NHKニュースに日本マクドナルドの新商品の販売が取り上げられた。
普段、企業名や商品名を出すことに慎重なNHKが、マクドナルドのPRに積極荷担している。
こんなのがニュースとして取り上げる価値のある情報か?
これが不思議の第1。
不思議の第2は、マックの商品戦略。
日本マクドナルドが、500円を超える高級バーガーを販売するらしい。
低価格メニューを増やすことでは売上が伸びないとして、先月、一部商品の値上げをおこなった。
そうしたところ、5月の売上が伸びたことから、これまでよりも高い商品でも買おうという消費者が増えたと見て、今回の高級バーガーの投入となった。
1つ520円から570円のハンバーガーで、2.5倍のハンバーグ、レタスやベーコンなども多めに挟んでボリューム感を重視するようだ。
さて、この新しい商品戦略は、当たるだろうか。
570円のハンバーガーは誰が買うのだろう。
そもそも、客はハンバーガーに高級感を求めているのか。
ハンバーガーはボリュームがアップすると、どんどん食べにくくなる。
大口を開けてかぶりつかなければ食べられない。
食べている最中、食材はぼろぼろこぼれ、口の周りはソースで汚れる。
高級感とはかけ離れた姿がそこにある。
消費者が求めているものと、店が提供しているものとのずれを感じさせる。
日本マクドナルドは、売上の低下に悩まされ続けてきた。
一時は、徹底的な低価格路線で集客アップに集中した。
だが、低価格にインパクトがなくなって、集客力が落ち、売上低下。
次は、客単価のアップが至上命題となる。
だが、低価格のイメージが定着してしまったマクドナルド、客単価のアップは並大抵ではない。
なんと、店頭メニューの撤去を決めたこともある。
店頭にメニューがあると注文に時間がかかり、客回転が悪くなるから、というのが理由だった。
奇妙な理由だ。
わざわざ客に注文しにくくしているようなもので、サービスの低下を起こしている。
マクドナルドに慣れていない客は、メニューがなければ、何を注文すればいいか分からない。
店員や他の客が待っているときに、ぐずぐずしているわけにもいかず、目の前の看板やポスターにあるおすすめのセットメニューを頼むしかない。
マクドナルドの本音は、100円バーガーを選ばせず、高価格のセットメニューを買わせようとする狙いなのは明らか。
客単価を上げるための施策が、こんなせこい手法とは。
ネット上のウェブサイトでは、メニューの価格表がない。
価格は地域によって違うかららしい。
ならば、地域による価格表の違いも公表すればいいのに、それは隠している。
価格というのは、消費者にとって最も重要な情報の1つだ。
それを隠そうとする姿勢が不誠実に見える。
更に、店内で長時間居座り続ける客は、もしかしたら無職の人かもしれないので、店でアルバイトをしないかと勧誘しようという動きも見せたことがある。
雇用機会の提供というのが理由になっていた。
この本音は、カネのない長居客は追い払えという指示なのだろう。
日本マクドナルドのおこなっていることは、客にとってフレンドリーではない。
安い客は来るなという姿勢がそこかしこに見える。
まるで、客と敵対関係にあるかのような印象だ。
マックは気軽に入れる店ではなくなった。
ハンバーガーという最も気軽に食べられる食材を扱っていながら、である。
実は、5月の売上が伸びたと言っても、前年同月比05%の伸びでしかない。
これを伸びたというのか。
しかも、去年の5月は、前年同月比11%減という実績だったのだ。
去年が異常値であったなら、今年は何もしなくても、反動で10%ぐらい元に戻って当たり前。
それが0.5%にとどまったということは、売上の低迷が続いているということではないのか。
これでは「高価格でも買おうという客が増えた」とはとても言えない。
これはたぶん、高級バーガー投入のために無理矢理ひねり出した理由付けなのだろう。
本音は、高級バーガーを目玉商品にして、他の商品全体を値上げし、客単価を一気にアップさせる戦略だ。
日本マックは、かつて、藤田田氏が、「デフレは終わった」として値上げ路線に踏み切り、一気に売上を落とした前例がある。
あのときも、長くデフレが進行する中で、円安により材料費の上昇に苦しみ始めた頃だった。
状況はよく似ている。
原田氏は「高価格路線への変更ではない」と言っている。
過去の失敗とは違うと言いたいのだろう。
日本マクドナルドの戦略は、いつも理解不能だ。
2013年06月17日
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