兵庫県の尼崎市が、新年度に当たってBCP支援施策を開始した。
「中小企業BCP策定支援補助金」
これは、BCP策定に要する費用の内、最大100万円を尼崎市が補助する、というもの。
補助割合は対象経費の2/3。
対象経費としては、消耗品費、通信運搬費、交通費、委託費、謝礼金、となっている。
つまり、外部コンサルに支援を依頼して、BCPを策定すれば、その経費の2/3を市が補助するという制度だ。
中小企業のBCP策定が一向に進まない原因の1つとして、「ノウハウがない」「経費をかけられない」という問題があった。
この問題を取り除くための支援施策と言っていい。
単に、ひな形をまねて必要な書類を作成するだけなら、とりあえず形を整えることはできる。
だが、それでは本当に使えるBCPになっていない。
災害多発の時代にあり、いざというときに我が社が生き残るために、本当に使えるBCPに取り組みたいと思っている経営者は多い。
だが、社内には専門的なノウハウを持つものがいないことから、なかなか本格的な取り組みに至らず、簡単な防災対策でやり過ごしているというのが実態だ。
そのような事業者にとって、今回の支援策は、本格的なBCPへのきっかけづくりとして、強力な後押しとなる。
今回の支援策は、外部専門家に依頼してBCPに取り組むことを想定しているが、この外部専門家には明確な要件が設定されている。
「BCAO」「BCI」「IRCA」「DRII」「RMCA」などの機関が発行する資格を有する者であること。
いずれも、リスクマネジメントやBCP関連の民間団体だ。
意外なことに、資格要件に中小企業診断士などの国家資格が含まれていない。
中小企業診断士であるだけでは、BCPの専門性が認められないということだろう。
外部専門家と言っても玉石混交なので、ある程度のレベルを担保するためにこのような縛りがある。
この支援策を利用しようとする事業者は、まず資格要件に合致した専門家にアクセスする必要がある。
たまたま身近に該当者がいればいいが、そうでない場合は、探すのが大変だ。
ここに大きなハードルがあるような気がする。