2017年06月14日

そっくり表紙の料理本:小学館の広報戦略

 そっくりな表紙の料理本が話題になった。
 話題になったというより、小学館が話題にした、と言った方がいいかもしれない。

 小学館は12日、同社ムック「やせるおかず 作りおき」に、新星出版社「やせるおかずの作りおき かんたんレシピ177」のタイトル、表紙カバーデザインが酷似しているとし、新星出版社に対して販売中止などを求める申し入れをしたらしい。
 それを公式サイトで発表したため、一般に知られるところとなり、メディアでも取り上げられるようになった。

 小学館の料理本は『やせるおかず 作りおき』。
 新星出版社の料理本は『やせるおかずの作りおき』。
 カバーデザインについても、写真素材、文字の置き方、色使い、レイアウトなど、よく似ている。
 だが、料理本のカバーデザインは、どれも似てしまうのは仕方ないのではないか。
 他にも料理本は山ほど出版されているが、イメージはよく似ているという印象を受ける。
 題名も、「やせるおかず」も「作りおき」も一般名詞で、オリジナリティを主張できるほどのものではない。
 そもそも、書籍の題名には著作権は存在しないというのが常識だ。
 小学館では同じ著者による「やせるおかず」シリーズを出しており、この流れに便乗しようとする動きを牽制したいとの思いがあるのだろう。
 しかし、「やせるおかず」「つくりおき」という言葉を書籍の題名で最初に使ったのは小学館ではない。
 それ以前から、同種の料理本は存在したのだ。
 小学館に他社の物まねを非難するほどのオリジナリティはない。
 
 それに、似ているのは題名とカバーデザインだけ。
 内容は当然ながら全く違う。
 料理レシピにまで、そっくりな部分があれば、もっと騒動は大きくなっただろうが、そのような気配はない。

 小学館の「やせおかシリーズ」の売れ行き好調を見て、新星出版社が自社でも売れ筋の出版企画を立ち上げたのは間違いないだろう。
 その意味で、他社の売れ筋商品をまねた、ということは言える。
 だが、こんなことはどこの業界でも当たり前にあること。
 
 小学館も、賠償請求しているわけでも裁判に訴えたわけでもない。
 新星出版社に出版停止を申し入れをし、それをウェブサイト上で公開しただけだ。
 (ついでに、マスコミ向けのプレスリリースもしただろう)
 今回の件が、著作権や商標権の侵害に問えるとは思っていないし、これで相手が販売を取りやめるとも思っていない。
 ただ、世間の話題になってくれれば目的は達成されたことになる。
 結果として、いろんなメディアがこの話題を取り上げ、この本に世間の注目を集めることに成功した。
 いま、Amazonのランキング11位を得ている。
 これも、1つの広報戦略かもしれない。
posted by 平野喜久 at 09:24| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック