2015年12月25日

エンブレム選考過程の実態:ある審査員の告発

 東京オリンピックのエンブレム問題で審査委員8名のうちのひとりだった平野敬子氏。
 彼女のブログが注目を集めている。
 審査過程を赤裸々に暴露しているのだ。

 五輪エンブレムについては、デザインの発表があった当初から、「どうしてこんなデザインが選ばれたのか」との疑問が絶えなかった。
 それほど、あのデザインは、オリンピックにふさわしくなかった。
 多くの国民が疑問に思っている時に、タイミングよくベルギーのデザイナーから、類似性の告発があり、日本のネット世論に火がついた。
 佐野氏の過去のデザインのパクリ疑惑が次々に暴かれ始め、五輪エンブレムの信頼感は完全に失われた。
 当初は、五輪組織委員会もネット世論を無視して、強行突破する算段だった。
 マスコミにも手が回ったらしく、テレビや新聞での批判的な論調は一時期鳴りを潜めた。
 コメンテーターは、不自然なほど、佐野氏を擁護し、ベルギーデザイナーを小ばかにした。
 だが、マスコミが沈黙すればするほど、ネット世論はますます炎上するばかり。
 組織委員会は、耐えられず、ついにデザインの原案を公開。
 原案はベルギー劇場のロゴマークとはまったく似ていないことを示して、パクリではないことを証明しようとした。
 だが、これが致命傷となり、万事休すとなった。
 原案が、更に別のロゴマークにそっくりであること。
 応募デザインが選ばれた後、2回にもわたって修正が加えられ、公開されたこと。
 最終デザインは、原案とは全く違うものになっていたこと。
 更に、疑問符のつくことばかりが噴出した。
 そして、「一般国民の理解が得られない」として、白紙撤回に至った。

 審査委員8人のうち、1人だけ異を唱える人がいることが分かっていた。
 佐野デザインを2回にわたって修正することは審査員に知らされず、最終デザインが決まった時に、初めて知らされた。
 その時、異を唱えたのが平野氏だったのだ。
 原案とは全く違うデザインになっていることを問題視したのだ。
 原案に問題があるのなら、選考をやり直すのが当然だと主張したのだ。
 当然だろう。
 他の審査員は審査委員長の判断に従い、異を唱えなかったという。
 これは、平野氏が立派だったというより、他の審査員が異常だ。
 五輪エンブレムがあまりにも不自然な選考が行われているというのは、そこに参加している審査員だったら、肌で感じていたはずなのだ。
 
 組織委員会がエンブレム選考過程に関する調査を始めたが、ここでも平野氏は最大限の抵抗を示す。
 組織委とのメールのやり取りをブログ上で公開し、その不当性を訴えている。
 選考過程の実態を冷静に調査しようというのではなく、組織委員会の選考手続きが不当ではなかったことを結論付けるための調査だということを見抜いていたのだ。
 調査結果が公開されたが、案の定「出来レースとの批判は当たらない」と結論づけられていた。

 どうやら、一般公募によるデザイン選考の形を取りながら、実態は、特定のデザイナーを優遇し、狙いのデザインに投票を集中させて、決定まで持っていこうとした策謀者が2人いたようだ。
 デザインの世界では、いろんなコンテストの受賞などは、このような選考過程で決められているのに違いない。
 それを、今回の五輪エンブレムでも当たり前のようにやってしまったのだろう。

 デザイン業界の腐りきった体質も見え隠れする。
 そのデザイン業界の食い物にされそうになった五輪エンブレムだった。
 平野氏のような勇気ある告発で、部分的に実態が分かってくるが、全容がつかみきれないもどかしさが残る。
 五輪エンブレム選考にかかわった電通からの出向者2名は、更迭となった。
 更迭と言うと重い処分のような印象だが、出向者が役を解かれて元の会社に戻っただけだ。
 うまい汁を吸いそこなった悔しさはあるだろうが、策謀者に何のペナルティも課されていない。
 今回のエンブレム騒動で公的資金が大量に無駄遣いされた。
 策謀者は役を解かれただけでいいのか。

 ベルギーのデザイナーが声を挙げてくれたから、エンブレムデザインの疑惑が表面化し、白紙撤回まで至った。
 それがなかったら、いくら国民が不自然に思っていても、何も変わらず、あのままデザインは確定していただろう。
 そして、策謀者の狙い通りの展開になっていただろう。
 いま、策謀者が反省しているとしたら、不公正な選考をしてしまったことではなく、ばれないようにもっとうまくやるべきだったということなのだろう。
 このまま、無罪放免にしてしまったら、「次はもっとうまくやりなさい」と教えてやっているようなものだ。



posted by 平野喜久 at 16:59| 愛知 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月18日

長周期地震動の恐れ:南海トラフ巨大地震

 内閣府が高層ビルの長周期地震動の分析結果を公表した。
 長周期地震動とは、通常の地震動ではなく、周期2〜10秒という非常にゆっくりした揺れのこと。
 都市部に林立する高層ビルは、想定される地震で倒壊する恐れはないが、この長周期地震動によって大きく揺さぶられる恐れがあり、その具体的な予想データが公開された。

 南海トラフで過去に起きた大地震の震源断層が全て動くマグニチュード9クラスの最大級の地震を想定。
地表で毎秒5センチ以上の揺れが3分以上続く地域は、地盤が軟弱な東京や千葉、名古屋、大阪周辺に集中。
 神戸市と大阪市の沿岸部では6分40秒以上続く。
 現存する建物で最大の揺れは同市住之江区の大阪府咲洲庁舎(高さ256メートル)で、最上階で毎秒約2メートル、全幅約6メートル。

 高層ビルには固有の周波数があり、それに地震動が共鳴することで、小さな揺れが増幅される恐れがある。
 地上では小さな揺れでも、最上階では大揺れということも起きる。
 この揺れでビル自体が損傷することはないらしい。
 だが、中にいるヒトやモノは大揺れに振り回されることになる。
 普通、地震の時にはモノが上から落ちてくるが、高層ビルの大揺れの場合は、モノが横から飛んでくる。
 机の下に潜っただけでは身の安全を確保できない。
 キャスター付きのコピー機など、重量がある上に自由に動き回るので、たちまち人を傷つける凶器と化す。
 家具や備品の固定化が必須だ。

 高層ビル群を直撃した巨大地震は世界にも例がない。
 目前に迫っていると言われる南海トラフ巨大地震が、初めてのケースとなる。
 



 
posted by 平野喜久 at 09:59| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする