2012年06月13日

ソニーの電子書籍ビジネスの方向転換:アマゾン参入に対抗

 ソニーの電子書籍販売サイト「リーダーストア」を他社製端末でも利用できるようにするらしい。

 いままで、ソニーが売る電子書籍はソニー製の端末でしか利用できなかった。
 それは、コンテンツを充実させることで、専用端末の販売につなげるという戦略だった。
 これは、アップル社が、iPodを売り出すときに使った手法と同じ。
「そうか! ハードを売るためには、ソフトを売ればいいんだ!」
 iPodを生み出せなかったソニーは、今度は、アップル社の手法を真似て、コンテンツを売ることで電子書籍端末を売ろうとした。
 だが、これも外れだった。

 電子書籍マーケットを始めたのはソニーだけではなかった。
 シャープは、ガラパゴスという端末向けにガラパゴス・ストアを開いた。
 東芝は、ブックプレイス向けにブックプレイスストアを開いた。
 その他、紀伊国屋書店は専用の電子書籍ストアを運営していた。
 あちこちで、さまざまな電子書籍ストアが立ち上がり、かえって使い勝手の悪いものとなっていた。

 どこのストアも圧倒的に出版点数が少ない。
 いずれも一般受けする無難な商品ばかりを並べているので、そのなかで1つぐらいは買いたくなる商品が見つかるかもしれない。
 しかし、同じ客がストアに並んでいる無難な商品ばかり買い続けるか。
 そんなことはあり得ない。
 売れ筋というのは、売る側から見たベストセラーであって、買う側から見たベストチョイスではない。
 売れ筋しか並んでいないストアは、買う側から見ると買いたいものがないストアになってしまう。
 しかも、あるメーカーの端末を買ってしまうと、その特定のストアからしか書籍を買えなくなってしまう。
 このような読書端末など、客にとっては余計な制約を課されるようなもの。
 本来、技術の進歩は、消費者の可能性を広げる方向に働くはずが、電子書籍の場合、逆に消費者の手足を縛る方向に進んでしまっていたのだ。
 日本において、電子書籍は、消費者にとって魅力的なコンテンツではなくなっていた。
 専用端末でしか読めない電子書籍というスタイルは、本来なら客の囲い込みになるはずが、逆に客の排除に働いてしまっていたのだ。
 これでは、電子書籍市場が広がるはずがない。

 アマゾンの日本上陸を前に、ようやく戦略転換をすることとなった。
 今後、ソニーやシャープは、他社製の端末でも利用できるようにしてコンテンツの市場拡大を狙う。
 これは、根本的な戦略転換だ。
 いままでは、ハードを売るのが目的で、ソフト開発は手段に過ぎなかった。
 それが、コンテンツ重視の戦略に舵を切る。
 本当に、ソニーやシャープがコンテンツ販売会社になれるのか。 

 昨年、電子書籍の専門雑誌が発刊されたため、購読を申し込んだ。
 毎号、電子書籍関連の情報記事が満載のはずが、なぜか、非常に狭い世界での話題に終わってしまっている印象があった。
 どの記事を読んでも、広がり感を感じない。
 何か、半径数メートルの身内ネタで盛り上がっている感触がぬぐえなかった。
 いやな予感がしていたところ、雑誌社から廃刊の案内が届いた。
 
 
 

 
posted by 平野喜久 at 21:10| 愛知 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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