プロ棋士の三浦弘行九段が対局中に将棋ソフトを不正使用した疑い。
日本将棋連盟が設置した第三者調査委員会は
「三浦九段が不正行為に及んでいたと認めるに足る証拠はないと判断した」
と発表。
一方、連盟が年内の公式戦への出場停止処分を下したことは「やむを得なかった」とした。
今回の不正疑惑は、7月下旬からくすぶり始めていた。
三浦九段が対局中に頻繁に離席し、時にその離席が長時間に及ぶことがあり、その不自然さから不正行為の疑いがもたれ始めた。
8月には連盟が、不必要な離席を控えるように通達。
10月には、対局場への電子機器の持ち込みを禁止する措置を決定した。
ところが、三浦九段が竜王戦の挑戦者に決定したことから、対戦相手の渡辺竜王から連盟に問題提起が出された。
渡辺竜王の問題提起は、週刊誌に取り上げられるところとなり、その発行を目前に連盟側は三浦九段の出場停止処分を決定。
同時に、竜王戦の挑戦者を別に差し替えた。
その後、第三者委員会を設置し、一か月にわたって調査をしたところ、三浦九段の不正を疑わせる根拠がないことが判明した。
第三者委員会の調査によると、主に3点が指摘された。
1、30分に及ぶ離席はなかったこと
2.所有するスマホ等に将棋ソフトが存在しないこと。
3.将棋ソフトの手との一致率もそれほど高くないこと。
映像解析から、小刻みな離席は確かにあったが、30分にも及ぶ離席はなかったという。
30分の離席は、対戦相手から訴えられていたものだが、そもそも、疑いのきっかけと思われていた事実から違っていた。
それに、将棋ソフトの手と不自然なほど一致していることも指摘されていたが、実際にはばらつきがあり、一致率が高いと言っても、他の棋士でもソフトと手が一致するケースはよくあることと判断された。
特に、終盤になると勝ち筋は一本道になるので、実力のある棋士であれば将棋ソフトの手と一致するのはむしろ当たり前と言える。
不正を疑う者の中には、人間では考えられない手を打っており、この不自然さはプロでなければわからない、と言っているものもあった。
だが、これはかなり乱暴な見解だ。
「実力のある自分が見て不自然な手は不正によるもの」という決めつけは、あまりにも傲慢だ。
ここで問題は、対戦相手の渡辺竜王が三浦九段の不正を決めつけ、連盟に直訴したことではない。
直訴を受けた連盟側の対応に問題がある。
きっちりした調査もしないまま、三浦九段の出場停止を決めてしまったことだ。
なぜ、これほど処分を急いだのか。
それは、週刊誌報道が目前に迫っていることを知ったからだ。
竜王戦の開幕後に週刊誌が発行されると、大問題になり、竜王戦の中止に追い込まれるかもしれない。
それを恐れた連盟が、急いで挑戦者の差し替えを行い、竜王戦の無事な開催を優先させたのだ。
週刊誌は、騒動が大きくなることを目的として、竜王戦開幕後の記事発表を仕掛ける。
その記事発表は事前にリークし、騒ぎを大きくしておき、記事への注目度を最大に高めたところで週刊誌の売り上げ拡大を狙う。
連盟は、その週刊誌の策略に乗せられてしまった格好だ。
連盟は、自らの保身のために、三浦九段の棋士生命を犠牲にしたことになる。
連盟がこれほど神経質な対応になっている背景には、将棋ソフトの実力がプロ棋士をしのぐほどになってきたことがある。
人間では思いつかない手を打つと「これはソフトを使って不正を行なった結果だ」との疑惑が同じプロ棋士から上がる。
これは、プロ棋士事態が、自らのプロ将棋の世界を貶めているように見える。
いったいプロ棋士とは何か、というところが揺らぎ始めているのだ。
今回の将棋連盟の杜撰な対応は、連盟自体の信用度を下げたが、同時にプロ将棋の世界のイメージダウンももたらした。
将棋の公式戦はスポンサーの支えがあって、維持できる。
スポンサーの支えは、国民世論の動向次第。
国民の理解の得られないイベントはスポンサー離れを起こす。
第三者委員会は、出場停止処分はやむを得なかったとの判断をつけたしている。
これは、調査委員会としては言い過ぎだ。
調査委員会は不正の有無の調査を依頼されているだけで、連盟側の処分の是非まで問われていない。
、
2016年12月29日
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