2005年05月09日

『少女のマッチはなぜ売れなかったのか?』メイヤー著 デスカバー

031013book.jpg 『少女のマッチはなぜ売れなかったのか?』が手に入ったので、早速、読んだ。
 読後感はガッカリ。

 日本語の題名は抜群にすばらしい。
 それだけに、内容の期待はずれが大きい。
 題名からは、当然、マッチ売りの少女にからめたマーケティングの話が展開するものと思わせる。
 でも、マーケティングの話は、どこにもなかった。

 多くの童話をモチーフに現代風にアレンジし、そこに、マネジメントの教訓を汲み取ろうとする本だ。
 マネジメントの教訓を読み取れるように無理に改作しているのが苦しい。
 うまくツボにはまれば、パロディとして絶妙の面白さを発揮するが、大半はこじつけ気味の感じがする。

 で、「マッチ売りの少女」の項はどんな内容だったか。

 ベンチャー企業家の両親と貧しく暮らす少女という設定。
 売るのはマッチではなく、有名ブランド・ライターのコピー。
 それをロサンジェルスの街角で売る。
 全然売れないので、寒さしのぎに売り物のライターをつけ、そこにいろんな幻影を見るうちに、行方不明になってしまって・・・。

 この項の教訓:「不十分なビジネスプランは失敗を招く」

 ガクッ!!
 え? これで終わり?
 題名の「なぜマッチが売れなかったのか」の分析はどこにもない。
 売る物が悪かったのか。
 売り方が悪かったのか。
 売る相手が悪かったのか。
 売る場所が悪かったのか。
 当然、そういう分析があると思うだろう。
 ところが、著者は、このおとぎ話から、ビジネスプランの重要性を汲み取れと言う。
 完全に肩透かしだ。
 だいたい、有名ブランド商品のコピーを売るなんて、ビジネスプラン以前の問題だろう。
 
 全編、こんな調子なのだ。
 「裸の王様」の教訓は、「利害のからまない者にしか、正確な情報は期待できない」
 「シンデレラ」の教訓は、「できる人間には成功のチャンスを与えるべきである」
 「ウサギとカメ」の教訓は、「成功を収めるには、焦点を明確に定めなくてはならない」
  
 教訓を導き出せるように無理に改作した童話から、著者の望む教訓をひねり出そうとする。
 改作童話だけでは、意味が分からないので、解説がついている。
 たいした内容もないお話から、大げさに教訓を垂れるスタイルは、ブラックジョークなのか?
 宝物をあらかじめ埋めておいたのを、自分で掘り起こして「宝物を発見!」と大騒ぎするような白々しさがある。
 パロディらしい、ウィットやアイロニーがふんだんに盛り込んであれば、まだ読み物として楽しめるのだが、そのようなサービスはない。

 題名が素晴らしいだけに、実にもったいない。
  
posted by 平野喜久 at 16:47| 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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