2026年04月04日

『過疎ビジネス』読了所感

 横山 勲 (著)『過疎ビジネス』 (集英社新書)
 たまたま書店店頭で見つけて読了。
 地方創生コンサルに地方自治体が食い物にされているというのは、以前から見聞きしていたが、1つの事例をじっくり掘り下げたルポ。
 河北新報の記者が取材の中で気づき、綿密な取材に基づいて新聞紙上で告発し、地方創生にかこつけた公金還流の実態が明らかとなった。

 スキームの概要は、ふるさと納税の名目である自治体に事業者が寄付を行い、その寄付額に見合った事業を同じ事業者が請け負い、資金を還流させるというもの。
 自治体からしたら、寄付してもらった資金で事業を行うのだから、持ち出しはない。ただで町おこしの事業ができるのだから、こんなにいいことはない。
 しかも、すべては事業者に丸投げで、すべての段取りを任せられる。
 ノウハウも実行力もない自治体にとっては、ありがたい業者だ。

 これは一見、業者が自分でカネを出して、自分で請け負っているだけのように見える。
 が、実は、寄付と言いながら、この資金は本来税金として納められるはずのものだ。
 それを自分のところに還流させようとするものなので、公金横領と変わらない。
 ふるさと納税は、自分の納めるべき税金の納め先を自分で決められるという制度であるために、これを悪用された格好だ。
 
 それにしても、このスキームを思いついた構想力は大したもの。
 更に、それを成功させる実行力、調整力、説得力は並みの者ではない。
 これを実行に移すには、役所を動かし、市長を納得させ、議会で承認させなければいけない。
 更に、事業を行うためにあらゆる事業者を巻き込んで、うまく管理して進捗させなければいけない。
 しかも、この中心人物は、同じような案件を全国で展開しているようで、連日多忙を極めていたようだ。
 事業案件は数億円、数十億円という事業規模で、スケールも大きい。

 ただ、これは詐欺だとか、犯罪だとかいうケースには当たらないという。
 中心人物は手の内をばらされ、完全にビジネスの世界から締め出されることになったが、刑事罰を受けるような事態にはなっていないようだ。
 結果として、やったもの勝ちでおとがめなし。
 何かモヤモヤしたものが残る。

 
 
 
posted by 平野喜久 at 21:22| 愛知 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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