コロナリスクが継続している。
緊急事態宣言が発出されて以降、人々の行動は変わった。
東京、名古屋、大阪などの都市部では、明らかに人出が減少した。
新宿:81.9%減、名古屋:80.9%減、梅田:87.8%減。
公共交通機関も、利用者の減少が目立つ。
特に長距離の特急電車は、ほとんど空の車両を走らせているような状況だ。
その甲斐あってか、感染者の減少傾向がみられるようになってきた。
まだ、予断を許さないが、行動自粛の効果は確実で出始めている。
さて、企業にとって、このコロナリスクは、深刻だ。
リスクは2種類ある。
1つは、従業員が感染し出社できなくなるリスク。
もう1つは、経済停滞による需要減少のリスク。
従来、パンデミックBCPは従業員の感染リスクだけを想定しているケースが多かった。
だが、いまの日本では、欧米のように感染爆発には至っておらず、このリスクはそれほど大きくない。
それよりも、深刻なのは、国民の行動自粛による経済の停滞だ。
飲食業、観光業、宿泊業については、行動自粛が需要の消滅に直結しており、既に深刻な状況にある。
国民の行動自粛が直撃しない業界でも、間接的にその影響は出始めており、事態長期化にともなって、その影響は大きくなる。
新型感染症リスクは、簡単には終わらない。
一般には、二冬超えないと終わらないと言われている。
すると、夏場に一旦小康状態に至ったとしても、次の冬場に第2波がやってくることを覚悟しなければならない。
過去の例では、第1波よりも第2波の方が被害が大きいということもあった。
いま、日本では感染拡大が落ち着く方向にある。
一旦小康状態になったら、その時が非常に重要な時間となる。
今までの分を至急取り戻すと同時に、やがてやってくる第2波への備えを万全にする時間だからだ。
パンデミックBCPでは、単なる感染予防の話だけでは終わらない。
長期的経済停滞への備えの方が重要度が高い。
従来通りの業務のやり方や事業内容では立ち行かなくなる。
ならば、我が社はこの難局をどのように乗り越えていったらいいのか。
これは、戦略的に考えていく必要がある。
今回のコロナリスクに直面して、既に新たな試みを始めている企業は続々と出始めた。
酒造会社が、高濃度アルコールの消毒剤を製造。
老舗料亭が、サテライトオフィスの場所貸し。
雨合羽メーカーが、医療用防護服の製造。
ホワイトボードメーカーが、アクリル板による防護壁の製造。
これらは、我が社の技術力をいまの需要に役立てようとする試みだ。
飲食店が、テイクアウトのメニューを開発。
野菜の卸業者が、新鮮野菜の通信販売。
学習塾がオンライン指導。
音楽アーティストが、コンサートのライブ配信。
これらは、お客様へのアプローチの仕方を変える試みだ。
昨日ウェブ会議である中小企業の社長と話をすることができた。
その会社では、2009年の新型インフルエンザの時に、パンデミックBCPの準備を始めたという。
マスクや消毒剤の備蓄は十分あった。
感染症が始まった時の行動計画も既に作ってあった。
在宅勤務の備えもしてきた。
今回は、計画にのっとり、3月には一部社員を在宅勤務に切り替え、4月からは全社員を在宅勤務にした。
事前の準備のおかげでスムーズに移行できたらしい。
この社長は、前回の新型インフルエンザの時に、新型感染症は10年に1回起きるリスクだということを認識しており、まさに今回がその時だと捉えて迅速に行動したようだ。
当初は、社員から「そこまで大げさにしなくても」という声もあったそうだが、結果として正しかった。
この夏場の小康状態の時が非常に大事だ。
いままで備えのなかった企業は、その遅れを取り戻し、第2波に備える貴重な時間となる。
コロナリスクは、まだまだ始まったばかりだ。
長期的な視野で生き残り戦略を準備していこう。
2020年04月28日
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