舛添氏の政治資金騒動。
ようやく辞任ということで決着となりそうだ。
週刊誌による報道後、定例の記者会見で弁明を迫られ続けた。
当初は、強気で突っぱねていたが、第2第3のネタが毎週のように報道され、そのたびに弁明をする羽目になった。
不透明な政治資金の使途が次々に発覚し、いちいち弁明をするのも追いつかないほど。
そこで、彼がとった策略が、第三者なる弁護士を立てて、すべての案件を一気に決着つけようということだった。
その調査報告書があまりにもずさんで、とても第三者による厳しい調査には見えないことから、批判の声は一気に最大値に膨れ上がった。
一気に決着がつくどころか、疑惑の目がさらに細かいところに向かうこととなり、答弁の矛盾点が至る所にみられるようになる。
都議会の集中審議で、「リオオリンピックが終わるまで、今しばらく猶予を」と必死の懇願を行なったが、頼みの自民公明の辞任やむなしとの判断により万事休すとなる。
一時は、都議会の不信任案可決を受けて、議会解散の暴挙に出るのではとの憶測も流れたが、さすがにそこまでは理性を失ってはいなかったようだ。
今回の政治資金騒動は、舛添氏辞任の方向でしか決着しないことは誰の目にも明らかだった。
それなのに、彼の執念を感じさせるような粘り腰に、「なぜ?」という疑問が常にあった。
冷静な判断ができなくなっているのでは?
意固地になっているのでは?
リオオリンピックの閉会式に出たいから?
いろんな憶測があるが、本心はわからない。
リスクマネジメントの視点で今回の騒動をとらえると、舛添氏の対応は最悪のケースとなった。
彼にとって最悪の事態は、辞任に追い込まれることだが、その最悪の事態を避けるための行動が、自らを追い込むことになってしまった。
最悪の事態を避けているつもりが、さらに悪い状況を招いてしまう。
彼としては、最悪の事態を最悪の状況で迎えることとなった。
潮目が変わったのは、第三者による調査報告が公表された時点だ。
彼としては問題を先送りするうまい戦術だったが、役者が悪すぎた。
元検事の弁護士の態度が不遜で一般の人々を見下すような物言いで、反感を買った。
厳しい第三者による調査どころか、雇われ弁護士が依頼人の言い分を代弁しているだけだった。
都議会の審議では、細かい事実関係の検証が行われた。
細かい事実の確認になればなるほど、舛添氏の答弁はあいまいになった。
このことが、疑惑を深めた。
肝心のところは、何もわからないままだ。
正月の家族旅行の宿泊先で、出版社社長と政治的会合を行なったということすら、事実を証明できなかった。
出版社社長は実在しないのでは?
実在したとしても、正月に会っていないのでは?
単なる家族旅行の経費を政治資金でまかなっただけでは?
疑惑が最大限に膨らんだ状態での辞任となった。
スキャンダル発覚初期に潔く辞任していれば、細かい疑惑までほじくり返されずに済んだ。
政治家としてのダメージも最小限にとどまり、場合によっては再挑戦の機会も得られたかもしれない。
ところが、ここまで傷が深くなると、辞任したぐらいでは収まらなくなってしまっている。
一連の疑惑をきっちり解明しないことには都民が納得しない。
政治資金報告書の不実記載、領収書の偽造などということになると、明確な刑事事件に発展するからだ。
実際、それが疑わしい案件がそこかしこに見つかっている。
舛添氏のいまの心境は分からないでもない。
ほんの数万円程度の政治資金処理の問題で辞任させられることの悔しさ。
都知事として何の実績も残せないまま終わることの未練。
猪瀬知事の辞任を受けて、絶好のタイミングでつかんだ都知事の座をこんな無様な形で手放すことの無念。
いろんなところに恨みを残したままの辞任だろう。
振り返ったとき、辞任して事態を収拾できる最後のチャンスは、第三者による調査結果を公表する段階だった。
そこで、違法は一件もなかったことを明確に示したうえで、「不適切な処理があったことを認め、責任を取って辞任する」と表明すれば、道義的な責任を取ったということで決着できたはずだった。
その後の、細かい事実関係までほじくり返されずに済んだ。
それまでの過熱したマスコミ報道では、すべてが疑惑まみれで真っ黒という印象だったが、それが、真っ黒は1つもないことを明確にできただけでも高得点。
この時が、傷をもっとも浅く済ませることができた最後で最大のチャンスだったと言える。
だが、彼はそのチャンスを捨て、多くを望みすぎ、破滅した。
彼に政治家としての再起の目はない。
テレビタレントとしての再起の目も失っているだろう。
最悪の状況を迎えての幕引きとなった。
2016年06月15日
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