秋田書店の読者プレゼント水増し事件。
8年も前から常態化しており、組織として不正を行っていたことを認めた。
景気悪化により、メーカーから無償提供が得られなくなり、自前で景品を用意しなければならなかったためだとしている。
雑誌社にとっても、魅力的な高額景品を気前よくばらまくほど経営的余裕はなく、やむを得ず水増しでごまかしたらしい。
ここに、最近の出版業界の内情を見ることができる。
一方で、この不祥事がどうして発覚したのか、という問題。
このような企業の不祥事が発覚するのは、大抵は内部告発による。
ミートホープも、船場吉兆も、赤福も、すべて内部の人間の告発によって、不祥事が明るみになった。
普通は、明らかになった不祥事の方に人々の関心が集中するので、どうしてこれがばれたのか、というところにスポットがあたることはない。
ところが、今回の秋田書店の不祥事は、どうしてばれたのか、という裏の話が表に出てきた珍しいケースだ。
消費者庁に告発したのは、元社員の28歳の女性だ。
景品水増しは入社した時にはすでに行われており、上司にも水増しをやめるように提言したが聞き入れられなかった。
ストレスから体調を崩し、休職中に解雇となった。
解雇の理由は、景品窃取の疑い。
このような経緯があった後、内部告発となる。
告発者は、会社に対して大きな不満があり、その結果として内部告発につながっている。
どんな内部告発でも、事情は同じだ。
現状に満足している社員がいきなり内部告発をしてしまうことはありえない。
会社の不利益は、自分の不利益に直結してしまうからだ。
自分だけが不利益を押し付けられているという不満が鬱積したとき、内部告発の誘因になる。
だから、内部告発が起きるということは、そのまま社員と間に軋轢が生じていた証拠でもある。
元女性社員は、近く解雇撤回を求めて秋田書店を提訴する考えだという。
もちろん、会社側は、解雇の正当性を主張しており、この解雇と景品水増しとの問題は無関係としている。
ところで、今回、消費者庁が摘発を行った。
雑誌の景品の水増しは、どこでもやってるだろう、というのが一般読者の印象だった。
それが、今回の摘発で、「やっぱり」となった。
でも、「消費者庁は、雑誌の景品なんてちっぽけな不正に対しても、こんなに本腰を入れて調査摘発をするのか」「消費者問題は、もっと他に深刻なものがいっぱいあるんじゃないのか」と不思議に思った人もいるだろう。
消費者庁は、自ら不正を探って見つけ出すようなことはしない。
告発があったので、調査に乗り出したに過ぎない。
役所とはそういうところだ。
告発があれば、きっちり決められた手順で調査をし、報告を行う。
今回は、たまたま分かりやすい成果が得られたので、マスコミが飛びついた。
ただ、これだけだ。
「一罰百戒で、消費者庁は、これで出版業界の粛清を狙ったのだろう」という意見があるが、深読みしすぎ。
2013年08月28日
2013年08月26日
カネボウ化粧品「白斑」問題
日経新聞による。
カネボウ化粧品の美白化粧品自主回収が始まって2か月。
有名化粧品ブランドとしては、異例の大規模回収となり、イメージの失墜がはなはだしい。
回収対象となったのは、化粧水や乳液など8ブランド54製品。
原因は、カネボウが開発したロドデノールという美白成分とみられる。
肌がまだらに白くなる白斑症状を引き起こした人が7,266人も確認されている。
中国製の安い化粧品が皮膚症状を引き起こすケースは以前から知られていた。
だが、日本の有名ブランドの化粧品で大規模な健康被害が引き起こされるケースは初めてだ。
消費者の信頼が厚かっただけに、その反動は大きい。
どうしてこれほど大規模な被害に発展したのか。
それは、ひとえに会社側の対応の遅れによる。
美白成分ロドデノールを使用し始めたのは2008年。
それ以降、白斑症状の相談が入るようになったが、会社側がはっきり認識したのが2011年。
その時は、単なる個人的な肌のトラブルの1例として処理された。
2012年10月になって、皮膚科医から化粧品との関連性を指摘されるが、対応せず。
2013年5月に、別の皮膚科医から美白化粧品による被害報告。
7月4日、製品の自主回収を発表。社長謝罪。
8月19日、症状確認7266人、相談件数24万2411人と発表
化粧品による肌のトラブルはさまざまなものがあり、日々、相談もたくさんある。
こまごまとした相談案件は、店頭で処理され、会社側まで伝わらない。
会社に持ち込まれた相談事例も、窓口のオペレーターが対応するだけで、本部まで上がらない。
膨大な相談事例がある中で、白斑症状の相談は、その中に埋もれてしまって、なかなか問題案件として認識できなかったのだろう。
しかし、08年の発売開始当初から、現場では相談が相次いでいたはず。
相談内容をデータベース化していれば、共通項目がそこにあることに気づいたかもしれない。
一番のチャンスは、最初に皮膚科医の指摘を受けた時だ。
専門家の指摘は、一消費者の相談とは意味が違う。
ここで、具体的な検証行動ができていれば、被害がここまで広がることはなかった。
問題の認識が遅れたために被害を拡大した事例としては、雪印乳業の食中毒事件と酷似する。
ただ、食中毒に比べて、化粧品被害の方が、症状の進行が緩慢で、問題の発見と原因の特定に時間がかかるという特徴がある。
それで、対応のきっかけがつかめず、ずるずると無駄な時間を浪費してしまったという印象だ。
問題が明らかになってからは、会社側の対応は迅速だった。
ただちに情報公開に踏み切り、商品の自主回収を宣言した。
過去の不祥事から、問題発覚時の対応については、学習できていた。
カネボウ化粧品は、かつての鐘紡グループの中で、唯一の優良事業部だった。
鐘紡本体が経営難に陥った時、化粧品部門だけは、花王の子会社として存続することができた。
それが、今回の不祥事で、最後の鐘紡ブランドまで失われそうである。
今後は、法的責任がどこまで問われるのかが注目される。
PL法では、消費者から損害賠償責任が問われる。
PL法は、会社側の過失の有無は問われない。
原因の特定とそれが商品欠陥によることが明確になれば、OK。
会社法では、役員などの善管注意義務違反が問われる。
時には、役員個人の責任まで追及される。
役員に重過失があると認められた場合、役員個人に賠償責任が生じる。
民法では、企業に過失があることを被害者が立証できれば、不法行為責任を問える。
刑法では、過失が業務に関連し、事故による被害と因果関係がある場合に、業務上過失致死傷罪に問われる。
ことは、カネボウ化粧品内にとどまらない。
親会社の花王の責任にまで波及する。
子会社の重大な過失を見逃していたということになると、株主代表訴訟で、花王の取締役が責任を問われることになる。
カネボウ化粧品の美白化粧品自主回収が始まって2か月。
有名化粧品ブランドとしては、異例の大規模回収となり、イメージの失墜がはなはだしい。
回収対象となったのは、化粧水や乳液など8ブランド54製品。
原因は、カネボウが開発したロドデノールという美白成分とみられる。
肌がまだらに白くなる白斑症状を引き起こした人が7,266人も確認されている。
中国製の安い化粧品が皮膚症状を引き起こすケースは以前から知られていた。
だが、日本の有名ブランドの化粧品で大規模な健康被害が引き起こされるケースは初めてだ。
消費者の信頼が厚かっただけに、その反動は大きい。
どうしてこれほど大規模な被害に発展したのか。
それは、ひとえに会社側の対応の遅れによる。
美白成分ロドデノールを使用し始めたのは2008年。
それ以降、白斑症状の相談が入るようになったが、会社側がはっきり認識したのが2011年。
その時は、単なる個人的な肌のトラブルの1例として処理された。
2012年10月になって、皮膚科医から化粧品との関連性を指摘されるが、対応せず。
2013年5月に、別の皮膚科医から美白化粧品による被害報告。
7月4日、製品の自主回収を発表。社長謝罪。
8月19日、症状確認7266人、相談件数24万2411人と発表
化粧品による肌のトラブルはさまざまなものがあり、日々、相談もたくさんある。
こまごまとした相談案件は、店頭で処理され、会社側まで伝わらない。
会社に持ち込まれた相談事例も、窓口のオペレーターが対応するだけで、本部まで上がらない。
膨大な相談事例がある中で、白斑症状の相談は、その中に埋もれてしまって、なかなか問題案件として認識できなかったのだろう。
しかし、08年の発売開始当初から、現場では相談が相次いでいたはず。
相談内容をデータベース化していれば、共通項目がそこにあることに気づいたかもしれない。
一番のチャンスは、最初に皮膚科医の指摘を受けた時だ。
専門家の指摘は、一消費者の相談とは意味が違う。
ここで、具体的な検証行動ができていれば、被害がここまで広がることはなかった。
問題の認識が遅れたために被害を拡大した事例としては、雪印乳業の食中毒事件と酷似する。
ただ、食中毒に比べて、化粧品被害の方が、症状の進行が緩慢で、問題の発見と原因の特定に時間がかかるという特徴がある。
それで、対応のきっかけがつかめず、ずるずると無駄な時間を浪費してしまったという印象だ。
問題が明らかになってからは、会社側の対応は迅速だった。
ただちに情報公開に踏み切り、商品の自主回収を宣言した。
過去の不祥事から、問題発覚時の対応については、学習できていた。
カネボウ化粧品は、かつての鐘紡グループの中で、唯一の優良事業部だった。
鐘紡本体が経営難に陥った時、化粧品部門だけは、花王の子会社として存続することができた。
それが、今回の不祥事で、最後の鐘紡ブランドまで失われそうである。
今後は、法的責任がどこまで問われるのかが注目される。
PL法では、消費者から損害賠償責任が問われる。
PL法は、会社側の過失の有無は問われない。
原因の特定とそれが商品欠陥によることが明確になれば、OK。
会社法では、役員などの善管注意義務違反が問われる。
時には、役員個人の責任まで追及される。
役員に重過失があると認められた場合、役員個人に賠償責任が生じる。
民法では、企業に過失があることを被害者が立証できれば、不法行為責任を問える。
刑法では、過失が業務に関連し、事故による被害と因果関係がある場合に、業務上過失致死傷罪に問われる。
ことは、カネボウ化粧品内にとどまらない。
親会社の花王の責任にまで波及する。
子会社の重大な過失を見逃していたということになると、株主代表訴訟で、花王の取締役が責任を問われることになる。
2013年08月17日
人ごみのリスク:花火屋台爆発事故
京都府福知山市の花火大会会場で15日夜、屋台が爆発した事故。
当初はガスボンベが爆発したと見られたが、自家発電機用のガソリンに引火して起きた可能性が高い。
店主が、発電機のエンジンを動かしたまま給油しようとしたところ、気化したガソリンが吹き出し、それが屋台の火気に引火し、爆発を起こしたらしい。
たぶん、店主がガソリンの扱いを知らなかったのだろう。
ストーブに灯油を入れるような感覚でガソリンを扱ったのに違いない。
火気が近くにあるところでのガソリンの給油は非常に危険。
店主の無頓着は罪が重い。
一方、主催者側の責任はどうか。
屋台店舗の火気管理や衛生管理は、主催者側は関知していない。
出店者の自主管理に任されている。
無自覚な出店者がいた場合、このような大事故になる。
花火大会のような人ごみは、それだけでもリスクが大きいが、それに加えて、出店屋台のリスクがあるということだろう。
出店屋台の衛生管理もリスクが大きい。
お金の受け渡しをした手で、食材を手づかみで調理していたりする。
火を通すものだったら殺菌されるが、「冷やしきゅうり」「パイナップルスライス」などは、素手で食材を割り箸に刺して氷の上に並べている。
氷の上なので雑菌が繁殖することはないが、死滅せずに口に入る。
危なっかしくて仕方ない。
それでも、これらのリスクは、食べなければ避けられる。
ところが、屋台爆発のリスクは、無関係の人すべてを巻き込む恐れがある。
いままで、何気なく屋台の並ぶ前を通ってきた。
祭り、花見、初もうで……。
これからは、前を通るだけでもリスクを感じてしまうかもしれない。
人ごみのリスクは、屋台だけではない。
群衆雪崩のリスク、すりや痴漢のリスク、他人とのトラブルリスク、悪臭や騒音のリスク……。
冬場は、インフルエンザの感染リスクが加わる。
人ごみに出かけて行って、不快な思いをせずに帰って来られることはまずない。
人ごみは、ストレスを感じている人の集団ができあがるので、余計に、トラブルの発火点が低くなる。
ちょっとしたことで、怒鳴りあいのけんかをしている人を見ることがある。
いらいらした親が子供を叱り飛ばしているのを見るのも不快。
このことが、ますます周りの人のストレスを増幅する。
人ごみは、それ自体が相当なリスクなのだということを知る必要がありそうだ。
当初はガスボンベが爆発したと見られたが、自家発電機用のガソリンに引火して起きた可能性が高い。
店主が、発電機のエンジンを動かしたまま給油しようとしたところ、気化したガソリンが吹き出し、それが屋台の火気に引火し、爆発を起こしたらしい。
たぶん、店主がガソリンの扱いを知らなかったのだろう。
ストーブに灯油を入れるような感覚でガソリンを扱ったのに違いない。
火気が近くにあるところでのガソリンの給油は非常に危険。
店主の無頓着は罪が重い。
一方、主催者側の責任はどうか。
屋台店舗の火気管理や衛生管理は、主催者側は関知していない。
出店者の自主管理に任されている。
無自覚な出店者がいた場合、このような大事故になる。
花火大会のような人ごみは、それだけでもリスクが大きいが、それに加えて、出店屋台のリスクがあるということだろう。
出店屋台の衛生管理もリスクが大きい。
お金の受け渡しをした手で、食材を手づかみで調理していたりする。
火を通すものだったら殺菌されるが、「冷やしきゅうり」「パイナップルスライス」などは、素手で食材を割り箸に刺して氷の上に並べている。
氷の上なので雑菌が繁殖することはないが、死滅せずに口に入る。
危なっかしくて仕方ない。
それでも、これらのリスクは、食べなければ避けられる。
ところが、屋台爆発のリスクは、無関係の人すべてを巻き込む恐れがある。
いままで、何気なく屋台の並ぶ前を通ってきた。
祭り、花見、初もうで……。
これからは、前を通るだけでもリスクを感じてしまうかもしれない。
人ごみのリスクは、屋台だけではない。
群衆雪崩のリスク、すりや痴漢のリスク、他人とのトラブルリスク、悪臭や騒音のリスク……。
冬場は、インフルエンザの感染リスクが加わる。
人ごみに出かけて行って、不快な思いをせずに帰って来られることはまずない。
人ごみは、ストレスを感じている人の集団ができあがるので、余計に、トラブルの発火点が低くなる。
ちょっとしたことで、怒鳴りあいのけんかをしている人を見ることがある。
いらいらした親が子供を叱り飛ばしているのを見るのも不快。
このことが、ますます周りの人のストレスを増幅する。
人ごみは、それ自体が相当なリスクなのだということを知る必要がありそうだ。
2013年06月27日
中小企業BCP支援:名古屋市
名古屋市の中小企業BCP支援のウェブサイトが公開。
http://www.city.nagoya.jp/jigyou/category/44-7-1-0-0-0-0-0-0-0.html
名古屋市は、いま、中小企業向けにBCP普及事業に力を入れている。
セミナーの開催、専門家派遣の実施、パンフレットやウェブサイトによる情報発信など。
今回のウェブサイト開設は、BCP普及事業の一環。
「BCP策定に関するQ&A」のところは、私が原稿執筆のお手伝いをさせていただいた。
自治体のウェブサイトでここまで丁寧な解説は他にない。
事例紹介のところは必見。
実際にBCPに取り組んだ企業の実体験に基づく情報であるだけに、現場の生の声が詰まっている。
中小企業が取り組む身の丈にあったBCPとはどういうものかが分かる。
http://www.city.nagoya.jp/jigyou/category/44-7-1-0-0-0-0-0-0-0.html
名古屋市は、いま、中小企業向けにBCP普及事業に力を入れている。
セミナーの開催、専門家派遣の実施、パンフレットやウェブサイトによる情報発信など。
今回のウェブサイト開設は、BCP普及事業の一環。
「BCP策定に関するQ&A」のところは、私が原稿執筆のお手伝いをさせていただいた。
自治体のウェブサイトでここまで丁寧な解説は他にない。
事例紹介のところは必見。
実際にBCPに取り組んだ企業の実体験に基づく情報であるだけに、現場の生の声が詰まっている。
中小企業が取り組む身の丈にあったBCPとはどういうものかが分かる。
2013年05月29日
避難所トリアージの重要性
中央防災会議の南海トラフ巨大地震対策の最終報告書の中で、最もインパクトのあったのは、「避難所トリアージ」の提言だ。
負傷者の治療を患者の状態によって優先順位を付けるのと同じように、避難所への受け入れの優先順位を決めるというもの。
従来は、被災者は等しく救援の対象として捉えられていた。
ところが、地域住民をすべて救援の対象としたのでは、避難所も非常食も足らなくなるのは明らかだった。
その当たり前のことを、行政側が正直に言う勇気がなかった。
「全員を助けられない」ことは、みんな分かっていながら、公式に表明できなかったのだ。
今回、そこを敢えて踏み込んで、現実的な対応を迫ったところは意義深い。
近所に避難所があるから、と言って、安心してはいられない。
そこは、すべての人を助けてくれる場所ではない。
自力で生きられる人は極力、公的避難所は利用せずに、済ます努力が求められる。
公的避難所は、本当に困っているお年寄りなどのためにとっておいてあげなければいけないのだ。
今回の提言で、自治体の担当者は不安に駆られているようだ。
実際に地震が発生して避難所に人びとが集まってきているときに、被災状況を確認して、優先順位を付けられるのか、という不安だ。
確かに難しいだろう。
いちいち家屋の状況を確認しに出かけるわけにもいかず、結局は、自己申告で判断することになる。
基準が曖昧なので、見解の違いから常にいざこざが起きる可能性を秘めている。
避難所に来た人に帰れとも言えず、結局は、全員を受け入れざるを得なくなりそう。
無用な混乱とトラブルが増えるだけになることを恐れているようだ。
だが、今回の提言は、地震が起きてからの話よりも、地震が起きるまでに私たちが何をしなければいけないのかについて考えさせるという点で意味がある。
私たちは、安易に公的避難所に頼れないということ。
その場合は、自力で1週間ぐらいは生き延びられる準備をする必要があること。
このことに気づかせ、覚悟させる効果があった。
今後は、「いざとなったら、近所の小学校に避難すればいいさ」と、安直な心構えでいる人はうんと減るだろう。
それだけでも、地域の防災力の向上につながる。
負傷者の治療を患者の状態によって優先順位を付けるのと同じように、避難所への受け入れの優先順位を決めるというもの。
従来は、被災者は等しく救援の対象として捉えられていた。
ところが、地域住民をすべて救援の対象としたのでは、避難所も非常食も足らなくなるのは明らかだった。
その当たり前のことを、行政側が正直に言う勇気がなかった。
「全員を助けられない」ことは、みんな分かっていながら、公式に表明できなかったのだ。
今回、そこを敢えて踏み込んで、現実的な対応を迫ったところは意義深い。
近所に避難所があるから、と言って、安心してはいられない。
そこは、すべての人を助けてくれる場所ではない。
自力で生きられる人は極力、公的避難所は利用せずに、済ます努力が求められる。
公的避難所は、本当に困っているお年寄りなどのためにとっておいてあげなければいけないのだ。
今回の提言で、自治体の担当者は不安に駆られているようだ。
実際に地震が発生して避難所に人びとが集まってきているときに、被災状況を確認して、優先順位を付けられるのか、という不安だ。
確かに難しいだろう。
いちいち家屋の状況を確認しに出かけるわけにもいかず、結局は、自己申告で判断することになる。
基準が曖昧なので、見解の違いから常にいざこざが起きる可能性を秘めている。
避難所に来た人に帰れとも言えず、結局は、全員を受け入れざるを得なくなりそう。
無用な混乱とトラブルが増えるだけになることを恐れているようだ。
だが、今回の提言は、地震が起きてからの話よりも、地震が起きるまでに私たちが何をしなければいけないのかについて考えさせるという点で意味がある。
私たちは、安易に公的避難所に頼れないということ。
その場合は、自力で1週間ぐらいは生き延びられる準備をする必要があること。
このことに気づかせ、覚悟させる効果があった。
今後は、「いざとなったら、近所の小学校に避難すればいいさ」と、安直な心構えでいる人はうんと減るだろう。
それだけでも、地域の防災力の向上につながる。
食料備蓄は1週間分以上必要:中央防災会議
中央防災会議の作業部会が28日まとめた南海トラフ巨大地震対策の最終報告。
巨大地震の事前予知は困難との見解を表明する一方、事前の防災対策の重要性を訴えている。
国の防災基本計画では、家庭での食料備蓄は、3日間を目安としていた。
それが、「1週間分以上の水や食料の備蓄が必要」と提言した。
阪神大震災や、新潟中越沖地震など内陸型の狭い範囲で発生する地震の場合は、比較的早く救援が届いた。
その経験から、地震対策では最低でも3日分の食料があれば十分というのが常識だった。
ところが、東日本大震災でこの常識が覆された。
非常に広範囲が被災したので、救援物資の供給が行き渡るのに時間がかかってしまったのだ。
中には交通路が遮断されて孤立した地域もあり、救援物資が1週間以上も届かないケースもあった。
その経験を踏まえて、今回、食料備蓄の目安が見直しとなった。
南海トラフ巨大地震は、東日本大震災と同じタイプの地震になることが予想されており、その場合、西日本の広域にわたって被災地が広がる。
当然、救援物資が届きやすい地域と届きにくい地域が出ることになる。
このために、家庭での食料備蓄は1週間分以上が必要ということになった。
更に、今回の提言で注目すべきは、避難所受け入れのトリアージ導入を求めたこと。
地域には、小学校や公民館など公的な避難所が設置されている。
だが、地域の住民をすべて収容するには、まったくスペース不足だ。
この状態で放っておくとどうなるか。
いち早く駆けつけることができた元気な人ばかりで避難所が占拠されることになる。
これでは、本当に必要な人を救えない。
避難所は、自力で生き延びられないお年寄りとか、自宅を失って行き場のない人びとのためにある。
そのような社会的弱者を優先して受け入れ、被災の軽かった人は自宅での待機を促す必要がある。
そのために、トリアージによる選別の必要があるわけだ。
私たちが心得るべきは、まずは自助努力を徹底させ、極力、公的な支援に頼らなくてもいいようにするということ。
「地震が起きたら公的支援が来るからそれを受ければいい」と初めから思っている人がいるが、とんでもない。
みんなが公的支援に期待して、ぶら下がろうとしたら、たちまち破綻してしまう。
公的な支援は、本当の社会的弱者のために取っておいてあげなければいけない。
私たちは、地震が起きたときに、人にお世話してもらう側になるのか、それとも、人をお世話する側にまわるのか。
私たちには、この意識が問われている。
巨大地震の事前予知は困難との見解を表明する一方、事前の防災対策の重要性を訴えている。
国の防災基本計画では、家庭での食料備蓄は、3日間を目安としていた。
それが、「1週間分以上の水や食料の備蓄が必要」と提言した。
阪神大震災や、新潟中越沖地震など内陸型の狭い範囲で発生する地震の場合は、比較的早く救援が届いた。
その経験から、地震対策では最低でも3日分の食料があれば十分というのが常識だった。
ところが、東日本大震災でこの常識が覆された。
非常に広範囲が被災したので、救援物資の供給が行き渡るのに時間がかかってしまったのだ。
中には交通路が遮断されて孤立した地域もあり、救援物資が1週間以上も届かないケースもあった。
その経験を踏まえて、今回、食料備蓄の目安が見直しとなった。
南海トラフ巨大地震は、東日本大震災と同じタイプの地震になることが予想されており、その場合、西日本の広域にわたって被災地が広がる。
当然、救援物資が届きやすい地域と届きにくい地域が出ることになる。
このために、家庭での食料備蓄は1週間分以上が必要ということになった。
更に、今回の提言で注目すべきは、避難所受け入れのトリアージ導入を求めたこと。
地域には、小学校や公民館など公的な避難所が設置されている。
だが、地域の住民をすべて収容するには、まったくスペース不足だ。
この状態で放っておくとどうなるか。
いち早く駆けつけることができた元気な人ばかりで避難所が占拠されることになる。
これでは、本当に必要な人を救えない。
避難所は、自力で生き延びられないお年寄りとか、自宅を失って行き場のない人びとのためにある。
そのような社会的弱者を優先して受け入れ、被災の軽かった人は自宅での待機を促す必要がある。
そのために、トリアージによる選別の必要があるわけだ。
私たちが心得るべきは、まずは自助努力を徹底させ、極力、公的な支援に頼らなくてもいいようにするということ。
「地震が起きたら公的支援が来るからそれを受ければいい」と初めから思っている人がいるが、とんでもない。
みんなが公的支援に期待して、ぶら下がろうとしたら、たちまち破綻してしまう。
公的な支援は、本当の社会的弱者のために取っておいてあげなければいけない。
私たちは、地震が起きたときに、人にお世話してもらう側になるのか、それとも、人をお世話する側にまわるのか。
私たちには、この意識が問われている。
2013年05月28日
南海トラフ巨大地震は予知困難:中央防災会議
中央防災会議の作業部会が、防災対策の最終報告を公表。
結論は、「巨大地震の直前余地は難しい」というもの。
気象庁は、東海地震については、事前予知が可能だとして、観測網を敷き、24時間体制で観測を続けている。
観測点で異常値が観測された場合は、専門家による判定会が開かれ、巨大地震目前ということになれば、気象庁長官から内閣総理大臣に報告が上がり、閣議の承認を経て、警戒宣言の発令となる。
ここまでの仕組みは、法律で決められている。
この東海地震が事前予知できるという根拠は、昭和19年の東南海地震の直前に観測された地殻変動を前兆現象による。
地震直前、陸側のプレートの沈み込みが限界に達すると、スロースリップという現象が発生し、次の瞬間に地震が発生するという理屈だ。
先の東日本大震災でも、このスロースリップが起きていたことが分かっている。
同じ現象が東海地震でも起きるのであれば、直前予知が可能ということになる。
ところが、この前兆現象については、以前から専門家の間で、疑問視する声が多かった。
巨大地震の直前に必ずスロースリップが起きるとは限らない。
どの程度のスリップが起きると巨大地震につながるのかが分からない。
十分なスリップが観測されたとして、それから何日後に地震発生になるのか分からない。
分からないことだらけ。
いままで、前兆現象を捉えて地震予知に成功した事例はなく、まさに、ぶっつけ本番を狙っているのだ。
それで、以前から「予知はできないのではないか」との声が上がっていた。
今回の中央防災会議の報告書は、専門家の疑問をはっきり形に表したものだ。
従来のような予知を前提とした対策ではなく、不意打ちを前提にした防災対策に徹するべき、という考え方を示した。
何も特別の考えを表明したわけではない。
「地震はいつ来るか分からないから、いつ来てもいいように準備せよ」という、ごく当たり前のことを言っているに過ぎない。
気象庁は、東海地震については、直前予知の可能性を捨てきれない。
予知の可能性があるのなら追求し続けるべき。
予知に成功しなかったとしても、後の地震研究のためにも貴重なデータ収集になるかもしれない。
必ず予知できると言うのも楽観過ぎるが、予知などできるはずがないと全否定してしまうのも乱暴すぎる。
私たちは、南海トラフ巨大地震については、不意打ちを前提に準備を進めるべきだろう。
結論は、「巨大地震の直前余地は難しい」というもの。
気象庁は、東海地震については、事前予知が可能だとして、観測網を敷き、24時間体制で観測を続けている。
観測点で異常値が観測された場合は、専門家による判定会が開かれ、巨大地震目前ということになれば、気象庁長官から内閣総理大臣に報告が上がり、閣議の承認を経て、警戒宣言の発令となる。
ここまでの仕組みは、法律で決められている。
この東海地震が事前予知できるという根拠は、昭和19年の東南海地震の直前に観測された地殻変動を前兆現象による。
地震直前、陸側のプレートの沈み込みが限界に達すると、スロースリップという現象が発生し、次の瞬間に地震が発生するという理屈だ。
先の東日本大震災でも、このスロースリップが起きていたことが分かっている。
同じ現象が東海地震でも起きるのであれば、直前予知が可能ということになる。
ところが、この前兆現象については、以前から専門家の間で、疑問視する声が多かった。
巨大地震の直前に必ずスロースリップが起きるとは限らない。
どの程度のスリップが起きると巨大地震につながるのかが分からない。
十分なスリップが観測されたとして、それから何日後に地震発生になるのか分からない。
分からないことだらけ。
いままで、前兆現象を捉えて地震予知に成功した事例はなく、まさに、ぶっつけ本番を狙っているのだ。
それで、以前から「予知はできないのではないか」との声が上がっていた。
今回の中央防災会議の報告書は、専門家の疑問をはっきり形に表したものだ。
従来のような予知を前提とした対策ではなく、不意打ちを前提にした防災対策に徹するべき、という考え方を示した。
何も特別の考えを表明したわけではない。
「地震はいつ来るか分からないから、いつ来てもいいように準備せよ」という、ごく当たり前のことを言っているに過ぎない。
気象庁は、東海地震については、直前予知の可能性を捨てきれない。
予知の可能性があるのなら追求し続けるべき。
予知に成功しなかったとしても、後の地震研究のためにも貴重なデータ収集になるかもしれない。
必ず予知できると言うのも楽観過ぎるが、予知などできるはずがないと全否定してしまうのも乱暴すぎる。
私たちは、南海トラフ巨大地震については、不意打ちを前提に準備を進めるべきだろう。
2013年05月27日
「地震シミュレーション訓練」大盛況:ポートメッセなごや
24日、ポートメッセなごやで、地震シミュレーション訓練を行なった。
ポートメッセなごやで行われた「防災/減災/危機管理展」の併催行事の1つとして、名古屋市の主催でこの訓練が実施された。
当初、定員50名で、先着順に参加者を募る予定だった。
ところが、予想を上回る応募があり、急遽、120名まで対応できるようにした。
それでも、応募者が増え続け、140名で応募を締め切ったという。
この訓練に対する人びとの関心の高さがうかがえる。
企業経営者、管理者向けの地震訓練ということで、他にはない体験プログラムだ。
それだけに、興味を持った人も多かったに違いない。
当日キャンセルもあり、実際の参加者は、約130名だった。
この訓練の過去の最高記録は、120名だったから、今回、記録更新となった。
参加者のみなさんは、さすがに意識の高い方々ばかり。
初対面同士のグループ構成だったのに、活発な議論が行われ、非常に盛り上がった。
話し合いの内容も、大変レベルが高く、深い議論ができていた。
2時間の持ち時間で、訓練としては時間がやや窮屈だったが、それだけ内容の充実した訓練となった。
参加者の皆様には、多くの気づきを得ていただけたことだろう。
訓練終了後、いろんな方と名刺交換をさせていただいた。
その中のお一人に次のようなことを聞かれた。
「この訓練は、どの本に載っているのか。どの資料を参考にしたのか」
たぶん、この訓練の元ネタを知りたかったのだろう。
だが、私の提供している訓練プログラムは、完全オリジナルなので、元ネタはない。
どこかの訓練プログラムに使用料を払ってライセンス提供しているものでもないし、他で行われている訓練プログラムをコピーしたり、まねたりしたものでもない。
他のプログラムを参考にさえしていない。
物まねになってしまうことを恐れて、敢えて他の訓練プログラムを参考にしないようにしてきた。
いろんな機会を捉えて、実践を繰り返し、その都度、より訓練効果が出るように、バージョンアップを重ね、今日のプログラムができあがった。
実践を繰り返して地道に作り上げてきたプログラムであるという点で、オリジナリティには自信がある。
どこに出しても恥ずかしくない訓練プログラムだ。
先ほどの質問された方に、完全オリジナルであることを伝えると、驚いていた。
「ということは、これを我が社で実施したい場合は、先生をお招きする必要があるということですか」
「ぜひ、そうしてください。プログラムをもって、どこへでも参上いたします」
プログラムの価値をご理解いただけたのはうれしい。
これをきっかけに、各企業での訓練につながってくれることを期待したい。
ポートメッセなごやで行われた「防災/減災/危機管理展」の併催行事の1つとして、名古屋市の主催でこの訓練が実施された。
当初、定員50名で、先着順に参加者を募る予定だった。
ところが、予想を上回る応募があり、急遽、120名まで対応できるようにした。
それでも、応募者が増え続け、140名で応募を締め切ったという。
この訓練に対する人びとの関心の高さがうかがえる。
企業経営者、管理者向けの地震訓練ということで、他にはない体験プログラムだ。
それだけに、興味を持った人も多かったに違いない。
当日キャンセルもあり、実際の参加者は、約130名だった。
この訓練の過去の最高記録は、120名だったから、今回、記録更新となった。
参加者のみなさんは、さすがに意識の高い方々ばかり。
初対面同士のグループ構成だったのに、活発な議論が行われ、非常に盛り上がった。
話し合いの内容も、大変レベルが高く、深い議論ができていた。
2時間の持ち時間で、訓練としては時間がやや窮屈だったが、それだけ内容の充実した訓練となった。
参加者の皆様には、多くの気づきを得ていただけたことだろう。
訓練終了後、いろんな方と名刺交換をさせていただいた。
その中のお一人に次のようなことを聞かれた。
「この訓練は、どの本に載っているのか。どの資料を参考にしたのか」
たぶん、この訓練の元ネタを知りたかったのだろう。
だが、私の提供している訓練プログラムは、完全オリジナルなので、元ネタはない。
どこかの訓練プログラムに使用料を払ってライセンス提供しているものでもないし、他で行われている訓練プログラムをコピーしたり、まねたりしたものでもない。
他のプログラムを参考にさえしていない。
物まねになってしまうことを恐れて、敢えて他の訓練プログラムを参考にしないようにしてきた。
いろんな機会を捉えて、実践を繰り返し、その都度、より訓練効果が出るように、バージョンアップを重ね、今日のプログラムができあがった。
実践を繰り返して地道に作り上げてきたプログラムであるという点で、オリジナリティには自信がある。
どこに出しても恥ずかしくない訓練プログラムだ。
先ほどの質問された方に、完全オリジナルであることを伝えると、驚いていた。
「ということは、これを我が社で実施したい場合は、先生をお招きする必要があるということですか」
「ぜひ、そうしてください。プログラムをもって、どこへでも参上いたします」
プログラムの価値をご理解いただけたのはうれしい。
これをきっかけに、各企業での訓練につながってくれることを期待したい。
2013年04月20日
中小企業BCPモデル完成:滋賀経済同友会
滋賀経済同友会の中小企業BCPモデルが完成し、一般公開となった。
http://www.s-douyu.jp/bcp/bcp.html
このBCPモデルは、滋賀経済同友会の危機管理研究会が取り組んできたプロジェクトで、私もBCP専門家の端くれとして当初からお手伝いさせていただいた。
本当に中小企業が使えるBCPモデルをとの思いから始まったプロジェクト。
中小企業の現場の知見を反映させるため、実際に中小企業に使っていただいて、使いにくいところ、分かりにくいところなど様々な意見を集約し、モデルに反映させた。
シンクタンクに丸投げして作ったようなモデルではなく、現場の知見が反映されているBCPモデルというところが自慢だ。
官公庁や自治体から公開されているBCPモデルとは違う。
経済団体が独自のBCPモデルを公開するケースは珍しい。
4月からウェブ上で一般公開されている。
滋賀のBCPモデルではあるが、滋賀県の企業しか使えないわけではない。
日本全国どこの中小企業でも使える。
ダウンロードは自由、カスタマイズも自由。
是非、多くの企業にご利用いただきたい。
このBCPモデルには、他にはない独特の要素がいろいろ組み込まれている。
それは、また別の機会に。
http://www.s-douyu.jp/bcp/bcp.html
このBCPモデルは、滋賀経済同友会の危機管理研究会が取り組んできたプロジェクトで、私もBCP専門家の端くれとして当初からお手伝いさせていただいた。
本当に中小企業が使えるBCPモデルをとの思いから始まったプロジェクト。
中小企業の現場の知見を反映させるため、実際に中小企業に使っていただいて、使いにくいところ、分かりにくいところなど様々な意見を集約し、モデルに反映させた。
シンクタンクに丸投げして作ったようなモデルではなく、現場の知見が反映されているBCPモデルというところが自慢だ。
官公庁や自治体から公開されているBCPモデルとは違う。
経済団体が独自のBCPモデルを公開するケースは珍しい。
4月からウェブ上で一般公開されている。
滋賀のBCPモデルではあるが、滋賀県の企業しか使えないわけではない。
日本全国どこの中小企業でも使える。
ダウンロードは自由、カスタマイズも自由。
是非、多くの企業にご利用いただきたい。
このBCPモデルには、他にはない独特の要素がいろいろ組み込まれている。
それは、また別の機会に。
2013年04月15日
感染者60人、死者13人:中国インフル
中国の鳥インフルが止まらない。
現在、感染者60人、うち死者13人。
上海、江蘇省、浙江省、安徽省、北京、河南省で感染者が出ている。
飛び地のように北京で感染者が出たのが非常に心配。
この中国インフルは、分からないことだらけ。
感染源、感染ルートは未だに分からないままだ。
当然、毒性の強さ、致死率、感染方法、潜伏期間などもよく分からない。
最初の感染例は、3月初旬に見つかっていたらしい。
3週間遅れでようやく公表され、それから2週間。
何も分からないまま、事態だけが進行していく不安。
政府当局はメディアに対して、報道規制をかけた。
それ以降は、情報量がうんと減って、政府発表の感染者の数字しか分からなくなった。
SARSの時は、情報隠蔽が3か月も続き、そのために世界に被害を拡大させることになってしまった。
今回は、3週間で情報公開に踏み切っただけでも、進歩あったと見るべきか。
北朝鮮暴走のリスクは脅威だが、これは目に見えて分かりやすい。
だが、中国インフルは何も分からないという点でリスクが大きい。
現在、感染者60人、うち死者13人。
上海、江蘇省、浙江省、安徽省、北京、河南省で感染者が出ている。
飛び地のように北京で感染者が出たのが非常に心配。
この中国インフルは、分からないことだらけ。
感染源、感染ルートは未だに分からないままだ。
当然、毒性の強さ、致死率、感染方法、潜伏期間などもよく分からない。
最初の感染例は、3月初旬に見つかっていたらしい。
3週間遅れでようやく公表され、それから2週間。
何も分からないまま、事態だけが進行していく不安。
政府当局はメディアに対して、報道規制をかけた。
それ以降は、情報量がうんと減って、政府発表の感染者の数字しか分からなくなった。
SARSの時は、情報隠蔽が3か月も続き、そのために世界に被害を拡大させることになってしまった。
今回は、3週間で情報公開に踏み切っただけでも、進歩あったと見るべきか。
北朝鮮暴走のリスクは脅威だが、これは目に見えて分かりやすい。
だが、中国インフルは何も分からないという点でリスクが大きい。
2013年04月06日
メディア規制に動き出した中国:鳥インフルH7N9
中国の鳥インフル(H7N9型)問題。
浙江省の衛生当局は5日、新たに64歳の男性が死亡したと発表した。
これで同インフルエンザによる死者は6人となった。
通常のインフルエンザでも、毎年一定の死亡者が発生しており、死者が出たからといって、そのことがそのまま事態の深刻さを表すものではない。
今回の鳥インフルが注目されているのは、いままでにヒトに感染することがなかったH7N9型ウィルスであるからだ。
ヒトに感染することがなかったということは、このウィルスの免疫を持っている人がいないということ。
すると、ひとたびヒト―ヒト感染する型に変異してしまった場合、爆発的な感染拡大を引き起こす恐れがある。
これが恐れられているのだ。
鳥インフルの人への感染が確認されてから随分たつが、一向に分からないことが多い。
感染源はどこなのか。
毒性はどのぐらいか。
潜伏期間はどのぐらいか。
ヒト―ヒト感染は起きているのか。
患者に接触した人が高熱に襲われたとか、中国から帰国した台湾人がインフル症状を発しているとか、周辺情報が断片的にもれ伝わってきているだけ。
情報の少なさは憶測を呼ぶ。
憶測はデマを発生させ、そのことが社会不安を増幅させる。
中国当局は市民の不安を招くような独自報道を控えるよう、一部メディアに通達したようだ。
鳥の殺処分を現場で取材した独自記事の掲載などが認められなかったという。
「ここまで深刻な状況なのか」と人びとを不安にさせるからだ。
いまでは、ほとんどが当局の発表をまとめたものや国営新華社通信の配信記事になっているらしい。
03年のSARSの教訓から、情報公開を徹底するように方針転換した。
当初は、単なる疑い例も含め細かく情報公開し、メディアの報道も自由に任せていた。
ところが、報道が過剰になると、国民の不安が増幅し、政府の対応の遅れや不十分さを指摘する声につながる。
中国は、国民の批判が政府に向かうことに耐えられない。
結局、メディアの報道規制に向かってしまったようだ。
こうなると、香港や台湾のメディアから伝わってくる周辺情報から中国本土の状況を推測するしかなくなってしまう。
SARSの時は、情報隠蔽により、感染を世界に拡大させてしまった。
偶然にも日本への感染が起きなかったので、私たちの記憶には印象が薄い。
今回の鳥インフルについて、2回目の偶然に期待するのは危険すぎるだろう。
最新の情報に注意しながら、万一に備えるしかない。
浙江省の衛生当局は5日、新たに64歳の男性が死亡したと発表した。
これで同インフルエンザによる死者は6人となった。
通常のインフルエンザでも、毎年一定の死亡者が発生しており、死者が出たからといって、そのことがそのまま事態の深刻さを表すものではない。
今回の鳥インフルが注目されているのは、いままでにヒトに感染することがなかったH7N9型ウィルスであるからだ。
ヒトに感染することがなかったということは、このウィルスの免疫を持っている人がいないということ。
すると、ひとたびヒト―ヒト感染する型に変異してしまった場合、爆発的な感染拡大を引き起こす恐れがある。
これが恐れられているのだ。
鳥インフルの人への感染が確認されてから随分たつが、一向に分からないことが多い。
感染源はどこなのか。
毒性はどのぐらいか。
潜伏期間はどのぐらいか。
ヒト―ヒト感染は起きているのか。
患者に接触した人が高熱に襲われたとか、中国から帰国した台湾人がインフル症状を発しているとか、周辺情報が断片的にもれ伝わってきているだけ。
情報の少なさは憶測を呼ぶ。
憶測はデマを発生させ、そのことが社会不安を増幅させる。
中国当局は市民の不安を招くような独自報道を控えるよう、一部メディアに通達したようだ。
鳥の殺処分を現場で取材した独自記事の掲載などが認められなかったという。
「ここまで深刻な状況なのか」と人びとを不安にさせるからだ。
いまでは、ほとんどが当局の発表をまとめたものや国営新華社通信の配信記事になっているらしい。
03年のSARSの教訓から、情報公開を徹底するように方針転換した。
当初は、単なる疑い例も含め細かく情報公開し、メディアの報道も自由に任せていた。
ところが、報道が過剰になると、国民の不安が増幅し、政府の対応の遅れや不十分さを指摘する声につながる。
中国は、国民の批判が政府に向かうことに耐えられない。
結局、メディアの報道規制に向かってしまったようだ。
こうなると、香港や台湾のメディアから伝わってくる周辺情報から中国本土の状況を推測するしかなくなってしまう。
SARSの時は、情報隠蔽により、感染を世界に拡大させてしまった。
偶然にも日本への感染が起きなかったので、私たちの記憶には印象が薄い。
今回の鳥インフルについて、2回目の偶然に期待するのは危険すぎるだろう。
最新の情報に注意しながら、万一に備えるしかない。
2013年04月03日
鳥インフル感染広がる:中国
中国で鳥インフルの感染が広がっている。
ウィルスはH7N9型。
従来から心配されている強毒性のH5N1型とは違って、毒性は弱いらしい。
だが、免疫を持つ人がほとんどいないことから、一旦、人から人に感染するようになると、一気に感染拡大を引き起こす恐れがある。
中国とはヒトやモノの交流も多く、日本はその影響をいち早く受ける恐れがある。
今後の情報に注意したい。
当初は、3人が感染し、2人が死亡したと報じられたが、新たに4人の感染が確認されたという。
感染者はいずれも重体。
中国東部・江蘇省の政府が発表した。
中国では過去にサーズの時に、情報の操作や隠蔽が行われたために、被害を世界に拡大させた経緯がある。
今回は、早くから情報公開が行われていると見るべきだろうか。
中国がどこまで情報をストレートに公表するのかが心配だ。
中国から小出しでも情報が伝わってくるうちはまだたいしたことは起きていないということだ。
突然何の情報も伝わってこなくなったときが、本当に警戒しなければならないときかもしれない。
ウィルスはH7N9型。
従来から心配されている強毒性のH5N1型とは違って、毒性は弱いらしい。
だが、免疫を持つ人がほとんどいないことから、一旦、人から人に感染するようになると、一気に感染拡大を引き起こす恐れがある。
中国とはヒトやモノの交流も多く、日本はその影響をいち早く受ける恐れがある。
今後の情報に注意したい。
当初は、3人が感染し、2人が死亡したと報じられたが、新たに4人の感染が確認されたという。
感染者はいずれも重体。
中国東部・江蘇省の政府が発表した。
中国では過去にサーズの時に、情報の操作や隠蔽が行われたために、被害を世界に拡大させた経緯がある。
今回は、早くから情報公開が行われていると見るべきだろうか。
中国がどこまで情報をストレートに公表するのかが心配だ。
中国から小出しでも情報が伝わってくるうちはまだたいしたことは起きていないということだ。
突然何の情報も伝わってこなくなったときが、本当に警戒しなければならないときかもしれない。
2013年04月02日
中小企業BCPモデル公開:滋賀経済同友会
昨年から、滋賀経済同友会の危機管理研究会とともに中小企業向けのBCPモデルを作ってきたが、ようやく完成し、このたび公開の運びとなった。
民間の経済団体が独自のBCPモデルを作成したケースは全国でも珍しい。
滋賀経済同友会の危機管理研究会では、早くからBCPを取り上げてきた。
だが、BCPに関心のある企業は多いものの、どのように取り組んだらいいのか分からないという意見が多く、簡単に取り組める独自のBCPモデルの必要性を認識していた。
それで、このたび、私もBCP専門家の端くれとしてお手伝いさせていただくこととなった。
作成の段階では、ワーキンググループを結成し、実際に会員の中小企業に利用していただき、使い勝手をフィードバックしてもらった。
中小企業にとってより分かりやすく取り組みやすいモデルを目指した。
中小企業庁や都道府県などで既に中小企業向けのBCPモデルを公表しているが、いずれも大企業向けBCPのお下がりのようなもので、中小企業の知見が反映されていない。
その欠点を補うため、私がいままでいろいろな中小企業のBCPを支援してきた経験と、会員企業からのフィードバックを盛り込むことに重点を置いた。
中小企業の現場の知見を踏まえたモデルという点で、他にはないBCPモデルだと言える。
3月30日の京都新聞で滋賀経済同友会のBCPモデルの記事が掲載された。
http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20130330000029
見出しには「災害時業務計画の作成支援ソフト公開」とある。
「作成支援ソフト」というと、「ホームページ作成支援ソフト」のように、高度に自動化されたアプリケーションソフトを連想してしまう。
やや大げさかなという印象を持つが、記者の目で見た場合、「BCPモデル」では、意味が分かりにくいため、このような表現になったようだ。
たしかに、このBCPモデルに従って取り組んでいけば、自動的に一通りのBCPができあがるようになっているのだから、「作成支援ソフト」と言っても間違いではない。
BCPではなく災害時業務計画としたのも、一般の分かりやすさを優先したものだろう。
BCPを専門的に扱っている者にとっては、思いつかない表現にはっとさせられた。
もしかしたら、BCPを一般に普及させるためには、これが正しい表現かもしれない。
NHKの取材も受けた。
1日に報道されたらしいが、まだ映像を見ていない。
このBCPモデルが広く認知され、利用されることを期待したい。
--------------------------------------------------------------
災害時業務計画の作成支援ソフト公開 滋賀経済同友会
滋賀経済同友会は、災害に備える「業務継続計画(BCP)」を手軽に作成できるソフトを開発した。インターネット上で必要な事項を入力すれば簡単に自社独自のBCPが策定できる全国でも珍しいシステムで、4月初旬からホームページで公開する。
地震など大規模災害が発生した場合でも企業が事業活動を継続し、部品供給や製品販売などの社会的責任を果たす体制づくりを促す。2011年3月の東日本大震災を受け、06年に発表していた事業継続経営の提言内容をソフト化した。
必要事項を入力する方式で、基本方針の設定や対象となる災害リスクの特定、目標復旧時間の設定、財務状況の影響診断、復旧対策の計画づくりなどの項目で構成した。
製品やサービスごとに販売や顧客、社会全体への影響の大きさをそれぞれ自己評価して数値として優先順位を決め、万一の際に役立てる仕組みも導入。専門チームを編成して役割分担を明確化することも盛り込み、復旧対策の円滑化につなげられるようにした。
滋賀経済同友会が昨年6月に会員の経営者約300人を対象に実施した調査結果によると、策定済みの企業は18%で、5年前の5%から大幅に増えたものの、8割程度の企業が未策定だった。とくに中小企業の対応が遅れているといい、同友会は「滋賀発のモデルを広く公開して災害時の影響を抑えたい。県外の企業にも活用してほしい」と話している。
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民間の経済団体が独自のBCPモデルを作成したケースは全国でも珍しい。
滋賀経済同友会の危機管理研究会では、早くからBCPを取り上げてきた。
だが、BCPに関心のある企業は多いものの、どのように取り組んだらいいのか分からないという意見が多く、簡単に取り組める独自のBCPモデルの必要性を認識していた。
それで、このたび、私もBCP専門家の端くれとしてお手伝いさせていただくこととなった。
作成の段階では、ワーキンググループを結成し、実際に会員の中小企業に利用していただき、使い勝手をフィードバックしてもらった。
中小企業にとってより分かりやすく取り組みやすいモデルを目指した。
中小企業庁や都道府県などで既に中小企業向けのBCPモデルを公表しているが、いずれも大企業向けBCPのお下がりのようなもので、中小企業の知見が反映されていない。
その欠点を補うため、私がいままでいろいろな中小企業のBCPを支援してきた経験と、会員企業からのフィードバックを盛り込むことに重点を置いた。
中小企業の現場の知見を踏まえたモデルという点で、他にはないBCPモデルだと言える。
3月30日の京都新聞で滋賀経済同友会のBCPモデルの記事が掲載された。
http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20130330000029
見出しには「災害時業務計画の作成支援ソフト公開」とある。
「作成支援ソフト」というと、「ホームページ作成支援ソフト」のように、高度に自動化されたアプリケーションソフトを連想してしまう。
やや大げさかなという印象を持つが、記者の目で見た場合、「BCPモデル」では、意味が分かりにくいため、このような表現になったようだ。
たしかに、このBCPモデルに従って取り組んでいけば、自動的に一通りのBCPができあがるようになっているのだから、「作成支援ソフト」と言っても間違いではない。
BCPではなく災害時業務計画としたのも、一般の分かりやすさを優先したものだろう。
BCPを専門的に扱っている者にとっては、思いつかない表現にはっとさせられた。
もしかしたら、BCPを一般に普及させるためには、これが正しい表現かもしれない。
NHKの取材も受けた。
1日に報道されたらしいが、まだ映像を見ていない。
このBCPモデルが広く認知され、利用されることを期待したい。
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災害時業務計画の作成支援ソフト公開 滋賀経済同友会
滋賀経済同友会は、災害に備える「業務継続計画(BCP)」を手軽に作成できるソフトを開発した。インターネット上で必要な事項を入力すれば簡単に自社独自のBCPが策定できる全国でも珍しいシステムで、4月初旬からホームページで公開する。
地震など大規模災害が発生した場合でも企業が事業活動を継続し、部品供給や製品販売などの社会的責任を果たす体制づくりを促す。2011年3月の東日本大震災を受け、06年に発表していた事業継続経営の提言内容をソフト化した。
必要事項を入力する方式で、基本方針の設定や対象となる災害リスクの特定、目標復旧時間の設定、財務状況の影響診断、復旧対策の計画づくりなどの項目で構成した。
製品やサービスごとに販売や顧客、社会全体への影響の大きさをそれぞれ自己評価して数値として優先順位を決め、万一の際に役立てる仕組みも導入。専門チームを編成して役割分担を明確化することも盛り込み、復旧対策の円滑化につなげられるようにした。
滋賀経済同友会が昨年6月に会員の経営者約300人を対象に実施した調査結果によると、策定済みの企業は18%で、5年前の5%から大幅に増えたものの、8割程度の企業が未策定だった。とくに中小企業の対応が遅れているといい、同友会は「滋賀発のモデルを広く公開して災害時の影響を抑えたい。県外の企業にも活用してほしい」と話している。
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2013年02月17日
ロシアに隕石落下:新たな災害リスクか
ロシアに隕石が落下し、1000人を超える負傷者が出たらしい。
隕石落下の瞬間を捉えた動画が公開され、その閃光と衝撃波の強烈さに驚いた。
普通、隕石は大気圏に突入するときに砕け散り、空気との摩擦により落下途中で消失する。
ところが、今回の隕石は母体が2000トンクラスの巨大なもので、多くは砕け散って燃え尽きたものの、一部の巨大な破片が燃え尽きずに地上にまで降り注いだということのようだ。
現地の人々は、いったい何が起きたのか分からず、恐怖におびえたという。
「ミサイル攻撃か」と戦争を意識した人も多かったようだ。
地元自治体やロシア国家が冷静に対処したので、問題は起きなかったが、これが、一触即発の紛争地域だったらどうなったか。
いきなり敵対勢力の攻撃が始まったと誤解し、反撃を始めてしまうかもしれない。
たとえば、北朝鮮に落下していたら……。
隕石の落下と捉えられる冷静さと解析力があればいいが、軍部がアメリカの攻撃と誤認して脊髄反射してしまったら……。
この隕石落下。
事前に予想するのは難しいらしい。
もっと巨大な隕石であれば、正確に軌道を捉え、事前に落下日時や場所を特定できるが、小さいものは、落ちるまで分からない。
どこに落ちるかは、全くの確率の問題。
ロシアで隕石落下が多いのは、ただ面積が広いから。
そういう意味で、日本列島に落下してくる可能性は非常に低い。
しかし、地球上のどこでも同じ可能性がある、という意味では、避けて通れない災害リスクの1つに入る。
隕石落下の瞬間を捉えた動画が公開され、その閃光と衝撃波の強烈さに驚いた。
普通、隕石は大気圏に突入するときに砕け散り、空気との摩擦により落下途中で消失する。
ところが、今回の隕石は母体が2000トンクラスの巨大なもので、多くは砕け散って燃え尽きたものの、一部の巨大な破片が燃え尽きずに地上にまで降り注いだということのようだ。
現地の人々は、いったい何が起きたのか分からず、恐怖におびえたという。
「ミサイル攻撃か」と戦争を意識した人も多かったようだ。
地元自治体やロシア国家が冷静に対処したので、問題は起きなかったが、これが、一触即発の紛争地域だったらどうなったか。
いきなり敵対勢力の攻撃が始まったと誤解し、反撃を始めてしまうかもしれない。
たとえば、北朝鮮に落下していたら……。
隕石の落下と捉えられる冷静さと解析力があればいいが、軍部がアメリカの攻撃と誤認して脊髄反射してしまったら……。
この隕石落下。
事前に予想するのは難しいらしい。
もっと巨大な隕石であれば、正確に軌道を捉え、事前に落下日時や場所を特定できるが、小さいものは、落ちるまで分からない。
どこに落ちるかは、全くの確率の問題。
ロシアで隕石落下が多いのは、ただ面積が広いから。
そういう意味で、日本列島に落下してくる可能性は非常に低い。
しかし、地球上のどこでも同じ可能性がある、という意味では、避けて通れない災害リスクの1つに入る。
2013年01月06日
22万ビュー突破:「東海地震が切迫している理由」
YouTubeにアップしている弊社コンテンツ、「東海地震が切迫している理由」。
いつのまにか、22万ビューを超えていた。
アップしてから約1年。
いろんなブログやツイッターなどでご紹介いただいているようで、一貫して閲覧回数が増え続けている。
引用、参照の許可要請も受けるようになった。
時にはテレビ局からの問い合わせもある。
このコンテンツは無償で公開しているものなので、趣旨をご理解いただいた上であれば、啓発活動にご利用いただくのは大歓迎だ。
この動画は、特別の情報を公開しているものではない。
公式に発表されている情報を分かりやすくまとめただけ。
東海地震については、昔から様々な情報が提供されているが、情報が豊富すぎて却ってわかりにくくなっている面がある。
それを整理して動画コンテンツとしてまとめたものだ。
文字と静止画では伝わりにくいことでも、動画と音声なら簡単に理解できる。
このコンテンツがより多くの方々にご利用いただけるのはうれしいことだ。
いま、東海地震や南海トラフ巨大地震に対する人々の関心は衰えるどころか、ますます高まっている。
折しも、新政権は国土強靱化計画を掲げ、景気刺激策をかねて、防災・減災を全面に押し出す構え。
南海トラフ巨大地震の想定の見直しも急ピッチで進んでおり、国の被害想定や防災対策も次々に新しいものに塗り変わっていく。
今年は、東海地震(南海トラフ巨大地震)が更に注目される年になりそう。
国の動きに合わせて、県や市の防災対策も前面見直しとなる。
ハザードマップなとも作り直し。
当然のことながら、民間企業においても、BCPの役割がクローズアップされてくるに違いない。
いつのまにか、22万ビューを超えていた。
アップしてから約1年。
いろんなブログやツイッターなどでご紹介いただいているようで、一貫して閲覧回数が増え続けている。
引用、参照の許可要請も受けるようになった。
時にはテレビ局からの問い合わせもある。
このコンテンツは無償で公開しているものなので、趣旨をご理解いただいた上であれば、啓発活動にご利用いただくのは大歓迎だ。
この動画は、特別の情報を公開しているものではない。
公式に発表されている情報を分かりやすくまとめただけ。
東海地震については、昔から様々な情報が提供されているが、情報が豊富すぎて却ってわかりにくくなっている面がある。
それを整理して動画コンテンツとしてまとめたものだ。
文字と静止画では伝わりにくいことでも、動画と音声なら簡単に理解できる。
このコンテンツがより多くの方々にご利用いただけるのはうれしいことだ。
いま、東海地震や南海トラフ巨大地震に対する人々の関心は衰えるどころか、ますます高まっている。
折しも、新政権は国土強靱化計画を掲げ、景気刺激策をかねて、防災・減災を全面に押し出す構え。
南海トラフ巨大地震の想定の見直しも急ピッチで進んでおり、国の被害想定や防災対策も次々に新しいものに塗り変わっていく。
今年は、東海地震(南海トラフ巨大地震)が更に注目される年になりそう。
国の動きに合わせて、県や市の防災対策も前面見直しとなる。
ハザードマップなとも作り直し。
当然のことながら、民間企業においても、BCPの役割がクローズアップされてくるに違いない。
2012年12月23日
地震発生確率の上昇:全国地震動予測地図
地震調査委員会が2012年版の「全国地震動予測地図」を公表した。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布を地図表示したもの。
全国的に確率が上昇している。
特に、東日本大震災の影響で、関東地域の確率が大きく上昇した。
水戸の確率は、前回の31.3から62.3に大幅に上昇している。
発生確率の高い地域は、関東から九州にかけての太平洋側だ。
ここは南海トラフ巨大地震が想定される地域。
最も高い数値は、静岡の89.7%。
続いて、津の87.4%だ。
気になるのが、大阪と奈良。
南海トラフ地震の震源域に直接面していない地域なのに、大阪は62.8%、奈良は70.2%と非常に高い。
これは、地盤の揺れやすさと関係があるようだ。
この地図を見るときに気をつけなければならない点。
それは、この地図は地震の起きやすい地域を示すためのもので、次に発生する地震を予想するものでもないし、地震の起きない地域を示すものではないということだ。
つまり、「この地図で発生確率の低い地域の人たちは安心していいですよ」ということではない。
一般に、内陸型の地震は確率計算をすると低く、海溝型地震は高くなる。
どうしても、南海トラフ沿いと千島海溝沿いの地域ばかり目立つことになる。
阪神淡路大震災、新潟中越地震、能登地震、新潟中越沖地震などは、すべて発生確率の低いところで起きた。
だから、この地図を見て、どこなら安心かを判断する材料にしないように気をつけないといけない。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布を地図表示したもの。
全国的に確率が上昇している。
特に、東日本大震災の影響で、関東地域の確率が大きく上昇した。
水戸の確率は、前回の31.3から62.3に大幅に上昇している。
発生確率の高い地域は、関東から九州にかけての太平洋側だ。
ここは南海トラフ巨大地震が想定される地域。
最も高い数値は、静岡の89.7%。
続いて、津の87.4%だ。
気になるのが、大阪と奈良。
南海トラフ地震の震源域に直接面していない地域なのに、大阪は62.8%、奈良は70.2%と非常に高い。
これは、地盤の揺れやすさと関係があるようだ。
この地図を見るときに気をつけなければならない点。
それは、この地図は地震の起きやすい地域を示すためのもので、次に発生する地震を予想するものでもないし、地震の起きない地域を示すものではないということだ。
つまり、「この地図で発生確率の低い地域の人たちは安心していいですよ」ということではない。
一般に、内陸型の地震は確率計算をすると低く、海溝型地震は高くなる。
どうしても、南海トラフ沿いと千島海溝沿いの地域ばかり目立つことになる。
阪神淡路大震災、新潟中越地震、能登地震、新潟中越沖地震などは、すべて発生確率の低いところで起きた。
だから、この地図を見て、どこなら安心かを判断する材料にしないように気をつけないといけない。
2012年12月21日
新政権では防災対策が主要テーマになる
衆院選が終わって、自民党の圧勝という結果を得た。
自民と公明で議席の3分の2以上を確保するという完勝だった。
早くから新聞の予想記事が出ていて、自民の優勢と民主の劣勢が伝えられていたが、それが極端な形となって結果に表れた。
詳しい選挙分析は省略。
ここでは、自民と公明が選挙期間中に訴えてきた政策について。
この2党は、他の政党とは違う政策を訴えていた。
それは、「防災、減災」だ。
自民党は「国土強靱化計画」という名前で打ち出していた。
東日本大震災後に行われる国政選挙なので、防災が主要テーマになるのは当然。
むしろ、他の政党が原発一本槍で、防災の視点が欠落していたのが不思議なくらいだった。
原発リスクに敏感なら、震災リスクにはもっと敏感になっても良さそうなのに。
安倍総裁が次期総理になるのは確実。
新内閣を「危機突破内閣」と名付けたらしい。
喫緊の課題は、経済対策、そして、防災対策だ。
「国土強靱化計画」は、防災対策と経済対策とをドッキングさせた政策で、画期的。
自民党の総合政策集「J−ファイル2012」には、首都直下型や南海トラフの巨大地震に対して、「国民の命を守り抜く防災対策を徹底する」と明記されている。
新政権は、防災を政策の前面に出して強力に推し進めていくのは間違いなさそう。
更に注目は、経済の建て直しでは、成長のみならず、「企業のBCP(事業継続計画)策定支援」や、本社機能、拠点機能の戦略的地方展開の支援、サイバーセキュリティの強化など、守備も強化するという。
BCPがいよいよ政権政策の主要テーマに入ってきた。
来年は、国を挙げての危機管理体制の強化の年となる。
各自治体も対応を迫られるだろう。
そして、民間企業においてもBCPが一層求められるようになるのは間違いない。
自民と公明で議席の3分の2以上を確保するという完勝だった。
早くから新聞の予想記事が出ていて、自民の優勢と民主の劣勢が伝えられていたが、それが極端な形となって結果に表れた。
詳しい選挙分析は省略。
ここでは、自民と公明が選挙期間中に訴えてきた政策について。
この2党は、他の政党とは違う政策を訴えていた。
それは、「防災、減災」だ。
自民党は「国土強靱化計画」という名前で打ち出していた。
東日本大震災後に行われる国政選挙なので、防災が主要テーマになるのは当然。
むしろ、他の政党が原発一本槍で、防災の視点が欠落していたのが不思議なくらいだった。
原発リスクに敏感なら、震災リスクにはもっと敏感になっても良さそうなのに。
安倍総裁が次期総理になるのは確実。
新内閣を「危機突破内閣」と名付けたらしい。
喫緊の課題は、経済対策、そして、防災対策だ。
「国土強靱化計画」は、防災対策と経済対策とをドッキングさせた政策で、画期的。
自民党の総合政策集「J−ファイル2012」には、首都直下型や南海トラフの巨大地震に対して、「国民の命を守り抜く防災対策を徹底する」と明記されている。
新政権は、防災を政策の前面に出して強力に推し進めていくのは間違いなさそう。
更に注目は、経済の建て直しでは、成長のみならず、「企業のBCP(事業継続計画)策定支援」や、本社機能、拠点機能の戦略的地方展開の支援、サイバーセキュリティの強化など、守備も強化するという。
BCPがいよいよ政権政策の主要テーマに入ってきた。
来年は、国を挙げての危機管理体制の強化の年となる。
各自治体も対応を迫られるだろう。
そして、民間企業においてもBCPが一層求められるようになるのは間違いない。
2012年12月09日
東北地方でアウターライズ地震
7日午後5時18分ごろ、東北地方で地震発生。
震源は三陸沖、深さ10キロ、マグニチュード7.3。
津波警報が発令された。
NHKは地震発生直後から緊急放送に切り替え、しきりに津波避難を呼びかた。
画面には、赤地に白抜きの文字で「津波!避難!」という大きな表示。
アナウンサーは、緊迫感のある声で呼びかけ続けた。
どうやら、去年の東日本大震災の教訓から、津波避難を強い口調で呼びかけるべきという方向に方針が変わったようだ。
従来なら、「危機感を煽るような言い方はパニックを引き起こす」ということで、落ち着いた口調が主流だった。
まずは「落ち着いて行動してください」というのが決まり文句だった。
ところが、東日本大震災では、せっかく避難を呼びかがあったのに、大したことはないだろうと勝手に想像して、行動を起こさない人が多かった。
それで、もっと大げさに危機感を煽る言い方の方がいいだろうということになった。
今回のNHKの緊急放送を聴いた被災地以外の人は、「なんでアナウンサーはこんなに興奮してるんだろう」と思ってしまったに違いない。
民放では、緊急放送に切り替えたところはなく、余計にNHKの緊迫感が異様に感じられた。
これは、過去の教訓と、人間の心理傾向を考慮した報道姿勢として支持できる。
パニックが起きることは滅多にない。
それよりも、行動が遅れることで引き起こされる被害の方が大きい。
緊急事態には、きっちり緊迫感を伝える報道でなくてはならない。
東北の沿岸部では、避難する車で各地で渋滞が発生したらしい。
東日本大震災の時も、避難する車で渋滞が発生し、その車列を津波が襲う悲劇が起きた。
その教訓から、「津波避難は徒歩で」というのが原則になったはず。
しかし、一刻も早くという焦りと寒さから、自動車を利用してしまった人が多かったのだろう。
ガソリンスタンドには給油待ちの車が行列を作ったという。
大震災の教訓から、地震の後にはガソリン不足が起きるという憶測が働いたようだ。
今回の地震は、アウターライズ地震とみられている。
アウターライズ地震とは、巨大地震が発生した後に、海側のプレート内部で正断層によって引き起こされる地震のこと。
海側のプレートと陸側のプレートがぶつかり合っているのが海溝。
巨大地震によって陸側のストッパーが外れることで、海側のプレートが一気に地殻内部に引きずり込まれる。
その引っ張りの力によって、海側のプレート内部で正断層地震が発生するのだ。
東日本大震災の発生により、このアウターライズ地震が発生することは予想されていた。
ただ、M9の東日本大震災に対して、予想されたアウターライズ地震の規模はM8クラス。
だが、今回のアウターライズ地震はM7.3と規模が小さかった。
今後も同程度の地震が発生する恐れがあるという。
震源は三陸沖、深さ10キロ、マグニチュード7.3。
津波警報が発令された。
NHKは地震発生直後から緊急放送に切り替え、しきりに津波避難を呼びかた。
画面には、赤地に白抜きの文字で「津波!避難!」という大きな表示。
アナウンサーは、緊迫感のある声で呼びかけ続けた。
どうやら、去年の東日本大震災の教訓から、津波避難を強い口調で呼びかけるべきという方向に方針が変わったようだ。
従来なら、「危機感を煽るような言い方はパニックを引き起こす」ということで、落ち着いた口調が主流だった。
まずは「落ち着いて行動してください」というのが決まり文句だった。
ところが、東日本大震災では、せっかく避難を呼びかがあったのに、大したことはないだろうと勝手に想像して、行動を起こさない人が多かった。
それで、もっと大げさに危機感を煽る言い方の方がいいだろうということになった。
今回のNHKの緊急放送を聴いた被災地以外の人は、「なんでアナウンサーはこんなに興奮してるんだろう」と思ってしまったに違いない。
民放では、緊急放送に切り替えたところはなく、余計にNHKの緊迫感が異様に感じられた。
これは、過去の教訓と、人間の心理傾向を考慮した報道姿勢として支持できる。
パニックが起きることは滅多にない。
それよりも、行動が遅れることで引き起こされる被害の方が大きい。
緊急事態には、きっちり緊迫感を伝える報道でなくてはならない。
東北の沿岸部では、避難する車で各地で渋滞が発生したらしい。
東日本大震災の時も、避難する車で渋滞が発生し、その車列を津波が襲う悲劇が起きた。
その教訓から、「津波避難は徒歩で」というのが原則になったはず。
しかし、一刻も早くという焦りと寒さから、自動車を利用してしまった人が多かったのだろう。
ガソリンスタンドには給油待ちの車が行列を作ったという。
大震災の教訓から、地震の後にはガソリン不足が起きるという憶測が働いたようだ。
今回の地震は、アウターライズ地震とみられている。
アウターライズ地震とは、巨大地震が発生した後に、海側のプレート内部で正断層によって引き起こされる地震のこと。
海側のプレートと陸側のプレートがぶつかり合っているのが海溝。
巨大地震によって陸側のストッパーが外れることで、海側のプレートが一気に地殻内部に引きずり込まれる。
その引っ張りの力によって、海側のプレート内部で正断層地震が発生するのだ。
東日本大震災の発生により、このアウターライズ地震が発生することは予想されていた。
ただ、M9の東日本大震災に対して、予想されたアウターライズ地震の規模はM8クラス。
だが、今回のアウターライズ地震はM7.3と規模が小さかった。
今後も同程度の地震が発生する恐れがあるという。
2012年11月30日
中小企業BCPの先進事例:名古屋テックビズエキスポ
テックビズエキスポ2012。
28日から30日まで、ポートメッセなごやで開催。
ものづくりの技術展示会。
先進技術の展示ブースが並び、いろんな会場でセミナーやプレゼンテーションが行われている。
その中で、名古屋市の主催により、BCPセミナーを出講させていただいた。
技術系のセミナーが多い中で、BCPセミナーは異色。
しかし、ものづくりの現場にBCPは欠かせないツールとなっており、さすがに人々の関心が高い。
すぐに会場はいっぱいになり、追加のイスを投入してもなお立ち見があるほどだった。
展示会場の一角で行われるセミナーなので、開放空間で音響設備は貧弱なので、受講者の方はさぞかし聴きにくかったと思われるが、それでも、熱心に最後までお聴きくださった。
持ち時間は1時間。
前半は、私がBCP策定のお手伝いをさせていただいている企業様にご登壇いただき、現在、取り組んでいるBCPの概要をご紹介いただいた。
エレベータ部品を製造する従業員35名というごく普通の中小企業だ。
だが、普通の中小企業と違うのは、社長がリスク対策に敏感なこと。
去年の大震災以降、我が社でも対策をしなければいけないという意識を持ちながら、何をすればいいのか模索しているときに、BCPの存在を知り、早速、取り組むこととなった。
基本レベルながら一通りのBCPができあがったので、展示会のセミナーで事例発表をお勧めしたところ、快諾いただき、今回の事例発表となった。
BCPに取り組み初めてまだ数ヶ月で、まだBCPの基本レベルができあがった段階ではあるが、BCPの一通りの要素はすべて含んでおり、堂々とご紹介いただいて恥ずかしくない内容だ。
まさに、中小企業らしい身の丈に合ったBCPだった。
BCPの事例発表は、発表する側にもメリットが大きい。
BCPは、人知れずこっそり作ってしまっておくものではない。
BCPへの取り組みは、積極的に内外にアピールすべきものだ。
そうすることで、会社のイメージアップを図ることができる。
ものづくり展示会のセミナーで事例発表できるチャンスは滅多にあるものではない。
快諾いただいたのは、その意義を十分ご理解いただいたからだろう。
事例発表は、受講者にとってもメリットが大きい。
というのは、他社がつくっているBCPの中身を見るチャンスは滅多にないからだ。
先進事例を見ることで、BCPの具体的なイメージをつかむことができる。
「あぁ、こういう風に作ればいいのか」
「この程度の内容で十分なのか」
BCPというと言葉のイメージから、ISOのような難しい規格をクリアしていかなくてはならないような特別の取り組みのように誤解している人がいるが、まったく違う。
それが分かっただけでも、受講者の収穫は大きい。
それに、今回は詳細な配付資料も配られた。
この資料がBCPノウハウの塊だ。
この中にBCP発動フローの図が入っていたが、これなどは、他では見られない資料。
受講者は、貴重な土産を持ち帰った。
後半は、事例発表を受けて、BCPの補足説明と、サプライチェーンの中でのBCPの重要性と取り組みのポイントをお話しした。
わずか1時間という短い時間だったので、十分な内容をお伝えできないのではないかと心配したが、受講者の方々にとっては、集中できる時間で、効率よく多くの知見を得ることができたに違いない。
受講者の一人からこんな感想をいただいた。
「これほど生々しいBCPセミナーは初めてでした」
セミナー修了後、紹介企業様の周りには名刺交換を求める人の行列ができた。
これだ!
今回の事例発表で、この企業の知名度は上がった。
社長から感謝の言葉をいただいた。
「おかげさまで、取引先からも事例発表してもらえないかと声がかかっているんですよ」
既に、BCPに取り組んでいる企業ということで業界内に知られるようになってきたらしい。
BCPに取り組むことのメリットが早くも確認できた。
BCP策定のお手伝いをさせていただいていて、これほどうれしいことはない。
28日から30日まで、ポートメッセなごやで開催。
ものづくりの技術展示会。
先進技術の展示ブースが並び、いろんな会場でセミナーやプレゼンテーションが行われている。
その中で、名古屋市の主催により、BCPセミナーを出講させていただいた。
技術系のセミナーが多い中で、BCPセミナーは異色。
しかし、ものづくりの現場にBCPは欠かせないツールとなっており、さすがに人々の関心が高い。
すぐに会場はいっぱいになり、追加のイスを投入してもなお立ち見があるほどだった。
展示会場の一角で行われるセミナーなので、開放空間で音響設備は貧弱なので、受講者の方はさぞかし聴きにくかったと思われるが、それでも、熱心に最後までお聴きくださった。
持ち時間は1時間。
前半は、私がBCP策定のお手伝いをさせていただいている企業様にご登壇いただき、現在、取り組んでいるBCPの概要をご紹介いただいた。
エレベータ部品を製造する従業員35名というごく普通の中小企業だ。
だが、普通の中小企業と違うのは、社長がリスク対策に敏感なこと。
去年の大震災以降、我が社でも対策をしなければいけないという意識を持ちながら、何をすればいいのか模索しているときに、BCPの存在を知り、早速、取り組むこととなった。
基本レベルながら一通りのBCPができあがったので、展示会のセミナーで事例発表をお勧めしたところ、快諾いただき、今回の事例発表となった。
BCPに取り組み初めてまだ数ヶ月で、まだBCPの基本レベルができあがった段階ではあるが、BCPの一通りの要素はすべて含んでおり、堂々とご紹介いただいて恥ずかしくない内容だ。
まさに、中小企業らしい身の丈に合ったBCPだった。
BCPの事例発表は、発表する側にもメリットが大きい。
BCPは、人知れずこっそり作ってしまっておくものではない。
BCPへの取り組みは、積極的に内外にアピールすべきものだ。
そうすることで、会社のイメージアップを図ることができる。
ものづくり展示会のセミナーで事例発表できるチャンスは滅多にあるものではない。
快諾いただいたのは、その意義を十分ご理解いただいたからだろう。
事例発表は、受講者にとってもメリットが大きい。
というのは、他社がつくっているBCPの中身を見るチャンスは滅多にないからだ。
先進事例を見ることで、BCPの具体的なイメージをつかむことができる。
「あぁ、こういう風に作ればいいのか」
「この程度の内容で十分なのか」
BCPというと言葉のイメージから、ISOのような難しい規格をクリアしていかなくてはならないような特別の取り組みのように誤解している人がいるが、まったく違う。
それが分かっただけでも、受講者の収穫は大きい。
それに、今回は詳細な配付資料も配られた。
この資料がBCPノウハウの塊だ。
この中にBCP発動フローの図が入っていたが、これなどは、他では見られない資料。
受講者は、貴重な土産を持ち帰った。
後半は、事例発表を受けて、BCPの補足説明と、サプライチェーンの中でのBCPの重要性と取り組みのポイントをお話しした。
わずか1時間という短い時間だったので、十分な内容をお伝えできないのではないかと心配したが、受講者の方々にとっては、集中できる時間で、効率よく多くの知見を得ることができたに違いない。
受講者の一人からこんな感想をいただいた。
「これほど生々しいBCPセミナーは初めてでした」
セミナー修了後、紹介企業様の周りには名刺交換を求める人の行列ができた。
これだ!
今回の事例発表で、この企業の知名度は上がった。
社長から感謝の言葉をいただいた。
「おかげさまで、取引先からも事例発表してもらえないかと声がかかっているんですよ」
既に、BCPに取り組んでいる企業ということで業界内に知られるようになってきたらしい。
BCPに取り組むことのメリットが早くも確認できた。
BCP策定のお手伝いをさせていただいていて、これほどうれしいことはない。
2012年09月11日
企業の備蓄は10%多く:首都直下地震への備え
内閣府や東京都の協議会の最終報告。
首都直下地震が発生したときの帰宅困難者は、989万人にも上るとみられる。
これだけの人々が一斉に徒歩で帰宅を始めたらどうなるか。
主要道路は人であふれ、自動車の渋滞に拍車をかける。
歩道橋は群衆雪崩の危険に晒される。
さらに、地震直後なので、道路は破壊され、橋は崩落している可能性も。
沿道の建物も余震で倒壊の恐れ。
停電で街灯もなく真っ暗闇。
このような状況の中に社員を帰宅させるのは非常に危険だ。
翌日、明るくなってから帰宅をした方が安全。
原則としてその日は帰宅させないという方針をとるのは当然だろう。
道路状況によっては、翌日に帰宅できないかもしれない。
混乱状態は直ちに回復しない。
その場合は、2,3日職場にとどまって様子を見る必要が出てくる。
そのために、「3日分の備蓄を」と呼びかけている。
更に、自社従業員分だけではなく、10%余分に備蓄を上乗せすることを勧めている。
それは、社外から緊急避難的に飛び込んできた人を保護できるようにとの配慮だ。
この「10%余分に」という発想は非常に重要だ。
すべての企業が「10%余分に」の発想で準備をしたら、それだけでも、その地域の防災力は格段にアップする。
災害対策は行政の責任というのが基本的な考え方だが、行政のできることは限られている。
すべての人々が行政に頼ろうとしたら、それだけで、行政は過剰負担で機能不全を起こす。
企業は、行政に頼らず、地域に迷惑をかけないというのが最低限の義務。
更に余裕のある企業は、地域の人々を助ける側に回るべき。
従来の防災では、「とにかく自分たちがいかに生き残るか」という発想から始まるが、企業には、更にそこから一歩踏み出して、「地域の人々とともに」という発想が求められる。
これは、BCPの基本的な考え方でもある。
首都直下地震が発生したときの帰宅困難者は、989万人にも上るとみられる。
これだけの人々が一斉に徒歩で帰宅を始めたらどうなるか。
主要道路は人であふれ、自動車の渋滞に拍車をかける。
歩道橋は群衆雪崩の危険に晒される。
さらに、地震直後なので、道路は破壊され、橋は崩落している可能性も。
沿道の建物も余震で倒壊の恐れ。
停電で街灯もなく真っ暗闇。
このような状況の中に社員を帰宅させるのは非常に危険だ。
翌日、明るくなってから帰宅をした方が安全。
原則としてその日は帰宅させないという方針をとるのは当然だろう。
道路状況によっては、翌日に帰宅できないかもしれない。
混乱状態は直ちに回復しない。
その場合は、2,3日職場にとどまって様子を見る必要が出てくる。
そのために、「3日分の備蓄を」と呼びかけている。
更に、自社従業員分だけではなく、10%余分に備蓄を上乗せすることを勧めている。
それは、社外から緊急避難的に飛び込んできた人を保護できるようにとの配慮だ。
この「10%余分に」という発想は非常に重要だ。
すべての企業が「10%余分に」の発想で準備をしたら、それだけでも、その地域の防災力は格段にアップする。
災害対策は行政の責任というのが基本的な考え方だが、行政のできることは限られている。
すべての人々が行政に頼ろうとしたら、それだけで、行政は過剰負担で機能不全を起こす。
企業は、行政に頼らず、地域に迷惑をかけないというのが最低限の義務。
更に余裕のある企業は、地域の人々を助ける側に回るべき。
従来の防災では、「とにかく自分たちがいかに生き残るか」という発想から始まるが、企業には、更にそこから一歩踏み出して、「地域の人々とともに」という発想が求められる。
これは、BCPの基本的な考え方でもある。