ドジャース・大谷翔平投手は25日午後2時45分(日本時間26日6時45分)、
水原一平通訳が違法賭博問題で解雇された件に関して、声明文を発表した。
記者会見という形式だったが、質疑応答はなく、用意された主張を一方的に表明しただけなので、実質「声明文の発表」となった。
結論は、「スポーツ賭博に関与も送金していた事実はない」「水原氏が口座から金を盗み、嘘をついていた」という2点。
日本では大谷投手に同情的な報道が多かったが、アメリカメディアの中には、「オオタニが主犯で、通訳はいけにえにされたのでは」という疑惑が上がっていた。
まずは、その疑惑を全面否定するために行われた会見だったようだ。
だが、その内容は、いままで代理人が発表していたストーリーを大谷投手の言葉で詳しく説明し直しただけのもので、新たな発見はほとんどない。
たぶん、事前の打ち合わせが綿密に行われていたのだろう。
これで疑惑は払拭されたかというと、ほど遠い。
自らの言葉で語ったということで、人柄の良さが実感され、ファンにとっては高評価の会見だった。
だが、肝心の疑惑が残ってしまったという点では残念な会見だった。
なぜアメリカメディアで「オオタニが主犯ではないのか」という疑惑が持ち上がったのかというと、別にアジア人の活躍を快く思わない人が言いがかりをつけているわけではない。
他人が不正にアクセスして高額の送金を何度も繰り返すことができてしまったことが不自然だからだ。
いまは、マネーロンダリングの警戒から、高額送金については金融機関は何重ものセキュリティチェックを設けており、正規の送金でも手続きは面倒なことこの上ない。
なのに、水原氏は堅牢なセキュリティを突破し、本人に気づかれないように高額送金を繰り返すことができたという。
そんなことは不可能だろう、と考えるのが常識だ。
だから、「オオタニが主犯」という疑惑が持ち上がったのだ。
ということは、「僕は何も知らない」ということをいくら繰り返しても、疑惑の払拭にはつながらない。
大谷投手も同じ疑問を持ったのなら、「いま銀行側に問い合わせている」という言葉があってしかるべきだった。
水原氏が不正アクセスできた理由を知りたいと多くの人が思っている。
この知りたいというのは、単に興味本位で真相を暴きたいという意味ではない。
これが、例えば銀行側のセキュリティに誰も知らない重大な穴があり、そこを突破された、というのなら、これは一人のスポーツ選手の話にとどまらず、社会全体に影響の及ぶ問題になるからだ。
そうではなくて、事前に代理人登録してあって、登録代理人なら本人に代わって50万ドルまでネット送金できるシステムを悪用されたというのであれば、そのような説明をひとことするだけで済む話だ。
(この場合は、窃盗ではなく、横領になるが)
大谷投手の会見では、不正アクセスの疑問について触れることがなかった。
ということは、大谷投手がそこに疑問を感じていないか、弁護士に言及を止められているのか、どちらかだろう。
政治家の不祥事だったら、秘書のせいにして逃げようとするのをメディアは許さない。
だが、今回のスキャンダルは、アメリカのメディアが沈黙すれば話題が遠のき、みんなが興味を失ったところで収束しそうだ。
2024年03月26日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック