2005年11月22日

まだこんなこと言ってる『人は見た目が9割』

 最近売れている本:『人は見た目が9割』竹内一郎著

 この表題を見て、「あぁ、またか」という印象だ。
 危惧しながら中身を見ると、やっぱりあった!
 あの有名なメラビアンの法則。

 見た目・身だしなみ・しぐさ・表情などが55%
 声の質(高低)・大きさ・テンポなどが38%
 話す言葉の内容が7%

 ネット上からコピーして貼り付けたような文章で解説されていた。
 結局、言葉で伝わるのは、わずか7%で、中身のよさなど相手に伝わらないと言いたいのだ。
 この法則に従えば、「人は見た目が5割」といわなければならないはずだが、著者は、言葉が7%というインパクトだけが欲しかったのだろう。

 言葉で伝わる割合がいかに僅かであるかを見せて、相手を驚かしてやろうという場合に引用されるのが、メラビアンの法則だ。
 底の浅いセミナー講師が得意とする「こけおどしネタ」。
 いまだに、こんなのを使いまわしている者がいるとは驚きである。

 メラビアン氏自身は、ちまたで言われているような法則を提唱していないし、研究もしていない。
 私は、メラビアンの法則が誤解の産物であることを、02年にウェブ版の「天使と悪魔のビジネス用語辞典」の中で公開し、04には著書の中でも指摘した。
 今では、「メラビアンの法則」で検索すると、私のサイトがトップに挙がる。
 ささやかながら、私のサイトが、誤解の解消に役立っているようだ。
 メラビアンの法則のデタラメさを知る人も増えてきた。
 ネット上でも、この法則を得々と紹介しているセミナー講師が、けちょんけちょんにコケにされている様子が散見される。
 「人は見た目が9割」の本も、既に、軽蔑の槍玉に挙げているブログがあった。
http://blog.goo.ne.jp/take_14/e/3f2d8104e7ab484b146bcdc0b3d96a03

 「メラビアンの法則」を持ち出したら、その時点で、アウトだ。
 その先、どんなにいいことを言っても、信頼されない。
 なぜなら、その人物は、よそで聞きかじったことを繰返しているだけで、自分で調べたり、考えたり、検証したりしていないことが明らかだからだ。
 この人物自身、中身が空っぽなのである。
 中身が空っぽだから、外見の重要性を強調したがるのではないかと勘ぐりたくなる。

 本当に、たちが悪いのは、著者よりも、出版社だ。
 書名を決めたのは出版社だろう。
 まさに、内容よりも、パッと見のインパクトだけを狙ったような書名だ。
 著者自身は、本書の中で、見た目が9割ということを特に強調していない。
 わずかに、メラビアンの法則の部分でそれらしいことを匂わせているだけで、ここでも見た目が9割と結論付けているわけではない。

 新聞広告では、わざわざ円グラフまで表示してアピールしていた。
 7%が言語情報、その他が全部、見た目であるかのような印象を与えるグラフだ。
 出版社の、まやかしを承知でハッタリをかますような広告に不快感を覚える。

 書名のインパクトで、売れているようだ。
 皮肉にも、「本は、見た目が9割」を実証している。
 
 
 コミュニケーションにおいて、言葉だけではなく、視覚情報や聴覚情報が大事なのは当然だろう。
 だが、視覚情報や聴覚情報の重要性を強調したいあまりに、この法則を持ち出し、言葉の重要性がほとんどないような主張は、まやかしである。
posted by 平野喜久 at 11:41| Comment(4) | TrackBack(1) | 世事雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は学生ですが以前、メラビアンの法則をなんとな〜く影響受けてそうな講義があったときのけぞりたくなりました。流石に突っ込めませんでしたけど(笑)
授業受けてても、たとえ上手なしゃべり方をしてても内容が面白くなければ眠たくなりますし、他のことをやってしまったり。逆に多少聞き取りにくくても興味があれば真剣に聞くことが出来ます。
日常でもおかしいと思えるヒントは溢れているはずなのに気づかないのでしょうか。

トラックバックされている記事をあわせて読むとメラビアンの法則のページにこっそり「メラーニアン」や「メラニアン」といった単語をこっそりロボット検索ワードに入れてたら面白そうと思いました(笑)
Posted by samyu at 2005年12月05日 12:47
メラビアンはともかく対人関係において第一印象は重要、その第一印象の中で大きなファクターが見た目なのは言うまでもないと思います。実際そう感じる人が多いから今の結果なのだと思います。「人は見た目じゃない」と言う人がたまに居ますがそれはその人にとって都合の悪い価値観(自分の見た目が世の平均値以下と認識している)か自分が劣っていると悟られるのが怖い人間(教養とか人柄とか瞬時に優劣が付け難い物で勝負するとたとえ敗北してもその勝敗が曖昧なため自己の敗北感、相手の優越感も曖昧になる)であなんだと思いますね。
Posted by au at 2005年12月25日 08:53
平野さんの見た目が悪くないからこそ言えることですね。
容姿最悪の人が同じことを言ったとしたら、まるで説得力ないんですが‥。というわけで、見た目9割とは言いませんが、容姿は大切だと思います。
Posted by at 2009年04月14日 10:40
人を見た目で選ぶと大失敗します。

なぜなら、自己愛性人格障害、サイコパスといった邪悪な人たちは、決まって外見を良くして、性格が良さそうに見えるように計算して近づきますし、その人たちは一見邪悪な人にはとても思えないようなとても幸福そうなエデンの園にでも住んでいるように見えるからです。

でも彼らの中身はゾッとするようなモンスターです。自分のほしいもののためなら、他人を破壊しても、人格を破壊しても罪悪感をもちません。良心も持っていません。

そういう人が普通の人のなかに混ざっているのですから、最初に見分けて避けて歩こうとするなら、外見で人を選べません。

よく見て本当に誠実な人なのか、言動と行動につじつまはあっているか、なにか利用しようとしてちかづいてきていないか?という事を常に念頭において人を選びます。じゃないと財産だって、仕事だって失いかねません。

これは過去、私がモラハラにあって、サイコパスと思われる人の操縦に苦しんだ経験で学んだことです。私をモラハラしたサイコパスと思われる人も外面は非常に良くて性格が良さそうに一見見える人でしたよ。
Posted by at 2010年05月01日 14:02
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「人は見た目が9割」? ??
Excerpt: ■竹内一郎『人は見た目が9割』〔新潮新書〕は、のっけからトンデモ本であることを、みずから バラしてしまっているが、「マユつば」で つまみぐいしていくなら、なかなか つかえる本である(笑)。■以下、Am..
Weblog: タカマサのきまぐれ時評
Tracked: 2005-12-03 21:23