2014年04月16日

八甲田山リーダーシップ研修:ウェブサイト開設

 新しいウェブサイトを開設した。
 「『八甲田山死の彷徨』リーダーシップ研修」
http://www2u.biglobe.ne.jp/~hiraki/hakkoudasankenshu.html
 リーダーシップ研修は、世の中にあふれ返っているが、『八甲田山死の彷徨』に徹底的にこだわった研修プログラムだ。

 私にとって、八甲田山遭難事件は、20年来の研究テーマだ。
 メルマガや電子書籍で、関連の情報発信もしてきた。
 このテーマは、ライフワークとして一生付き合っていくことになりそうだ。
 以前から、依頼があれば、研修や勉強会で八甲田山事件をテーマにお話しさせていただくことはあったが、きっちりしたプログラムとして公開していなかった。
 最近、企業からの研修依頼が増えたことから、人材教育の研修プログラムに落とし込んではっきりメニュー化することとした。

 『八甲田山……』にこだわるのは、これがビジネスの現場に応用できる様々な課題を含んでいること、事件の全体像が把握しやすいこと、すぐれた小説により当事者の状況が臨場感をもって実感できるということ、による。
 ただ、八甲田山をテーマにした人材教育は以前から存在した。
 だが、それは、結果のすべてを知った神の視点で登場人物の言動を評価するというのが通例だ。
 その行軍隊がほぼ全滅に陥ったという結果を知った上で、事例を検証するのは簡単だ。
 失敗したリーダーのやったことはすべて否定すれば、それが答えになる。
 これは、講師も説明しやすいし、受講者もわかりやすい。
 しかし、これは後知恵バイアスで話をしているだけだ。
 犯人とトリックを知ったうえで、ミステリー小説を読み始めるようなもの。
 このやり方は、自分だけは、はじめからすべてを見通せているような感じがして気分がいいが、事例研究としてはほとんど意味がない。
 後知恵の講釈からは、次に活かせる教訓を得られないからだ。
 それで、この研修プログラムでは、後知恵の講釈を排除することを第1とした。

 次に、受講者自らが考え答えを探っていく参加型の研修スタイルにしている。
 短時間のリーダーシップ研修では、どうしても講師があらかじめ用意した結論を一方的に伝えるだけということになりがちだ。
 だが、リーダーシップに唯一の正解があるはずがない。
 各人によって目指すべきリーダー像は違って当たり前で、この研修は、それを見つける機会と位置づけとした。

 そして、この研修の特徴は、『八甲田山……』の事例に絞って、徹底的にエッセンスをしゃぶりつくすことにある。
 一般的なケーススタディとして事例の検証をするだけではなく、ディベート競技の手法を取り入れたり、プレゼン・トレーニングの手法を取り入れたり、プロジェクトマネジメントの実践手法を取り入れたり、研修全体として総合的なリーダー育成の効果が期待できるようにしてある。
 だから、2泊3日の宿泊研修という長い時間を設定している。
 3日間も社員を研修に拘束するのは、会社としても社員としても負担が大きい。
 だが、本当に研修効果を上げようとしたら、単発のセミナーを何度も開くより、集中して深い研修を1つ受けたほうがはるかにいい。
 受講する社員にとっても、研修期間中は仕事のことを一切忘れて自己研鑽に専念できて、結果として喜ばれる。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~hiraki/hakkoudasankenshu.html

 
 

 
 
posted by 平野喜久 at 09:59| 愛知 | Comment(2) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お世話になります。
危機管理アドバイザーの尾下と申します。

この度、NHK(クローズアッフ現代)で放送され、「レジリエンス」について、防災危機管理の面で問い合わせを受けましたので、私の考えを述べさせて頂きます。

「レジリエンスと支援者のストレス(共感疲労)対策の必要性」
東日本大震災発災以後、被災者の災害ストレス対策を行っています。
災害にさらされた人々が呈する外傷後ストレス障害(PTSD)が注目され支援のあり方なども研究報告され、そのため専門家がトラウマを負った被支援者をケアする機会も増えています。しかし、その際に被災者の話を聞く中で支援者側が受ける傷についてはどうだろうか。他者が体験したトラウマとなる出来事に曝されることが、支援する側のトラウマになるという考えを一次的外傷性ストレス障害と呼び、二次的外傷性ストレス障害と区別した。二次的外傷性ストレスとは、支援者がトラウマを負った被支援者によって外傷性の体験に曝された結果として苦痛を経験し、それがストレスとなることです。

共感疲労とは、支援者が被災者のトラウマ体験したことやその内容について知ることにより、苦痛や逆境に見舞われた他者に対する深い共感や悲嘆の感情が起こり、その人の苦痛やその原因を取り除き、癒したいという強い希求を伴うものである。また共に悩み、考え、対処しようとする試みから起きる疲労。状態像としては、被支援者の体験した出来事に関連する刺激に対する再体験、回避または麻痺症状を起こしたりするものである。共感満足は、共感疲労と同じく強い望みを伴う感情から支援をおこない、そこで得られた支援者側の「支援をしてよかった」「役に立てたという感覚がもてた」といったポジティブなものです。

被災者の困難が長期に継続する今回の東日本大震災では、被災者に内在する「強み」への気づきや「希望」という視点がなければ再発のリスクを低減することは困難です。しかし、これまでは詳細な研究が行われていないのが現状です。たとえば、「大丈夫何とかなる」という首尾一貫感覚のSOC( Sense of Coherence)、「どん底の状態から立ち直る力」であるレジリエンス(Resilience)、それに「困難な状態からのポジティブな心理的変化」である心的外傷後成長(PTG:Post-Traumatic Growth)などを用いることで、被災者のポジティブな心理的変化を各要素に分類して詳細に分析を行うことが必要です。今回の東日本大震災の厳しい経験から、多くの方がこれから真に安全で安心できる社会を築いていかなくてはと痛切に感じています。しかし、災害に強く、安全・安心な社会とは、どのようなことを意味するのでしょうか。

私は、本当の強さとは、「困難な状況に負けないこと」であると考えています。自然の猛威を前に人間は無力ですが、東日本大震災を経験した私達が、歴史の生き証人としてこの教訓を今後に活かさないのであればそれは天災ではなく人災にもなり得ることを忘れてはいけないと自分に言い聞かせる度に、これからの真に安全で安心できる社会の構築に必要なことは、困難な状況に負けない力を備えることであると強く感じています。
困難な状況に負けない力とは、困難を乗り切る力です。大きな災害や事故に見舞われた時に、私達の組織や地域社会は、いくら入念に防災対策を講じていたとしても、程度の差こそあれ影響や被害を受けることは避けられないでしょう。しかしながら、傷を負いながらも堪え忍び、厳しく困難な時期を何とか乗り切り、乗り越える力こそが、重要になるのではないでしょうか。それが、「レジリエンスの高い」組織や地域社会の姿であると考えます。

それには、まずは日頃十分な備えをすることが基本となります。対策を講じていれば問題が生じたとしてもその程度は軽くてすむことが期待されます。被害の程度が軽微であれば、その後の復旧・復興の過程は大きく変わってくるでしょう。事前に備えることの重要性はレジリエンスを高めるために、とても大事な要素であることに変わりはありません。そのことに加えて、レジリエンス向上のためには危機管理の実質的な仕組みと仕掛けを充実していくことが大切になると思います。例えば、意志決定やコミュニケーション、地域連携、情報共有管理などがレジリエンス向上のための重要な指標となるのではないかと考えます。

先日、中国北京の視察団に、「災害大国日本の防災・減災対策と災害ストレス」を演題に講演を行いました。日本は自助7・共助2・公助1。つまり自分の身は自分自身で守るのが基本ですが、中国は全く逆で、大変驚いていました。また、災害ストレス(セルフヘルプという概念そのものが浸透していない。)そのものの存在をあまり理解できないようです。最後に、大災害は必ず来る。だが、その大災害の被害を最小化(減災)することは、日本人の知恵と強固な社会によりできる。そのために、東日本大震災の教訓を活かし、災害に強い国にする必要があると締めくくった。視察団は、大変熱心でかつ興味深く小職を中国へ招聘し、防災対策と災害ストレスについて話して欲しいと。これは、冗談だと思いますが、それに報いるためにも更なる努力を積み重ねて参りたいと存じます。小職にとっても大変有意義かつ実りある数日でした。
今後ともご支援ご指導賜りますよう宜しくお願い申し上げます。尾下拝

Posted by at 2014年04月23日 11:41
お世話になっています。
危機管理アドバイザーの尾下と申します。

「韓国船沈没事故から学ぶ危機管理能力」
1件の重大事故の背後には29件の軽微事故があり、更に背景には300件の異常が存在するという「1:29:300の法則(ハインリッヒの法則)」があります。本来のハインリッヒの法則は、事故に至る前に多発するミス、つまり「ヒヤリ・ハット」を反省し、この対策を検討することです。
今回の韓国船沈没事故概要をテレビで毎日放送されている最中またしても地下鉄事故が発生し、クライシス・マネジメント&リスク・マネジメントの脆弱性が浮き彫りになりました。日本国民は、決して「対岸の火事」とすることとないよう、「靴を測って足を削る」の愚行から、「悲観的に準備をして、楽観的に行動せよ」という防災・危機管理の基本に立ち返り戻り、危機管理対応能力を再構築せよとの警告でもあり真摯な反省と対応が望まれます。尾下拝
Posted by 尾下義男 at 2014年05月04日 09:11
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