大阪万博の開幕まで1年。
機運の高まりに欠ける。
会場建設費が2度にわたって上振れし、約2倍の2350億円に膨張した。
パビリオンの準備も遅れており、開幕に間に合わなくなる恐れも。
前売りチケットの販売が始まったが、売れ行きは鈍いようだ。
かつての万博は国威発揚型が主流だったが、いまは現代社会の要請にこたえる「課題解決型」に変わってきているという。
大阪万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」というもの。
これを見ただけで嫌な予感がする。
説教臭い万博になりそうだからだ。
各パビリオンで計画されている内容は、次のようなものが紹介されている。
大阪府市:25年後の自身の姿をアバターにして映写。健康寿命を考えさせる。
日本政府:循環型社会に関する展示
オランダ:水からクリーンエネルギーを生み出す新技術
ベルギー:生命の源である水をテーマ、ライフサイエンスやヘルスケア技術
アメリカ:映像技術による宇宙旅行の疑似体験
ぜリ・ジャパン:プラスチックごみによる海洋汚染の啓発
三菱グループ:いのち輝く地球を未来に繋ぐ
大坂ガス:持続可能な地球環境の実現のためにどう行動するか
これを見て愕然とする。
ワクワクするものがない。
簡単な説明を読むだけで、どんな内容になるか透けて見える。
これで、高額のチケットを買い、人ごみの中を出かけていき、行列を作ってまで見たいと思うだろうか。
25年後の自身の姿を見たいか。
自分の容姿の劣化と体の老化を目の当たりにして嬉しくなる人はいない。
確かに健康寿命を考えさせるきっかけにはなるだろうが、マイナス思考しかもたらさないだろう。
映像技術による宇宙旅行体験も、なんと古臭いコンテンツかと思わせる。
ハリウッドのCG技術は世界一のレベルだが、SF映画の予告編のような映像を見せられるだけなのが丸わかり。
その他も、環境やカーボンニュートラルに関連した展示になる。
その内容は、「地球を守るために・・・しなければいけない」「温暖化を防ぐために・・・してはいけない」という感じになるのが目に見える。
耳の痛い話を聞かされるだけの展示にワクワクする人はいない。
このような説教臭い万博では、誰も無理して行きたいと思わないだろう。
動員をかけるには「ぜひ、現場に行ってみたい」と思わせる仕掛けがいる。
いまのところ、コンテンツの魅力のなさを、事前の告知マーケティングで盛り上げようとしているようだが、いずれも上滑りで効果が出ていない。
実際にパビリオンが立ち並び、具体的な展示内容が知らされるようになれば、機運が盛り上がってくるという声もある。
本当にそうだろうか。
いまは、建築費の膨張や準備の遅れなどが機運が盛り上がらない理由とされるが、もっと本質的な理由がありそうだ。
2024年04月14日
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