14日、緊急事態宣言について39県で解除した。
これらの地域では、新規感染者が非常に少ないレベルに抑えられており、感染爆発に至る恐れがなくなったからだ。
この中に、愛知県が含まれていることは注目に値する。
名古屋は、一時期、いくつかのクラスターが発見され、東京や大阪以上に感染拡大が広がっていた。
ところが、クラスター潰しを徹底的に行うことで、経路不明の感染拡大を防ぐことができたようだ。
人口の多い都市部では、感染拡大抑止は非常に難しいが、名古屋では初動がうまくいったらしい。
宣言解除の対象から外れた8都道府県についても、明らかに感染は収束の方向に向かっており、宣言解除も近そうだ。
2月には、中国武漢で医療崩壊が起き、感染者と死者が急増する様子を見て、明日は日本か、と恐れた。
3月には、イタリアなどヨーロッパ諸国で爆発的な感染拡大が起き、2週間後の日本か、と心配した。
4月には、アメリカのニューヨークで感染爆発が起き、次は東京だ、と恐怖した。
ところが、日本が諸外国の後追いをする気配は少しもなく、まずは一旦小康状態に至りそうだ。
5月6日現在での10万人当たりの死者数を比較すると、日本の少なさが際立つ。
スペイン:55.3
イタリア:49.12
イギリス:45.35
フランス:38.53
アメリカ:22.44
ドイツ:8.77
日本:0.44
日本が2月にクルーズ船の対応に苦労しているとき、ロンドン市長選の候補者が「2020年の五輪はロンドンで開催する用意がある」とコメントし話題になったが、このような油断と認識の甘さが、現状を招いた。
いまや、イギリスの死者数は3万4千人。
10万人当たり死者数では、イギリスは日本の100倍以上に達している。
日本の対策が特別に優れているように見えないのに、なぜ感染爆発が起きず、死亡者も最小に抑えられているのか。
これは、ジャパンミラクルとして、いまや世界の謎だ。
ここに諸外国が学ぶべきとっておきの秘策でもあればいいが、それがなかなか見つからないところが悩ましい。
それで、これをどう解釈すればいいのか、海外メディアも困っているようだ。
たぶん、特別の対策が功を奏したというよりも、地味で目立たない活動が効果的だったのだろう。
国内感染早期では、検査数を絞りクラスターをできる限り追跡して叩くという戦略が実行されていた。
クラスター追跡の特別チームが編成され、見えないところで活動していたようだ。
その片鱗は、NHKのスペシャル番組で紹介され、私たちの目に見える形で知らされた。
このような見えないところで、優秀な頭脳集団が地道な活動をしていたのだ。
不思議と、民放にはこの活動をしっかり取材報道するテレビ局がなかった。
ただ表面的な情報を捉えて、いろんなコメンテーターに政府批判をさせているだけだった。
「検査数が少ない」「全国一斉休校にしても無意味」「緊急事態宣言が遅い」
民放の情報番組だけを見ていると、日本は世界一ダメな国に見える。
この調子で進むと6月には緊急事態宣言は全面解除ということになりそうだ。
解除といっても、元通りの生活に戻るわけではない。
一旦、小康状態になるだけだ。
ウィルスは終息に至っておらず、それがいつまた再燃するか分からない。
「第2波は必ず来ると考えよ」と専門家が言うようになった。
その第2波はいつ来るか分からない。
警戒が緩むと同時に第2波が始まるのかもしれないし、夏場の間は小康状態が続き、秋口から感染が再燃し始めるのかもしれない。
いずれにせよ、ここで小康期を向かえることになるわけだ。
この小康期は、私たちにとって非常に貴重な時間となる。
いままでの遅れを取り戻し、第2波への備えをする時間だからだ。
今回の宣言解除をもって、私たちは元に戻るのではなく、新たなステージに進むことになる。