「なぜ少女のマッチは売れないのか」
英語版電子ブックプロジェクトの進行状況。
表紙画像が完成した。
表紙画像といっても、電子ブックはリアルな書籍は存在しないので、実際に表紙を印刷するわけではない。
だが、電子ブックの登録には表紙画像が必要になる。
Amazonの販売サイトに表紙画像が表示されるが、その画像のために必要なのだ。
この表紙画像の出来不出来が売上に大きく影響するらしい。
日本Amazonでも、電子ブックの中に、文字だけでデザインされた、見るからに素人くさい表紙画像を見かけるようになったが、例外なくセルフパブリッシュの電子ブックだ。
そのような電子ブックは、値段も安い。
これでは、購入する気にならない。
表紙画像のレベルが内容のレベルの低さを表している印象を受けるからだ。
値段の安さは、お得感より、むしろ安っぽさを感じさせ、ますます読者を遠ざける。
それだけに、表紙画像のイメージは、商品パッケージとして非常に重要なのだ。
電子ブック用の表紙画像は、印刷用の表紙デザインではない。
Amazonストアのアイコンのデザインをすると考えればいい。
ということは、別に縦長の長方形である必要はないことになる。
横長の長方形でも、正方形でもいい。
もっと極端には、円形でも三角形でもいいのだ。
アメリカAmazonでは、横長の長方形や正方形は見かけるようになってきている。
さすがに、円形や三角形はない。
正方形だと何がいいかというと、最も画像面積が大きく表示されることだ。
PCモニターで書籍リストを表示した時、正方形の画像が最も大きく見える。
このことが分かっている人は、正方形で表紙画像を作る。
だが、問題もある。
正方形だと、書籍の画像に見えない。
まるでCDジャケットか、ゲームのパッケージの画像に見えてしまう。
本といえば、縦長の長方形という先入観がある。
それに反する画像は、とても本には見えないのだ。
閲覧者に間違ったイメージを与えてしまいそうなのが欠点だ。
更に、問題がある。
スマートホン向けのストア画面だと、表紙画像の表示領域は縦長になってしまう。
これは、無駄な表示領域を少しでも減らすためだ。
すると、正方形の画像は、表示面積が小さくなってしまう。
この場合は、普通の縦長の画像が最も大きく表示される。
画像を大きく見せるために正方形にしたつもりが、正方形が一番小さく見えてしまうのだ。
これは、困った。
PC向けに正方形の画像にするか、スマホ向けの長方形の画像にするか。
やむなく、横幅を広めにした縦長の長方形で画像を作成することとした。
表示画像を目立たせる工夫は、これだけでは終わらない。
アメリカ書籍の表紙画像を見ると、デザイン性の高いものはあまり見当たらない。
特にビジネス書については、文字だけでデザインされているものが非常に多い。
その方がスマートで知的に見えるのかもしれない。
そのタブーを破って、敢えてイラストを前面に表示することとした。
しかも、そのイラストは、完全に日本アニメ風の画風だ。
アメリカの書籍で表紙にイラストのあるものもあるが、日本アニメ風のものは見当たらない。
これなら、目立つことは間違いない。
いまや、日本アニメは世界市場で受け入れられているので、英語圏の市場で拒否反応を受けることはないだろう。
この日本アニメ風のイラストを使うことで、この電子ブックが日本発のコンテンツであることも表している。
問題は、とてもビジネス書には見えないことだ。
一見、子供向けの絵本に見えてしまう。
その誤解は、表題でフォローする。
「The Little Match Girl Marketing」
そもそも、これはカテゴリーとしてはビジネス書に分類されるが、普通のビジネス書とは全く違うのだから、一般のビジネス書らしく見える必要はない。
むしろ、変なビジネス書と認識してもらいたい。
「なに、これ」と目にとめてもらえれば十分。
更に、目立つ工夫は続く。
単に長方形の表示画像を作るだけで終わらない。
それを、CGでリアルな印刷書籍を表現し、その画像を電子ブックの表紙画像に使うことにした。
3冊の印刷書籍が積んであって、それを写真で撮ったような画像ができ上がる。
これで、この画像は本の画像なんだということが一目で分かる。
このような表紙画像を作っていることろは、いまのところ世界中でも見当たらない。
いままで、日本で電子ブックを何冊かリリースしてきたが、すべて表紙画像は、このタイプのデザインだ。
それが、どの程度売り上げに貢献したのかどうかは不明だが、Amazonストアの中でも存在感のある目立ち方をしているのは確かだ。
これを、英語版の電子ブックにも適用しようというわけだ。
CGの印刷書籍画像を使うのには、別の目的もある。
もしも、この電子ブックが注目された時、人びとはブログやフェイスブックなどで紹介してくれる。
その時に、表紙画像を貼ってくれるはずだ。
CGの印刷書籍画像なら、これが本の紹介だということはすぐに分かってもらえる。
これが、ただの長方形の画像だったら、Amazonストアなら本の画像だと分かるが、別のサイトで紹介されたときは、それが何の画像なのかはすぐに分からない。
もっともっと話題になった時は、これが新聞や雑誌に取り上げられるかもしれない。
その時にも、この表紙画像がそのまま使用してもらえる。
もしかしたら、テレビでも紹介されるかも。
そのために、画像の解像度はかなり高めてある。
3冊の本が積んである背景色は黄味がかった山吹色にした。
少女のスカーフが赤、人物背景が青、そして、画像の背景色が黄色。
何度も色調を変えて、下品にならない色バランスに調整した。
ところで、イラストは、マッチ売りの少女と聖ペテロが会話をしている場面を描いている。
聖ペテロというのは、日本人にはなじみがないが、キリスト教圏の人びとには身近な存在だ。
キリストの愛弟子で、天国の門番を仰せつかった聖人だ。
だから、手には大きな鍵を持っているのが特徴。
鍵を持った白髪の老人が描かれていれば、それは聖ペテロだとすぐに分かる。
童話では、少女は天に昇っていくところで終わる。
その天に昇って行った少女が、天国の入り口で聖ペテロに会うんだな、ということは、勘のいい人はすぐに分かるだろう。
そして、表題は、「The Little Match Girl Marketing」となっているので、これがマーケティングの本だということが分かる。
副題として、「Why she couldn't sell matches」とあるので、「どうしたらマッチが売れるようになるのか」ということがテーマになるんだな、ということも分かるという仕掛けだ。
これらの狙いがどこまで通用するかは全く不明。
すべてがうまく功を奏すれば、掛け算で大きな効果が表れる。
だが、逆に作用した時は、掛け算でマイナス効果をもたらすかもしれない。
まずは、大当たりを狙って、できることはすべて行い、最善の準備を進めよう。
クリスマスまでにはリリースしたい。
2014年12月16日
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