NHKwebnewsの報道による。
地震の揺れの大きさについて。
表層地盤によって局所的に揺れが増幅する恐れがあるとして、国の研究機関である防災科学技術研究所が分析した。
いままでは、揺れの大きさは地盤の柔らかさによって決まると思われてきた。
だから、山間部は地盤が固いため揺れは小さく、平野部は地盤が柔らかいために揺れは大きくなる。
当然、平野部ほど建物の被害は多くなるというのが一般的な解釈だった。
ところが、去年4月の熊本地震では、必ずしもそうなっていなかった。
平野部でも、場所によって建物被害の大きいところと小さいところが極端に分かれていたのだ。
特に、河川流域は体積地層が深いので、建物被害は甚大になるはずが、そうなっていなかった。
むしろ、流域から離れた地域の方に被害が集中していた。
この謎は、表層地盤の厚さによるものだということが分かってきた。
表層地盤とは地表面に堆積した柔らかい粘土層の地盤のことを言う。
山間部は表層地盤が薄いので、地震の揺れは増幅されることがない。
これは従来からの解釈と同じだ。
問題は、平野部だ。
河川流域は表層地盤が厚い。
当然、地震の揺れは表層地盤で増幅されて地表に伝わるが、その揺れは非常に周期の長い揺れになって伝わる。
この周期の長い揺れは、地面を大きく揺さぶりはするが、低層階の木造住宅を破壊するような力を持たない。
一方、河川流域から離れた表層地盤が少し浅くなっている地域は、地震の揺れが増幅され、地表面に達するときには周期1秒ぐらいの揺れになる。
この周期の揺れが木造住宅に特に被害をもたらすことが分かっている。
熊本地震で、同じ震度7を観測した地域でも、場所によって建物の被害状況に極端な違いが見られたのはこういう仕組みだったのだ。
近い将来、首都直下地震の発生が懸念される関東地方。
従来の地質調査で揺れの大きさをハザードマップで公表されていたが、これが全面的に見直しを迫られている。
表層地盤の状況によっては、地震の揺れが、これまでの想定の1.5倍以上に強まる可能性のある地域が5000か所余りに上ることが明らかになった。
場所によっては、揺れの大きさが3倍以上となるところもあり、従来の被害想定がまったく当てはまらなくなっている。
今後は、他の地域の地盤調査も進み、より正確なハザードマップが作られるようになるだろう。
地震の調査研究は、常に進化しており、ハザードマップも常に塗り替えられている。
私たちが地震への備えを考えるときには、最新の情報に敏感になっておく必要がある。
2017年04月10日
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