2017年06月28日

アマゾン流出版界翻弄

 本日付読売新聞の解説記事による。
 ネット書店の大手アマゾンが出版社との直接取引を拡大させる動きを見せているらしい。
 通常は、出版社の本を取次を通して仕入れている。
 一般の書店と同じだ。
 だが、取次に在庫がないと、取り寄せということになる。
 取り寄せも取次を通して発注するので、納期は8日から2週間かかる。
 ネット書店の注文は、翌日か、遅くても3日以内のお届けが普通だ。
 スピードが命のネットビジネスにおいて、取り寄せに2週間もかかっているようでは、話にならない。
 消費者の購買意欲もそがれる。
 そこで、バックオーダー発注については、取次を通さず、直接出版社から取り寄せることを検討し始めたという。
 こうすれば、出版社にとっても販売機会を逃さずに済むし、消費者にとっても読みたい本が読みたいときに手に入る。
 
 この動きに取次は警戒している。
 あきらかに取次の中抜きの動きだからだ。
 もともとネットビジネスは中間業者の排除に直結するものだった。
 それは出版業界でも同じ。
 いままでは、取次のパワーが強かったので、この構図に揺らぎはなかったが、ネット書店の台頭で、その力関係が揺らいできた。
 
 いま、出版物の販売額は97年をピークに一貫して減少している。
 書店の売上が減少しているためだが、一方で、ネット書店の売上だけは上昇傾向にある。
 といっても、ネット書店の売上は全体の10%も満たない。
 まだ、全体に影響を及ぼすほどの勢力にはなっていない。
 出版社としても、リアル書店を無視できないのだ。
 リアル書店に本を流すには、取次を通さなくてはならない。
 出版社としては、取次を中抜きするような行動を取りにくい。

 しかし、弱小出版社にとっては、取次を通さない直接取引にはメリットが多い。
 弱小出版社の出す本は、専門性が高く、対象読者が少ない。
 ネット書店でピンポイントで検索されて注文されるケースが多い。
 もともと、取次には重要視されておらず、リアル書店への配本も期待できない。
 ならば、Amazonと直接取引できた方がありがたい。
 しかも、直接取引なら、取次を介するよりも有利な条件で取引可能だ。
 すでに一部の出版社とは直接取引が始まっていて、全体の3割に上っているという。
 この傾向は今後、ますます強まっていくだろう。
 
 出版業界は、長期低落傾向に入っており、明らかに構造不況業種になった。
 出版不況という構造的な問題に加え、ネット書店の攻勢という新たな脅威にさらされている。
 この流れは、当面、変わらない。
 出版業界は、Amazonの積極攻勢に防戦一方で、先回りして先手を打つことができていないように見える。
 
 


 
posted by 平野喜久 at 09:30| 愛知 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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