2021年10月20日

新ドラマ「日本沈没〜希望のひと〜」

 10月10日から新しいドラマが始まった。
 「日本沈没〜希望のひと〜」(TBSテレビ)
 原作は、小松左京のSFで、1970年代に大ヒットし、映画化され、その後、ドラマ化され、高視聴率を取った。
 それが再び登場だ。
 ただ、原作通りではなく、コンセプトはそのままで、時代を現代に置き換え、新たにストーリーを構築したという印象だ。
 災害多発の時代に合って、このテーマがリバイバルされるのは、タイムリーと言え、今後、どのようなストーリー展開になるのか、楽しみだ。

 田所博士を香川照之が演じており、浮世離れしたマッドサイエンティストぶりを発揮している。
 主人公は、原作とは違い、環境省の若手官僚:天海啓示という設定だ。
 第2回までのドラマ展開では、当初は、田所の関東沈没説に反発していた天海が、田所を無理やりつぶそうとする政府や研究者の姿勢に反感を覚え始める様子が描かれている。
 ここまでは、官僚同士の話し合いや、閣僚らの動きが中心になっており、ドラマとしては見どころがない。
 伊豆半島沖にあるという日之島という島が突然沈没する様子が描かれていたのが、唯一の見どころだった。

 旧作ドラマの日本沈没では、CGが存在しない時代で、すべてがミニチュアモデルを使用しての演出だったが、ここが今回はリアルに描かれることになりそう。
 制作費に20億円をかけたらしい。
 今後のスペクタクル場面に期待が高まる。

 旧作ドラマは26回シリーズだった。
 1回ごとに必ず日本のどこかで異変が起き、地震が発生し、有名な観光地が破壊される場面が登場した。
 誰もが知っている観光地が被災する場面は、見る者がカタルシスを得られる見どころでもあった。
 印象に残っているのは、金閣の水没、清水寺の倒壊、鎌倉大仏の地盤沈下、東京タワーの水没。
 いま見直してみると、模型を作って壊しているだけというのがまるわかりだが、それでも、当時はその映像に目を見張った。
 新作ドラマではCGでどこまでスペクタクル場面を再現できるだろうか。
 
 さて、このSFの最初の見どころは、日本沈没説がどうして出てきたのか、というところだ。
 現実には日本列島が沈没するというのはありえない。
 これは、水に浮いている木切れが、突然沈み始めることはありえないのと同じように、日本列島が沈没することは原理的にありえない話だからだ。
 しかし、SFではそこを乗り越えないとストーリーが進まない。
 そこで、それをどのように乗り越えているのかというところが、注目ポイント。

 ドラマ中では、田所が関東沈没説の根拠を説明する場面がある。
 いきなり日本沈没ではなく、関東沈没から話が始まっているのが面白い。
 田所の説明では関東沈没の根拠はこうなっていた。
 関東地方は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレートという3つのプレートがぶつかり合っている世界でも非常に珍しいところで、この3つのプレートが重なり合って微妙なバランスを保っている。
 ところが、最近の地球温暖化による海面上昇で、このバランスが不安定になってきた。
 そのことで、プレートの境目ではスロースリップ現象が起き始めており、なおかつ政府が行っているコムスという海底掘削事業により、海側プレートの沈下速度が速まっている。
 このことにより、関東の沈没が引き起こされる。
 
 「地球温暖化」「海面上昇」「スロースリップ」という最近のキーワードを混ぜ、海側プレートの沈下と陸側プレートの引きずり込まれという専門知識をベースにうまく沈没説を構成していた。
 専門家が見れば、「なんのこっちゃ」の説明にしかなっていないが、素人には十分リアリティのあるストーリーだろう。

 日本沈没は、結論が題名になってしまっている珍しい作品。
 結論がわかっていながら、どのようにそこまでのストーリーが展開していくのかについていろんなイマジネーションを掻き立て、期待感が大きい。
 現代版の日本沈没、今後の展開を楽しみたい。

 
posted by 平野喜久 at 14:25| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月12日

韓国「日本は患者数改竄」

 日本のコロナ新規陽性者数が急減している。
 昨日は369人だった。
 全国で369人という数字は最近見たことがない。
 じわじわ下がってきたというより、ピークを越えた後、急に減少し始めたのが特徴だ。
 いろんな原因が指摘されているが、いずれも、これほどの急減を説明しきれていない。
 今回のウィルスは謎が多い。

 日本で感染縮小が起きているのに対して、韓国では感染拡大が止まらない。
 そのことで、韓国政府は批判にさらされているようだ。
 「日本では感染収束が実現しているのに、我が国政府は何をしているのか」
 政府批判には「日本では〜なのに」という批判が一番効果がある。
 この批判に対する反論がメディアを賑わせているらしい。

 10日付産経新聞による。
 左派系の評論家が、「自民党が衆院選で勝利するため、PCR検査数を減らして感染者数を抑制している」と持論を展開しているそうだ。
 「1か月で感染者が10分の1になるなってことはない。そんなやり方があれば世界はとっくにコロナを撃退している」
 「政府が詐欺行為を働いてはいけない」
 「日本メディアも日本政府の不正を指摘できずにいる」
 と言いたい放題。

 保守系の中央日報でも、日本の急激な感染者数減少は「専門家も明確な説明を出せずにいる」と指摘し、「検査の減少による錯視効果」の可能性を示唆している。

 「日本で感染者が少ないのはPCR検査が少ないからだ」という指摘は、去年の早いうちからあった。
 欧米の各国で感染拡大が急拡大しているときに、先進国で日本だけが感染状況が落ち着いていた。
 感染者数としては、10分の1〜20分の1というレベルにとどまっていたのだ。
 なぜ日本だけ感染状況が少ないのか、というのが世界の謎だった。
 そこで指摘されたのが、「PCR検査が少ないからだ」というもの。
 「PCR検査を絞って、感染者数が大きくならないようにしている」
 などという言いがかりのような指摘もあった。
 特に左派系の論者からはこの主張が強かった。
 日本だけが優れている、ということを認めたがらない人たちがいたのだ。
 検査を増やせば日本だって欧米並みに感染者数が増えるに違いないとの憶測があった。
 彼らは、「今のニューヨークは2週間後の東京だ」などと警告を発するふりをしながら、日本でもっともっと感染者が増えることを期待しているかのようだった。
 ところが、検査が少ないために、感染者を補足しきれていないとしたら、感染者以外の人びとの間で肺炎患者や重症患者が増加し、医療現場で異常事態が起きているはず。
 だが、医療現場でそのような不自然な現象は起きていなかった。
 また、医療現場でとらえきれない感染者が増えているようだったら、それは、死者数の増加として必ずカウントされるはず。
 ところが、そのような実態もないという報告があり、ただだちに否定された。
 それでも、納得しない人たちがいて、「ある葬儀屋から聞いたが、斎場は順番待ちでパンクしているらしい」などというデマのような情報を公共メディアで発信するものまで現れた。
 この情報は葬儀業者により否定された。
 いまでは、感染者数を抑えるために検査を渋っているなどという言いがかりを言う人は存在しなくなった。

 その言いがかりを、いま周回遅れで韓国メディアが取り上げ始めているというわけだ。
 韓国は去年、感染者数をいち早く抑え込むことに成功したことから、世界に誇るK防疫として大統領が自賛した。
 日本の失敗と韓国の成功は、韓国民にとって気持ちのいいことらしい。
 ところが、いまそれが逆転してしまっている。
 そのとき、韓国の感染拡大をいかに抑えるかという議論をするのではなく、日本の成功はまやかしだ、ということで精神的な安定をたもとうとしている。
 こと日本のことになると、まともな判断力を失う韓国。
 
 韓国では与党の次期大統領候補が決まった。
 イジェミョン氏。
 この人の持ち味は「サイダー発言」。
 国民がスカッとすることを言ってくれるからだ。
 日本に対して強硬的な発言をすると、韓国民がスカッとするのだそうだ。
 彼が大統領になった場合、日本はこのサイダー発言に付き合わされることになるのか。


  

 
 
posted by 平野喜久 at 18:43| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月07日

新規陽性者急減の理由が不明

 このところコロナの新規陽性者の数値が急減している。
 8月20日に25866人を記録したが、いまでは1000人前後で推移するようになった。
 さて、ここで疑問なのは、コロナ感染の波は何によって引き起こされているのか、ということだ。
 
 感染の波の形を見てみると、富士山型を示す。
 つまり、感染拡大が始まると一貫して上昇傾向を示し、ピークを打った後は、一貫して減少し続ける。
 なぜこのようなきれいな形になるのだろうか。
 これが、人為的な原因により引き起こされているのだとしたら、この富士山型と同じような動きをする人為的なデータが見つかるはずだ。
 街の人出のデータ、高速道路の交通量、交通機関の利用状況・・・
 だが、感染の増減と同じ動きをするデータが存在しないのだ。

 もう少し細かく陽性者数データを見ると、急減しているのは東京、大阪だけではない。
 日本全国で同じタイミング同じスピードで減少し続けているのだ。
 なぜこんな奇妙な現象が起きるのか。
 この現象は日本に限らない。
 海外諸国の中でも、日本と同じような感染状況になっている国がいくつも見つかる。
 アメリカ、ドイツ、フランス、カナダ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、イスラエル・・・
 いずれも7月8月にピークを迎え、いま一貫して減少傾向にある。
 もしかしたら、ここにコロナウィルスの特性が隠されているのかもしれない。

 専門家は、いま感染が急減している理由をいくつも挙げている。

1.大きな感染拡大を見て、人々が行動を自粛するようになった。
2.ワクチン接種が進んだ効果が表れてきた。
3.天候気候の変化による。
4.などなど

 いろいろな解釈が提示されるが、いずれも思い付きレベルの仮説にすぎない。
 実データにより確証された原因はない。
 ここから導かれる結論は簡単だ。
 専門家にも原因がわからないのだ。

 2002年11月に始まったSARSもコロナウィルスだった。
 2003年に入ってから感染拡大が始まり、世界に飛び火していった。
 ところが、4月ぐらいから急に減り始め、6月中にはほとんどなくなり、7月にはWHOにより終息宣言が出た。
 ワクチンも特効薬もない中で、第1波だけで終わってしまった。
 これも、なぜ勝手に終息してしまったのか、原因は分からないままだ。

 専門家は今でも、これで行動が緩むとリバウンドにつながってしまう、と警戒を呼び掛け続けている。
 彼らの言っていることは昔から変わっていない。
 「行動を自粛せよ」
 本当にこれが専門家の見解なのか。
 国民にとって、これほど役に立たないアドバイスはない。
  
 行動自粛をいつまでも続けているわけにはいかない。
 どこかのタイミングで日常生活に戻していく必要がある。
 その最初のタイミングは11月に訪れるのではないか。
 「コロナ対策のための制限は全面解除し、完全日常活動に戻ろう!」
 コロナ感染がゼロではない中で、制限全面解除に踏み切るには大きな決断がいる。
 岸田総理は最大の試練を迎えることになる。
 この決断に踏み切れるかどうか注目だ。
posted by 平野喜久 at 19:32| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月06日

ワクチン情報の怪

 毎日新聞の報道による。
 岡山県美咲町で4月下旬にあった新型コロナウイルスのワクチン接種のための予行演習の求人情報が、
8月下旬になって「ワクチン接種を促すための演出」といった誤った情報とともにSNS上で飛び交ったという。

 事の真相はこうだ。
 今年4月、美咲町でワクチン接種のシミュレーション訓練を行うにあたって、役所の職員だけでは足りず、協力者を募集した。
 会場で案内する人、接種を受ける人、問診をする人、接種をする人などの役を募集したのだ。
 求人票には「ワクチン接種デモンストレーションのエキストラ募集、時給1400円」とあった。
 これが、実施から4カ月たった8月28日ごろからSNSで拡散した。
 どのような文脈でこの求人票が拡散したのかというと、「渋谷の若者向け接種会場の大行列は仕組まれた演出」と言いたいわけだ。
 
 この情報は、明らかにワクチン反対派の仕業による。
 渋谷の接種会場が始まった時、大行列を作る若者の姿がニュースになった。
 若者はワクチンに消極的と思われていたが、実態はまったく違うということに皆が驚いた。
 だが、ワクチン反対派は、この様子が気に入らなかった。
 「みんながワクチンを打ちたがっているかのような様子を見せ、若者に接種させようとする陰謀だ」とばかりに、関係ない求人票をネタにデマを拡散した。

 デマの発信者の意図はどこにあるのか。

1.衝撃的な情報を投げかけ世間を騒がせたい。
2.ワクチン接種にブレーキをかけ、コロナ終息を妨害したい。
3.ワクチンの危険性を知らせ、騙されている人々を救いたい。

 3は悪意がないだけに厄介な存在だ。
 ワクチンが危険だと思い、自分が接種を拒否するだけでは収まらない。
 家族にも親戚にも知人にも危険情報を伝えたがる。
 更に、一般社会に向けて危険情報を拡散しようとする。
 デマは、発信されても拡散する人がいなければ立ち消えになる。
 このような悪意のない人がいる限り、拡散し続ける。
 デマ発信者は、このような善意の拡散者をいかにその気にさせるかに長けていて、今回の求人票のネタはうまくはまった。
posted by 平野喜久 at 10:15| 愛知 ☀| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月05日

菅総理:総理代行としては立派だった

 菅総理が総裁選不出馬を表明。
 これで任期限りの退陣が決まった。
 もともと菅氏は総理候補と目されていなかった人だ。
 昨年、安倍総理が病気のため辞任することになり、その直後の自民党内の派閥領袖の思わくで担ぎ上げられて菅総理が誕生した。
 官房長官だった菅氏が、突然の安倍総理退陣を受けて、総理代行を務めてきたという印象が強い。
 安倍総理の任期だった今月をもって退陣となるのは自然な流れだ。
 菅総理も、最後は続投へ向けて悪あがきをしてしまったために、無様な姿をさらすことになった。
 菅氏は総裁選への出馬意欲は早くから表明していたが、岸田氏が力強く出馬表明したことから様子が変わった。
 総裁選惨敗で退陣というみじめなことを避けるためには、総裁選前に解散総選挙に打って出るしかない。
 党内人事と組閣を一新して解散する道を模索するも、党内から猛反発を受け、手詰まりとなった。
 最後は、菅総理に寄り添いアドバイスができる相談相手も存在せず、孤独の中での決断だったようだ。

 菅総理の人気のなさは、気の毒であった。
 特別の失策があったわけではない。
 致命的な不祥事やスキャンダルがあったわけでもない。
 国民のコロナ対策への不満があったが、これは世界中のリーダーが直面している難題であり、菅総理特有の事情によるものではない。
 むしろ、携帯電話、不妊治療、デジタル庁、汚染水、ワクチン接種など、着実に実績を上げた政策は多い。
 それがまったく評価されないまま退陣に追い込まれたのは、本人も悔しい思いだろう。
 ただただ、コロナ禍における国民のフラストレーションのぶつけ先として矢面に立たされてきた。
 安倍退陣を受けての総理代行としては、見事に役割を果たした。
 一番大変な時期の政権運営を担ってくださってありがとうと感謝したい。

 彼の不人気は、ひとえに口下手によるものだ。
 緊急事態宣言の発出のたびに総理自ら記者会見を開いた。
 安倍総理の時のスタイルを踏襲してプロンプターを使っての会見。
 秋田訛りの聞き取りにくさはあるものの、はっきりとした口調で、詰まることなくスピーチができていた。
 話の内容も、過不足のないポイントを押さえたもの。
 なのに、彼の言葉が国民に響かないのだ。
 彼の言葉が伝わらないというのは、早くから指摘されており、本人もかなり気にしていたようだ。
 少しでもメリハリが出るように、少しでも思いが伝わるように、との努力の跡がうかがえた。
 だが、そこには限界があり、効果はなかった。
 本人にしたら、「こんなに丁寧に説明しているのに」「こんなに心を込めて話しているのに」という思いばかりが募ったことだろう。
 たぶん、支持率がこれほど低くなる理由が理解できなかったのではないだろうか。

 次は、単なる総理代行ではなく、本格的な政権確立を目指すリーダーを選ぶことになる。
 総裁選には、既に何人かが意欲を見せている。
 派閥領袖の思わくを排除し、立候補者による政策論争に期待したい。
 
 

 
posted by 平野喜久 at 10:08| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月30日

若者はコロナリスクに無頓着という先入観

 東京都では、渋谷で若者向けのワクチン接種会場を設けたところ、予想以上の人が集まってしまい、混乱を引き起こしていた。
 都の担当者が「こんなに集まるとは思っていなかった」と驚いているという。
 当初の目論見は、街中を出歩いている若者を接種センターに誘い込んで、少しでもワクチンを打ってもらおうということだった。
 渋谷の目立つところに設置することで、話題にもなり、その様子を見せることで、啓発活動にもなると思っていたようだ。
 この目論見の前提には、「若者はコロナなど気にしておらず、ワクチンにも消極的」とのイメージがあった。
 このイメージは、マスコミ報道で作られた虚構だった。
 テレビの報道番組では、街中の人出が減っていない報道とともに、渋谷の人込みを映し、ついでに出歩いている若者にインタビューを試みている。
 人込みを歩いている若者に聞いているので、その答えはたいていコロナに無頓着なものが多い。
 「若者は感染しても重症化しないみたいだから、大丈夫かな・・・」
 「緊急事態宣言が出ても、何も変わらないし・・・」
 「ワクチンはなんか怖いって話を聞くし・・・」
 こんな調子で、「無頓着な若者が不用意な行動をするために、感染が拡大している」という先入観に基づいて報道取材が行われており、報道内容はそのイメージに沿った内容になる。
 都の担当者は、マスコミ報道に引きずられ、無頓着な若者にワクチンを打たせるかと考えてしまったようだ。

 だが、実際は、若者の多くはコロナリスクを恐れており、一刻も早くワクチンを打ちたがっていた。
 ただ、中高年を優先に接種が進んでいるために、若者にまで順番が回ってきておらず、打ちたくても打てないのが実情だ。
 地元自治体で接種しようとしても、予約希望が殺到して、予約を取ることはおろか、ウェブサイトにアクセスすることすらできない日々が続いている。
 予約なしでも摂取できるという渋谷の接種センターに、ワクチン難民の若者が殺到するのは当たり前だった。

 テレビ報道では、街中の人出について取り上げるときに、渋谷のスクランブル交差点が映し出されることが多い。
 その意図は、緊急事態宣言なのに人出が減っていない、と言いたいのだ。
 だが、実際のデータを見てみると、渋谷スクランブル交差点の人出は、コロナ前に比べて半分以下に減っている。
 いまでもずいぶん人出が多いように見えるが、コロナ前はこの倍以上の人込みだったのだ。
 既に半分以下に抑えられているのに、更に人出を減らせとは無謀な要求だ。
 デルタ株に置き換わって、感染の現場は、街中や飲食店ではなく、家庭内や職場が主流になってきている。
 いまのコロナリスクは、従来とは違うステージにあることをまず認識する必要がある。
 
 
posted by 平野喜久 at 10:20| 愛知 ☀| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月26日

ワクチンパスポートは未接種者の差別ではない

 ワクチンパスポートの是非について議論が始まっている。
 既に海外では、ワクチン接種が済んだ人にイベント参加や施設入場の許可を与えるために、入り口での証明書の提示を求める政策が実行されている。
 ワクチン接種がある程度進んできても、まだ集団免疫に到達した国は存在しない。
 だが、いつまでも行動制限をかけたまま放置すると社会経済活動が停滞してしまい、そちらの方の影響が深刻になる。
 それにワクチン接種したのに従来と変わらぬ生活では、何のためのワクチンかということにもなりかねないし、未接種者への動機づけにもつながらない。
 それで、ワクチン接種が済んだ人については行動制限を解除し、積極的に活動を促し、社会を動かす側に回ってもらわなくてはいけない。
 「ワクチン接種が済んだ人から、まず社会活動を」というのが本来の趣旨だ。

 だが、ワクチンパスポートの議論で必ず出てくるのが、「未接種者への差別につながらないか」という意見だ。
 例えば、イベント会場の入り口で接種者は入れるが、未接種者はお帰りいただくことになる。
 これは未接種者を社会から排除することになるというわけだ。
 だが、これは未接種者を不当に排除しているわけではなく、むしろ、未接種者を感染リスクから守る取り組みと解釈すべきだ。

 いまのデルタ株はその感染力が格段に強いのが特徴だ。
 専門家の中には、水疱瘡並みの感染力があるのではないか、との見解もある。
 水疱瘡は空気感染を起こすことで知られ、場合によってはすれ違っただけで感染する。
 デルタ株は、それほどの強力な感染力を持っているということだ。
 いま、ワクチン接種が6割以上で完了している国においても、新たな感染拡大が進んでしまっているのは、このデルタ株が未接種者を中心に広がっているからだ。
 それほどデルタ株の感染力が強い。
 ということは、ワクチン未接種者は、いま従来以上に強い感染リスクに晒されているということになる。

 ワクチン接種が最も進んでいる国の1つイギリスでは、いままで強力なロックダウン政策を実施してきたが、7月から制限の全面解除に踏み切った。
 ワクチン接種がある程度進んできたこと、重症化率も下がってきたことを見て、政府が決断した。
 このせいで、未接種者を中心にデルタ株の感染拡大が急上昇することになった。
 それでも、医療逼迫が起きなければよし、との判断だ。
 これは、今後のコロナ政策のモデルケースとなる。
 ある程度の感染リスクは受け入れながら、日常活動に戻っていく。
 いま、世界はこのイギリスモデルがどれだけ成功するのかに注目している。

 さて、このイギリスモデルは、ワクチン未接種者を感染リスクに晒す政策であることにお気づきだろうか。
 世の中が行動制限解除により、通常活動に戻る。
 すると、接種者は感染しにくいし感染したとしても重症化せずに済む可能性が高いが、未接種者は簡単に感染してしまうことになる。
 周りに接種者が増えて従来通りの活動をする人ばかりになるほど、未接種者が感染するリスクだけが高まっていくことになる。
 従来の常識では、ワクチン接種が6割に至れば、集団免疫に至り収束に向かうだろうと見られていた。
 だが、イギリスのケースを見ると、6割程度では足らないことが分かる。
 それほどデルタ株の感染力が強力なのだ。

 このデルタ株は、ワクチン接種が進むインドで発生した変異株。
 皮肉なことだが、ワクチン接種が進んでいたから、未接種者への感染力を強めたデルタ株が天下を取ってしまったのだ。
 ウィルスの世界は、一党独裁で、多党連立はありえない。
 ある種のウィルスが天下を取ると、他のウィルスは駆逐されてしまう。
 いま、世界を支配しているのは、このような性質を持つデルタ株だ。

 ということは、ワクチン接種が進んで世の中の制限解除が進むと、未接種者の感染リスクだけが上昇し続けることになる。
 これを避ける政策がワクチンパスポートなのだ。
 ワクチン接種が済んだ人は、積極的に活動してもらうが、未接種者を同じ環境に置くと感染リスクが高まってしまうので、未接種者だけは従来通りの感染対策を継続する必要がある。
 それで、接種者と未接種者を区別する必要があるのだ。
 これは、未接種者を不当に差別するためではない。
 未接種者を、増大し続けている感染リスクから守るために行われるものだ。
 そこのところの理解を促す説明が政府に必要だが、いまの総理をはじめとする担当閣僚の説明力のなさには絶望せざるを得ない。

 今後の日本政府の姿勢が見えるようだ。
 ワクチンパスポートの政策が検討されるが、「差別だ」との批判にひるんで、実行できないまま、ずるずると緊急事態宣言を出し続けることになりそうだ。
 ワクチン接種がいくら進んでも、政策転換しなければ、いつまでたっても制限解除ができない。
 これからは、接種者と未接種者を区別する政策の転換が求められる。
 これがなければコロナ禍のトンネルは抜けられない。
 政府はいいことも一杯やっているのに評価されていないだけ、という側面があることも認めるが、説明力のなさによりできる政策が実行されずにいることも確かなのだ。 
 
<補足>
 ワクチンパスポートについて、「偽造防止をどうするのか」という意見がある。
 未接種なのに、ワクチンパスポートを偽造して入場しようとする者がいるのではと心配しているのだ。
 これは、「ワクチンパスポートは、未接種者を排除して、接種者を守ることが目的」と誤解しているために出てくる意見だ。
 この政策は、接種者を守るのではなく、未接種者を守るためのものなので、嘘をついて入場してしまったら、その本人が感染リスクに晒されるだけの話なのだ。
 ワクチンパスポート偽造は、本人の利益にならず意味がないことが分かる。
 そういう意味でも、この政策を実行するときには、「これは未接種者を守るためののものだ」という意味付けを十分国民に納得させる必要がある。  
posted by 平野喜久 at 10:02| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月23日

ブレイクスルー感染:ワクチンは感染まで防げない

 ワクチン接種したのにもかかわらず新型コロナウィルスに感染してしまうケースがある。
 ワクチンでできたはずの免疫の壁をぶち破ってしまうことからブレイクスルー感染と言われる。
 今回のコロナワクチン、ファイザー製、モデルナ製のワクチンは、3つの効果が期待されている。
 1.感染防止、2.発症防止、3.重症化防止
 これらのワクチンは、95%という高い有効性があると言われ、接種の進んだ国でその効果が確認されている。
 だが、確認されているのは、発症防止と重症化防止であって、感染防止はどの程度の効果があるのかははっきり確認できていなかった。
 特に、今回の新型コロナは、もともと感染しても無症候のケースが多いウィルスであり、感染者は症状がないうちからウィルスを広げることが知られていた。

 イスラエルは世界でも最もワクチン接種の進んだ国の1つだ。
 6月にはほとんど感染者をなくすことができたために、ここで一気に行動制限を解除し、マスクの義務も外した。
 ところが、その直後から感染の再拡大が起きたのだ。
 今では1日の感染者数は6000人を超え、かつてのピーク時と同程度の感染状況に至ってしまっている。
 政府は慌てて、マスクを再義務化し、行動制限を呼び掛ける事態となった。

 現在、日本における重症患者のうち、ワクチン未接種の人の割合は99%だという。
 大阪府に限ると、その割合は100%らしい。
 いかに有効性の高いワクチンであるかが分かる。

 今回のワクチンは、発症や重症化を抑える効果は期待できるが、感染防止までは十分効果がないと見て対応せざるを得ないことが分かる。
 「ワクチンを打っても、マスクや手洗い消毒は欠かさないで」という呼びかけが行われている理由はここにある。
posted by 平野喜久 at 16:52| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

菅総理の口下手

 菅内閣の支持率が低下し続けている。
 30%を下回る世論調査も出始めた。
 コロナが始まってから、感染状況と内閣支持率は逆相関になることが多い。
 感染が拡大すると支持率が下がり、感染が縮小すると支持率が上がる。
 いまは、感染拡大が止まらない状況にあり、支持率の低下も収まらない。

 与党内には、東京オリンピックが始まれば人々の気持ちも好転し、支持率も上がるだろうとの希望的観測があったらしいが、目算が外れた。
 
 支持率を下げている要因の一つが、総理のプレゼン能力だ。
 緊急事態宣言の発出の際は必ず記者会見を開き、総理自ら事情を説明し国民に理解と協力を仰ぐ。
 この記者会見がまことに評判が悪い。
 言っていることに間違いはないし、必要なことは簡潔に伝えている。
 話し方も、適度なスピードと声量で、つかえたり言いよどんだりということもなく滑らかだ。
 プロンプターを使っているので、手元の原稿を読んでいるだけという印象でもない。
 しかし、その言葉が一向に国民の心に響かないのだ。
 記者からの質問に対してもよどみなく答えているが、納得感のある回答になっていたためしがない。 
 質問にストレートに答えるのではなく、用意してきた問答集の中から近い文章を選んで読み上げているだけ。
 なので、常に内容がずれており、滑らかに答えているが、結果として何も回答していないことが多い。

 菅総理の口下手はもどかしいほどだ。
 彼自身もそれは自覚しているようだ。
 だから、彼なりに一生懸命国民に対して説明しようと努力している姿は見える。
 「これだけ丁寧に説明しているのに、どうして?」との思いかもしれない。

 菅氏は、7年間の長きにわたって官房長官を務めてきたが、その間、ノーミスで記者会見をやりこなす鉄壁のスポークスマンだった。
 だが、そのままのスタイルでは緊急時のリーダーは務まらない。
 彼は明らかに有事のリーダーには向いていない。

 有事における情報発信は、リスクコミュニケーションと呼ばれることもある。
 このリスクコミュニケーションは、必要な情報を淡々と語っているだけでは足らない。
 受け手の心をつかみ、信頼を得ることができるかどうかにポイントがある。
 そこには、理屈だけでは済まない感情の部分がある。

 プレゼン能力の低さは、何も菅総理に限ったことではなく、歴代総理を振り返った時に、いずれも同じようなレベルだったことに気づく。
 たぶん、プレゼン能力以外のところで人材の選抜が行われてきたせいだろう。

 大平正芳は、菅総理以上に口下手だった。
 言葉が滑らかに出てこない上に、我慢して最後まで聴いても何も印象に残らない。
 竹下登は、「言語明瞭、意味不明」と揶揄されていた。
 言葉ははっきり話すが、何を言おうとしているか分からないのだ。
 宮澤喜一は、分かりやすい言葉で国民に語り掛けることができない政治家だった。
 上から目線の物言いが国民との距離を感じさせた。
 その中にあって、田中角栄だけは突然変異的にプレゼン能力の高い政治家だった。
 彼は聴き手の心を鷲掴みにするのがうまかった。

 アメリカ大統領の選挙活動を見ると、候補者選考の段階から常に討論や意見表明の場があり、その姿が国民の選別に目にさらされ続ける。
 厳しい選抜に勝ち残ったものが大統領に上り詰める。
 アメリカの場合は、大統領はもちろん、主要なポジションを占める政治家は、たいていプレゼン能力も高いという印象を受ける。
 たぶん、口下手では政治家になれないのだろう。
 
 自民党の総裁選が近い。
 しばらくはコロナ禍の非常事態が続くことを前提に、リスクコミュニケーションの取れるリーダーの選出を願う。
posted by 平野喜久 at 14:11| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月22日

今回の感染爆発がオリンピック開催と関係がない理由 その4

 私たちは日本の新型コロナにばかり注目しているが、これは日本だけの問題ではなく、世界中で起きていることだ。
 では、他の国々ではどんな状況なのだろうか。

 次の画像はロイターのウェブサイトにある世界各国の感染状況を表したページだ。

kansenkakudai4.png

 国名の隣に赤い三角印がついているのが感染拡大にある国を表している。
(緑の三角は減少傾向にあることを表す)
 太字の国名になっているところは、過去最大の感染規模になっているところを示している。

 全体を一目見て分かるのは、世界は圧倒的に感染拡大している国の方が多いということだ。
 特にアジア地域は、過去最大の感染規模になっている国が多い。
 当然、日本もその1つだ。
 新型コロナが流行し始めたころは、アジア地域はヨーロッパに比べて感染状況は落ち着いていた。
 これはアジア人特有の特性があるせいではないかと言われたが、いま流行しているウィルスはアジアでも容赦なく感染拡大していることが分かる。
 
 これから分かるのは、今の感染拡大は、日本特有の現象ではないということだ。
 いま世界各国で起きている感染拡大も、東京オリンピックを開催したために、世界中の人がお祭り気分で浮かれてしまったためとでもいうのか。
 そんなことはありえない。
 本当にオリンピックによって感染拡大が起きたのであれば、それは日本にだけ特徴的に表れる現象でなければおかしい。
 しかし、実態はそうではない。
 ということは、今回の感染拡大は、オリンピック以外の原因によって引き起こされていると考えるのが妥当だろう。

 では、その原因はなんなのか、ということになるが、それについては、また別の機会に。





posted by 平野喜久 at 17:44| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする