2013年10月25日

誤表示か偽装表示か:阪急阪神ホテルズ

 阪急阪神ホテルズの社長が謝罪会見。
 「信頼を裏切ったお客様に心よりおわび申し上げます」と謝罪する一方で、原因は従業員の認識・知識不足にあるとして「偽装でなく誤表示」と強調した。
 
 意図的にやったことではなく、うっかりミスだった、ということにしようとしている。
 事件を矮小化して、やり過ごそうとしている。
 これは、かつての船場吉兆の対応を想起させる。
 他の客の食べ残しを別の客に出していたことが発覚して大騒ぎになったことがある。
 その時の女将の言い訳。
 「食べ残しではなく、手つかずの料理と言ってください」
 この言い訳が騒ぎを更に大きくした。

 メニューの誤表示というのは、まさにうっかりミスのこと。
 たとえば、鹿児島産なのに宮崎産と表示。
 アイスクリームなのにシャーベットと表示。
 単なる書き間違い。
 メニュー作成の段階で間違えたか、途中で料理内容が変わったのに、メニューに反映されていなかったか、ということになる。

 ところが、今回の誤表示は違う。
 メニュー表示は、ホテルの品格と価格の高さに見合った内容になるよう、最大限に食材の特別さを強調して書かれたもの。
 客にアピールすることを狙ってメニューを作っているのだ。
 メニュー作成の段階で既に意図がある。
 うっかりミスで間違ったメニュー表示をしてしまったわけでは全くない。
 なのに、実際は普通の食材と普通の調理法で料理が提供されていた。
 それで、問題になっているのだ。
 メニューで特別の表示をし最大限にアピールしておきながら、実際にはそれよりも劣る料理を提供していた。

 高級宝石店で、ダイヤモンドと表示して、ダイヤモンドの値段でガラス玉を売るようなもの。
 これを「うっかりミスの誤表示でした」と言うか。
 本来なら「ガラス玉」と表示して売るべきだったとでも言うのか。
 確かに、「ガラス玉」と表示して売っていれば誤表示ではない。
 しかし、宝石店で「ガラス玉」と表示してガラス玉を売ることはありえないのだから、表示が間違っているのではなく、売るものが間違っていたということになる。
 劣悪なものを高級なものに見せかけて高額で売る。
 これを「表示偽装」と言う。

 利用客には、レシートがなくても返金に応じるという。
 既に、利用客から問い合わせや返金要求が殺到しているらしい。
 予約名簿や会員履歴などから、ある程度確認可能とのことだが、ここで相当な混乱が予想される。

 リッツカールトンでも、メニューの偽装表示が発覚した。
 この事件、他のホテルレストランにも波及する。
 
 
posted by 平野喜久 at 09:59| 愛知 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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