衆院選の真っただ中、序盤における情勢分析が各メディアから出ている。
その内容を見ると、いずれも「与党優勢、希望伸び悩み」との結論となっている。
一時は、台風の目となりそうとの観測もあった「希望の党」、途中で潮目が変わり、完全に風は凪いでしまったようだ。
では、いつ潮目が変わったのか。
メディアでは、代表の小池氏の「排除します」という発言をきっかけに民心が離れたと分析している人が多い。
民進党が事実上解党し、全員が希望の党の公認候補として立候補するとの報道があり、そのことに対する小池氏の発言として飛び出した「排除します」という言葉。
「民進党議員を全員受け入れるということはなく、希望の党と方向性の違う人は排除する」という意味であるのは明らかだ。
民進党議員を全員受け入れていたら、希望の党は旧民進党の看板を掛け変えただけの政党になってしまい、新党の意味がない。
そんなことができるはずもなく、そこには当然選別が行われなくてはいけない。
その当たり前のことを小池氏は答えたに過ぎない。
だが、「排除」という言葉が。民進党議員の不興を買った。
小池氏の高飛車な態度に反発し、希望の党への入党を拒否する人が出てきて、一部の人たちが無所属での立候補を決めたり、立憲民主党という新党を立ち上げたりした。
このあたりから、希望の党の人気が下がり始めたようだ。
希望の党の人気凋落のタイミングとしては、「排除します」発言あたりからというのは間違いなさそうだ。
しかし、「排除します」発言が民心が離れた原因であったと見るのは違うだろう。
確かに、「排除」という言葉は強烈で、高飛車なイメージがある。
だが、この強烈なメッセージで世論を味方につけるのは小池氏の真骨頂だ。
過去の強烈メッセージは人気獲得に成功したが、今回だけは失敗したというのでは筋が通らない。
この排除という言葉に反発したのは、元民進党議員だけだ。
国民は、小池氏に排除されようとしているわけでもなく、この言葉に反発を覚えるはずがない。
人気凋落の本当の原因は、小池氏の「排除します」発言にあるのではなく、「排除しますと言いながら、排除しきれなかったこと」にあるのではないだろうか。
つまり、民進党のイメージが定着してしまっているような有名な議員は排除したが、それ以外の民進党議員の多くを受け入れてしまったことが、国民の不信感につながったのではないか。
安保法案に反対し、議場でプラカードを掲げて審議妨害をし、強行採決の映像を撮らせていた元民進党議員たち。
同じ人たちがこぞって従来の主張をひっくり返し、希望の党に鞍替えしているのだ。
希望の党からの立候補者のうち、ほとんどが元民進党議員か元民進党候補予定者で構成されることとなった。 排除しますと言いながら、候補者数を確保するために、なし崩し的に受け入れてしまったという感じが否めない。
これでは、民進党の亜流ができただけで、何も新しくない。
最近は、小池氏も「安倍一強をなんとしても終わらせる」「モリだ、カケだ、忖度だ」と言い始め、愕然とした。
これは、元民進党の言っていたことと同じだからだ。
いろんな人を党内に抱え込んでしまったために、「反安倍」でしかまとまれなくなっているように見える。
政策提言ができず、「反安倍」でしかまとまれないというのは、旧民進党の欠点だった。
希望の党は、その欠点をそのまま引き継いでしまっているのではないか。
希望の党の凋落は、「排除します」が原因ではない。
排除しますと言いながら、排除しきれなかったことが原因だ。
2017年10月15日
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