2017年08月03日

偽ニュース拡散実験:不思議な研究

 読売新聞の記事による。
 ドイツの研究者がフェイスブックに架空の情報を載せて、フェイクニュースが拡散する実験調査をしたという。
 その研究者は、シュツットガルトのホーエンハイム大学に所属。
 行なった実験とは次のようなもの。
 報道機関を装った4つのページを開設。
 「バート・オイレンでは難民申請者が町の予算で性的サービスを受けられる」という偽ニュースを流した。
 偽ニュースは、公開から4日で約1万1000人が閲覧。
 閲覧者が自分のページに取り込みシェアした回数は150回を超えた。
 偽ニュースのコメント欄には様々な書き込みが行われた。
 ニュースを信じ込み、難民に対する反感を募らせるもの。
 「バート・オイレン」という地名が存在しないなど、偽ニュースであることを見抜いたもの。
 調査は1か月続けられた後、調査のための架空の情報だったことが明かされた。
 この研究の結論は、「偽ニュースは大きな反響を生み出した。多くの人はフェイスブックの友人などを通じて知らされる情報をうのみにしており、審議の判断は極めて難しい」となったらしい。

 このニュースの注目点は、フェイクニュースの社会的影響度についてではない。
 こんな研究実験が堂々と行われたという点だ。
 日本では、こんな研究は、事前の倫理審査の段階ではねられる。
 無理に実施したとしても、故意に偽ニュースを流した行為そのものが猛烈な批判を浴びる。
 しかも、偽ニュースは、人種差別的偏見を刺激するような内容になっている。
 この偽ニュースの中の「難民」の部分を「在日外国人」に置き換えたらどうなるかを考えれば、その問題の大きさが分かる。
 たとえ研究のための実験だとしても、わざとこのような偽ニュースを流して、社会的影響を及ぼそうという行為そのものが反社会的行為として、避難されるだろう。

 ところが、ドイツでは、故意に偽ニュースを流した調査手法に対する批判は起きていないのだという。
 偽ニュースの内容は、難民への反感を煽るような内容であり、反応が拡散しやすい刺激的な内容を敢えて選んでいる。
 これでは、偽ニュースの社会的影響を研究した実験というより、国民の難民への偏見を確認した実験にしかなっていない。
 さらに、偽ニュースの社会に及ぼす影響は、過去に実例が山ほどあり、その実態を調べれば十分で、わざわざ同じような実験を行う必要性は低い。
 「偽ニュースは大きな反響を生み出した」という結論は、こんな実験をするまでもなく、誰もが知っていることで、ここに新しい知見はない。
 もしかしたら、これは研究というほどのものではないのかもしれない。
 無名の研究者が、悪ふざけでこんな遊びをしてみました、という程度ではないか。
 思いのほか反響があったので、それを社会的な実験という名目で結果を公表したように見える。
 
posted by 平野喜久 at 09:01| 愛知 ☁| Comment(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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