2020年05月15日

小康期を経て第2波へ備える:新型コロナ

 14日、緊急事態宣言について39県で解除した。
 これらの地域では、新規感染者が非常に少ないレベルに抑えられており、感染爆発に至る恐れがなくなったからだ。
 この中に、愛知県が含まれていることは注目に値する。
 名古屋は、一時期、いくつかのクラスターが発見され、東京や大阪以上に感染拡大が広がっていた。
 ところが、クラスター潰しを徹底的に行うことで、経路不明の感染拡大を防ぐことができたようだ。
 人口の多い都市部では、感染拡大抑止は非常に難しいが、名古屋では初動がうまくいったらしい。
 宣言解除の対象から外れた8都道府県についても、明らかに感染は収束の方向に向かっており、宣言解除も近そうだ。
 
 2月には、中国武漢で医療崩壊が起き、感染者と死者が急増する様子を見て、明日は日本か、と恐れた。
 3月には、イタリアなどヨーロッパ諸国で爆発的な感染拡大が起き、2週間後の日本か、と心配した。
 4月には、アメリカのニューヨークで感染爆発が起き、次は東京だ、と恐怖した。
 ところが、日本が諸外国の後追いをする気配は少しもなく、まずは一旦小康状態に至りそうだ。
 5月6日現在での10万人当たりの死者数を比較すると、日本の少なさが際立つ。

 スペイン:55.3
 イタリア:49.12
 イギリス:45.35
 フランス:38.53
 アメリカ:22.44
 ドイツ:8.77
 日本:0.44

 日本が2月にクルーズ船の対応に苦労しているとき、ロンドン市長選の候補者が「2020年の五輪はロンドンで開催する用意がある」とコメントし話題になったが、このような油断と認識の甘さが、現状を招いた。
 いまや、イギリスの死者数は3万4千人。
 10万人当たり死者数では、イギリスは日本の100倍以上に達している。

 日本の対策が特別に優れているように見えないのに、なぜ感染爆発が起きず、死亡者も最小に抑えられているのか。
 これは、ジャパンミラクルとして、いまや世界の謎だ。
 ここに諸外国が学ぶべきとっておきの秘策でもあればいいが、それがなかなか見つからないところが悩ましい。
 それで、これをどう解釈すればいいのか、海外メディアも困っているようだ。

 たぶん、特別の対策が功を奏したというよりも、地味で目立たない活動が効果的だったのだろう。
 国内感染早期では、検査数を絞りクラスターをできる限り追跡して叩くという戦略が実行されていた。
 クラスター追跡の特別チームが編成され、見えないところで活動していたようだ。
 その片鱗は、NHKのスペシャル番組で紹介され、私たちの目に見える形で知らされた。
 このような見えないところで、優秀な頭脳集団が地道な活動をしていたのだ。
 不思議と、民放にはこの活動をしっかり取材報道するテレビ局がなかった。
 ただ表面的な情報を捉えて、いろんなコメンテーターに政府批判をさせているだけだった。
 「検査数が少ない」「全国一斉休校にしても無意味」「緊急事態宣言が遅い」
 民放の情報番組だけを見ていると、日本は世界一ダメな国に見える。
 
 この調子で進むと6月には緊急事態宣言は全面解除ということになりそうだ。
 解除といっても、元通りの生活に戻るわけではない。
 一旦、小康状態になるだけだ。
 ウィルスは終息に至っておらず、それがいつまた再燃するか分からない。
 「第2波は必ず来ると考えよ」と専門家が言うようになった。
 その第2波はいつ来るか分からない。
 警戒が緩むと同時に第2波が始まるのかもしれないし、夏場の間は小康状態が続き、秋口から感染が再燃し始めるのかもしれない。
 いずれにせよ、ここで小康期を向かえることになるわけだ。
 この小康期は、私たちにとって非常に貴重な時間となる。
 いままでの遅れを取り戻し、第2波への備えをする時間だからだ。
 
 今回の宣言解除をもって、私たちは元に戻るのではなく、新たなステージに進むことになる。



 
posted by 平野喜久 at 15:17| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする