6月10日、地震調査研究推進本部地震調査委員会は、確率論的地震動予測地図の2016年版を公表した。
この地震動予測地図は、1,2年ごとに新たな研究データが出るたびに最新のものに更新している。
前回は、2014年12月だったが、1年半ぶりの更新だ。
2016年1月時点での確率を表示しているので、熊本地震の影響は考慮されていない。
2014年版と2016年版とを見比べても、はっきりした変化は見られない。
よく見ると、関東から四国にかけての太平洋側で、少しずつ確率が上昇しているのがわがる。
あと、内陸では長野県の一部で確率の上昇している部分が見られる。
それよりも、今回の予測地図の意味は、熊本地震直前の地震発生確率が分かるところにある。
九州は全体に発生確率の低いことが一目でわかる。
ピンポイントで確率を調べてみると、熊本は7.6%だった。
千葉市が85%、横浜市が81%と表示される一方、熊本市の7.6%はいかにも確率が低い印象だ。
2014年版では、熊本市の確率は7.8%だったので、むしろ2016年版では確率は小さくなっている。
ほかの地域では少しずつ確率を上昇させているところが多い中、確率が下がっているのは珍しい。
これが、熊本地震前に公表されていたら、熊本の人たちを油断させる効果しかなかっただろう。
今回の地震動予測地図の公表の目的は、ここにあったのではないだろうか。
つまり、地震発生確率は、あくまでも計算上の数値であり、次に発生する地震を予想するものでもないし、地震の起きない地域を特定するものでもない、ということだ。
本来、この地図は、地震発生の確率の高い地域に警戒を呼び掛けるのが目的だったが、一方で、発生確率の低い地域に油断させるような影響を及ぼしてきた。
近年起きた大きな地震はいずれも、発生確率が低く見積もられていた地域ばかり。
阪神淡路、新潟中越、能登半島、東北地方太平洋、そして、熊本。
発生確率が低くみられている地域は、準備が不十分なために、実際に地震が起きた時には、被害が大きくなる傾向がある。
地震発生前、熊本県のウェブサイトでは、地震発生の少なさをアピールして企業誘致を呼び掛けていた。
日本地図を表示して、余震の続く東北地方を「危険地帯」、過去120年間地震のない熊本を「安全地帯」と説明する念の入れようだった。
行政がこのような認識だったので、当然ながら、地震への備えはまともにできているはずがない。
日本列島に住んでいる以上、地震の起きないところはない。
どこにいても、地震発生の恐れは常にある。
「地震の起きないところはどこ?」という発想自体がナンセンスだと心得るべきだ。
この予測地図の活用の仕方はこうだ。
発生確率の高い地域は、大地震の発生は避けられないので、準備を確実に進める。
発生確率の低い地域は、不意打ちの地震に見舞われる恐れがあるので、準備を怠らない。
怖いのは、油断しきっている地域を襲う不意打ちの地震ではないだろうか。
2016年06月13日
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