2018年08月05日

大塚家具:自力再建困難

 大塚家具がいよいよ自力再建が困難になってきた。
 15年末に109億円あった現預金は18年3月末時点で10億まで減少。
 17年12月期単体決算は、最終利益が2期連続赤字。
 18年通期で13億円の黒字を見込んでいたが、業績の予想を下方修正する方針という。
 いま、貸し会議室大手のTKPに支援を求め、資本業務提携に踏み切り、増資の引き受けや協業の進展など交渉をしているという。
 別の企業にも支援交渉を進めているらしく、事態は流動的だ。

 大塚家具の社長大塚久美子氏は、かつて創業者の父親大塚勝久氏と経営権をめぐり派手な争いを見せた。
 マスコミで格好の話題となり、世間の注目を浴びた。
 従来型の客ひとりひとりに寄り添う接客サービスに拘る勝久氏と、新しいカジュアルな店舗運営を目指す久美子氏との戦いだった。
 経営権闘争の当時から、久美子氏の目指す経営戦略へは疑問の声が投げかけられていた。
 カジュアルな家具店としては、既にニトリやイケアが頑強なポジションを確立しており、そこに後発の大塚家具がどのように参入するのか。
 ニトリ、イケアと同じ市場に進出するのだから、圧倒的な差別化を確立しないと、成功はおぼつかない。

 それまでの大塚家具は、ニトリ、イケアとはまったく違うポジションに立っていた。
 ターゲットもサービス内容も、客単価も違う。
 それを、ニトリやイケアと同質化してしまったら、自ら差別化要素を捨てるようなものだった。
 結果は、多くの予想通りとなった。
 企業経営は水物で多くの人々の予想通りにはいかないものだが、これほど予想通りの展開を見せるのも珍しい。

 大塚家具としては、経営権争いで話題を集めているときが最大のチャンスだった。
 その時に、新生大塚家具のブランドカラーを確立できていたら、一大転機となっただろう。
 ところが、騒ぎを沈静化させることだけにエネルギーを使い果たし、落ち着いた時には目の前に客がいなかった。
 
posted by 平野喜久 at 09:37| 愛知 ☀| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クロネコヤマト:過大請求

 宅配最大手のクロネコヤマトで不正が発覚。
 長年にわたって法人向け引っ越し代金を過大請求していた。
 4割ほどで過大請求があり、総額は16年5月から18年6月までで17億円に上る。
 5年前にさかのぼると31億円に膨らむ。
 実際には600キロ程度の荷物を5トンと見積もり、約10倍に当たる17万円を請求した例もあったらしい。
 また、実際には行われていないサービスの料金が付加されていたこともあったという。

 不正があったのは、法人向けの引っ越し代金だった。
 社員の転勤に伴う引っ越し代金を企業が負担するケースで不正が行われやすい。
 引っ越しは単発で発生する需要であること、法人の場合、請求書のチェックが緩いことが、背景にある。
 単発の引っ越し業務であれば、総務の担当者レベルで発注し決裁される。
 アイミツなどという煩雑な手続きは行なわれないし、実際に転勤者の荷物がどれほどあるのかを総務が把握しているわけもない。
 支払いは事務的に処理されるだけで、見積や請求の中身まで細かいチェックは行われない。
 このチェックの穴に付け込んだような不正行為だった。

 これが個人の引っ越しであると、少しでも支払いを減らそうと請求書のチェックが厳しいので、ごまかしはきかない。
 また、法人向けでも、製品の入出荷のような定期的な運送業務の場合、コストダウンの圧力が強く、ごまかしは不可能。
 これらのチェックをすり抜ける唯一の業務が、単発の法人向け引っ越しサービスだったのだ。

 今回の不正の深刻なのは、11年に内部告発によって過大請求の事実を把握していたのに、問題を放置したまま同じことを繰り返していたことだ。
 更に、この不正は一部の営業所だけで行なわれていたものではなく、全国規模で同じことが起きていららしいことも問題の根深さをうかがわせる。
 一部の現場の人間が勝手なことをしていたというレベルではない。
 むしろ、現場の個人には代金の過大請求によって得られる利益はなく、不正に手を染める動機がない。
 組織的に不正が行われていたことが疑われる。
 
 客は、クロネコヤマトのブランドを信用して発注している。
 請求額をわざと過大に乗せてくるなど、夢にも思わない。
 その信用を裏切る行為であり、ブランドの棄損は深刻だ。
 
  
posted by 平野喜久 at 09:04| 愛知 ☀| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする