産経新聞の報道による。
厚労省は、小林製薬の紅麹サプリメント摂取後に死亡した疑いの事例が新たに76人に上ったことを発表した。
当初から判明していた死亡例5件が知られていたが、その後、小林製薬の情報発信がなくなった。
紅麹の健康被害は長期に影響を及ぼすものなので、一時の死亡例だけで終わるはずがない。
不審に思った厚労省が、13日に小林製薬に問い合わせたところ、追加情報はないとの即答だったが、14日になって追加の事例があるとの報告が上がってきた。
詳細な報告を求めたところ、27日になって、いままで遺族からの相談が170件あり、その中で関連が疑われる事例が76件あることが分かったという。
小林製薬は、死亡例を完全に因果関係が証明された事例だけに限定しようとしていたようだ。
サプリを飲んでいた人の中には、別の基礎疾患を持っている人もいる。
直接の死因が、がんや心筋梗塞などのように別の要因によるものについては、事例から外し、報告の対象外と勝手に決めつけていたらしい。
ところが、この紅麹サプリ問題は、まだ原因がはっきり解明できていない。
その中で、勝手に死因を特定し報告の判断基準としていた。
これは、慎重に対処しているというより、ただ事態を大事にしないように隠蔽しようとしていたとしか見えない。
厚労大臣は、「調査は小林製薬に任せておけない」と怒りをあらわにした。
健康被害が発覚した直後も、小林製薬は原因を特定できずに曖昧な答弁に終始していたが、社長の記者会見の最中に、厚労省が別の会見で、原因物質の名前を公表する一幕があった。
ことはヒトの命に係わる問題なので、慎重に確実にを目指していると、公表が遅れ、対応が遅れ、事態はどんどん悪化する。
いまや、原因物質の特定については、国の研究機関が行なっている。
被害実態の調査も同じことになりそうだ。
小林製薬にとっては、もはや実態の解明、原因の特定は能力を超えて対処不能に陥っている。
再発防止のためには、「実態の解明」「原因の特定」が欠かせない。
小林製薬は、この実態の解明にすら誠実に向き合おうとしていないように見える。
小林製薬のやっていることは、ことを荒立てないようにし、このまま話題が自然に遠のいてくれるのを待っているだけだ。
この事例は、健康被害を起こしたことよりも、問題発覚後の対応を間違えてダメージを深くしていった典型的な例として記録される。
2024年06月29日
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