2017年01月25日

なんでも鑑定団の内容に異論:曜変天目茶碗

 テレビ東京の看板番組『開運!なんでも鑑定団』。
 20年以上も続く人気長寿番組だが、それに騒動が持ち上がった。
 昨年12月20日の放送で、「曜変天目茶碗」が出品され、それが本物と鑑定され、2500万円の値段が付いた。
 ところが、放送直後から、あちこちから疑問の声が上がることになる。
 世界に3点しか見つかっていない曜変天目茶碗の4点目が見つかったのであれば、国宝級であり、その価値がたったの2500万円なんて安いはずがない。
 既に国宝指定されている他の曜変手目茶碗に比べると、まったく似ていない。
 そもそも、これは本物なのか。

 専門家も黙っていない。
 曜変天目を長年研究してきた陶芸家からは、「どう見ても中国の商店街に売られているまがい物にしか見えない」と厳しい指摘。
 中国陶磁器の研究をしている大学教授も、「本物である可能性は低い」とにべもない。
 この騒動は、海外へも飛び火し、中国からも異論が出ているという。

 「開運!なんでも鑑定団」は、ただの娯楽番組に過ぎない。
 一般の人が、自慢のお宝を持ち寄って、鑑定士に値段をつけてもらい、思いのほか高値がついてびっくりしたり、まったくの偽物との鑑定で大笑いになったり。
 その場の、たわいもない喜怒哀楽を楽しむのが目的。
 その内容に、専門家がむきになって反論するほどのものではない。
 
 だが、今回はただの笑い話では終わらなくなった経緯がある。
 それは、番組の放送前に、テレビ局がプレスリリースを流していたのだ。
 「番組始まって以来の最大のお宝発見!」
 国宝級のお宝が出るということで、番組放送前から注目が集まっていた。
 専門家も関心を寄せるのは当たり前だ。
 そうなれば、さまざまなところからいろんな意見が出るのは予測できたこと。
 その結果、専門家からも厳しい異論が噴出することとなった。
 これは、テレビ局側が招いた騒動だといえる。

 だが、テレビ局側は、今回の騒動については書面での回答で終わっている。
「鑑定結果は番組独自の見解によるものです。番組の制作過程を含め、この件について特にお答えすることはありません」
 番組内で鑑定した中島氏もコメントを出していない。
 プレスリリースでは、「国宝級の発見」と煽っておいて、問題が起きると「ただの娯楽番組」というところに逃げ込もうとしているように見える。
 
 お宝を出品した所有者のところには、心無い誹謗中傷が押し寄せているという。
 このままでは、出品者が被害者になってしまいそうだ。
 テレビ局が無責任な対応をしているために、出品者が批判の矢面に立たされてしまっている。
 このままうやむやでは済まない状況。
 出品者を守るためにも、番組の信用を取り戻すためにも、きっちりした対応をすべきだろう。




 
posted by 平野喜久 at 10:54| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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