2017年05月22日

地震予知研究の最前線:上空の電子数で予知できるか

 BS-TBS「諸説あり」5月6日放送:「地震予知は本当に不可能なのか」。
 この番組は、世に存在する様々な諸説を掘り起こし、徹底検証する情報バラエティだ。
 この回では、地震予知研究の最前線の紹介だった。
 京都大学教授の梅野健氏、東海大学教授の長尾年恭氏の研究が紹介された。
 梅野氏の研究は、「地震が起こる20分から1時間前に、その地域の上空で電子数に異常が見られる」というもの。
 熊本地震のデータを解析した結果を科学論文として発表し、話題となった。
 番組では、その時の異常データの時間変化が動画として紹介された。
 熊本地震の1時間前に、九州と北陸に異常を示す赤色のエリアが現れた。
 時間を進めると、北陸の赤色が消え、中国地方から九州にかけての地域だけ赤色が残る。
 しかも、赤色の地域は、帯状の畝のように縦に何本も発生しており、それが時間とともに西へ移動している。
 30分前になると、赤色エリアは九州だけになり、やがて地震発生となる。
 まるで、赤色のエリアが震源地に向かって集まってきているような動きがみられる。
 これを見れば、どこで地震が起きるか事前にわかるというわけだ。
 だが、私が映像を見た感じでは、これで、熊本地震の発生を予知できたという印象は持てない。
 30分前に赤色エリアが九州だけになるが、その赤色は主に福岡から宮崎にかけてのエリアに帯状に広がっている。
 そのあと、赤色帯は西に移動し続けるが、同時に中国地方にも再び帯が何本も等間隔で現れ、同じように西に移動し続ける。
 地震発生の時には長崎から熊本を通って鹿児島のあたりに1本の帯、大分のあたりにもう1本の帯が赤くなっている。
 たしかに、地震発生時に熊本のあたりも赤色になっているが、赤色の範囲は九州全土に広がっており熊本地震の発生をピンポイントで予知しているように見えない。

 この帯状の赤色エリアが日本列島の上に何本も平行に一定間隔で並び、それが同じ速度で西に移動している。
 これが、とても自然現象に見えないのだ。
 データの収集過程で何かノイズが入り、それが干渉を起こしているようにしか見えない。
 赤色エリアが移動して震源の熊本に向かって集まってきているように見えるのは、ただ干渉を起こした帯状の模様が左に動いていただけで、たまたま左の端に熊本があったということではないのか。

 梅野氏は、どうして地震発生直前に上空の電子数に異常が起きるのかは分からないとしている。
 「もしかしたら、地面の破壊現象が上空の電子数に影響を及ぼしているのではないか」と予想しているようだ。
 異常を表すエリアは、日本列島上に縦に帯状、それも複数が平行に均等間隔で並び、西へ同じ速度で移動する。
 ということは、地面の破壊現象も同じような動きをしているということか。
 地面の破壊現象がそんな規則的で幾何学的な動きをするはずがない。
 だとすると、別の原因でそのようなデータの動きをしていることになる。
 それが何なのかを解明しないことには、とても地震との関連は証明できないだろう。

 番組では、東日本大震災の時のデータ解析も紹介された。
 地震発生1時間20分前になると、日本列島のあちこちで赤いエリアが現れ始める。
 そのエリアは、現れては消え、消えては現れ、日本中をうごめいているように見える。
 20分前になると、近畿、中部、関東エリアに強い赤色のエリアがはっきり現れる。
 10分前になると、紀伊半島から御前崎の沿岸部に強い赤色のエリアが集中する。
 次の瞬間、このエリアの赤が突然消え、続いて関東地域が赤く染まる。
 と同時に地震発生となった。
 この時も、全国に広がっていた赤色のエリアが震源の方に集まっていく様子が見られると解釈していた。
 だが、東日本大震災の震源は宮城県沖であり、関東ではない。
 地震発生時、宮城県周辺は赤色になっていない。
 赤色エリアは全国をうごめいていたが、地震の被害の大きかった東北地方はほとんど赤くなることがなかった。
 東日本大震災も無理に解釈しようとしているが、とても地震の予兆を捉えているようには見えない。
 むしろ、10分前の映像を見ると、まさに南海トラフ巨大地震の想定エリアが真っ赤に染まっており、そちらの予兆であったと言った方が説得力がある。
 だが、真っ赤に染まった南海トラフ地震は発生せず、赤色に染まることのなかった宮城県沖で地震発生。
 これは、むしろ、このデータは予兆を捉えていないと解釈すべきではないのか。

 地震発生と同時に動画がストップしてしまい、そのあと赤色エリアはどのように動いたかは放送では分からなかった。
 東日本大震災発生後は、余震が頻発した。
 長野と静岡では誘発地震も起きた。
 その部分のデータを見てみたいものだ。。
 本当にデータが地震の予兆を捉えているのなら、地震発生後は、余震の続く東北太平洋側全体が常に真っ赤に染まっているはず。
 東日本大震災は日本の観測史上最大規模の地震だった。
 だったら、異常データもいままでに見たこともない最大規模で表れていなければおかしい。
 たぶん、データはそのようになっておらず、見せられないのだろう。

 「上空の電子数に異常がみられる」という表現をしているのも、違和感がある。
 異常とは何か。
 電子数が増えるとも減るとも言っていない。
 たぶん、電子数が突然増えたり減ったりする現象をとらえているのだろう。
 それを「異常」とみなして、地震の予兆と解釈しているのだ。
 本当に捉えたデータ値の変化は、電子数の異常なのか。
 どうして電子数に変化が生じるのかが分からないのに、「異常」と決めつけるところに恣意的な解釈が入ってしまっている。
 
 これは科学論文として発表されているのが救いだ。
 他の科学者によって、しっかり検証されるのを待ちたい。
 
 
 
 
 
 
posted by 平野喜久 at 00:46| 愛知 | Comment(0) | TrackBack(0) | リスクマネジメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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