2009年09月10日

パンデミック対策に水を差す怪しげな市民団体

 奇妙な記事を発見。

「新型インフル、冷静な報道を」=市民団体が呼び掛け
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009090900754

 メディアは、新型インフル感染者に死者が出たことを強調しすぎないようにすべきだと訴えている。

 意図が不明の記者会見である。
 いまのマスコミ報道は、新型インフルエンザに関して過熱しているか。
 人々の不安をあおるような報道をしているか。
 そんな気配は全くない。
 むしろ、情報量が少なすぎるくらいだ。
 これでも過剰報道だということは、マスコミは新型インフルについて報道するなというのに等しい。
 この市民団体は何を目的としているのか不明である。

 代表者の母里啓子氏は、「インフルエンザ・ワクチンは打たないで」の著者である。
 ワクチンの効果を真っ向から否定する人。
 否定するのはワクチンだけではない。
 手洗いも、うがいも効果はないと言っている。
 自然にインフルエンザにかかれば、強力な免疫が得られる。
 インフルエンザは2,3日寝ていれば治るかぜの一種のようなもの。
 これが彼女の主張だ。

 この主張を、新型インフルエンザにもあてはめようとしているのだろう。
 最近、ワクチンの優先順位をどうするかということが話題に上がっている。
 ワクチン否定派にとって面白くない光景が目の前で展開している。
 学校や職場、地域では、手洗いやうがいの奨励が大々的に行われている。
 この光景も面白くないものだろう。
 どうも、人々が新型インフルエンザに敏感になって対応行動を起こすことそのものを否定したいらしい。
 その不満の矛先がマスコミに向かっているといった感じだ。
 「インフルエンザは自然に放っておけばいい。マスコミは一々取り上げるな」と言いたいのだろう。
 だが、その本音は見せずに、マスコミ批判として主張している。

 今回の新型インフルエンザは、なぜ警戒しなければいけないかというと、感染力が非常に強いために、急激な集団感染を起こす恐れがあるからだ。
 地域で感染者が急増すると、医療機関がパンクする。
 企業で集団感染が起きると、操業がストップする。
 感染が広がると、慢性疾患の人は重症化リスクが高くなる。
 社会的混乱と、損失は多大なものになる。
 これを避けなくてはならないのだ。

 単に、自分が感染するかどうか、または、かかったとき何日で治るか、などという狭い視点での問題ではないのである。
 新型インフルエンザは、地震や風水害と同じ広域災害だという認識で取り組む必要がある。
 土砂崩れで犠牲者が出たとしよう。
 たった数人の死者だったら一々報道するなと言うのか。
 マスコミが情報提供して注意喚起するのは当然だろう。

 市民団体には、個人主義の発想に偏っていて社会性の欠落した団体が存在するが、これも同じようだ。
 不思議なのは、このような市民団体が、どうして厚生労働省内で記者会見を開けるのか。
 厚生労働省の内部と通じているのか。

 

 
 
 
posted by 平野喜久 at 13:56| 愛知 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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