2006年05月29日

損保ジャパンの違法営業

 損保ジャパンの不祥事が発覚、業務停止命令にまで発展した。
 その違法営業とは、契約者が支払うべき保険料を社員が違法に立て替えていた、というものだ。
 契約の意思のない客の名義を勝手に利用して契約書を作成し、保険料を営業員自身が払っていたらしい。
 自腹を切ってまで、営業成績を上げなければならないほど、ノルマが厳しいということが分かる。

 客をだましてカネを巻き上げるのに比べれば、まだ罪は軽い。
 しかし、保険会社の本質が露呈した事件だ。

 保険販売員は、自分の営業成績を上げることしか考えていない。
 顧客のライフスタイルやリスク管理を考慮して、最良の商品を提案するというのは、建前ではあるが、本当にそんなことができる営業員は、よほど余裕のある人か、職業倫理の高い人だけだろう。
 特に、ノルマが厳しくなると、顧客のことを考えている余裕はなくなる。
 どれだけ契約を取り付けたかが成果のすべて。
 いかに、効率よく客に判を押させるかということにしか考えが及ばない。

 保険販売員には、保険の相談は無理である。
 保険は、リスク対策の有力手段だが、リスクマネジメントの相談など、絶対にできない。
 どんな相談をしたところで、自社商品の売込みが始まるだけだからだ。
 たぶん、営業員自身、商品知識と販売テクニックしか教え込まれていないのだろう。

 保険販売員によくあるおバカなトーク。

「保険は魔よけのつもりで入ってください」
 とんでもない。
 保険に事件や災害を防いだり、被害を最小限に抑えたりする効力は微塵もない。
 まだ、神社の厄除けお守りの方が、御利益があるぐらいだ。

「保険に入っておけば、安心です」
 保険は、事故や災害が起きたときに、金銭的な保証を得られるだけ。
 本当に安心したいなら、まず事故や災害にあわないように手を打つことが先決。
 
「あぁ、税金対策だったらいい商品があるんですよ」
 最悪である。
 節税とか税金対策を目的として保険商品を売ることは保険業法の違反だ。
 しかし、顧客企業の社長に、取って置きの節税の秘策があると、得々として説明し始める販売員。
 課税控除と解約返戻率のからくりで、税金逃れを提案するセコイ営業。
 実は、これ、企業の節税対策のスタンダードであるかのように、一般に広まっている。

 この、生命保険を使った税金逃れ手法は、問題点が多い。
 これは、また別の機会に。
  
 
 
posted by 平野喜久 at 10:39| Comment(1) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
9月から興亜との合併みたいだが合併前から勝手に双方の社名を名乗らせて業務を行っている。相互間の契約者の個人情報等関係はどうでもいい様子で業務を行っているのは、7月時点では違法と思われるのだが。
Posted by 名無し at 2014年07月15日 08:33
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック