2024年12月17日

貸金庫窃盗事件:三菱UFJ銀行

 産経新聞の報道による。
 三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗問題。
 まだ事件化されていないので、窃盗事件ではなく、窃盗問題という表記で報道されている。
 同行の行員が顧客の貸金庫から金品を盗んでいたことが発覚。
 被害は、60人の顧客から十数億円相当の額に上るという。
 行為は2020年4月から24年10月にまで及び、顧客からの指摘を受けて初めて銀行側が気づいたという。
 この行員は、貸金庫や予備鍵を管理する立場だったようだ。

 驚くべき点は2つ。
 1つは、このような窃盗が1行員の悪意で簡単に実行できてしまったこと。
 もう1つは、4年以上にわたって、発覚せずに犯行が繰り返されていたこと。

 貸金庫は、行員の鍵と利用者の鍵の両方が揃ったときに開けることができる仕組みだったようだ。
 普通は、行員一人では開けられないし、利用者が鍵を紛失したとしても、拾得した者が本人に成りすまして勝手に金庫を開けられないようになっている。
 ところが、利用者が鍵を紛失した時のためにスペアキーが銀行に保管されている。
 この行員はそのスペアキーを管理する立場にあったために、簡単に窃盗ができてしまった。
 もちろん、このスペアキーも厳重に保管されており、1つ1つ袋に封印されていて、取り出した痕跡がすぐに見つかるようになっている。
 だが、長期にわたって、定期的なチェックができていなかったようだ。
 もしかしたら、定期的なチェックはこの行員が行なっており、毎回「異常なし」の報告が上がっていたのかもしれない。
 
 銀行側は昨日12月16日に記者会見を行ない、頭取が謝罪した。
 10月31日に発覚してから、1か月以上放置したために、ネット上で非難が沸騰していた。
 その圧力に耐えかねての謝罪会見だったようだ。
 銀行側は当初は、一行員の犯罪として捉え、会見の必要性を感じていなかった。
 ところが、野村證券が従業員の強盗事件について謝罪会見したころから様子が変わってきた。
 一行員の犯罪で済ますことができなくなり、謝罪会見に追い込まれた。
 マスメディアはこの問題については、熱量をもって報道していなかった。
 大手スポンサーへの気遣いがあったのだろうか。
 ところが、ネット世論は許さなかった。
 ネット世論はもはやこれほどの影響力を持つに至った。

 ヒトの噂は75日で消えるが、ネット世論はその痕跡が永遠に残る。
 対応を間違えると、ダメージがいつまでも尾を引いてしまう。
 ネット世論は放置しない・・・これがこれからのメディア対応の原則になりそうだ。

 銀行側は既に被害者への補償を始めている。
 だが、これは難航が予想される。
 貸金庫の中身は銀行側は把握していない。
 被害者も自身の被害額を証明するのが難しい。
 犯人もどの金庫からいくら盗んだなどという記録はないだろう。
 貸金庫に現金を入れるのは、表に出せないカネなのでそこに保管しているケースがある。
 そうなるとますます被害額の確定が難しい。
 犯人はそこに付け入るように犯行を繰り返していたのかもしれない。




 
 
 
 
posted by 平野喜久 at 10:37| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする