ブライダル新聞の制作というビジネスがある。
ブライダル新聞とは、新郎新婦の紹介をスポーツ新聞ばりのド派手なレイアウト紙面で印刷して、披露宴の参加者に配るというもの。
まるで新郎新婦が大スターであるかのような紙面づくりで、ユーモアがあり、インパクトも大きい。
このような新聞号外を作って配るという演出は、以前からあったアイデアだが、これをもっと本格的なプロの技で、本物そっくりに仕上げるところが受けているのだろう。
これをビジネスとして展開しようと目をつけた人は先見の明がある。
確実に大きな市場が存在し、少ない投資で開業でき、仕入原価もほとんどかからなし、在庫もない。
顧客ごとの個別仕様、受注生産というところに手間がかかるが、結婚式用のブライダル新聞に限れば、紙面構成の基本レイアウトは共通で、写真と固有名詞が変わる程度。
記事の文章も、オリジナルのものを作る必要があるものの、基調は同じ。
専門性を生かしたあら利率の高いビジネスといえる。
しかし、市場が大きく、かつ、簡単に始められるということは、ライバルが増える可能性があるということでもある。
数年前、このブライダル新聞のビジネスをインターネットで展開している事例が書籍で紹介されていた。
そのときは、珍しい事例として捉えられていた。
ところが、いま、ネット上で「ブライダル新聞」を検索すると、膨大な数の同業者が上がってくる。
それだけ、参入障壁が低かったということだ。
数年前の客単価は、10万円ぐらいだった。
いまでは、3万円から4万円の業者が多い。
ライバルが多いために、価格競争が起きているのが分かる。
成功事例としては、年間300件の受注があるという。
すると、年商は1000万円ぐらいになる。
原価はほとんどゼロと見ると、十分独立した事業として成り立つ規模だ。
1つの案件は、受注から納品までが2週間から3週間かかるようだ。
すると、常に15件から20件ぐらいの案件が同時進行するということになる。
こうなると、取材執筆担当、レイアウト担当、印刷発送担当というように分業体制が必要になる。
個別仕様でありながら、高効率、なおかつ、しっかりした工程管理という、難しい営業体制が要求される。
もちろん、紙面づくりには独特の技術やノウハウがあり、レイアウトをプロのデザイナーが、記事文章を現役の新聞記者が書くことを売りにしている業者もある。
しかし、ブライダル新聞のレイアウトはたいてい決まっているし、記事の文章も基本的な流れは決まっている。
せっかく特別のデザイナーやベテラン記者が作ったとしても、どれほどの差異が生まれるのかよく分からないという欠点がある。
実際に、ネット上のHPを見比べてみると、驚くほど似かよっている。
客としてみたとき、これほどそっくりなHPがいっぱい並んでいると、選ぶのに苦労する。
先行して事業展開に成功した業者を、後追いのライバルがそっくり真似してしまうために、このような現象が起きてしまうのだろう。
後追いのライバルがそっくり真似することができてしまうというところが、このビジネスモデルの弱点だ。
最初にこのビジネスを思いつくのがいくら大変であったとしても、他者がHPを見れば簡単に真似できてしまうのでは、優れたビジネスモデルとはいえない。
ブライダル関連ビジネスの長所は、
1.市場規模が大きい
2.仕様がある程度、定型化できる
3.高い客単価が見込める
逆に短所は、
1.少子化、晩婚化、ジミ婚化による市場縮小
2.リピート客を期待できない
3.サービスの差別化がしにくい
ブライダル新聞ビジネスは、ネット上で始まった新しいビジネスモデルだが、既に成熟期に入ってしまっているのかもしれない。
業者によっては、ブライダル新聞以外の展開を始めているところもある。
ブライダル新聞を核に、新たな事業展開ができるかどうかが、この業界の生き残りのポイントだろう。
2007年05月13日
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