政府の中央防災会議の作業部会が、首都直下地震の被害想定を公表した。
首都圏でM7クラスの直下型地震が起きた場合、最悪で死者23,000人、経済被害額は95兆円に達する。
避難者は720万人、帰宅困難者は800万人を予想している。
この手の被害予想は、ある計算式に条件設定を入力してはじき出したもの。
予想される事態のうち、最悪の条件が重なった時の状況を説明している。
だから、条件の設定の仕方で、または、計算式の作り方で、結果は全く違うものになってしまう。
次に起きる地震を正確に予想したものでもないし、こうなる可能性が高いということを予言したものでもない。
あくまでも、理論上はこのような事態もありうるということを示しているに過ぎない。
最悪の事態を想定した数字ということになっている。
だが、全体の印象としては、首都直撃の大地震にしては、被害規模が小さい感じがする。
東京の大地震で死者23,000人は、あまりにも優しすぎる。
大阪府が南海トラフ巨大地震で想定しているのが、死者13万人だ。
それに比べると2万3千人はけた違いに少ない。
人口密度が高い東京で起きる直下型地震なのにである。
首都の中枢機能が保全されることが前提になっているのも、想定が甘い。
首都機能の分散や首都移転の話に発展しない程度の想定に抑えているのではないか、との疑問はぬぐえない。
国の被害想定の公表は、国民の健全な危機感を喚起するために行なうものだ。
だが、今回の被害想定は、無用な安心感を与えてしまいかねない。
2013年12月20日
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