共同の報道による。
国土地理院は2日ごろから10日にかけ、房総半島沖で通常とは異なる地殻変動を観測したと発表した。
海底が最大6センチ、南東方向に動いたとみられる。
プレート(岩板)同士が揺れを起こさずゆっくりずれる「スロースリップ」が起きたとみている。
通常この地域の海底は北西方向に動いている。
力を蓄積させたプレート境界面がすべって、反対方向へ動いたらしい。
房総沖では1996年からこれまで、スロースリップとみられる現象を4回観測している。
発生間隔はこれまで50〜77カ月だったが、今回は前回(2011年10月)から27カ月後と最も短い。
今後も数日間は同様の現象が続く見込みという。
海溝型地震は、海側のプレートが陸側のプレートを引きずり込みながら沈み込むことでエネルギーがたまり、それが限界にきて跳ね上がった時に地震が起きる仕組み。
巨大地震が発生するときは、突然に震源域全体が跳ね上がるのではなく、まず部分的にはがれ始めて、最後の固着域が耐えられずに外れた時、地震発生となると考えられている。
このはがれはじめる部分が、スロースリップとなって観測されるのではないかと解釈されている。
すると、スロースリップが起きているということは、この地域のプレートのひずみが極限に近づいている証拠で、大地震発生の前兆かもしれない。
それで、この情報が注目されているのだ。
東日本大震災でも、前兆としてスロースリップが起きていたことが分かっている。
本震が起きる前の約1カ月間に、岩手・宮城沖のプレート境界の震源域がゆっくり滑る現象が2回起きていたのだ。
1回目は1カ月から半月前、2回目は2日前。
これが、事前にしっかり観測されて、大地震発生の前兆と認識されていれば、予知成功となっていた。
だが、このスロースリップは事前には観測されず、事後にデータ分析をして判明した。
今回の房総半島沖は、以前からエネルギーの蓄積している地域として注視されているところ。
そこでスロースリップに似た現象が観測されたということで、緊張が走っている。
今後の推移に注目したい。
2014年01月11日
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