2021年11月09日

コロナ新指標

 政府の新型コロナウィルス感染症対策分科会が、感染状況を評価するための新たな指標を策定。
 いままでは、新規感染者数などに基づく4段階のステージ分類だったが、それを見直し、医療体制の逼迫度合を重視した5段階のレベル分類に変更した。

レベル0:感染者ゼロレベル〜新規感染者がゼロ
レベル1:維持すべきレベル〜医療が対応できている
レベル2:警戒を強化すべきレベル〜医療に負荷が生じ始めている
レベル3:対策を強化すべきレベル〜一般医療を相当程度制限しなければ対応できない〜緊急事態宣言
レベル4:避けたいレベル〜一般医療を制限しても対応できない〜災害医療的対応

 9月30日に緊急事態宣言が全面解除され、1か月以上が経過した。
 当初は、解除すればリバウンドが起きると心配されたが、今のところその様子はない。
 昨日の新規陽性者数は、全国で107人。
 重傷者も死者も一貫して減少傾向にある。
 ワクチンの2回接種率は74%に達し、先進7か国の中で最も出遅れていた日本が、いまやトップレベルにある。
 抗体カクテル療法などの軽症者が重症化を防ぐ治療薬も登場。
 経口治療薬も年内に実用化の動き。
 この状況を受けて、実態に合った警戒指標を新たに設定したということだ。

 気になるのは、具体的な数値設定が消えたこと。
 従来は病床使用率など数種類の数値をもとにステージを判断していた。
 その数値による判断基準も暫定的なもので、明らかな状況変化の中、従来の数値に縛られ続けるのは問題が多い。
 それで、数値基準がすべてなくなったのだろう。
 その代わり、レベル判断は、分科会メンバーによる総合判断で行われることになる。
 国民に納得感のある判断ができるかどうかがポイントになる。

 日本では1日の新規陽性者数が100人程度になっているが、これほど感染状況が収束している国は他にない。
 イギリスでは1日の新規陽性者数は3万人。
 ドイツでも3万人もの新規陽性者数が記録されており、過去最高の感染レベルにある。
 アメリカでは最悪時期に比べれば収まってきているが、それでも新規陽性者数は8万人レベルだ。
 それらに比べると、日本はほとんどゼロに近い。
 日本のような人口密度の高い国で、これほど感染状況が抑えられているのは、世界のなぞ。
 しかも、他の国のように強権的なロックダウンも行われていない中での感染収束だ。
 「なぜ日本だけ」というのが率直な印象だ。
 その理由は、専門家でも説明がつかないでいる。

 日本だけ感染状況が抑えられているのは、今に始まったことではない。
 去年の早い段階から言われ続けていた。
 欧米で感染爆発が起きている中で、日本の感染状況だけが、10の1から20分の1程度に抑えられていた。
 日本にだけ存在するファクターXがあるのでは、と言われたが、ついにその本質はわからないままだ。
 同じ状況が今も起きている。
 やはり、ファクターXは存在し続けているのだ。

 これから冬を迎えるにあたり、何らかの感染の波があるのは避けられないだろう。
 その時、政府が緊急事態宣言を出さずに持ちこたえることができるかどうか。
 政府がきちんと情報発信をし、国民を安心させることができれば、宣言を出さずに乗り越えられる。
 だが、政府がリスクコミュニケーションに失敗し、国民の不安が増幅してしまった場合は、世論に押されて宣言を出さざるを得なくなる。
 ひとえに総理の発信力にかかっている。

 この冬、宣言を出さずに乗り越えることができれば、日本のコロナ対策完全解除の日は近い。
  
posted by 平野喜久 at 09:53| 愛知 ☔| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする