2021年12月16日

イギリスの感染拡大

 イギリスでも感染拡大が続いている。
 1日当たりの新規陽性者数が78,000人を超え、過去最大の感染状況にある。
 いま、デルタ株とオミクロン株の2つの感染が同時に起きているという。
 今後、感染拡大は継続し、1月から2月にピークを迎えるだろうと予想されている。
 ただ、重傷者は、過去の感染拡大期に比べると5分の1レベルに抑えられており、政府は再び行動制限をかける段階ではないとしている。
 
 イギリス国会では、政府の政策の失敗を追求し、ジョンソン首相は防戦に必死。
 「行動制限をかけろ」という意見に対しては、ワクチンの追加接種で対応すべきというのが政府の見解。
 ところが、ワクチンパス制度の導入法案が、与党が反対する中、野党側の賛成多数で可決されてしまった。
 7月以降、ワクチン接種が進んだ状況では行動制限をかけるべきではない、という見解の元、一貫して制限再開を拒否し続けているジョンソン首相。
 感染者数が過去最大のレベルに達すれば、重傷者や死者は確実に増加する。
 過去の感染拡大期に比べて実数は少なくなるが、着実に増加傾向にあるのを見ながら、ワクチン接種だけで乗り越えられるか。
 イギリスのケースは、いま行動制限を解除するとどうなるかを確かめる社会実験のようになっている。

posted by 平野喜久 at 10:01| 愛知 ☀| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月14日

イギリスのオミクロン株

 イギリスのジョンソン首相は、オミクロン株に感染した患者の少なくとも1人が死亡したと発表した。
 オミクロン株での死亡例は世界でも初めて。
 イギリスのコロナ感染者数は1日52,000人に達しており、このうちの3分の1がオミクロン株の感染者だ。
 今後、48時間以内に、オミクロン株が感染の主流になるだろうと見られている。
 現在、入院患者は7,300人。
 これが来年1月には45,000人レベルにまで達するという予測も出ている。
 過去最大の入院者数は4万人弱だったので、それを超える入院患者になる。
 ジョンソン首相は、「オミクロン株の症状がより軽いという考えはいったんわきに置き、感染が加速していることを認識すべき」と述べ、3回目のワクチン接種を急がせている。

 アストラゼネカ製のワクチンは、オミクロン株への有効性は10%ほどしかないことが分かってきて、それも対策を急がせる要因になっている。
 
 フランスも警戒を強めている。
 イギリスで感染拡大が起きると、遅れてフランスでも感染の波が襲ってくるのが過去の経験則だからだ。
 アルファ株は今年の1月にイギリスで流行したが、3月にフランスでも感染拡大。
 デルタ株は6月にイギリス、7月にフランス、という具合。
 1月にイギリスで最大の流行が起きるとすれば、やがてそれはフランスにも。

 ヨーロッパ各国はクリスマス休暇を前に、ワクチンのブースター接種と行動制限の再開に舵を切った。
 だが、国民の中にはこの政府の施策に反発する人たちも。
 あちこちで、デモや抗議集会などが起きているらしい。
 世界で自由主義と専制主義の対立が起きている中、自由主義社会における感染症対策の難しさが浮き彫りになっている。
posted by 平野喜久 at 08:37| 愛知 ☀| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月02日

オミクロン株:イギリスで市中感染か

 イギリスで新型コロナウイルスの「オミクロン株」による集団感染が、先月20日にすでに起きていた可能性がある。
 イギリス北部、スコットランドでは、これまで9人のオミクロン株への感染が確認されている。
 この9人全員について、最近の海外渡航歴がなく、先月20日に行われたイベントで集団感染した可能性があると発表された。
 南アフリカがオミクロン株の存在をWHOに報告したのは先月24日なので、イギリスではそれ以前から市中での感染が始まっていた可能性があることになる。
 
 同じような事例はオランダでも起きている。
 11月19日と23日に採取された2つの検体からオミクロン株が見つかった。
 そのうち、南アフリカへの渡航歴があったのは1人で、もう1人はオランダ国内で感染したとみられている。

 こうなると、本当の資源値は南アフリカではないのかもしれない。
 たまたま南アフリカからの情報提供で事態が発覚したが、その前にすでにヨーロッパ各地でオミクロン株の市中感染が始まっていたのかもしれない。
 そうすると、いま入国制限をしていても既に手遅れということ。
 各国で見えない市中感染が広がっており、それが今後顕在化してくることになりそうだ。

 ただ、オミクロン株は感染力が高そうだが、重症化した事例は報告されていない。
 いまのところ死者はゼロ。
 毒性についてはそれほど深刻ではないのがせめてもの救い。
 一般に、ウィルスは変異を繰り返すことで感染力は高まるが、毒性は弱くなると言われている。
 いまのところ、その一般法則の通りの展開だ。
 気になるのは、2回のワクチン接種をした人が感染している点だ。
 ワクチンは、感染、発症、重症化の3段階の有効性で評価されるが、感染、発症が突破されても、重症化を防ぐことができれば十分な効果がある。
 しばらくは、ここに期待するしかない。

posted by 平野喜久 at 08:20| 愛知 ☀| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月01日

外国人入国全面停止

 日本政府は30日午前0時から全世界を対象に外国人の新規入国を停止した。
 オミクロン株の海外での感染拡大を受けて水際対策を強化した。
 対象国を限定して入国制限は他の国で行われているが、いきなり全面停止に踏み切ったのは珍しい。
 これまでの日本政府の対応は、「遅すぎ、緩すぎ」と言われてきたが、今度は「早すぎ、厳しすぎ」に切り替えた。
 オミクロン株については、特性は何もわかっていない。
 感染力は格段に強いと言われるが、感染者が見つかった国でも、僅か1例、2例であり、市中感染が始まっているところはない。
 震源地の南アフリカでもオミクロン株の感染は100例程度しか確認されておらず、感染爆発が起きている様子はない。
 毒性については、まったくわかっていない。
 いまのところ、感染者は軽症で済んでいるようで、深刻な状況にない。
 ワクチンが有効かどうかもメーカーが検証中。
 ただ、ウィルスのスパイクたんぱく質の部分で30か所もの変異が確認されており、従来のウィルス株とは全く違う特性があるのではないかと警戒されている。
 いままでなら、日本政府はまず様子を見ることを優先するところだが、今回だけは、何もわからないうちに最も強い策を打った。
 空振りになる恐れが大きいものの、その批判も覚悟の総理の決断だったのだろう。
 海外のニュースでも、日本の対応が取り上げられるほど、驚きをもって受け止められている。

 いまや世界中がオミクロン株について最大限の警戒をしている。
 イギリスは、7月以降、感染防止のための規制を全面解除してきたが、再規制の方向に舵を切った。
 公共交通機関や店舗内でのマスク着用を義務化。
 着用を怠った場合は、罰金として200ポンドが課せられるという。
 200ポンドは日本円で3万円ほど。
 ワクチン接種も、6か月経過から3回目を打てるように準備していたものを、3か月に前倒しして打てるように方針転換した。
 これは、アストラゼネカ製のワクチンの有効性が3か月で急減することが分かってきたためだろう。

 30日時点の各国の新規陽性者数。
 イギリス:3万9千、ドイツ:6万8千、フランス:4万4千、アメリカ:11万6千、イタリア:1万2千、オランダ:2万2千。
 韓国では5,120人と過去最大の感染状況にある。
 一方、日本の30日新規陽性者数は、132人だ。
 ワクチン接種が進んでいるにもかかわらず海外では過去最大の感染状況にある不思議。
 そして、日本だけは過去最少のレベルにとどまっている不思議。
 いまのところ、この謎を解明できる専門家はどこにもいない。


posted by 平野喜久 at 16:54| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする