2017年02月25日

情けない繊維統計不正操作:経産省

 経産省の奇妙な不正が発覚した。
 繊維製品の在庫量などを調べる「繊維流通統計調査」で長年、実態と異なる数値を記載していたという。
 40超の品目ほぼ全てで改ざんがみられ、10年以上前の数値がそのまま記載され続け、実際の数値と最大で10倍程度の差が生じた例も。
 経産省から業務を請け負う業者の告発があり、不正が発覚した。

 なぜ、こんな不正が行われていたのかというと、統計データが十分集まらなかったため、適当に作ってしまったというのが実態らしい。
 調査は行われていたようだ。
 だが、調査票を配っても有効な回答数が限られ、統計として発表するほどのボリュームにならない。
 そこで、前年の数値をそのまま流用するというような操作が行われた。
 中には、10年以上も同じ数値で推移している項目もあるという。
 前年データの流用を繰り返すうちに、実態とかけ離れた統計データが毎年発表されるという事態に至った。
 あまりにも実態と乖離しすぎたことに担当者も気づいていたらしく、統計数値を毎年修正しながら、実態に近づけていく操作も行われていたという。
 突然、数値が激変すると、その部分が目立ってしまい、理由を問われるからだろう。
 ただただ、問題が表面化しないようにごまかし続けようという痕跡だけが見える。

 このデータ操作の不正が奇妙なのは、動機があまりにも低次元だからだ。
 データ不正は、いままでもいろんなケースが発覚した。
 自動車の燃費偽装、耐震ゴムの性能偽装、医薬品の臨床データ偽装など。
 だが、これらはすべて民間企業による不正であり、その目的は、自社製品の性能を実態よりもよく見せようとする偽装であった。
 ところが、経産省の統計データの偽装には、そのような目的は存在しない。
 統計データを実態よりよりよく見せる必要はまったくないからだ。
 ならば、なぜデータ不正が行われたのか。
 それは、ちゃんとデータ収集できなかったことをごまかすため、だ。
 本来なら、まともなデータ収集ができないことを問題として取り組まなくてはいけないはず。
 調査方法が悪いのか、それとも、繊維業者が減少傾向にあり統計データを収集する規模でなくなっているのか。
 この問題を解決しようとすると、さらに大きな課題を背負い込むことになり、経産省の役人としては、触りたくなかったのかもしれない。
 意味のない統計だったら、廃止すればいいが、それにも正当な理由付けが必要であり、役人としてはエネルギーがいる。
 一番楽なのは、前例踏襲。
 それは、前年のデータを流用し続けて、目先をやり過ごすというやり方だった。
 担当者は、数年ごとに配置転換になる。
 誰も、自分の任期中に面倒なことをしたくない。
 問題があると分かっていても、それを先送りした方が、自分としてはコストが少ない。
 それで、このような奇妙なデータ不正が起き、それが継続する。
 いったい、これにかかわった役人らは、何のために働いているのだろう。
 役人の情けない実態を垣間見るような不正事件であり、脱力することこの上ない。

 経産省は、データ操作にかかわった職員計7人に対する処分を決めた。
 課長級を含む管理職4人は内規で最も重い「訓告」。
 4人のほかに業務を担当していた職員3人が口頭で「厳重注意」を受けた。
 これでも、役人の処分としては、最大級の重い処罰なのだという。



posted by 平野喜久 at 10:42| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月22日

アスクル倉庫火災:社会的責任

アスクルの物流倉庫火災。
 6日たった今朝、ようやく鎮火となった。
 延べ床面積およそ7万2000平方メートルのうち、これまでに東京ドームとほぼ同じ広さの4万5000平方メートルが焼けたという。
 窓のほとんどない倉庫で、消火活動がままならず、壁の一部を壊しながらの放水だったが、効果は限定的だった。
 倉庫内の物資が燃え尽きたところでようやく鎮火に至ったといった印象がある。
 周辺住民へは避難勧告が出されており、それもようやく解除されることになる。

 今回の火災事故には疑問点がいくつかある。
1.なぜ出火したのか。
2.なぜ初期消火できなかったのか。
3.なぜ鎮火まで長期化してしまったのか。

 今回の火災は、アスクルの通販業務に影響を及ぼしたが、それよりも、長期化したことにより地域社会への影響が大きかった。
 社会的責任を果たすためにも、原因の究明と再発の防止が求められる。
 アスクルは本日午後に記者会見を開くらしい。
 疑問点に対して明確な回答ができるかどうかが注目される。




 
posted by 平野喜久 at 12:03| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月21日

レジリエンス認証の取得と目指すメリット

 内閣官房のウェブサイトに、レジリエンス認証を取得した企業が公開されている。

国土強靱化貢献団体認証 認証取得団体一覧表
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/ninshou_dantaiichiran.html

 レジリエンス認証を取得した企業は、正式には「国土強靭化貢献団体」として認証されている。
 国の推し進めている「国土強靭化政策」に貢献している団体という位置づけだ。
 内閣官房のウェブサイトは、日本国内で最もページランクが高い。
 つまり、検索エンジンにとって、サイトの信頼性が最も高いと評価されているページだ。
 その内閣官房のウェブサイト上で、企業名が公表されているのは、企業PRの点で、非常に価値が高い。

 一覧表を見ると、あまりにも東京都に偏りすぎているきらいがある。
 第1回、第2回、合わせて現在までに64社の登録があるが、そのうち、愛知県の企業は、たった4社にとどまる。
 私が顧問をしている企業はこの内の1社だ。
 以前からBCPのお手伝いをさせていただいてきたが、取り組みの成果を形として残すために、レジリエンス認証への申請をご提案した。
 愛知県はBCPの取り組みが進んでいる地域ではあるが、その割にレジリエンス認証の広がりが遅い。
 本年度に始まったばかりの制度であることもあり、まだ、認知度が低いのかもしれない。
 しかし、国は、この制度を積極的に推し進めようとしており、初年度は100件ぐらいを目指し、今後は加速度的に認証団体を増やしていく意向だ。
 首都直下地震や南海トラフ巨大地震は目前に迫っており、国を挙げて災害への備えが求められる状況にあるからだ。

 従来は、災害対策と言ったら、行政が取り組むべきことという認識だった。
 だが、行政だけの努力でどうにかなるものではないことがあきらかなので、住民の自助も呼びかけかれるようになった。
 現実には、これだけではだめで、民間企業の果たす役割が大きいことが認識されるようになってきた。
 地域経済が復旧しなければ、住民の生活基盤が失われてしまい、地域の復興は成功しない。
 地域経済を守るのは、行政でも住民でもなく、民間企業なのだ。
 いざというときに民間企業が生き残り、いち早く復旧することが、その街の再生に欠かせない。
 それで、国が本腰を入れて「レジリエンス認証」を推し進めようとしているのだ。

 この認証制度は、今後は、国の強力なバックアップで、ますます認知度が高まっていくだろう。
 BCPの取り組みは、いまやどの企業でも避けて通れない重要課題となりつつあり、このレジリエンス認証は、まずは最低限クリアすべき目標として非常に使い勝手がいい。
 いままでは、BCPは各社が勝手なやり方で勝手なレベルで対策していたが、それに、ある程度客観的な基準ができたことになる。
 「レジリエンス認証」がその企業の信頼性を証明する指標になりうる。
 ISOのようなその企業の信頼性を表す指標として位置付けられれば、一気に広がっていくことが予想される。
 業界によっては、爆発的な広がりになっていくだろう。
 取り組むとしたら、いまが、トップランナーに加わる絶好のチャンスといえる。

 レジリエンス認証は、地道にBCPに取り組んでいる企業であれば容易に取得できる。
 しかし、今日取り組めば、明日には取得できるというほどいい加減なものではない。
 実質的な活動が行われているかどうかは厳しく審査される。
 それだけに、認証取得できたということは、中身のある取り組みが行われている証明でもある。
 逆に言うと、このレジリエンス認証の審査に合格するぐらいでなければ、そのBCPの取り組みは意味がないともいえる。
 まじめにBCPに取り組んできた企業、または、これから本格的にBCPに取り組もうとする企業は、ぜひ、このレジリエンス認証に挑戦してほしい。
 この認証には挑戦するだけの価値がある。



 
posted by 平野喜久 at 16:25| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする