世界中でワクチン接種が急ピッチで進められており、その効果が出始めている。
ワクチン接種が順調に進んでいるのはイギリスだが、日によっては陽性者がゼロになるケースも出るレベルまで感染状況は落ち着いてきた。
ワクチン効果の高さがうかがえる。
それでも、1回のワクチン接種がようやく6割程度まで来たところで、集団免疫には道遠い。
BBCのニュースによると、インド由来の変異株の感染拡大がイギリスの一部地域で起きており、予断を許さない状況だという。
アメリカもワクチン接種のおかげで、感染状況はかなり落ち着いてきた。
ところが、感染状況の落ち着きとともに、人びとの警戒が緩み、なし崩し的に感染防止策がうやむやになりつつあるようだ。
既に人々はマスクを着けず、手洗い消毒も行わず、飲食店は通常営業、コンサートホールでは今までの遅れを取り戻そうと連日イベントのラッシュだそうだ。
ワクチン接種も途中までは順調に進んだが、今ではワクチン接種しようという人がいなくなってしまった。
やむなく、ご褒美を上げたり、ビールを飲ませたり、宝くじで大金が当たると誘って、ワクチン接種を無理やり進めている状況だ。
もともと、アメリカでは政府の政策に反抗する勢力が常に存在しており、行動自粛の呼びかけもマスク着用の呼びかけも無視するような一定層がいた。
ワクチン接種にも信念をもって拒否をする人々もある程度のボリュームで存在するのだそうだ。
アメリカでは1日に何十万人もの陽性者が出ていたころに比べるとかなり落ち着いてきたが、それでも、1日に2万人もの陽性者が出ており、これ以上減る様子がない。
アメリカは、完全終息は見込めず、今の状況が常態化するのかもしれない。
さて、日本はどうか。
先進国中では最もワクチン接種が立ち遅れている。
だが、これは、先進国中で最も感染状況が小さいことの裏返しでもある。
ワクチンも既に全人口を賄える分量を手配済みだが、これも、オリンピック開催を理由付けにした粘り強い交渉の成果であって、これほど感染状況が小さい国に優先的にワクチンを回すということは常識ではありえない話だ。
医療従事者についてはほぼすべての人に1回目のワクチン接種が行われ、いま高齢者のワクチン接種が盛んにおこなわれている。
この高齢者向けのワクチン接種も、開始当初は、希望者が殺到し、予約システムのトラブルや会場のオペレーションの不備が問題になることもあったが、軌道に乗り始め、いまでは大規模接種会場では予約枠が余るほどになってきた。
意外に早く余裕が出始めたので、企業や大学向けの集団接種も今月中には開始することになった。
企業単位の集団接種であれば、組織的な対応が可能で、混乱なくスムーズに進みそうだ。
働いている人は職場で接種し、それ以外の人が地元の自治体の接種会場で、というようにすみわけをすることで、混乱と集中を避けることができる。
中小企業の場合は、地域の商工会議所が主体となって集団接種を進めていくことになる。
いままでは自治体のオペレーション能力が問われていたが、今後は、各企業の対応力が問われる段階になる。
ワクチン接種は、誰から順番に進めるのか。
社長からか、現場の作業員からか。
今から検討しておくべきだ。
また、同じ職場の従業員を同日に一斉に接種させてしまうと、翌日には職場が倦怠感を覚える人だらけになってしまう。
副反応は、若い人ほど強く出やすい。
このあたりも考慮しながら接種の順番を決めていくことになる。
3月にイギリスの研究所が出した各国の集団免疫に達する予想時期を見ると、日本は来年の4月8日、となっていた。
それほど日本のワクチン接種は遅れに遅れると予想していたのだ。
ところが、ワクチンの集団接種のような単純なオペレーションは日本人の最も得意とするところだ。
一度効率のいいシステムができれば、そのあとは猛スピードで進んでいくだろう。
もしかしたら、秋口にはワクチン接種の効果が表れ始め、次の冬にはかなり感染状況が抑え込めるのではないだろうか。
今後の課題は、3つ。
1.変異株の動向
2.ワクチンの有効性
3.日常復帰のタイミング
コロナ終息はまだまだ先だが、状況は最終局面に差し掛かっている。
私たちは、次を見据えた準備を進めていく段階にある。
2021年06月09日
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