奇妙な訴訟事件。
最も奇妙なのは、個人の思想信条の自由を前面に出して争っている点。
原告側の本音は、そんなところにはない。
「君が代や日の丸は、戦争賛美の象徴」これが本音だ。
だが、この本音がそのまま通用するような世の中ではない。
君が代や日の丸に反対するものの根拠は、かつては、国歌、国旗として規定されていない、というものだった。
国旗国歌法が制定され、その方便が使えなくなった。
そこで、個人の信条に焦点を移して、争いはじめたのだ。
今回の合憲判決に対して、「少数派の信条が否定される息苦しい社会の到来」だそうだ。
自分らが既に少数派であることは自認しているようだ。
最後の砦の死守に汲々としている様子が見える。
「君が代が嫌いなら公務員にならなければいい」
「やりたくないというだけで職務命令を拒否する権利があるのか」
「思想上の理由で君が代の伴奏ができないんなら、学習塾の教師でもやったらどうか」
という批判があるが、実は批判になっていない。
だって、彼らは反国家の思想闘争をするために公立校の教師になっているのだから。
現代の日本で、定収入を得ながら思想闘争が続けられるのは、公立の教育現場しか残っていないということかもしれない。
国民「君が代がイヤなら公立の教師なんか辞めて、私立に行けばいいのに」
教師「まぁ、なんという無神経な発言でしょう。そんなことが簡単にできるようなら、とっくに辞めてます」
国民「え? 私立に行きたくても行けないの?」
教師「当たり前でしょう。だから、こうして闘っているのです」
国民「でも、どうして私立に行けないの?」
教師「何も知らないんですね。私立では、教師が思想闘争しただけで即刻クビになっちゃうんですよ!」
2007年02月28日
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相変わらず政治や思想に関わる問題になると平野さんの物言いは説得性に欠ける傾向があるようですね。
前にも似たような問題を取り上げられた際に僭越ながらコメントいたしましたが、断っておきますが私は原告本人の目的が反国家であろうと純粋な反強制であろうと知ったことではありません(断りを入れるとかえって疑われるのが世の常ですが)。ただ、少なくとも主張する者に対して批判するのであればそれなりの作法があろうと思うばかりです。
たとえば、思想信条の自由を前面に出すことがなぜ奇妙なのでしょう。それは許された自由ですし自身のそれを侵されたと思うかどうかは人それぞれです。もちろんそれが必ずしも誰かの何事かを停止させるに足ると認められるとは言いませんが、その境界があいまいだからこその訴訟でしょう。
「君が代や日の丸は、戦争賛美の象徴」という言葉どおりではないにしろ、そういったことは原告側の主張に含まれていますから、通用するしないはともかく、改めて「本音だ」と強調するまでも無いでしょう。それなのにあえて強調するあたりに、このブログの閲覧者の理性ではなく感情に訴えようとしていることがありありと見て取れます。
従来の主張が国旗・国家として規定されているわけではないものをなぜ強制されるのかということだったのに対して、現在の主張は強制しないと規定されているものがなぜ強制されるのかということであり、いずれも根本的には思想・信条の自由に基づく主張ですが、それほどの変節でしょうか。
増して、少数派だから一体なんだというのでしょう。少数派はあきらめろということでしょうか。その全体主義的な態度こそ君が代や日の丸の強制に反対する人々の主張(重ねて言いますが本音か建前かは問いません)を補強してしまいそうな気がするのは私だけでしょうか。
そして、この一文。
「だって、彼らは反国家の思想闘争をするために公立校の教師になっているのだから。」
相変わらずの反国旗・反国歌=反国家のすり替えと、相変わらずの誰が言ったわけでもない妄想への批判。こんなモノはその前にあげた三例のような実際を踏まえての批判に比べれば、それこそ何の批判にもなっていないでしょう。だって、平野さんは原告らでなく頭の中の誰かを批判しているのだから。
まあ個人的には訴訟費用を用意してまで起こす訴訟では絶対にありませんが、本人がそうまでして主張したいなら止める理由も無いでしょうし、増して主張の内容でなく主張すること自体を批判する必要なんてどこにも無い。
裁判なんてのは誰が強制してこんなに情報を広めているわけでもないので、こういうニュースで不快になるのであれば放送するマスコミに文句を言えばよろしい。
第一、奇妙といえばこの記事のほうがよっぽど奇妙です。何でわざわざこんな通りの悪い理屈を立てるのか。一言「非国民め」とでも書いておけば平野さんの想いはたやすく伝わることでしょうに。
現代の日本で、こんな無作法な批判を続けられる場所が次々に生まれているということかもしれない……というあたりで締めておくこととします。まあ実名を出さないこちらも無作法ですがね。