ダイヤモンドオンラインの記事による。
「SDGs」が現代のトレンドを表すキーワードのようになっている。
「日本は、欧米に比べて立ち遅れている」「日本人の意識は低すぎる」「このままでは世界の流れに取り残される」などと脅されており、意識高い系の人は、SDGsに関心を向けるようになった。
企業を挙げてSDGsに取り組むケースも増えており、スーツの襟にSDGsバッジをつけている会社も多い。
これは、「我が社は地球環境に配慮しています」「人権を大事にしています」というイメージ戦略になっている。
日本で、この言葉がクローズアップされてきたのは、2020年以降だ。
ちょうど新型コロナが蔓延し始めたころと一致する。
これは、偶然なのか、何らかの関連があるのかは、不明だ。
さて、問題はSDGsとは何かではない。
なぜ、日本ではSDGsが話題になっているのか、だ。
というのは、世界でこれほどSDGsが話題になっている国は他にないからだ。
Googleトレンドでの検索数ランキングで「SDGs」を調べると、1位は日本なのだ。
日本の検索数を100としたときの各国のランキングは以下の通り。
1位:日本100
2位:ジンバブエ28
3位:ウガンダ21
4位:インドネシア21
5位:ガーナ17
34位:アメリカ1
なんと、日本が圧倒的に検索数が多い。
しかも、他の上位国は発展途上国ばかりだ。
上位20か国を調べても、他の先進7か国はどこにも登場しない。
欧米の方が進んでいるのではなかったのか?
日本人の意識は低いんじゃなかったのか?
まったく様子が違う。
人口比で言えば、アメリカは日本の3倍の検索数があってもいいはずだが、データ上では100分の1しかない。
「欧米の方が進んでいる」「日本人の意識は遅れている」という言葉に日本人は弱い。
日本人は、自分が率先して行動することは気が引けるが、他人に立ち遅れることは極端に恐れる国民性がある。
その国民性に付け込んだプロパガンダのように見える。
そして、そのプロパガンダは、見事に成功している。
SDGsには原型があった。
2000年から始まったMDGsだ。
MDGsとは、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)のこと。
極度の貧困と飢餓の撲滅など,2015年までに達成すべき8つの目標を掲げていた。
一定の成果を上げたものの、これらが主に発展途上国に限られた問題と認識されたために、先進国ではほとんど関心がなかった。
その反省から、次の15年の取り組み目標として、SDGsが立ち上がった。
今度は、目標として地球環境や人権に関係する項目を増やし、先進国を巻き込んだ取り組みにしようという意図があったようだ。
SDGsの検索ランキングで、日本以外が発展途上国ばかりである理由は、MDGsの流れを汲んだ取り組みだからだろう。
貧困問題は、先進国は支援する側、発展途上国は支援される側。
支援される発展途上国の国民がSDGsに関心を寄せるのは当然だろう。
一方、支援する側の先進国の一般国民は、一向にSDGsへの関心が高まらない。
それはそうだろう。
自分の利益になりそうにない話に興味を示す人はいない。
だが、例外的に興味を示す国民があった。
日本人だ。
「とっくにみんながやっている」という話には無関心でいられないのが日本人。
それで、世界一SDGsに関心の高い国民になってしまったというわけだ。