17日付読売新聞の記事による。
政府は、南海トラフ地震などの巨大地震の発生直後、全国各地の被災状況を推定し、企業に有料配信することを決定した。
防災科学技術研究所が開発したシステムで、当初は、被災地での救助・復旧を迅速に進めるため、内閣府の大型研究プロジェクトとして取り組んできたもの。
この情報は、政府内にとどめるのではなく、広く民間事業者にも広げることで、早期の復旧につなげようとする狙いがある。
このシステムは、全国約5000地点の地震計の記録と地盤や建物の構造のデータ、昼夜の人口などから、各地の震度や建物被害、死傷者数を推定する仕組み。
250m四方ごとの精度で情報提供されるらしい。
希望する企業は、月額48,000円を負担。
支店、工場、取引先などの地域を登録。
複数地点で震度3以上の揺れが生じると、20分以内に推定結果を企業に配信する。
このシステムは、全国に拠点や関連会社を持つ大企業には有効だ。
重要拠点が全国に分散している場合、地震発生後にまずやらなければいけないことは、各拠点の被災状況を把握することだ。
この被災状況を把握しないことには、次の行動が起こせないからだ。
正確な情報まではつかめないにしても、まずはこのシステムによる推定情報をもとに、どのエリアにどの程度の被害が予想されるのかを把握できれば、まずは今後の活動方針が決められる。
これだけでも、緊急時の初動に違いが出る。
情報の遅れは初動の遅れにつながり、それが結果の良しあしに直結する。
いち早く状況把握するツールとして、このシステムは心強い。
いまは有料配信でスタートするが、ゆくゆくは一般に公開される方向だろう。
ただ、運用が始まったばかりで、どの程度の詳しい情報がどの程度の精度で提供されるのかはよく分からない。
このシステムは、震度情報から各地の被害状況を推定するというもの。
被害状況を確認した結果を集約して配信するものではない。
全国に拠点があり、地震直後から行動開始しなければならない企業にとっては必要な情報だ。
だが、地域密着で取引先もエリア限定的な中小企業には、不確定な推定情報よりも、現地の正確な情報収集の方が優先される。
2019年07月18日
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