2014年01月11日

房総沖、スロースリップか

共同の報道による。

 国土地理院は2日ごろから10日にかけ、房総半島沖で通常とは異なる地殻変動を観測したと発表した。
 海底が最大6センチ、南東方向に動いたとみられる。
 プレート(岩板)同士が揺れを起こさずゆっくりずれる「スロースリップ」が起きたとみている。

 通常この地域の海底は北西方向に動いている。
 力を蓄積させたプレート境界面がすべって、反対方向へ動いたらしい。

 房総沖では1996年からこれまで、スロースリップとみられる現象を4回観測している。
 発生間隔はこれまで50〜77カ月だったが、今回は前回(2011年10月)から27カ月後と最も短い。
 今後も数日間は同様の現象が続く見込みという。

 海溝型地震は、海側のプレートが陸側のプレートを引きずり込みながら沈み込むことでエネルギーがたまり、それが限界にきて跳ね上がった時に地震が起きる仕組み。
 巨大地震が発生するときは、突然に震源域全体が跳ね上がるのではなく、まず部分的にはがれ始めて、最後の固着域が耐えられずに外れた時、地震発生となると考えられている。
 このはがれはじめる部分が、スロースリップとなって観測されるのではないかと解釈されている。
 すると、スロースリップが起きているということは、この地域のプレートのひずみが極限に近づいている証拠で、大地震発生の前兆かもしれない。
 それで、この情報が注目されているのだ。

 東日本大震災でも、前兆としてスロースリップが起きていたことが分かっている。
 本震が起きる前の約1カ月間に、岩手・宮城沖のプレート境界の震源域がゆっくり滑る現象が2回起きていたのだ。
 1回目は1カ月から半月前、2回目は2日前。
 これが、事前にしっかり観測されて、大地震発生の前兆と認識されていれば、予知成功となっていた。
 だが、このスロースリップは事前には観測されず、事後にデータ分析をして判明した。

 今回の房総半島沖は、以前からエネルギーの蓄積している地域として注視されているところ。
 そこでスロースリップに似た現象が観測されたということで、緊張が走っている。
 今後の推移に注目したい。



posted by 平野喜久 at 14:50| 愛知 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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