2017年06月25日

官邸の危機管理の失敗:森友加計問題

 森友学園問題に続いて、加計学園問題が持ち上がり、沈静化しそうにない。
 いろんな内部文書が次々に外部流出し、その内容が実に思わせぶりなものばかりなので、憶測が憶測を呼んでいる。
 総理の不正な働きかけがあったことを確信させる情報はいまだに見つかっていない。
 なのに、なぜ、これほどこの問題が尾を引いているのか。
 それは、ひとえに官邸が危機管理に失敗したことによる。
 安倍政権は、過去に1度政権運営に失敗している。
 その経験から、ここまでは非常に慎重でうまい政権運営を行なってきた。
 少々問題が起きたとしても、先手先手で手を打つことで、初期消火に成功していた。
 例えば、大臣の不祥事が発覚しても、マスコミや野党がが騒ぎ出す前に先手を打って更迭した。
 初動の迅速さとメディアコントロールのうまさが際立っていた。
 この危機管理のうまさが、安倍政権の長期化をもたらした源泉になっている。
 
 ところが、今回は違う。
 明らかに初動を間違えた。
 森友学園問題が持ち上がった時、官邸は「取るに足らぬ問題」と簡単にはねのけるつもりだった。
 これが、その後、大火事になるなんて思っていなかったのだ
 総理も高圧的で強気の国会答弁に終始し、「関与があったら国会議員を辞める」とまで言い切ってしまった。
 これが、初動の失敗その1だ。
 組織の不祥事が発覚した時に犯してしまいがちな間違いは、「強気ではねのけて事態を強制終了させようとすること」だ。
 これは、事態を収拾させるどころか、さらに騒動を大きくさせる効果しかない。
 過去、企業不祥事においても同じミスで騒ぎを大きくし、のちに進退窮まって最悪の事態を迎えたケースは多い。

 総理の「関与があったら」の発言は、野党やマスコミの追及を勢いづかせ、官邸は、その追及をいちいち否定し続けなければならなくなった。
 ここで、厳しい追及から逃げ続ける官邸の姿だけがイメージされることとなった。

 森友問題に手詰まり感が出てきたところで、どこかからか加計学園問題が急浮上した。
 どうして、この問題が浮上したのかは不明。
 ただ、官僚の側から、野党やマスコミに情報がリークされ続けているのは確かだ。
 民進党のある議員のもとにも内部文書がリークされ、その内部文書に基づいて国会質問が展開した。
 その内部文書には「総理のご意向」という文言が入っていた。
 官房長官は、「出どころもはっきりしない怪文書だ」と全否定で切り捨てた。
 これが、失敗その2.
 この文書の内容は特に総理の不正を確定させるような情報は何もなかった。
 むしろ、総理が主導権を握って官僚側に働きかけ、規制緩和を進めていることを証明する内容だった。
 だが、官房長官が慌てて全否定したことで、却ってここに不都合な内容が含まれているのではを勘ぐらせることになった。
 文科省内でも調査を行なった結果、文科大臣が「そのような文書は確認できなかった」と言ってしまった。
 これが、前川前事務次官の記者会見につながり「あったものをなかったことにはできない」との発言を引き出した。
 文科大臣は再調査に追い込まれ、同内容の文書が存在したことを公表せざるを得なくなった。
 ここで公表された文書以外の関連文書がマスコミにリークされ、文科大臣は後追いでその存在を認めるという醜態を繰り返す。
 ここでは、文科大臣の力量不足が露呈している。
 大事な記者会見でも、準備されたペーパーを読んでいるだけ。
 主体的に取り組んでおらず、すべてが受け身。
 自分の果たすべき役割が分かっていないように見える。
 問題を明確にし早々に事態収拾に動けるはずの一番の当事者でありながら、その意志と能力が見られない。
 さらに文科副大臣までもが、国会答弁で官僚の用意したペーパーを朗読しているだけ。
 そのぶっきらぼうな答弁が批判の対象になったりした。
 文科省内部からリークが続くのは、トップの無能によるところが大きそうだ。 

 今回の官邸の危機管理は、常に後手の対応に追い込まれており、事態をコントロールできていない。
 森友も加計も冷静に問題の本質を眺めてみれば、これほど大騒ぎするほどの問題は存在していない。
 にもかかわらず一向に収束しないのは、官邸の対応のまずさによる。
 たぶん、この問題が持ち上がった時、官邸の側も何が問題なのか把握できていなかったのだろう。
 誰もこれが問題だと思っていなかった。
 総理自身も、自分が不正に何かを働きかけた覚えがないから、強く否定すれば終わる話だと思っていただろう。
 だが、絶好調の安倍政権への攻撃材料を失っていた野党にとっては、千載一遇の大チャンスだということを忘れていた。
 この大チャンスをみすみす逃すわけがない。
 簡単に消えないように、ちょっとした火種にひたすら風を送り続け、燃料を投下し続けた。
 それがいまや大火事にまで広がってしまった。

 今後、官邸ができることと言えば、内部リークの先手を打って情報公開をし、全容の説明責任を果たすことしかない。
 野党やマスコミに追及されてからそれに答えているだけでは、言い逃れに終始しているようなイメージしか醸成されない。
 野党やマスコミの行く手を先回りして、情報発信していくことができるかどうか。
 今回は、時が来れば沈静化することはない。
 野党がせっかくの火種を消すことはないからだ。
 内閣支持率の急降下をみて、野党もこのネタの効果を実感している。
 対応を誤ると、安倍政権に次はない。

 

posted by 平野喜久 at 11:02| 愛知 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック