しておくのは利用者が納得しない。
 KYB側も、データ改竄の可能性のあるダンパーは特定できても、どのダンパーが基準未満のものだったかは、たぶん記録に残っていない。
 となると、該当期間に設置されたダンパーはすべて取り換えるということにならざるを得ない。
 これは、KYBにとって過酷な負担であり、事実上不可能だ。
 ダンパーの性質上、建物の耐震性には直接の影響は少なく、揺れの減衰効果がやや劣るかもしれない程度ということにして、現状維持になるかもしれない。
 
 
 
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2018年09月26日

月刊誌「新潮45」休刊

 新潮社は月刊誌「新潮45」を10月号を最後に休刊すると発表。
 休刊といいながら、実質的には廃刊となりそうな気配だ。


 騒動は、8月号で杉田衆議院議員の「LGBTのカップルは生産性がない」と主張する論考が掲載されたことに端を発する。
 この刺激的な主張が反発を招き、杉田氏の政治家としての資質を問う指摘が相次いだ。
 杉田氏への批判の嵐の真っただ中に出されたのが、10月号の特集「そんなにおかしいか杉田水脈論文」だった。
 複数の論者による杉田氏擁護の論考が掲載されたが、その中の小川栄太郎氏の主張が注目された。
 電車内の痴漢を例に引き、「彼らの触る権利を社会は保証すべきではないのか」と述べた。
 LGBTと痴漢を同列に扱う姿勢が、さらに世間の攻撃を受けることになる。
 攻撃は、論考の執筆者よりも新潮社へ向かう。
 「どうしてあんな低劣な差別に加担するのか」といった批判が相次いだ。
 新潮社社内にも疑問の声が広がったという。
 新潮社社長までもが「偏見と認識不足に満ちた表現があった」とコメント。
 そして、10月号をもって休刊とする旨の発表となる。 


 一説には、「新潮45」は売上低迷から、編集長が交代し、売上拡大にテコ入れの最中だったらしい。
 それで、刺激的な論考を掲載し、炎上マーケティングを仕掛けたのかもしれない。
 杉田氏の論考で炎上マーケティングは成功。
 第2弾として、今回の杉田氏擁護の特集となった。
 だが、その擁護論が、あまりにも刺激的過ぎた。
 問題となった小川氏の論考は、このデリケートな話題を慎重に議論しようとする姿勢はなく、わざと騒ぎを起こそうと煽っているようにも見える。
 小川氏がこんな粗雑な文章を書くとは、と驚いた。
 「なぜ、事前に編集部内で内容のチェックができなかったのか」という指摘があるが、編集者からの依頼で、執筆者が無理やり刺激的な論考を執筆したのかもしれない。

 掲載した論考への批判から廃刊に追い込まれた雑誌として、「マルコポーロ」が連想される。
 「ナチスによるホロコーストは本当にあったのか」と疑問を投げかける論考だった。
 これが国内だけでなく、国際的な反発を招くことになり、文芸春秋の社長と編集長の辞任と雑誌の廃刊にまで発展した。
 いまや、ナチスを擁護するような姿勢やホロコーストの存在に疑問をさしはさむような言説はタブーとなっている。

 今回の新潮45の騒動で、今後はLGBTを否定したり疑問を抱いたりする言説はタブー化しそうだ。
 注目を浴びた新潮45の10月号は、既に手に入らなくなっている。
 「低劣な論考」がどのように低劣なのかを確かめることもできない。
 
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2018年08月05日

大塚家具:自力再建困難

 大塚家具がいよいよ自力再建が困難になってきた。
 15年末に109億円あった現預金は18年3月末時点で10億まで減少。
 17年12月期単体決算は、最終利益が2期連続赤字。
 18年通期で13億円の黒字を見込んでいたが、業績の予想を下方修正する方針という。
 いま、貸し会議室大手のTKPに支援を求め、資本業務提携に踏み切り、増資の引き受けや協業の進展など交渉をしているという。
 別の企業にも支援交渉を進めているらしく、事態は流動的だ。

 大塚家具の社長大塚久美子氏は、かつて創業者の父親大塚勝久氏と経営権をめぐり派手な争いを見せた。
 マスコミで格好の話題となり、世間の注目を浴びた。
 従来型の客ひとりひとりに寄り添う接客サービスに拘る勝久氏と、新しいカジュアルな店舗運営を目指す久美子氏との戦いだった。
 経営権闘争の当時から、久美子氏の目指す経営戦略へは疑問の声が投げかけられていた。
 カジュアルな家具店としては、既にニトリやイケアが頑強なポジションを確立しており、そこに後発の大塚家具がどのように参入するのか。
 ニトリ、イケアと同じ市場に進出するのだから、圧倒的な差別化を確立しないと、成功はおぼつかない。

 それまでの大塚家具は、ニトリ、イケアとはまったく違うポジションに立っていた。
 ターゲットもサービス内容も、客単価も違う。
 それを、ニトリやイケアと同質化してしまったら、自ら差別化要素を捨てるようなものだった。
 結果は、多くの予想通りとなった。
 企業経営は水物で多くの人々の予想通りにはいかないものだが、これほど予想通りの展開を見せるのも珍しい。

 大塚家具としては、経営権争いで話題を集めているときが最大のチャンスだった。
 その時に、新生大塚家具のブランドカラーを確立できていたら、一大転機となっただろう。
 ところが、騒ぎを沈静化させることだけにエネルギーを使い果たし、落ち着いた時には目の前に客がいなかった。
 
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クロネコヤマト:過大請求

 宅配最大手のクロネコヤマトで不正が発覚。
 長年にわたって法人向け引っ越し代金を過大請求していた。
 4割ほどで過大請求があり、総額は16年5月から18年6月までで17億円に上る。
 5年前にさかのぼると31億円に膨らむ。
 実際には600キロ程度の荷物を5トンと見積もり、約10倍に当たる17万円を請求した例もあったらしい。
 また、実際には行われていないサービスの料金が付加されていたこともあったという。

 不正があったのは、法人向けの引っ越し代金だった。
 社員の転勤に伴う引っ越し代金を企業が負担するケースで不正が行われやすい。
 引っ越しは単発で発生する需要であること、法人の場合、請求書のチェックが緩いことが、背景にある。
 単発の引っ越し業務であれば、総務の担当者レベルで発注し決裁される。
 アイミツなどという煩雑な手続きは行なわれないし、実際に転勤者の荷物がどれほどあるのかを総務が把握しているわけもない。
 支払いは事務的に処理されるだけで、見積や請求の中身まで細かいチェックは行われない。
 このチェックの穴に付け込んだような不正行為だった。

 これが個人の引っ越しであると、少しでも支払いを減らそうと請求書のチェックが厳しいので、ごまかしはきかない。
 また、法人向けでも、製品の入出荷のような定期的な運送業務の場合、コストダウンの圧力が強く、ごまかしは不可能。
 これらのチェックをすり抜ける唯一の業務が、単発の法人向け引っ越しサービスだったのだ。

 今回の不正の深刻なのは、11年に内部告発によって過大請求の事実を把握していたのに、問題を放置したまま同じことを繰り返していたことだ。
 更に、この不正は一部の営業所だけで行なわれていたものではなく、全国規模で同じことが起きていららしいことも問題の根深さをうかがわせる。
 一部の現場の人間が勝手なことをしていたというレベルではない。
 むしろ、現場の個人には代金の過大請求によって得られる利益はなく、不正に手を染める動機がない。
 組織的に不正が行われていたことが疑われる。
 
 客は、クロネコヤマトのブランドを信用して発注している。
 請求額をわざと過大に乗せてくるなど、夢にも思わない。
 その信用を裏切る行為であり、ブランドの棄損は深刻だ。
 
  
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2018年06月30日

西野監督は勇将ではないか:サッカーW杯

 サッカーワールドカップ、日本が決勝トーナメント進出を決めた。
 2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出だ。
 だが、この決勝トーナメント進出を決めた対ポーランド戦の戦い方が議論を呼んでいる。
 日本チームは、試合終盤で無意味なパス回しを繰り返し、明らかに時間稼ぎをしている姿が見られたからだ。
 この時点で日本チームは1点を失っており、このままでは負けてしまうのにもかかわらず、時間稼ぎをし始めた。
 この不可解な行動に場内からは激しいブーイングが起きた。
 結果として決勝トーナメント進出が決まったが、もろ手を挙げて喝采を叫ぶ雰囲気ではなく、後味の悪さを残した。

 この不思議な戦術は、西野監督の指示で行われたもので、そこには冷徹な計算と苦渋の賭けがあったようだ。
 59分の時点でポーランドがFKから先制し、日本は1点を失うことになった。
 この直後に、別会場のコロンビアサポーターにも日本の失点が伝わり、大歓声が上がっている。
 なんとしても失点を取り返さなければならない日本だが、ポーランドは守りを固くしてゴールに近づけない。
 そうしているうち、74分にコロンビアがCKから先制点を挙げた。
 ここから状況が一気に変わってくる。
 コロンビア先制の情報は日本側にも伝わった。
 コーチが西野監督に耳打ち。
 82分、西野監督は長谷部の投入を決め、その長谷部にコロンビアの状況を伝え「勝たなくてもいい。不用意なファウルを避けろ」と指示。
 長谷部はその意味を理解し、ピッチに入るや他の選手らに伝えていく。
 そこから日本の攻撃は鳴りを潜めた。
 そのあと、西野監督は長友にも指示を伝えていた。
 日本チームは自陣でボールを回しながら試合終了を迎える。

 日本が1点を失い、コロンビアが先制した時点で、直ちに戦術の変更をした西野監督。
 その戦術は見事に当たった。
 これほど迅速な意思決定ができたのは、事前にあらゆる状況を想定し、戦術パターンを研究し尽くしてきた結果だろう。
 この戦術は決して楽な選択ではなかった。
 残り時間がまだ10分以上あるなか、セネガルが追い付いていたら、直ちに日本の敗退が決まる。
 その時の日本のダメージは大きすぎる。
 時間稼ぎで無駄な時間を費やし、試合には負け、さらにGL敗退を招いたとなると、世間の風当たりは一層強くなる。
 全力を出し切って敗退した時以上のダメージだ。
 だが、その大きなリスクを承知で敢えて賭けに出たのは、そこには冷徹な計算があったのだろう。
 ここで無理して攻撃を仕掛け、守りを固めたポーランドにカウンター攻撃を受ければ、0−1が0−2になる恐れがあった。
 一方で、コロンビアは1点先行を死守するに違いない。
 ならば、日本が決勝トーナメントに進出するために最も優位な選択肢は何か。
 それは、このまま試合を終えることだった。
 ポーランドもこのまま終われば悲願の一勝を挙げることができるので、日本の時間稼ぎを無理に突き崩そうとはしてこないことも、この決断を後押しした。

 西野監督は、よくぞこの決断を行なったと思う。
 選手らも、監督の意思を理解し、会場の大ブーイングによく耐えた。
 この作戦は、批判を受けることが確実だった。
 決勝トーナメント進出が決まっても称賛されないかもしれない。
 まして、GL敗退が決まったら、西野監督の評価は地に落ちる。
 そのリスクを負っても、選手たちを決勝トーナメントに進める決断をした。
 今回の西野監督の瞬時の決断は、見事であったと称賛したい。

 監督の責務は、日本チームを決勝トーナメントに導くことであり、見事にその役割を果たした。
 開幕前まで、日本チームは酷評の嵐だった。
 「おっさんジャパン」「三戦全敗が見える」
 GL突破を予想する声はほとんど聞かれなかった。
 そのチームを決勝トーナメントに導いた功績は大きい。

 監督の責務は、選手らに「後先考えるな。とにかく全力で戦って来い」と指示することではない。
 これでは、戦時中、先の見えないままに特攻作戦を指示していた軍幹部と同じだ。
 あの時、命を惜しんで逃げかえってくるよりも、潔く戦って死ぬことが尊いとされた。
 今回の西野監督の采配に感情的に反発している人たちがいる。
「世界に恥をさらした」
「あんなサッカーは見たくなかった」
「こんなことなら、全力で戦って敗退した方がまし」 
 それは、あの特攻作戦を生み出した精神背景に通底するものがあるのではないか。
 かつて、なぜ日本は勝算のない対米戦に突入していったのか。
 なぜ敗戦濃厚の情勢でも終戦の決断ができなかったのか。
 その答えが、今回のW杯で見えた気がする。
 当時も、今回と同じような感情的な空気が支配していたのかと考えると納得できる。

 一般に、リーダーが決断を迫られるとき、積極的な決断よりも消極的な決断の方が遥かに勇気がいる。
 なぜなら、消極的な決断は、うまくいっても大して褒められないが、失敗したら強烈な非難を受けるからだ。
 一方、積極的な決断は、うまくいったら大絶賛され、失敗しても「仕方なかった」と免責となる。
 リーダー自身の保身だけ考えれば、積極策を選択した方がいい。

「もう戦わなくていい。なんとしても生き残れ」
 この指示を出せた西野監督は、稀代の勇将かもしれない。
 

 
 
 
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2018年06月19日

都市型災害の影響:大阪北部地震

 昨日、午前7時58分に起きた大阪北部地震。
 死者4名、負傷者300名。
 ブロック塀が倒壊したり、火災が発生したり、水道管が破断し道路が陥没したりという直接的な被害が見られた。
 震源近くでは断水や都市ガスの停止が起きており、しばらくは影響が続きそうだ。

 今回の地震で特に人々への影響が大きかったのは、交通機関が広域で全面運休したことだろう。
 朝8時という通勤時間帯であったこともあり、通勤途中で被災し、職場へも行けず、帰宅もできない人が駅周辺にあふれた。
 新幹線については、午後3時ごろに運行が再開したが、在来線はなかなか再開の見込みが立たなかった。
 いつ動き出すか分からないまま、駅周辺で待ち続ける人々。
 新幹線が再開したが、新大阪駅へのアクセスがすべて停止している。
 夕方には、梅田から新大阪まで徒歩で向かう人で長い行列ができた。

 都市で大地震に見舞われたときは、むやみに動き回るのではなく、いち早く宿泊場所を見つけるなど、落ち着ける場所を確保することが望ましい。
 人が多すぎるために、有効なルートが見つかったとしても、そこには多くの人が殺到し、常に群衆の中に身を置かなくてはならなくなるからだ。
 群衆の中に身を置くのはそれだけでリスクが大きい。
 ただ、今回の地震の場合、これほどまで長時間にわたり交通がストップするとはだれも思わなかった。
 確かに大きな揺れがあったが、目に見えるような被害がなかったからだ。
 緊急点検を行なった後、午前中には動き出すのではと思った人も多かったのではないか。
 ところが、この緊急点検に時間がかかった。
 再開の見込みが立たないまま、今か今かと待ち続けるうち、夜になってしまったというのが実態だろう。
 JRも、午後3時ごろからは午後5時に再開の見込みとのアナウンスをしていた。
 ところが、それが午後7時になり、すぐに午後10時と変更されていった。
 JRも再開の見通しを正確に把握できていなかったことが分かる。
 たぶん、何の情報のないまま待たされる乗客の不安やいらだちを紛らわせるためにも、情報を先走って出してしまったのだろう。
 はじめから、「運行再開は午後10時以降になる見込み」「本日中の運行再開はありません」とのアナウンスが出ていれば、人々は次の行動に移っていたかもしれない。
 だが、この判断は非常に難しい。
 JR側も、運行再開に全力を挙げており、これほど時間がかかるとは当初思っていなかったのに違いない。

 昨日は梅雨時でありながら、幸いにも天気は良かった。
 寒くも暑くもない。
 地震が起きたのが早朝なので、暗くなるまでに十分な時間がある。
 町は深刻な被害を受けていないので、途中でコンビニやレストランを利用しながら進むことができる。
 徒歩で移動することが可能だったのだ。 
 線路沿いに徒歩で歩き始め、運行再開した時点で最寄駅から乗車するという方法をとることができただろう。
 20q程度の距離であれば、徒歩移動を検討すべきだ。
 
 


 
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2018年06月18日

大阪府で震度6弱

 本日、午前7時58分、大阪府北部で強い地震が発生した。
 震源は茨木市、深さ13m、マグニチュード6.1
 最大震度は6弱。
 有馬高槻断層帯の一部が破壊したらしい。
 この地域は活断層の密集地帯で、無数の活断層が確認されている。
 熊本地震の教訓を生かせば、強い地震が起きた後、同規模の地震が近隣の地域で再び発生する恐れに警戒しなければいけない。
 それは余震かもしれないし、本震かもしれない。
 また、別個の地震が誘発されて起きるかもしれない。
 今後の予想は難しいが、可能性として、大地震の発生したあと数日から数週間は、同程度の地震が起きやすい状態にあることだけは確かだ。

 
 大阪府内を震源とした地震が起きたのは、1936年の河内大和地震以来だ。
 河内大和地震は、M6.4 、死者8名だった。
 それほど大阪で内陸型の地震が起きるのは珍しい。
 大阪で一番心配されている内陸型地震は、上町断層帯が破壊して起きる地震だ。
 これが起きると、大阪市内が壊滅的なダメージを受ける。
 有馬高槻断層帯は、上町断層帯とは直接つながっているわけではなく、影響は少ないだろうと見られている。
 ただ、一度地震が発生し、地盤のひずみ状況に変化が生じると、周辺の活断層を刺激する可能性があり、そのことが心配されている。

 今回の地震は、直接的な被害はそれほど大きくないが、交通機関への影響が大きかった。
 大阪、京都、神戸、奈良のJR、各私鉄は全面運休になった。
 新幹線は午後になって一部運行再開。
 月曜日の通勤時間帯だったことから、人々の移動に大きな影響が出た。
 都会を襲う地震は、直接的被害が少なかったとしても、間接的な被害が広範囲に及ぶ場合がある。
 
 この地震を、私は京都事務所にて感じた。
 最初、地響きのような細かい揺れが発生。
 初期微動だ。
 すぐに地震だと分かった。
 だが、スマホの緊急地震速報がその時点では無反応。
 初期微動が3秒ぐらい続いた後、大きな横揺れ。
 書棚などを揺さぶった。
 横揺れは十数秒ぐらいで減衰していった。
 揺れている最中に、スマホの緊急地震速報が鳴り始める。
 気象庁は地震発生後4秒以内に緊急地震速報を発信したという。
 京都事務所から震源まで24km。
 これだけ震源が近いと、緊急地震速報は間に合わない。
 ただ、3秒の初期微動があり、この間に身構えることができるかどうかが重要になりそうだ。



 

 
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2018年06月10日

被害想定1410兆円:南海トラフ巨大地震

 土木学会が7日、南海トラフ地震の長期的な経済被害額の推計を公表した。
 南海トラフ巨大地震発生後、20年間で最悪1410兆円に達すると算定。
 「国難」と呼びうる事態になりかねないとして、政府に対策の強化を求めるという。
 1410兆円は国家予算の14倍。
 日本は東アジアの最貧国に転落しかねない。

 南海トラフ巨大地震の被害総額は、5年前に内閣府が行なった推計がある。
 220兆円。
 これは、被災後1年程度の短期的な被害に限定した数字だ。
 これでも国家予算の2.3倍にのぼる被害規模で、日本経済を根本からひっくり返すようなダメージをもたらすと衝撃を受けた。
 今回の土木学会の推計は、被災後20年という長期的な被害額を算出している。
 そのために、1410兆円という天文学的な数値になってしまっている。
 南海トラフ巨大地震が国難をもたらすのは間違いはないものの、それを強調しようとするあまり、現実離れした数値になってしまっている感じが否めない。
 
 今回の推計の算出根拠はよくわからないが、地震による直接的な被害額は170兆円と推計し、それによって波及する間接的被害を含めると、1410兆円になるということらしい。
 直接的被害とは、地震や津波により損壊した建物やインフラの被害額をいう。
 間接的被害とは、企業の生産活動の低下や国民所得の減少といったものを指す。
 この間接的被害は、本来なら得られたであろう収益が得られなくなるという機会損失のことだ。
 地震による経済活動の低下は長期に及ぶので、この機会損失をすべて足し合わせたら、莫大な被害額になるのは当たり前だ。
 だが、地震が起きなかった場合と比べて、地震が起きた後の機会損失を長期に足し合わせることにどれだけの意味があるのか分からない。
 
 地震発生後は経済活動が長期にわたって停止したままになってしまうわけではない。
 直ちに復旧活動、復興活動が始まる。
 地震発生と同時に経済活動は一気にどん底に落ちるが、その直後から、活動が再開する。
 全国のあちこちで復興需要が発生し、たぶん、日本経済は急ピッチで立ち上がっていくだろう。
 つまり、長期的な被害額というのは、潜在的な復興需要の総額でもあるのだ。

 確かに、南海トラフ巨大地震が日本経済に及ぼす影響は大きい。
 一時的に壊滅状態に陥る。
 だが、日本が最貧国に転落することはない。
 今回の土木学会の推計は、国の防災予算を確保するための説得材料として提示されたのだろう。

 南海トラフ巨大地震による被害を最低限に抑える対策を怠らないのは重要だ。
 この事前対策は、本番を迎えるまで永遠に続けなければいけない。
 しかし、事前対策には完璧はあり得ず、どんなに対策を施しても、多大なダメージを受けるのは避けられない。
 企業のBCPでは、ダメージを最小限に抑える対策を怠らないのは当然だが、ダメージを受けた後、いかに早期に業務再開するかということの方に重点が置かれる。
 つまり、BCPのポイントは、被害を受けないことにあるのではなく、被害を受けても最短で立ち上がることにある。

 企業のBCP支援をしているときによく見かける失敗事例に、ポイントの置き所が間違っているケースがある。 
 被害をなくすことばかり考えていてそこから先に議論が進んでいかないことがある。
 どんな対策を施しても、被害をなくすことは無理だ。
 考えれば考えるほど、不可能の壁にぶち当たり、手詰まりになる。
 「もう何をやってもダメだ」という答えしか出てこなくなり、やがて考えることもあきらめてしまう。
 私たちがやるべきは被害を最小限に抑えることであり、被害をゼロにすることではない。
 ヒトの命が奪われたり、事業が再起不能に陥ってしまうような最悪の事態だけは絶対に避けなければいけないが、それさえクリアできたら、あとは、いかに早く業務を再開するかということの方に重点を移すべきだ。

 これは、地方自治体の南海トラフ対策においても同じだ。
 被害想定の大きさに気後れして手詰まりになっているところがあまりにも多い。
 一定程度の被害があるのは当たり前。
 それを前提に、いかに早く復興するのかということの方が遥かに重要だ。
 震災後の復興計画を描いている自治体がある。
 この自治体は震災後も間違いなく発展するだろう。
 少子高齢化が急速に進む時代、人口減少に歯止めがかからない自治体が出始めている。
 今後は、地方においては人口の奪い合いが起きる。
 南海トラフ巨大地震によって、この傾向は加速し、自治体の優勝劣敗が明確になりそうだ。
 
 
 
 
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2018年05月18日

地銀優等生の化けの皮:スルガ銀行

 スルガ銀行の杜撰融資の実態が暴かれつつある。

 不動産投資の個人ローンをめぐって行われた杜撰融資の実態はこうだ。
 不動産会社が個人相手にマンションの不動産投資を勧める。
 不足資金は銀行借り入れにより対応する。
 返済資金は、マンションの賃貸料で賄う。
 はじめから巨額資金がなくても、マンション投資ができるというのがスキームの基本だ。
 
 個人客は、賃貸料が入らなくなったときに、このスキームが破綻するのがすぐに分かる。
 そのリスクを解消するために、不動産会社は、マンションを借り上げ賃貸料を保証するという条件を出す。
 こうすれば、個人のリスクはない。

 さらに、不動産投資は一定割合は自己資金で対応するのが原則だが、不動産業者はそこもクリアできるように画策する。
 自己資金ゼロでも不動産投資が可能を売りにする。
 自己資金ゼロで融資してくれるような金融機関があるのか。
 あるわけがない。
 そこで、不動産業者は、銀行融資を受けるときに客の自己資金を偽装する。
 預金通帳のコピーを書き換えたり、一時的に預金口座に一定額の金額を入金したりしてごまかすのだ。
 あとは、審査の緩い金融機関を見つけるだけ。
 その金融機関がスルガ銀行だった。
 スルガ銀行は、審査スピードの速さと柔軟な融資姿勢が売りだった。
 分かりやすく言えば、審査のハードルが低い。
 個人ローンでも、自己資金10%あればOK。
 この10%の自己資金さえ偽装できれば、融資は簡単に実行される。

 例えば、1億円の投資物件があるとしよう。
 その場合は、投資物件の価格を約1億1千万円に割増し、さらに投資家の個人資産が約1100万円あるかのように偽装する。
 すると、スルガ銀行から1億円の融資を引き出すことができる。
 その1億円の融資金でマンション購入すれば、自己資金ゼロで不動産投資ができるという仕掛けだ。

 ここで問題になるのが、スルガ銀行がこのスキームを知っていたのかということ。
 知らなかったらスルガ銀行は被害者だが、実態は知ってたどころか、積極的に関与していたようだ。
 融資の申請書類の改竄まで関与していたようだ。
 審査のスピードと柔軟さも、営業部門の圧力に審査部門が屈した結果だった。
 不動産会社に利用されたというより、むしろ、スルガ銀行が不動産会社を顧客獲得に利用していたように見える。
 不動産業者は、賃貸料の保証が行き詰まり、新たな投資の入金を支払いに充てる自転車操業が続き、ついに経営破綻。
 それで、個人融資が一気に不良債権化し、今回の杜撰融資が表面化した。

 去年まで、スルガ銀行は地銀の中でも特に収益力が高い優良銀行と評判だった。
 行員の年収も都市部のメガバンクを超える。
 預貸金利ざやを見ると、地銀の中では断トツにとびぬけて高い。
 多くの地銀がマイナスの利ざやに苦しみ、優良銀行でも1%に届かないのが当たり前の中、スルガ銀行だけは2%を超えていた。
 2位以下をぶっちぎりで引き離してトップに輝いていたのだ。
 いろんなアナリストが、結果論でその成功要因を分析していた。
 法人融資が伸び悩む中、個人ローンに対象を特化し、審査のスピードと柔軟さで他行を引き離した。
 他行が手を出さないようなリスクの大きい個人も対象とするが、そこはリスクに見合った高金利でバランスを取る。
 スルガ銀行は創業家一族の支配する珍しい金融機関だが、そのことも成功要因として語られたりした。
 創業家だから、リスクに挑戦し、大胆な業務変革ができると分析された。
 金融庁でさえスルガ銀行の好業績なべた褒めだった。
 「今後の地銀の新しいビジネスモデルを確立した」

 これほどのすばらしいビジネスモデルなら、なぜ他行が真似しないのか。
 この謎についてもいろんな解釈がされた。
 個人客の豊富なデータベースがあり、適切な与信審査がスピーディにできることが他行が真似できないノウハウであるらしかった。

 スルガ銀行が圧倒的に高い利ざやを確保できていたのは、簡単だ。
 個人に高い金利で融資をしていたから。
 金利が高いということはリスクが高いことを意味する。
 金利の高い個人客ばかり集めてしまうと、貸し倒れのリスクが高まってしまう。
 それを恐れて、普通の金融機関はそこに突っ込めない。
 スルガ銀行のビジネスモデルをどうして他行は真似しないのかは、簡単だ。
 リスクが大きすぎるからだ。
 スルガ銀行のビジネスモデルが特別に優れているわけでも、独特のノウハウがあるわけでもなかった。
 誰も気づかなかった新しいビジネスを確立したわけでもない。
 ただ、リスクの大半を不動産業者の詐欺スキームの中に溶け込ませることで、表面的に好業績を上げることができていただけなのだ。

 スルガ銀行が個人に融資していたのは投資向け個人ローンだけではなかった。
 個人ローンの条件としてフリーローンも付加するケースもあったという。
 フリーローンは使い道は自由。
 その代わり金利が7.5%とものすごく高い。
 言われるがままに、不必要に高金利の借金をしてしまった個人客がいそうだ。
 さらに、そのフリーローンで融資した金額をそのまま拘束預金として縛ることもしていたらしい。
 使い道自由のはずのフリーローンが使えなくなる。
 なのに、高金利を負担しなければならない。
 結局、個人ローンの金利負担が増えるのと同じことになる。
 これは歩積両建といって、表面金利を変えずに、実質金利を上昇させる古くからある手口。
 いまだにこんな手口を使っていたのかと驚くばかりだ。
 こうなると、悪質な高利貸しの様態を示している。

 

 


posted by 平野喜久 at 14:19| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

西側7県 援助隊出さず:南海トラフ巨大地震

 読売新聞の報道による。
 総務省消防庁は、南海トラフ巨大地震で東側の震源域で地震が起きた場合、西側の和歌山や高知などからは救援隊を出動させない方針を決めた。
 南海トラフ巨大地震は、静岡県駿河湾から紀伊半島沖、四国沖、九州沖にかけて東西700qにわたって震源域が想定されている地震だ。
 過去に何度も繰り返し発生しており、毎回発生パターンは違うものの、一定の傾向は把握されている。
 それは、東から地震が始まり、西側に広がっていくという傾向だ。
 南海トラフ巨大地震は、いくつもの震源域が連続して破壊する連動型の地震なのだ。
 時間を置かずに続けて破壊が広がっていくことが多いが、時には時間を置いて連動する場合がある。
 1854年に起きた地震では、東側が破壊した後、32時間後に西側が破壊した。
 1944年の東南海地震が発生した時には、約2年後に西隣の南海地震が発生している。
 いずれにしても、東から西というパターンは決まっており、いまのところ例外はないらしい。
 次に起きると想定される南海トラフ巨大地震も、東から始まって西に広がっていく可能性が高いと見られている。
 その想定を前提とした今回の消防庁の対策だ。

 例えば、駿河湾から愛知県沖にかけて巨大地震が発生したとしよう。
 この時、全国から救援隊が駆けつけることになるが、西側の救援隊まで駆けつけて、留守になったすきに西側で巨大地震が発生したら大変なことになる。
 これを恐れて、東側にだけ地震が発生した場合は、和歌山、高知、徳島、愛媛、香川、大分、宮崎の7県からは救援隊を出動させないこととした。
 これは実際にあり得る想定を前提にした現実的な行動計画といえる。
 今回は、緊急消防救援隊の行動計画だが、同じことは自衛隊でもいえる。
 当然ながら、防衛省内でも同じ行動計画が進んでいるに違いない。
 
 東側と西側の境目は紀伊半島沖と見られている。
 紀伊半島沖に固い固着域が存在していて、それがストッパーの役割を果たしているらしい。
 東側で始まった破壊が、この固着域をやすやすと超えた場合は、西側まで連続して一気に破壊が広がる。
 固着域でストップした場合は、一旦、地震は収束し、時間を置いて西側が破壊する。
 過去の事例では、東側が破壊した後、西側が破壊せずに終わったケースはなく、いずれかのタイミングで必ず西側も破壊する。
 ここにどのぐらいの時間差があるのかが分からない。
 数時間かもしれないし、数年かもしれない。
 人間の感覚では、数時間と数年は大違いだが、地震メカニズムの時間感覚ではほんの一瞬の違いでしかない。
 タイムラグがどのぐらいになるのかを事前に予測するのは実質的に不可能だ。
 東側だけで巨大地震が発生した場合は、近いうちに西側も巨大地震に見舞われることを前提に非常態勢に入らざるを得ないだろう。
 その時、どのような非常態勢を取るべきかは非常に難しい。
 どのような対応をすべきかは、各地の自治体で検討が始まったところだが、これは企業のBCPにおいても同じことだ。
 西側の巨大地震が数時間後か数年後かでは対応の仕方が全く違う。
 数時間後と想定すれば、東側の地震直後に操業を停止し、直ちに避難開始となる。
 ところが、緊急避難をしたまま何も起きなかったとき、どこで避難解除するのか。
 何日も操業を停止したまま従業員を避難させているわけにはいかない。
 いずれかのタイミングで避難解除し、警戒態勢を維持しながら操業再開せざるを得ないだろう。
 いつ操業再開するのか。
 判断をする人の責任は重大だ。

 重要な判断をしなければいけない人の心理的負担を軽減する方法として、あらかじめ判断基準を決めておくという方法がある。
 例えば、こんな感じだ。
 東側で地震が発生した場合は、直ちに操業を停止し、従業員を避難させる。
 72時間以内に東側で地震が発生しなかった場合は、一旦、避難解除し、操業再開。
 その場合も、いきなり100%操業にいきなり戻すのではなく、重要業務に限って再開する。
 その一方で、いずれ起きる西側の巨大地震に向けて、事前対策の最終確認を進めていく。
 その後も警戒態勢は維持しながら、状況に応じて操業割合を変動させていく。

 南海トラフ巨大地震は、東から始まる可能性が高い。
 西側には事前に身構えるチャンスがあると捉えるべきだろう。
 
 

  
posted by 平野喜久 at 10:05| 愛知 🌁| Comment(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする