NHKスペシャル「メガクエーク巨大地震」
防災の日に向けて2夜連続で地震関連の番組が報道された。
1夜目は、関東大震災を振り返りながら、次の首都直下地震を警戒せよというもの。
2夜目は、最新の研究成果を取り上げながら、南海トラフ地震を警戒せよというもの。
グラフィックを多用して、分かりにくい概念を視覚的にうまく表現していた。
専門的な話が多く、ややマニアックな興味に入りすぎている感じはある。
一般の国民にここまでの地震メカニズムの知識が必要か、というとやや疑問。
だが、地震研究の最新情報を分かりやすく伝えようという意気込みが感じられ、情報番組としての完成度は高い。
今回の「メガクエーク」で印象に残った点。
関東大震災の18年前に大地震を警告する地震学者がいたということ。
今村助教授とその上司の大森教授。
今村助教授が一般雑誌に東京での大地震の可能性を指摘したところ、明日にでも地震が来るかのような大騒ぎになった。
慌てて、大森教授が根拠のない浮説として否定して騒ぎを鎮静化させた。
大森も今村の研究を高く評価していながら、立場上、否定せざるを得なかったのだろう。
18年後に実際に大地震が来る。
今村の予想は、正解だったのかどうか分からない。
日本にいる以上、「大地震が来る」と言っていれば、いずれは当たる。
この程度の予想だったのかもしれない。
だが、東京での大地震の可能性を指摘したのは今村だけだった。
関東大震災直後の記録フィルムが残っている。
不思議なのは、火災が起きているのに、それを遠巻きに見物している人々がいること。
平常時に起きた火事見物のつもりなのかもしれない。
だが、震災時は、火災が各地で同時多発的に発生しているので、風上から火災を見物しているつもりが、別の火災の風下にいるということになる。
気が付いたときは、周りが火の海で、逃げ場を失っている。
こうして、犠牲者が増えたようだ。
また、避難をするときに、家財道具一切を大八車やリアカーに満載して運んでいる人たちが映っていた。
ドラマや映画などで、このような光景を見たことがあったが、これは現実にその通りだったのだ。
今では、タンスや布団などを持ち出す人はいない。
ところが、当時はそのような日常で使うものが大事な財産と思われていたのだろう。
ここでも、平常時の火災避難の感覚で行動してしまっているのが分かる。
この大きな荷物が道路の混雑を助長し、避難を難しくしたらしい。
また、広場に避難した後でも、飛んできた火の粉が、この家財道具に燃え移り、避難場所での犠牲者を増やしたという。
当時の大八車は、現代では自動車にあたるだろう。
みんなが自動車で避難しようとすると、そのことが渋滞を引き起こし、道をふさぐ。
関東大震災の犠牲者は10万5千人。
そのほとんどが火災による焼死と見られている。
過密都市で同時多発的な火災が発生したとき、どうしたらいいのかを考えるのに、貴重な教訓だ。
その他、番組内で得た新しい情報。
房総半島沖でひずみが溜まっていること。
南海トラフの想定震源域が、伊豆半島の更に東側まで広がる可能性があること。
2013年09月02日
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