世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、記者会見で、新型コロナウイルス感染症について「パンデミック(世界的大流行)だ」と述べた。
今さらとの感じが強い。
既に世界の報道で感染が世界的に広がっていることはみんなが知っており、それを後追いでWHOが確認しているだけだ。
今回のWHOの対応については、不信感が広がっている。
本来なら、各国の対応は、WHOの見解を判断基準に進められるはずが、そうなっていなかった。
思い切った提言や、先手先手の注意喚起などはまったくない。
むしろ、初めのころは、世界が騒ぎすぎないように控えめなメッセージを発しし続けていた。
特に、今回の発祥地、中国に対する気遣いは甚だしく、中国のイメージ低下につながるようなコメントは極力避けていたように見えた。
むしろ、中国はよく対応していると高い評価を与えていたぐらいだ。
逆に、中国以外の国の状況については、容赦なく感染拡大の懸念を表明するなど、中国の問題から関心をそらせるような言動ばかりが目立つ。
一時は、日本も感染拡大の懸念対象国の中に含まれていた。
そのせいで、日本からの入国を拒否する国が出始めた。
中国以外の国のイメージ低下には、ほとんど無頓着であることが分かる。
今回のパンデミック表明も、中国での感染拡大が収まってきたのを待っていたように見える。
いまや問題の中心は中国以外の国々に移っており、パンデミックは世界の問題と堂々と言えるようになったということだろう。
本来は、WHOは、国の利害を超えた客観的な立場で、科学的な根拠に基づいて、いち早く世界に向けて情報発信を行ない、各国に同じ方向で行動を促す機関でなくてはならないはず。
ところが、WHOはその信頼を失い、国の判断のよりどころにはならなくなっている。
単に、各国の報道を見ながらコメントを発しているだけの、お茶の間の評論家レベルに堕している。
日本も含め、各国の初動に遅れが見られたのは、このWHOの責任が大きい。
2020年03月12日
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