2009年12月12日

確率のパラドックス(2人の子ども問題)

 確率のクイズで有名な問題がある。
 2人の子ども問題。

「ある家庭に2人の子供がいる。そのうちの1人が男の子であることが分かっているとき、もう1人も男の子である確率はいくらか」

 いかにも単純な問題のようでありながら、論争が絶えない。
 答えが1/2か1/3かで、議論が起きる。

 男の子か女の子が生まれる確率はは単純に半々だから、もう1人が男の子である確率も当然ながら1/2だろうと考えると、「ブー!」となる。
 答えは1/3だという根拠はこうだ。
 2人の子供の組み合わせは、次の4通り。

(兄、弟)(兄、妹)(姉、弟)(姉、妹)

 このうち、1人は男の子だということが分かっているから、(姉、妹)の組み合わせが消える。
 残りは3通り。
 そのうち、もう一人が男の子であるのは(兄、弟)の組み合わせだけ。
 よって、1/3が正解となる。

 たいていの人は、単純に1/2だろうと思っていた自分の感覚との違いに驚く。
 これが確率のパラドックスだ。

 ところがである。
 クイズの内容を少し変えると、正解が変わってしまうのである。

「ある家庭に2人の子供がいる。その家からたまたま男の子が出てくるのを見かけた。では、もう1人も男の子である確率はいくらか」

 先ほどの問題と同じで、正解は1/3だろうと思うと違う。
 この場合は1/2となってしまうのだ。

 たまたま出てきた子供が男の子の場合、その子がお兄ちゃんだとすると、もう一人の子供は弟か妹の2通り。
 その子が弟だとすると、もう一人の子供はお兄ちゃんか、お姉ちゃんの2通り。
 どちらにしても、もう一人が男の子である確率は1/2ということになる。

 クイズの質問の仕方を少し変えるだけで、答えが全く違ったものになるという不思議な問題。
 確率問題を解説する一般書やセミナーの中には、この種のクイズを紹介していることが多いが、この違いを明確に解説しないままに紹介している場合がある。

 後半のクイズは、1/2が答で不思議でもなんでもないので、たいていは使われない。
 そこで、受け狙いの講師や著者は、前半のクイズの答1/3のインパクトだけを狙って紹介する。
 でも、意外性という受け狙いのため紹介しているので、解説が不十分になってしまう。
 たぶん、このクイズを紹介する人が、前半と後半の問題の違いを理解せずに解説しているのだ。
 それで、それを読んだり聞かされたりする人が却って混乱をする。
 これが、1/2か1/3かで論争がおきてしまう原因である。







 
posted by 平野喜久 at 16:38| 愛知 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月07日

「天使と悪魔のビジネス用語辞典」リニューアル

「天使と悪魔のビジネス用語辞典」をリニューアルした。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~hiraki/d-dic.htm

 「世の中にあふれるビジネス用語をまじめに笑い飛ばそう」をキャッチフレーズに2002年に開設したこのサイト、既に7年が経過した。
 ビジネス用語を学ぶのではなく楽しむことが目的、というところが他の用語解説と違うところ。
 多くの方々にアクセスしていただいており、いまでも私の管理しているサイトの中でも安定的な人気を得ている。
 特に「メラビアンの法則」の項目については、ウィキペディアに直接リンクしていただいているため、アクセスが多い。
 ところが、2004年に書籍版を出して以来、日々の忙しさにかまけて、サイトのメンテナンスがほとんどできていなかった。
 現在では、内容の古さが感じられるようになっている。

 読者の方からメールをいただき「楽しく読ませてもらっている」とお声をいただいたりする。
 私のセミナーを受講された方から、「再開はいつ?」と問われることも。
 いまでも、楽しんでくださっている方がいると思うと、現状のままでは、せっかく訪れてた方々に申し訳ない。
 そこで、今回、全面的にリニューアルすることとした。

 古くなった情報や項目を削除。
 新たに登場したビジネス用語を追加。
 解説ページはブログ形式

 世の中は劇的に変化しており、用語辞典も時代に合わせて変化すべきなのだろう。
 本日からリニューアルオープンである。


 
 
posted by 平野喜久 at 09:06| 愛知 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月13日

働き盛りが危ない:新型インフルエンザ

 アメリカのCDCが、新型インフルエンザに関連する数値データの見直しをしている。
 従来、アメリカでの新型インフルでの死亡者数は1200人程度と思われていたが、実際は、4000人だろうとしている。
 これは、現在では統計データをきっちり収集できていないために、公表データが常に少なめになってしまう弊害を是正するためだ。
 これには、「新型インフルの死亡者は意外に少ない」という誤った印象を持ってしまうことを防ぐ狙いもある。
 アメリカは緊急事態宣言を発し、最終的には9万人の死亡者もありうるとして警告を発している。

 CDCの公表したデータには、年齢層別の感染者数、入院患者数、死亡者数も含まれている。

<入院患者>
0−17歳:37%
18−64歳:54%
65歳以上:9%

<死亡者>
0−17歳:14%
18−64歳:75%
65歳以上:11%

 このデータは非常に重要だ。
 18〜64歳の年齢層が最も入院患者や死亡者の割合が多い。
 この年齢層が一番人口が多いのだから当たり前だと思ってはいけない。
 季節性のインフルエンザの場合、死亡者の90%は65歳以上なのだ。
 今回の新型インフルは、65歳以上が最も割合が少ない。
 明らかに季節性とは違うことが分かる。
 この働き盛りの年齢層に重症化する人が多いというのは、知っておかなくてはならない重要なデータである。

 日本では今のところ、未成年者に重症者が集中している。
 大人には関係なさそうだとして、ひとまず安心といった声も聞かれる。
 しかし、あくまでも今のところでしかない。
 今後どうなるかは、アメリカの事例を見れば、油断できないことは明らかだ。

 新型インフルエンザの状況は刻々と変化している。
 たまたま、現在の状況をとらえて、「新型インフルなんてこんなもの」とイメージを固定化してしまわないことである。

 



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2009年11月10日

既に季節性のピーク時と同じレベル:新型インフルエンザ

 厚生労働省が11 月6日に発表した2009 年第44 週(10 月26 日〜11 月1 日)のインフルエンザ感染状況によると、全国約5000 カ所の定点医療機関当たりの患者の報告数は33.28となった。
 これは全国平均で警報レベルを超えたことになる。

 国内で最も報告数が多いのが愛知県で、54.2.
 愛知県の中でも特にひどいのが春日井で、140を超えている。

 愛知県では今年の1月に季節性インフルのピークがあったが、その時のレベルが約40だった。
 ということは、すでに現時点で、前回の季節性インフルのピークを越えてしまっているということだ。
 過去の季節性インフルのピークと比較してみると2008年のピークを越え、2007年のピークを越え、2006年のピークも超え、いま2005年のピークに並んでいる。
 
 じゃぁ、今年は早々とピークがやってきたから、いつもより早く終息するのか。
 たぶんそうではない。
 今回もやはりピークは1月から2月だろう。
 となると、すでに季節性のピークと同じレベルにあるのに、1月2月にはどれほどのレベルになるのだろうか。
 
 オーストラリアとニュージーランドでは、すでに冬の新型インフルを経験している。
 重症化して集中治療室に運びこまれた人の数は、季節性の時の15倍だったというデータが公表されている。
 日本においても、新型インフルの影響は通常の2倍や3倍というレベルではおさまらないだろう。

 新型インフルエンザの感染拡大は、地域差がある。
 地域の感染状況に合わせて対応を考えなければいけない。
 「テレビが何も言ってないから大丈夫」というのは判断基準にならない。
 特にテレビメディアは、関東圏の災害については神経質に報道するが、地方の情報はあまり発信されない。
 テレビメディアが騒ぎ始めるのはすでに全国が蔓延状態になったときだろう。

 それに、テレビメディアは、新型インフルで国民の危機感をあおらないことを最優先にしている。
 テレビメディアは特に影響力が大きいため、頻繁に情報発信するだけで社会不安を増幅しかねない。
 国民が行動を自粛し始めたら、消費活動、経済活動が停滞してしまう。
 こちらの影響の方が大きい。
 それで、メディアは報道が慎重になっている。
 
 政府や厚労省の情報発信も同じ。
 国民の不安をあおらないように、控え目な情報発信になっている。
 意識して情報収集しようとしないと、ほとんど何も気づかずにその時を迎えてしまうことになる。
 情報は意識して収集しないと、向こうから勝手に飛び込んできてはくれないと思ったほうがいい。

 今後は、各都道府県の公開する情報に頼るしかない。
 これも、都道府県によって、取り組み姿勢が違うので、重要な情報を探し出すのに苦労する。
 今のうちに、ネット上で簡単に確認できるソースを確保しておくことだ。

 新型インフルエンザは、ネズミ算式に感染拡大する。
 ネズミ算の増え方の恐ろしいのは、はじめのうちは増加が目立たないが、ある一定レベルに達したときに急激に増加し始めること。
 「先週大丈夫だったから、今週も大丈夫」という保証はない。
 「今週大丈夫だったから、来週も大丈夫」という判断も間違いだ。

 状況は刻々と変化している。
 大事なのは、一時の情報で、新型インフルに対するイメージを固定化してしまわないこと。
 「新型インフルなんて、こんなもんか」などと決めつけてしまわないことが重要だ。






 
 
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2009年11月09日

タイムマシンを使って同時多発テロを防げるか

 クイズで学ぶリスクマネジメント。
 さて、問題。
 あなたに、次のミッションが与えられたとする。
 さて、あなたはどのようにしてこのミッションを成功させるか。

--------------------------------------------------------
<ミッション>
 2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが発生し、大勢の犠牲者が出た。あなたは、過去にタイムトラベルをして、この犠牲を最小限に抑えてほしい。

<条件>
 あなたにはタイムマシンが提供され、自由に時間移動ができる。
 タイムマシンに乗れるのはあなただけ。
 タイムマシンの存在は他の人には極秘。
---------------------------------------------------------

 問題は簡単。
 タイムマシンを使って過去にさかのぼって、テロを防げばいい。
 あなたは、全知全能の預言者のようにどこで何が起きるかをすべて知っている。
 タイムマシンさえあれば、なんだってできるはず。

 しかし、タイムトラベルした後、どうやってテロを防ぐのかが難しい。
 いきなりアメリカ政府や航空会社に訴える?
「イスラム系の民族は飛行機に乗せないで!」
 たぶん門前払いだ。

 じゃぁ、マスコミにたれ込む?
「民間機がビルに突っ込む!」
 たぶん狂人扱いになる。

 奥の手を使おう。
 犯人グループになり済まして、マスコミに犯行声明を発表する。
 世界貿易センターからは全員が避難。
 民間機も運航中止。
 となるか・・・?
 たぶんならない。
 事前予告するような間抜けな自爆テロ実行犯などいるわけがないから、ただのいたずらと判断される。
 本当のテログループには、自分らの計画を知っている第三者がいることが分かってしまうから、計画を変更して実行されてしまうことになる。
 そうなったらもう阻止できない。

 他にどのような方法があるか・・・。

 この問題はリスクマネジメントの何を問うているかというと、正確にリスクを予見できた人がいたとしても、事件や事故を防止するのは非常に難しいということだ。
 リスクを認識するのがまず難しい。
 リスクを認識しても、損失を防止することは更に難しい。
 
 そして、更に更に難しいのが、その先。
 損失を防止したとしても、それを正しく認識されない、ということ。
 
 上の問題で、たまたま特別のコネクションを使ってアメリカ政府高官に取り入ることができたとしよう。
 テロ発生の危機を伝え、政府はその情報を全面的に信じ、テロ対策を実行したとしよう。
 ハイジャックされるはずの4機については、急きょ運航中止。
 9月11日の午前9時。
 何も起きない。
「やったー! テロを防いだ!」と思うのはあの事件を知っているあなただけ。
 目の前には、いつもと同じ何事もない風景。
 運航中止になった航空会社は大損失。
 乗客も大迷惑。
 同時多発テロを防いだ快挙だなんて誰も思わない。
 命拾いしたなんて誰も思わない。

「誰だ! 民間機がビルに突っ込むなんて変な情報を持ち込んだやつは」
 と社会騒擾罪で犯人捜しが始まる。
 あなたは、捜索の手が伸びてくる前にタイムマシンで逃げかえってくるしかない。
 現在に帰ってきて、当時の新聞を見ると、
「お騒がせなテロ情報に一部飛行機の運航中止」とある。

 さぁ、あなたはテロ防止に成功したと言えるのかどうか。

 リスクマネジメントには成功事例は存在しない。
 存在したとしても、私たちには認知されない。
 なにか、宇宙物理学を論じているような不思議な感覚になる。
 これが、リスクマネジメントの難しいとろこだ。

 さて、先の問題に立ち返ろう。
 あなたがタイムマシンを使って、同時多発テロを防ぐにはどうしたらいいだろうか。



  

 
   
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2009年10月30日

いずれ日本中が警報レベルに:新型インフルエンザ

https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html

 国立感染症研究所の発表によると、25日までの1週間で新たにインフルエンザに感染して医療機関を受診した推計患者数は全国で約114万人に上った。
 前週は約83万人だったから、約1.4倍。
 
 国立感染症研究所は流行レベルマップを公開している。
 これは毎年インフルエンザの流行状況を注意報と警報に色分けして表示しているものだ。
 これが、いま役に立っている。
 つい先日までは、警報も注意報も出ていない地域がずいぶんあったが、現在は日本全国が色つきの地図である。

 北海道は通常のインフルエンザのピーク時のレベルを超えてしまって、警報の最高レベルにまで達している。
 そのほか警報の出ているのは、首都圏、愛知、大阪、福岡など人口密度の高い地域を中心に広がっていることが分かる。

 感染拡大は確実に広がっており、そのピークは通常のインフルエンザのレベルをやすやすと越えそうである。
 感染者はネズミ算式に増える。
 ネズミ算式に増えるということは、直線的に増えるのではなく、ある一定規模に達したとき、加速度的に急増するということだ。
 状況は刻々と変化する。
 いま大丈夫だからと言って、来週も安心という保証はない。
 警戒を怠るわけにいかない。

 現在でも、新型インフルエンザの実感がないという人がいる。
 確かに、電車に乗っていてもマスクしている人は少ない。
 身の回りでも感染した人はいないように見える。
 しかし、状況は急激に変化するということを意識しておいた方がいい。
 実感するような状況は、周りの人たちが続々と感染し始める段階であり、すでにピークの真っただ中だ。
 そうなってから行動していたのでは手遅れである。
 
 国立感染症研究所は定期的に情報発信しているが、政府、厚労省、地方自治体の情報発信は少ない。
 あまり情報発信しすぎると、国民の不安を増幅してしまい、そのことが社会的混乱を引き起こす恐れがある。
 それを心配し過ぎているようだ。

 企業の中でも対策の進んでいるところは、社員に対してきっちり行動制限をかけている。
 「海外旅行に行くな」「人ごみに行くな」「盛り場に行くな」
 これもマスコミで報道されない。
 有名企業がこんな対策を取っています、などと報道しようものなら、それが企業対応のスタンダードになってしまうからだ。
 そんなことになったら、人々は出歩かなくなり、旅行業界、観光業界、飲食業界は大ダメージ。
 経済に与える影響は甚大である。

 当面は、政府は新型インフルエンザについて注意喚起は行わないとみていい。
 企業の新型インフルエンザ対策は、自己責任。
 きっちり対策した企業と、無策のままピークを迎えてしまった企業とでは、結果に格段の違いが出る。
 これは、他の災害にはない新型インフルエンザ特有の特徴である。





 

posted by 平野喜久 at 13:44| 愛知 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月26日

アメリカ緊急事態宣言:新型インフルエンザ

http://www.reuters.com/article/topNews/idUSTRE59N19E20091024

 オバマ政権が新型インフルエンザに関して緊急事態宣言を発した。
 国内の死者が1000人を超え、感染者は数百万人に上るという。
 ワクチン接種が始まったものの、十分な数が確保できずに、医療現場ではワクチンを求める人々で混乱を起こしているらしい。
 政府の危機管理能力が問われる事態となり、今回の緊急事態宣言となったようだ。

 これは、日本にとっても時間の問題である。
 日本でもようやくワクチン接種が始まったところだが、やはり、十分な数が足りない。
 政府方針もきっちりしておらず、1回接種か2回接種かでも流動的だ。
 このままでは、流行のピークの最中にワクチン接種を行わなければならず、医療現場は、患者の診療とワクチン接種で混乱が予想される。

 10月に入り、本格的な流行期が始まっており、ピークは1月から2月になりそうだ。
 政府や行政側の情報発信が少なすぎる。
 厚労大臣は年金対策には熱心だが、新型インフル対策に積極的ではない。
 総理大臣も何もコメントしていない。
 いままでは、国民の不安をあおらないことを目的に情報を控えてきた面もあるだろう。
 しかし、本格流行が始まった今は、積極的な情報発信が必要な時ではないか。
 


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2009年10月19日

非感染の証明書は提出を求めるな:企業のパンデミック対策

 企業の新型インフルエンザ対策の内容を拝見すると、疑問に思う点がいくつか見つかる。
 そのうちの1つが「非感染の証明書を提出させる」というものである。

 これはどういうことかと言うと、会社がその社員の出社許可を与えるにあたって、医者の証明書を判断基準にしようというものだ。
 一度感染した人が完治したことの証明
 同居家族や職場同僚に感染者が出たが、自分は非感染であることの証明。
 このために使われる。

 普段のインフルエンザ対策であれば、これは最も慎重なルールとして有効だ。
 ところが、これがいま問題になりつつあるのである。
 まず、医療現場の混乱。
 ただでさえ、患者の診療に追われている病院に、証明書の発行を求める人が押し寄せれば、現場の混乱に拍車をかける。
 
 次に、社員への過重な負担。
 解熱後2日を経過すれば、ほぼ完治したと言っていい。
 明らかに治っているという自覚があるのに、わざわざ病院に出かけなければならない。
 病院はウィルス感染者であふれかえっており、その中で何時間も待たされる負担は大きい。
 これだけでまる1日をつぶしてしまうかもしれない。
 また、未感染者が非感染の証明書をもらいに行こうとするのは、ウィルス患者の中に感染しに行くようなものだ。

 教育現場では、通常のインフルエンザと同じように登校の際は、証明書の提出を求めているが、それを見直そうという動きが出始めている。

 企業も証明書の提出はやめるべきだ。
 感染したかもしれないと心配な場合は、自宅待機して経過観察するか、終日マスク着用で体調チェックを徹底しながら就業するかのどちらかが現実的だろう。

 民間企業は、お役所的な硬直的な対応は避けるべき。
 最悪の事態を想定して準備しても、状況を見ながら柔軟に対応するのがポイントである。







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2009年10月18日

中小企業は大企業向けのマニュアルをコピーするな:新型インフル対策

 企業の新型インフルエンザ対策が進んでいる。
 社員の行動マニュアルまできっちり作っているところ、マスクと消毒剤は用意したがあとは何をやっていいか戸惑っているところ。
 いろいろだ。
 行動マニュアルを作っているところでも、自分らで真剣に考えて作ったというより、系列の親会社に提供してもらったサンプルをそのままコピーしているようなケースがあり、非常に危なっかしい。
 内容を見ると、大企業向けのものであることがすぐに分かる。
 リスクを完全回避するような徹底した内容になっているのだ。
 中小企業は、こんなマニュアルをそのまま導入したら、まともに運用できない。
 まともに運用したとしても、その厳しすぎる行動ルールのために業務に支障をきたしてしまう恐れがある。

 たとえば、「従業員の同居家族が感染したとき、7日間の出社停止」というルールがある。
 同居家族が感染すると、その従業員は濃厚接触者ということになり、感染している可能性があるために、出社停止とする必要がある。
 潜伏期間は1日から5日と言われており、7日間の経過観察を経て、発症しなければ非感染と判断して出社許可となる。
 このルールには根拠があり、職場にウィルスを持ち込ませないために有効な方法だ。
 
 では、同居家族の感染をどう判断するのか。
 発熱など感染疑い症状がある時と定めているケースがある。
 しかし、子どもなどは、インフルエンザでなくてもちょっとしたことですぐに熱を出す。
 下の子が熱を出した→1週間欠勤。
 治ったと思ったら今度は上の子が熱を出した→また1週間。
 出勤できる時がない。
 これがすべての従業員の家庭で起きる。
 職場はたちまち欠勤者だらけ。
 人員に余裕のない中小企業は、業務停止に陥りかねない。
 職場の集団感染は起きていないのに、職場の機能停止という奇妙なことが起きる。
 こうなると、何のための行動ルールかわからない。

 これを防ぐために、柔軟性のあるルールにしておく必要がある。
 家族の新型感染が確定した場合→自宅待機。
 家族の新型感染が未確定の場合→警戒しなら出勤。

 警戒しながら出勤というのは、感染の可能性があることを自覚し、体調の変化に気をつけながら業務を行うということだ。

 業務中はマスク着用。
 1日3回の体温チェック。
 長時間の会議など他の人との濃厚接触を避ける。
 1週間が経過しても発症しなかったら、警戒を解く。

 着用するマスクは他の人とは違う色にするという方法もある。
 これは、家族に感染疑い者がいることを他の社員にも知らせるためだ。
 これで、その人の体調変化を周りも気遣うことができ、また、業務の割り振りにも配慮することができる。

 中小企業の最大の強みは、柔軟性ではないか。
 マニュアルや社員の行動ルールは最悪の事態を想定して作成するが、状況を見ながら柔軟に運用するのがポイントである。



posted by 平野喜久 at 00:17| 愛知 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月17日

第2波に突入か:新型インフル

 新型インフルエンザの感染拡大が続いている。
 最近になって特にその勢いが増しているようだ。
 流行状況は、全国平均で注意報レベルを超えた。
 地域別では、北海道平均が警報レベルにある。
 他にも、愛知福岡神奈川などで警報レベルに達している地域がある。
 愛知県春日井市は、例年の季節性インフルエンザの流行ピーク時に匹敵するレベルに達している。
 既に、第2波が始まったとみていいだろう。

 季節性にインフルエンザは通常、12月後半から感染が広がり始め、1月から2月にピークを迎える。
 既に通常のピークレベルに達している地域は、この先、どうなるのだろうか。
 いつもより早くピークを打って、年内にも終息してしまうのか。
 そうはならないだろう。
 新型インフルエンザも同じように1月から2月にピークを迎えるとみたほうがいい。
 現時点ですでに通常のピークレベルにあるとすると、1月から2月にはどれほどの高いレベルに達するのか。
 少なくとも通常のインフルエンザと同じレベルではおさまらないことは容易に予想できる。

 もう1つ気になる情報がある。
 基礎疾患の無い人が重症化する例が増えている。
 当初は、糖尿病などの基礎疾患のある人か妊婦に限って重症化するとみられていた。
 ところが、基礎疾患の無い人の重症化例が増えているのだ。
 現在、アメリカでの重症患者の50%は、基礎疾患なしだという。
 日本では、60%が基礎疾患なしだというデータが出ている。

 どういう人が重症化し、どういう人が軽症で済むのか。
 その違いは、まだはっきり分かっていない。
 
 「新型は季節性と同じ」という情報を流し、人々の不安感を和らげようとする国の動きがあった。
 今なお、その姿勢は変わっていないようだ。
 しかし、もはや、気休め情報を流していればいいという状況ではないのではないか。


posted by 平野喜久 at 20:17| 愛知 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする