眞子氏のマスコミや国民に対する強烈な敵意だけが際立った異様なものだった。
自分のことで精いっぱいで、周りに気遣いを見せる余裕もなくなっている。
過剰なストレスにさらされ続け、かなり心を病んでいる様子がうかがえた。
急遽、質疑応答をなくし、文書での回答にしたのも、理解できる。
質問は事前に提出させていており、想定外の質問を受けることはない。
答えを用意し、それを読み上げるだけなのだが、それもできない心理状況なのだろう。
特に疑惑追及型の質問については、考えるだけでまともな精神状態を維持できなくなっているのかもしれない。
眞子氏の精神的な病状を、周りの人たちもなすすべがなく、本人の意に添うように対応するしかなくなっているように見えた。
小室夫妻の結婚問題は、4年前の婚約発表の直後から継続していた。
国民の心配や疑念が常に存在しており、消えることがなかった。
むしろ、時間を経るにしたがって、それは増幅していった。
そして、とどめは最後の結婚会見で、国民の心配は嫌悪感に変わり、それは皇室全体への不信感に発展しそうだ。
なぜ、事態を悪化させ続け、ついに皇室の危機までもたらしてしまったのか。
有名人のゴシップとしてではなく、危機管理の問題として考えてみたい。
まず、この結婚問題に対する責任者はだれなのか。
つまり、誰がこの問題のダメージコントロールをしていたのか、ということだ。
実は、ここがわからない。
宮内庁か。
長官のコメントを見ると、傍観者的な姿勢で、この問題にまともに関与できていないのがわかる。
長官は定期的に記者会見を行っているが、皇族方の様子を伝えたるだけだ。
皇室内の問題に積極的に関与し、いい方向にもっていこうという意思も能力もなさそうに見える。
宮内庁はそもそもそんな役割も権限も与えられていないのだろう。
せいぜい、政府から派遣された皇族方のお世話係であり、皇族の問題になにがしかの働き掛けをするということ自体が出すぎた行いなのだ。
宮内庁としてはただただ見守るしかなかったというのが実情だろう。
では、ダメージコントロールの主はだれか。
秋篠宮皇嗣殿下か。
殿下もずいぶん心を悩ませておられた。
家庭内では、眞子氏への説得も含めて努力をされたと思う。
しかし、彼女の心を変えるまでには至らず、万策尽きて結婚を認めざるをえないことになった。
国民の理解を得られていないことをもって、納采の儀など一連の儀式を行わない決断をされた。
この儀式中止の決断に、殿下の苦悩と覚悟が見て取れる。
これは、国民の理解が得られないまま結婚させることになってしまったことに対する、国民への謝罪に見えた。
皇室内の問題としてとらえると、そのダメージコントロールの主は、天皇陛下または、上皇陛下か。
両陛下も内々に働きかけを行っていただろう。
強権的にご聖断を下せば、ことは抑え込めたかもしれないが、眞子氏の精神的ダメージは深刻な事態に至っており、とてもそのようなことで収まる状況ではない。
結局、秋篠宮家内でもこじれて膠着してしまっている問題を、誰もどうすることもできなかったのが実情だったのだろう。
誰もどうすることもできなくなった問題を、国民はハラハラしなかが見守り、心配し続けてきた、というのがこの問題の構図のようだ。
では、実際はだれがダメージコントロールをしていたのかというと、眞子氏だったのだ。
スキャンダル発覚後に、小室氏をアメリが留学に行くように仕向けたのも、留学中は何の行動も起こさず存在感を消すようにしたのも、今年4月になって6万文字にも及ぶ金銭トラブルの釈明文書を公表させたのも、眞子氏の差し金だったことを自ら明かした。
眞子氏が複雑性PTSDに罹患していることを公表させたのも彼女の意思による。
そして、このPTSDは国民の非難中傷が止めば寛解すること、PTSDであっても渡米の準備はできることを公表させたのも彼女の意思による。
彼女なりに、どうしたらダメージを最小限に抑えられるかを必死で考えてきたことがわかる。
しかし、事態は悪化の一途だった。
何か手を打つたびに国民感情は悪化し続けた。
つまり、対応がことごとく間違っていたことになる。
たぶん、彼女は国民感情を読み間違えていたのではないか。
実社会で暮らしていない彼女は、どのように国民の声を感じ取っていたのだろう。
もしかしたら、彼女の情報源は、週刊誌報道とネット上の書き込み、そして小室氏とのウェブ会話。
この偏った情報の中で、被害妄想を膨らませ、自分ひとり悩み、苦しんでいたのではないか。
あの結婚会見での国民に向けた憎悪と敵意は、いままで蓄積された彼女の思いの発露だった。
本人は必死に対応しようとしているが、はた目にはあまりにも幼稚で大人の知恵が少しも入っていないのがわかる。
経験豊かな人の助けを得ることなく、ひとりでもがき苦しんでいるさまが痛々しく、お気の毒だ。
よく、記者会見は小室氏が一人で対応し、自由質問が尽きるまで答えるということをすべきだった、という人がいる。
確かに、そうすれば、小室氏の心意気を国民は肌で感じ、印象が好転したかもしれない。
だが、それは眞子氏が許さなかった。
小室氏が質問攻めにあい、窮地に立たされている姿を見ることすら、眞子氏には精神的に耐えられないことなのだ。
複雑性PTSDという精神疾患は、一般には並大抵の病気ではなく、人格が崩壊するほどのかなり深刻な状態を言うらしい。
記者会見の場で、神経に障る質問が出たときに、まともな精神状態を保てなくなる。
会見会場には、妹の佳子様がひそかに駆けつけていたという。
それほど心配な状態だったのだろう。
深刻な病気を患っている眞子氏を、周りはどうすることもできず、ひたすら彼女の意に添うように進めるしかなくなっていたのかもしれない。
彼女が一刻も早く苦しみから解放されることを願わずにはいられない。
問題は、今回の結婚騒動が、皇室の危機に発展しかねないことだ。
今ほど、国民の心が皇室から離れてしまったことはない。
眞子氏の結婚に異を唱えた人は、もともと皇室に嫌悪感を持っていた人ではない。
むしろ、皇室に敬愛の情を持っていた人ほど、今回の結婚に苦言を呈していた。
それほど、眞子内親王殿下のことを心配していたのだ。
ところが、眞子氏の言動は、皇室を支えている国民を敵に回してしまった。
これが大問題なのだ。
ダメージコントロールの失敗は、眞子氏が主導権を握ってしまって、他の人間が手出しできなくなったこと。
そして、眞子氏自身が国民の真の声を理解できずに、ただ否定的な声を振り払うことしかできなかったこと。
未熟なパイロットに乗っ取られた飛行機がダッチロールを繰り返して、ついに墜落してしまったという印象だ。
だが、危機管理のポイントは、この先にある。
それは、今回の結婚騒動を皇室の危機につながらないようにすること。
これについては、また、別の機会に。