SNS上の偽広告による詐欺犯罪が問題化している。
著名人の名と画像を勝手に使った偽広告で投資サイトに誘導し、そこで大金を投資させ金銭を騙し取るという犯罪。
投資詐欺は以前から存在していたが、いま問題になっているのは、SNS上の偽広告が詐欺行為の客寄せに使われていることだ。
著名人が運営している投資グループであるかのように装い、客を吸引する。
招待されたLINEグループでは、メンバーによる活発な情報交換が行われている。
その中には、指導役の先生と教えてもらう生徒が存在する。
生徒の中には、先生のアドバイス通りの投資で大儲けできたと喜んでいる人がいる。
高級車を買ったとか、別荘を購入したとかいう情報も写真入りで投稿されている。
これらは、すべて騙すための舞台装置なのだ。
このメンバーの一員になりたいと思ったら、もうその人はカモだ。
その後、資産のある限り吸い取られる。
偽広告に勝手に使われた著名人は、SNSの運営事業者に広告の削除を申し入れるが、まともに対応しない。
閲覧した人の中には、明らかな偽広告だと分かるものについて事業者に通報をするが、「調査しましたが問題ありませんでした」と定型文を返してくるだけ。
業を煮やした著名人や詐欺の被害者が、SNS運営会社を相手に提訴に踏み切った。
メタ社は、公式に次のような声明を出している。
「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う。
オンライン上の詐欺が今後も存在し続けるなかで、詐欺対策の進展には、産業界そして専門家や関連機関との連携による、社会全体でのアプローチが重要だと考える」
この声明の真意はこうだ。
膨大な数の広告をチェックするのは不可能。
詐欺というのはいつの時代にもあった犯罪で、オンライン上でも今後は続く。
これは、我が社1社で対応できるものではなく、産業界や社会全体で何とかする問題だ。
この声明に多くの人が怒りを募らせている。
メタ社は、広告収入によって事業が成り立っている。
年間5兆6600億円もの売上があり、増え続けている。
その広告で詐欺被害が多数発生するようになっている以上、その責任は免れない。
詐欺広告で収入を得ているということは、詐欺の共犯または幇助にあたる。
膨大な数の広告をチェックしていられないというのなら、チェックできる人員を増やすか、チェックできる規模に広告を縮小すべきだ。
チェックしても詐欺広告か正当な広告かは判断できないとしたら、そのような判断できない広告は流さないようにすべきだ。
例えば、自動車の設計に欠陥があり、運転中に突然エンストを起こす可能性があることが分かった場合、直ちにリコールを届け出て情報周知する。
原因が分からなければ、はっきりするまで生産や販売は直ちに中止になる。
SNS広告で深刻な詐欺被害が多発していることが分かっているのなら、その時点ですべての広告の表示を中止し、実態の解明、原因の追究、再発の防止策を立ち上げた後、ようやく事業再開となって当たり前だろう。
SNS事業者はそこまでするつもりは全くない。
社会のインフラを担う事業者としての覚悟も使命感もなさそうだ。
SNS事業者はいずれもネットビジネスの発展とともに立ち上がってきたものなので、業歴が浅く未熟だ。
経営者も目先の事業拡大や売上向上にしか関心がないようだ。
「ネット上の売上は我が社が最大限獲得するが、そのデメリットは社会全体で対応せよ」
こんな勝手な言い分は社会が許さないだろう。
2024年04月26日
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