2016年12月01日

レジリエンス認証を目指そう

 2016年からレジリエンス認証がスタートした。
 レジリエンス認証とは、政府の内閣官房国土強靭化推進室が行う施策で、国土強靱化の趣旨に賛同し、事業継続に関する取組を積極的に行っている事業者を「国土強靱化貢献団体」として認証する制度だ。
 「国土強靭化貢献団体」というと何のことか分からなくなるが、平たく言うと、「まじめにBCPに取り組んでいる事業者を国が応援しよう」という制度ということになる。
 いま、国策として国土強靭化政策が進められているが、これは、国や自治体が対策をすればいいというものではない。
 民間の事業者も、同じように準備を進めてくれなくては、本来の国土強靭化にならない。
 民間事業者のBCPの取り組みは一部で取り組まれているものの、全体的な普及が進んでいない。
 普及が進まない理由としてはいろいろあるが、その中の1つとして、BCPに取り組むことのインセンティブが働かないということが挙げられる。
 つまり、せっかく苦労してBCPに取り組んだとしても、誰かに評価されるわけでも認められるわけでもないとしたら、ただ勝手に取り組んでいるだけで、そのメリットが感じられないというわけだ。
 そこで、まじめにBCPに取り組んでいる事業者を国が積極的に認めて、その活動を応援しようということになった。
 それが、このレジリエンス認証だ。
 レジリエンス認証制度に表向き「BCP」という言葉はあからさまに出てこない。
 だが、その目的はBCPの普及にある。
 BCPという言葉を避けているのは、この言葉が欧米発祥の概念であるし、国際規格にもBCP関連のものがあるために、それらとは別の日本独自の制度であることをはっきりさせる意味があるのだろう。
 BCPという言葉は使われていないが、やっていることは、ずばりBCPそのものだ。

 中小企業の中には、せっかくBCPに取り組んでいるものの、それで十分なのか不十分なのか、方向性があっているのか間違っているのかが分からないまま不安の中での取り組みになっている場合がある。
 そのような場合は、このような認証制度は非常にありがたい。
 この認証を得ることで、我が社のBCPは一定レベルにあることを客観的に証明される。
 認証を受けると、認証マークの使用を許可されるので、それを内外へのアピールに使うことができる。
 これが国の認証であることは、取引先に対しても絶大の信頼になる。
 自社の案内パンフレットや名刺、ウェブサイトに、認証マークを表示し、我が社のBCPをアピールできる。
 この認証制度を知らない人でも、このマークを見れば興味を示してくれるので、それをとっかかりにして、我が社の取り組みを知っていただける。
 この認証制度は、ISOのような国際規格と違い、日本の事業者の実態に合った審査が行われており、現実的で意味のある制度になっている。

 この認証制度の審査で重視されているのは、活動実績だ。
 つまり、BCP文書を作りましたというだけでは評価しない。
 BCP文書を作ることは当たり前だが、それだけでBCP活動が終了するわけではない。
 BCPを策定すれば、実際にそれに則った事前対策が行なわれなくてはいけない。
 行動計画があれば、それに基づいた教育訓練が行われなくてはいけない。
 BCPの見直しは常に行われているはずで、見直しのたびにバージョンアップがなされていなくてはいけない。
 そのような活動が行われているのかどうかが審査のポイントになっている。
 単なる文書主義や形式主義に陥ることなく、BCPの実効性に焦点を当てているところが特徴だ。
 
 もう1つの特徴は、経営トップの積極的な関与を求めていることだ。
 認証審査は、1次と2次に分かれる。
 1次審査は書類審査だが、2次審査は経営者ヒアリングが行なわれる。
 この意味は大きい。
 つまり、BCPは経営トップが関わるべき重要課題という位置づけを求めているのだ。
 総務の一担当者に任せっきりで、社長が感知しないというケースがあるが、この認証制度は、それを認めない。
 だから、面談による審査で、社長自身がBCPの内容を理解し、率先して活動を進めているかどうかが問われることになる。

 この認証制度で、求められる項目は多岐にわたるが、いずれも、まじめにBCPに取り組んでいる企業であれば、当たり前の内容ばかりで難しいことは1つもない。
 制度の趣旨がBCPの普及であり、厳しい審査で不合格を出すことは求められてない。
 むしろ、活動を応援してくれる制度だと理解したほうがいい。
 事業者の実態に合った審査をしてくれるところもありがたい。
 中小零細事業者が大企業と同じ評価基準で機械的にチェックされたら、すべて不合格になってしまうだろう。
 大企業は大企業にあったBCPがあり、中小零細事業者にはそれにふさわしいBCPがある。
 少々取り組み不十分なところがあったとしても、そこを指摘して、今後の活動の在り方をアドバイスしてくれる。
 そういう意味では、中小企業にとっても対応しやすく、意味のある制度になっている。

 大企業は、BCPの取り組みは行われていて当たり前で、このような認証をわざわざ取得するメリットは少ない。
 中小企業の場合、この認証取得のメリットは大きい。
 むしろ、中小企業へのBCP普及のために設けられた制度と言ってもいい。

 BCPに取り組む場合、このレジリエンス認証取得を1つの目標に置くことをお勧めしたい。
posted by 平野喜久 at 16:47| 愛知 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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