2024年02月05日

SDGsが話題になっているのは日本だけ

 ダイヤモンドオンラインの記事による。
 「SDGs」が現代のトレンドを表すキーワードのようになっている。
 「日本は、欧米に比べて立ち遅れている」「日本人の意識は低すぎる」「このままでは世界の流れに取り残される」などと脅されており、意識高い系の人は、SDGsに関心を向けるようになった。
 企業を挙げてSDGsに取り組むケースも増えており、スーツの襟にSDGsバッジをつけている会社も多い。
 これは、「我が社は地球環境に配慮しています」「人権を大事にしています」というイメージ戦略になっている。

 日本で、この言葉がクローズアップされてきたのは、2020年以降だ。
 ちょうど新型コロナが蔓延し始めたころと一致する。
 これは、偶然なのか、何らかの関連があるのかは、不明だ。

 さて、問題はSDGsとは何かではない。
 なぜ、日本ではSDGsが話題になっているのか、だ。
 というのは、世界でこれほどSDGsが話題になっている国は他にないからだ。
 Googleトレンドでの検索数ランキングで「SDGs」を調べると、1位は日本なのだ。
 日本の検索数を100としたときの各国のランキングは以下の通り。

1位:日本100
2位:ジンバブエ28
3位:ウガンダ21
4位:インドネシア21
5位:ガーナ17

34位:アメリカ1

 なんと、日本が圧倒的に検索数が多い。
 しかも、他の上位国は発展途上国ばかりだ。
 上位20か国を調べても、他の先進7か国はどこにも登場しない。
 欧米の方が進んでいるのではなかったのか?
 日本人の意識は低いんじゃなかったのか?
 まったく様子が違う。
 人口比で言えば、アメリカは日本の3倍の検索数があってもいいはずだが、データ上では100分の1しかない。

 「欧米の方が進んでいる」「日本人の意識は遅れている」という言葉に日本人は弱い。
 日本人は、自分が率先して行動することは気が引けるが、他人に立ち遅れることは極端に恐れる国民性がある。
 その国民性に付け込んだプロパガンダのように見える。
 そして、そのプロパガンダは、見事に成功している。

 SDGsには原型があった。
 2000年から始まったMDGsだ。
 MDGsとは、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)のこと。
 極度の貧困と飢餓の撲滅など,2015年までに達成すべき8つの目標を掲げていた。
 一定の成果を上げたものの、これらが主に発展途上国に限られた問題と認識されたために、先進国ではほとんど関心がなかった。
 その反省から、次の15年の取り組み目標として、SDGsが立ち上がった。
 今度は、目標として地球環境や人権に関係する項目を増やし、先進国を巻き込んだ取り組みにしようという意図があったようだ。
 SDGsの検索ランキングで、日本以外が発展途上国ばかりである理由は、MDGsの流れを汲んだ取り組みだからだろう。
 貧困問題は、先進国は支援する側、発展途上国は支援される側。
 支援される発展途上国の国民がSDGsに関心を寄せるのは当然だろう。
 一方、支援する側の先進国の一般国民は、一向にSDGsへの関心が高まらない。
 それはそうだろう。
 自分の利益になりそうにない話に興味を示す人はいない。
 だが、例外的に興味を示す国民があった。
 日本人だ。
 「とっくにみんながやっている」という話には無関心でいられないのが日本人。
 それで、世界一SDGsに関心の高い国民になってしまったというわけだ。
posted by 平野喜久 at 10:22| 愛知 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする