2007年01月11日

不二家、期限切れ牛乳使いシュークリーム

 大手菓子メーカー「不二家」が昨年11月、消費期限が1日過ぎた牛乳を使ったシュークリーム約2000個を出荷していたことがわかった。
 5日後には会社側も事実を把握していたが、苦情もないことから、公表も回収もしなかったという。
 食品メーカーとしての企業倫理が問われる事件だ。

 牛乳の消費期限は、余裕を持って設定されており、1日過ぎた程度の原料を使用しても問題は起きないだろうという現場の判断だったに違いない。
 実際に、これによる健康被害は何も起きていない。
 従来だったら、これは現場の当たり前の判断として、問題になることはなかっただろう。

 しかし、今回の事件は、健康被害の有無ではなく、企業倫理が問われている。
 消費者の健康や生命に直接影響する食品を扱っているからこそ、厳しい衛生管理が要求されている。
 「このぐらいだったら、いいだろう」
 「いままで、これで問題が起きたことはない」
 という判断は、もはや通用しない時代になった、ということに企業側が気づいていなかったということだろう。

 今回の事件は、現場の単純ミス程度であり、被害もなく、企業不祥事というには大げさすぎる感もある。
 しかし、雪印の食中毒事件に匹敵する構造を持った不祥事として、食品会社としてのダメージは深刻だ。
 今後の企業としてのダメージコントロールを的確に行なわないと、企業業績に大きな影響を及ぼすことになるだろう。

 ところで、今回の事件は、どうしていまになって発覚したのかが分からない。
 消費者からの苦情があったわけでもない、抜き打ちの外部調査で発覚したわけでもない。
 内部告発があったのか。
 それとも、2ヶ月ほどたって、すべて消費されたあと何も問題が起きなかったことを確認してから企業が公表したのか。
 情報によれば、社内プロジェクトの調査で事実が判明し、このほど公開に踏み切ったようだ。
 情報公開の姿勢は、プラス評価だ。
 しかし、対応が遅すぎた。
 これだけの時間が経過した後となっては、事実の報告だけでなく、原因の追究と再発の防止策も合わせて公表できなければ、不祥事発覚のイメージだけが先行してしまう。
 中途半端な情報公開は、むしろ事態を悪化させかねない。

 それに、この事件に関して、不二家側の対応姿勢が見えない。
 まるで、隠していた情報が漏れて、不覚にも不祥事が発覚してしまったかのような印象を受ける。
 社内プロジェクトで調査を行い、事実を正直に公開したのにもかかわらず、それがプラス評価されずに終わってしまう恐れがある。
 企業としての情報コントロールができていない。

 このような不祥事の発覚は、企業にとって危機ではあるが、対応の仕方によっては、ブランドの失墜にも、更なるブランド価値の向上にもなりうる。
posted by 平野喜久 at 08:21| 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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