2019年04月24日

コンビニ24時間営業:公取委

 朝日新聞の報道による。
 ようやく公取委が動き出した。
 コンビニのオーナーが24時間営業の見直しを求め、それを本部が一方的に拒否しオーナーに不利益を与えた場合、独占禁止法の適用対象とする方向で検討に入ったという。
 まだ「検討に入る」という観測気球的な情報発信が行われているだけ。
 具体的にどのようなケースを対象にどのような規制をかけようとしているのかは不明。
 まずは、脅しをかけてコンビニ本部の自主対応を求めているというところか。

 近年の人件費の上昇で、深夜営業のコスト負担が増えている。
 個別店舗の商圏特性を無視して、全国一律の24時間営業の強制をすると、赤字が常態化してしまう店舗が出てくる。
 深夜におにぎり1個を売るためにバイトを夜通し雇わなくてはいけないということが簡単に起きるからだ。
 オーナー側に確実な不利益が明らかでありながら、契約を盾に24時間営業を強制するのは、「優越的地位の濫用」にあたる。
 これを規制していこうというのが公取委の狙い。

 コンビニシステムについては、本部とオーナーという圧倒的な地位落差の大きい契約関係から、その内容には問題が多い。
 24時間営業の強制もその1つ。
 形式上は独立事業者同士の契約であり、本部はその契約内容の履行を求めているだけであり、そこに違法性は何もない。
 ところが、その契約内容自体が、独立事業者としての権限も裁量も認めないようなもので、形式と実態が乖離しているのは明らか。
 そこにようやく公的なメスが入ろうとしている。

 
 
posted by 平野喜久 at 09:42| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月22日

ようやく経営変革が始まったコンビニチェーン


 コンビニチェーンの経営変革がようやく始まろうとしている。
 一部店舗で試験的に24時間営業をやめ、深夜は閉店する方法を試みている。
 新規出店も見直し、店舗数の増加を抑える方向で方針が発表されるようになった。

 この背景には、コンビニチェーン本部の経営拡大の一方で、店舗オーナー側の疲弊がクローズアップされてきたことがある。
 きっかけは、あるコンビニオーナーの反乱だった。
 24時間営業はもう限界だとして、勝手に深夜時間帯の閉店を強行した。
 当然ながら本部は勝手な時間短縮を認めない。
 24時間営業が契約に明示されており、時間短縮は契約違反。
 違約金1700万円の支払いを迫るなどの強硬姿勢で対応した。
 ところが、マスコミに報じられたことで様子が変わった。
 横暴なコンビニ本部と気の毒なコンビニオーナーという図式に世論は敏感に反応した。

 報道でこのコンビニオーナーの実態が浮かび上がる。
 いまは人材不足で、バイトを確保するのが大変。
 バイト代はうなぎのぼり。
 このバイトの確保はオーナーの責任。
 バイト代が経営に重い負担となってのしかかる。
 更に多店舗出店で近隣に同じ看板のコンビニが乱立し売り上げが激減。
 バイトを雇う余裕がなくなり、オーナー家族で24時間を回さざるを得なくなる。
 夫婦だけでなく、高校生の息子2人もレジ打ちを手伝う。
 長男は大学進学を断念し、コンビニ手伝いに専念。
 廃棄用の弁当を食べながら家族でなんとか24時間営業を続ける。
 そんな中、長男が自死。
 絶望感の中、オーナーは短縮営業の強行に出た。

 初めのうちは契約を盾に24時間営業を迫っていた本部も、世論を敵に回すことを恐れ、ここへきて柔軟な姿勢を見せ始めた。
 
 コンビニ経営の過酷さは以前から知られていた。
 コンビニのシステムは実によくできていて、何があってもコンビニ本部には傷がつかず、オーナーにだけリスクがかかるようになっていた。
 「コンビニ会計」という会計処理はその典型だ。
 コンビニの売上は全部一旦本部に納められ、その中から仕入れ代金とロイヤルティを引かれて、残金がオーナー口座に振り込まれる仕組み。
 その残金から、バイト代や光熱費など店舗運営の経費を払う。
 廃棄ロスがあっても、それはオーナー負担となる。
 時々チェーン全体で安売りキャンペーンが行われるが、安売りの分が仕入れ値が下げられていればいいが、そうなっていない。
 その一方、本部では安売りキャンペーンを行うからと言って、納入業者には値引きを迫っていたりする。
 キャンペーン商品は、本部からの一方的な納品で押し付けられる。
 売れ残ったら、すべてオーナー側の負担だ。
 本部にはリスクがない。
 うまい仕組みだ。
 オーナー側は、本部でどのような会計処理が行われているのか分からない。
 分からなければチェックのしようがなし、日々多忙な中、そのようなことをこまごまと調べているような余裕がない。
 それに、会計処理の不合理を指摘したところで、本部側が折れて修正処理をしてくれる可能性は皆無だ。

 コンビニシステムの不合理さは、マスコミに取り上げられることはほとんどなかった。
 テレビや新聞などの大手メディアで取り上げられるコンビニの話題は、常に本部側の提供する情報に限られていた。
 まれに、コンビニオーナーの悲惨な実態が経済雑誌に取り上げられることがあったが、次号の記事で、本部側の反論や順調に経営を行なっているオーナーのコメントが紹介されていた。
 その経済雑誌には、その後、コンビニ関連の記事が出なくなる。
 コンビニチェーンはマスコミにとって巨大なスポンサーであり、敵に回せないのだろう。

 しかし、今回は違った。
 あるコンビニオーナーの時短営業の強行がマスコミに取り上げられたのだ。
 これは、オーナー側にうまい広報戦略があったのかもしれない。
 オーナー家族の悲劇的なストーリーも人の心を動かしやすかった。

 コンビニの24時間営業は簡単にはなくならないだろう。
 時短営業は確実に本部の売上を減らすからだ。
 それに、我がチェーンだけ時短すれば、ライバルチェーンを利するだけ。
 そんなことを本部が率先して行うはずがない。

 ドミナント出店といって、ある地域に集中的に同じコンビニチェーンを出店する戦略がある。
 これは、その地域のコンビニ需要を独占するとともに、物流の効率化を狙った本部側の戦略だ。
 ところが、これはオーナー側にとっては、カニバリを起こし、売上激減をもたらす。
 本部としては、おにぎり1個でも売れれば必ず売上増につながる。
 正確には、そのおにぎりが売れなかったとしても本部に損はない。
 店舗におにぎりを納入できた時点で売り上げが立つ。
 店舗を増やせば増やすほど本部の売上は着実に増加していく。
 しかし、オーナーにとって、そのおにぎり1個を売るためにどれだけのコストを負担するかが経営を左右する。
 本部とオーナーとで戦略的な利害が一致しないところに、このビジネスモデルのいびつさがある。
 
  
posted by 平野喜久 at 10:01| 愛知 🌁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月11日

ベテランの初入閣議員はリスクが大きい

 桜田五輪大臣が更迭となった。
 「復興以上に政治家が大事」との失言を受けての処分だった。
 10日、高橋衆議院議員のパーティーでのスピーチの中で問題発言があった。
 その2時間後には更迭処分が決定。
 問題を拡大させないスピード対応だった。

 今回の失言、スピーチ全体を見ると、特に問題だと感じない。
 スピーチの冒頭、災害復興の話で前振りを始め、本題である高橋議員の話に切り替えるときに、つなぎの言葉として「復興以上に大事なのは高橋さんだ」と言ってしまった。
 このパーティは高橋議員を応援するための集まりであり、当座でスピーチを聞いている人には、自然な流れで特に違和感を覚えなかったのではないか。
 だが、記者は聞き逃さなかった。
 つなぎの言葉の部分だけを抜き出し、「復興以上に政治家が大事」と表現が加工され大きくクローズアップされた。
 ここだけを報道で聞かされると、とんでもない問題発言に見える。
 桜田氏にとっては、そんな意味で言ったのではないと抗弁したい気持ちでいっぱいだっただろうが、余計な抗弁は、騒ぎを大きくするだけなのは明らか。
 それで、桜田氏に言い訳する余裕を与えずに、即更迭の処分となった。

 桜田氏は、これまでに不安定な国会答弁やぶら下がり取材での危なっかしい発言が問題視されていた。
 一つ一つは致命的なものではなかったが、あまりにもイエローカードの累積が多すぎた。
 それで、今回は一発退場となったのだろう。

 彼は、当選7回のベテラン。
 入閣待機組の一人として今回初入閣になった。
 だが、ベテランの初入閣は、失言リスクが大きい。
 それは、議員としてはベテランでも、閣僚としては初心者だからだ。
 支持者を前にしてのスピーチは得意でも、閣僚としての公式発言は未経験。
 スピーチ慣れしてしまっているために、気を許して、これまでと同じ調子で受けを狙って喋り捲ると、問題発言の連発となる。
 マスコミもそこが分かっているから、ベテランの初入閣者には、わざと失言を誘うような質問をぶつけたりする。
 条件反射的にその場の雰囲気でしゃべってしまうと、無意識のうちに問題発言をしゃべらされている。
 
 特に、桜田氏の不安定さは新たな失言を予感させるものがあり、マスコミも張り付いてチャンスをうかがっていたのだろう。
 そこに、今回の発言が飛び出し、マスコミが飛びついた。
 桜田氏の真意がどこにあったかはどうでもいい。
 問題を指摘できる表現が見つかればOK。
 今回、マスコミの張る網の中に不用意に飛び込んでしまったという印象だ。
 ひとえに、桜田氏の甘さとしか言いようがない。

 報道によれば、桜田氏は、特別に大臣秘書官を2人態勢にしていたそうだ。
 国会答弁が非常に不安定で危なっかしかったからだ。
 途中からは、答弁原稿を読み上げるだけのスタイルになった。
 あらゆる質問を想定し、答弁原稿を用意していたらしい。
 野党側の質問に合わせて原稿を差し出し、桜田大臣がそれを読み上げるというスタイルになった。
 ところが、それでも原稿の読み間違いを起こす。
 「1500億円」を「1500円」と誤読し、失笑を買った。
 「石巻市」を「いしまきし」と何度も誤読し、秘書官に耳打ちされて初めて気づき、周りをあきれさせた。
 桜田氏の大臣としての資質以前に、基本的な能力の欠落を感じさせる。
 派閥領袖の要請でやむなく一番任務の軽そうな大臣職につけたはずが、それさえまともにこなせなかった。
 このような人物をいつまでも大臣職にとどめたのは危機管理のミスだ。

 国会答弁は秘書官のコントロールで危なっかしいながらも乗り切りつつあった。
 しかし、議員応援のパーティーでのスピーチは無防備で、そこに落とし穴があった。
 次の失言予備軍としてマスコミに狙われているのは明らかなのだから、もっと慎重になるべきだった。
 気を付けたとしても、自分のスピーチスタイルは長年の習慣でしみついてしまったものであり、今更変えようがなかったのだろうか。
 ならば、周りがもっと配慮すべきだった。
 応援スピーチは辞退するか、その場の思い付きで自由にしゃべるのではなく、スピーチ原稿を用意し、その場では読み上げるだけ、ぐらいの対応でちょうどよかったのではないか。

 危機管理の事例として見たとき、考えさせる要素が多い。

posted by 平野喜久 at 10:18| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする