BCPは単なる防災対策ではなく、我が社の生き残り戦略を考えることだ。
災害が起きたときのために作るものという認識では対応を間違ってしまう。
BCPを作るということは、いまの事業戦略がどうあるべきか、ということにまで検討が及ぶということなのだ。
このことをご理解いただくために、私のセミナーでは様々な事例を紹介しながら説明している。
今回は、新たな事例をご紹介しよう。
BCPでの事前対策として、「サプライヤーの複数化」ということがよく行われることだ。
重要な原材料を1社からしか仕入れていない場合、その1社から入らなくなったら、我が社は稼働できなくなってしまう。
そのためのリスク分散として、複数の業者から同じ原材料を仕入れるようにしよう、というのがサプライヤーの複数化だ。
さて、これをサプライヤーの側からみるとどういうことになるか。
従来は単独サプライヤーとして、取引の優位性が維持できていたが、取引先がサプライヤーを複数化してしまうと、我が社のライバルが登場するということになり、事業の優位性を失いかねない事態となる。
これはサプライヤーにとっては、ゆゆしき事態だ。
ある部品加工会社の事例。
ここは、大手企業の特定の部品加工を単独受注していた。
というのは、その部品は、通常の加工方法では不良の発生率があまりにも高く、歩留まりが非常に悪い。
受注業者は、簡単に納期遅れを起こし、無理に対応しても高コストを強いられることになる。
だが、その加工会社は、現場の試行錯誤により、不良率を劇的に減少させる技術を開発した。
それで、その部品加工だけは、その会社しか受注できない状況が続いていたのだ。
会社としては、その技術を特許申請しようかと検討したが、やめることにした。
というのは、特許申請するということは、その技術を公開することになり、それはライバルにヒントを与えることにもなりかねない。
それに、特許期間が過ぎたら、その技術は誰もが使い放題になる。
幸いにも、この技術はできあがった部品を見ただけでは、どのように作っているのかは分からないようになっている。
だったら、特許申請せず、我が社の秘匿技術として管理しようということになったのだ。
ある時、親会社から連絡があった。
親会社ではBCPに取り組んでおり、今回の役員会議で、すべての部品についてサプライヤーを複数化するという方針が決まったというのだ。
当然ながら、この特殊加工の部品も複数化の対象となる。
しかし、同じものを他社にやらせると、不良品だらけになってしまう。
そこで、親会社の担当者がこんなことを言ってきた。
「他社にも同じ部品を作らせたいので、不良のでない作り方を、ちょっと教えてあげてくれませんかね」
担当者は、簡単なことと思っていたのだろう。
特殊な加工といっても、特許技術を提供しろといっているわけでもなく、やり方をアドバイスするだけ。
親会社が頼めば簡単にやってもらえるとでも考えたのかもしれない。
これは、加工会社にとっては、とんでもない話だ。
この加工技術を開発するのに、どれほどの努力と時間とコストを費やしたことか。
それを簡単に他社に教えられるはずがない。
当然ながら、事情を説明してお断りする。
すると、担当者はこう言った。
「でも、サプライヤーの複数化は、うちの方針として決まっちゃったんですよ。
この部品加工の複数化ができないとなると、この部品を使っている製品を廃盤にするか、この部品を使わない仕様に設計変更するしかなくなります」
明らかに脅しだ。
加工会社に提示された選択肢は2つ。
1つは、親会社の言う通り、同業他社に技術ノウハウを提供して、同じように加工できるようにする。
1つは、提案を拒否し、親会社との取引終了を覚悟する。
同業他社に技術ノウハウを提供したらどうなるか。
とりあえず親会社との取引は継続できる。
だが、我が社の取引の優位性は失われる。
同業他社がシェア拡大を狙って値段競争を仕掛けてきたら、対抗手段はもはやない。
いま一番の稼ぎ頭を失うことになる。
親会社の提案を拒否したらどうなるか。
たぶん、親会社の心証を悪くし、長期的な取引の継続は危うくなる。
次の仕様変更のタイミングで、この部品は外されることになるだろう。
そこで、取引終了だ。
いずれの選択肢も、我が社にとって生き残れる道ではない。
そこで、加工会社は、3つ目の選択肢を逆提案することにした。
親会社がどうしてサプライヤーの複数化を行なうのかというと、重要部品のリスク分散をするためだ。
だったら、そのリスク分散を我が社の中で行なうことができれば、同じことではないか。
加工会社は、事業戦略を練った。
遠方の加工工場と提携し、そこでも同じ部品の加工を行う。
本社工場が停止した時には、遠方の工場から直ちに部品供給できる体制を構築。
我が社の中でリスク分散の対応をする計画をBCPに落とし込み、親会社に提示した。
担当者はびっくり。
でも、担当者の本音としては、何社にも同じ部品を発注し、それぞれ管理するのは面倒だったので、1社丸投げでリスク分散できるこの提案はありがたい話だった。
上層部に諮ったところ、これで我が社のリスク分散と同じ効果が見込めるとの判断になり、例外的に単独発注が認められることとなった。
この加工会社のBCPは、災害が起きたときどうするか、というところに目的はない。
現在のビジネスを守るためにどうしたらいいかというところに視点が置かれていることがお分かりいただけるだろう。
このように、BCPは単なる防災対策ではない。
現在の事業戦略のあり方を決める重要な取り組みなのだ。
2020年06月30日
2020年06月27日
NHK受信料 記事2題
本日付け日経新聞にNHK受信料関連の記事が2題載っていた。
総務省がNHKの受信料などを見直す有識者会議を開き、経営改革に向けて取り組むべき提言をまとめた。
衛星放送は、現在の4波から3波に削減する方針が決まっているが、受信料は最近値上げしている。
経営体質の改善が行われないまま、ただ形式上の経営規模の削減を行ない、むしろ受信料を値上げする姿勢そのものへの厳しい指摘がある。
受信料徴収にかかる営業経費が、なんと受信料収入の1割を超える不自然さも指摘されている。
NHKの営業経費とは、受信料の集金業務や未契約世帯への契約業務のこと。
主に外部業者にやらせているものだが、これが700億円以上もかかっている。
受信料収入総額が約7000億円だから、その1割以上を集金業務についやしていることになる。
これは、通常のビジネスの感覚で判断すると、異常にコストがかかりすぎている。
イギリス、フランス、ドイツなど、他の先進国の公共放送の営業経費は、受信料収入の1〜2%程度だという。
これが普通だ。
NHKが集金業務にこれほどのコストをかけているのには理由がある。
今のように、スタッフに1軒1軒戸別訪問をさせて、集金させ契約させた方が、受信料総額が多くなると試算しているからだ。
NHKはデジタル放送への移行に伴って、WOWWOWやスカパーのように、契約者だけ視聴できるようなスクランブル方式に切り替えることを想定したという。
そうすれば、受信料の未収はなくなり、営業コストがかからず、国民の不公平感も解消する。
未契約のままではNHKが見られないので、むしろ、受信契約が増えるだろうと予想した。
ところが、テレビ離れが進んでいる現在、スクランブル化すると契約者が減り、受信料収入が激減するという試算が出たらしい。
それで、スクランブル化はNHKにとってタブーとなり、700億円もかけて戸別訪問をするという前時代的な方法を維持せざるを得ないのだという。
今回の提言では、子会社との業務委託のあり方にもメスが入れられた。
NHK本体の予算は国会審議を経ているが、子会社の内実は不透明。
ここが、経営合理化が一向に進まない元凶だ。
いまのところ、有識者会議の提言のレベルであり、具体的な改革につながるかどうかは不明。
だが、これは1放送局の経営の問題では済まない。
国民全体の生活に直結する重大テーマだ。
岩盤にようやく穴が開けられようとしていることを歓迎したい。
もう1つの記事は、NHK受信料をめぐる裁判。
東京地裁で画期的な判決が出た。
NHKを視聴できないテレビを自宅に設置した者には受信契約の義務がないことを裁判所が認めたのだ。
原告の女性は、NHKの放送信号を弱めるフィルターを作っていた大学准教授からNHKの映らないテレビを3000円で購入したという。
NHKの主張としては、テレビの構造上は放送を受信できる機能が保たれており、電波増幅のブースターを付ければ元に戻すことが簡単にできるので、契約義務がある、というもの。
これに対する裁判所の判断は、新たな出費をして手を加えなければ受信できないテレビは、NHKを受信できる設備とは言えない、とした。
この判決は、ごくごく常識的で当たり前の判断を示しただけのように感じる。
だが、これまでの受信料をめぐる裁判に比べると、NHKが完全敗訴になった珍しい例なのだそうだ。
現行の放送法に基づいた受信料制度そのものに無理がある。
受信料制度そのものの見直しの気運が高まることを期待したい。
総務省がNHKの受信料などを見直す有識者会議を開き、経営改革に向けて取り組むべき提言をまとめた。
衛星放送は、現在の4波から3波に削減する方針が決まっているが、受信料は最近値上げしている。
経営体質の改善が行われないまま、ただ形式上の経営規模の削減を行ない、むしろ受信料を値上げする姿勢そのものへの厳しい指摘がある。
受信料徴収にかかる営業経費が、なんと受信料収入の1割を超える不自然さも指摘されている。
NHKの営業経費とは、受信料の集金業務や未契約世帯への契約業務のこと。
主に外部業者にやらせているものだが、これが700億円以上もかかっている。
受信料収入総額が約7000億円だから、その1割以上を集金業務についやしていることになる。
これは、通常のビジネスの感覚で判断すると、異常にコストがかかりすぎている。
イギリス、フランス、ドイツなど、他の先進国の公共放送の営業経費は、受信料収入の1〜2%程度だという。
これが普通だ。
NHKが集金業務にこれほどのコストをかけているのには理由がある。
今のように、スタッフに1軒1軒戸別訪問をさせて、集金させ契約させた方が、受信料総額が多くなると試算しているからだ。
NHKはデジタル放送への移行に伴って、WOWWOWやスカパーのように、契約者だけ視聴できるようなスクランブル方式に切り替えることを想定したという。
そうすれば、受信料の未収はなくなり、営業コストがかからず、国民の不公平感も解消する。
未契約のままではNHKが見られないので、むしろ、受信契約が増えるだろうと予想した。
ところが、テレビ離れが進んでいる現在、スクランブル化すると契約者が減り、受信料収入が激減するという試算が出たらしい。
それで、スクランブル化はNHKにとってタブーとなり、700億円もかけて戸別訪問をするという前時代的な方法を維持せざるを得ないのだという。
今回の提言では、子会社との業務委託のあり方にもメスが入れられた。
NHK本体の予算は国会審議を経ているが、子会社の内実は不透明。
ここが、経営合理化が一向に進まない元凶だ。
いまのところ、有識者会議の提言のレベルであり、具体的な改革につながるかどうかは不明。
だが、これは1放送局の経営の問題では済まない。
国民全体の生活に直結する重大テーマだ。
岩盤にようやく穴が開けられようとしていることを歓迎したい。
もう1つの記事は、NHK受信料をめぐる裁判。
東京地裁で画期的な判決が出た。
NHKを視聴できないテレビを自宅に設置した者には受信契約の義務がないことを裁判所が認めたのだ。
原告の女性は、NHKの放送信号を弱めるフィルターを作っていた大学准教授からNHKの映らないテレビを3000円で購入したという。
NHKの主張としては、テレビの構造上は放送を受信できる機能が保たれており、電波増幅のブースターを付ければ元に戻すことが簡単にできるので、契約義務がある、というもの。
これに対する裁判所の判断は、新たな出費をして手を加えなければ受信できないテレビは、NHKを受信できる設備とは言えない、とした。
この判決は、ごくごく常識的で当たり前の判断を示しただけのように感じる。
だが、これまでの受信料をめぐる裁判に比べると、NHKが完全敗訴になった珍しい例なのだそうだ。
現行の放送法に基づいた受信料制度そのものに無理がある。
受信料制度そのものの見直しの気運が高まることを期待したい。
2020年06月25日
アメリカで感染再拡大
本日の日経新聞記事による。
アメリカでは新型コロナウィルスの完成が再拡大期に入ったという。
3月中旬から急激に感染拡大が広がり、4月にピークを迎え、5月で減少傾向がみられていたが、6月に入って再び感染が拡大している。
今では、1日に28,000人もの感染者が出ている。
一時期は感染拡大の中心地はニューヨークやワシントンDCなど東海岸の都市だったが、今まで感染拡大を経験してこなかった西部や南部で感染が広がっているらしい。
西部アリゾナ州では、人口10万人当たりの新規感染者数が38人と、1か月前の5倍に増えた。
このままいくと、4月に爆発的な感染拡大を起こしたニューヨーク州と同じルートをたどりそうだ。
南部のフロリダ州も同じ期間に3倍に膨らんでおり、予断を許さない。
ロックダウンによる景気悪化を懸念した政府は、十分な感染収束を見ないまま経済再開にかじを切った。
その結果が如実に表れている。
運悪く黒人差別に抗議するデモも全国で行なわれ、感染拡大を助長しているように見える。
大統領選の真っただ中で、大規模な選挙集会が行われており、驚いたことに誰もマスクをせずに狭い会場に密集している。
会場入り口では、検温や消毒を行い、入場者には全員にマスクを配っているのにもかかわらず、誰もマスクをしない。
第一、候補者のトランプ氏自身がマスクを拒否し続けている。
どうやら、マスクをつけるのは弱さの表れという見方があるらしい。
強いリーダーを見せたかったら、マスクは不要というわけだ。
いまやアメリカの累計感染者は230万人を超え、死者は12万人に達している。
この数字は今なお増え続けており、第2波の到来で死者は20万人を超えるだろうと予想されている。
パンデミックは1国だけの問題ではない。
日本国内で感染が収まったとしても、終息には至らず、世界の別のところの流行が日本へ波状的に襲ってくる。
世界の感染状況を見ると、パンデミックの終息は簡単ではないと覚悟せざるを得ない。
アメリカでは新型コロナウィルスの完成が再拡大期に入ったという。
3月中旬から急激に感染拡大が広がり、4月にピークを迎え、5月で減少傾向がみられていたが、6月に入って再び感染が拡大している。
今では、1日に28,000人もの感染者が出ている。
一時期は感染拡大の中心地はニューヨークやワシントンDCなど東海岸の都市だったが、今まで感染拡大を経験してこなかった西部や南部で感染が広がっているらしい。
西部アリゾナ州では、人口10万人当たりの新規感染者数が38人と、1か月前の5倍に増えた。
このままいくと、4月に爆発的な感染拡大を起こしたニューヨーク州と同じルートをたどりそうだ。
南部のフロリダ州も同じ期間に3倍に膨らんでおり、予断を許さない。
ロックダウンによる景気悪化を懸念した政府は、十分な感染収束を見ないまま経済再開にかじを切った。
その結果が如実に表れている。
運悪く黒人差別に抗議するデモも全国で行なわれ、感染拡大を助長しているように見える。
大統領選の真っただ中で、大規模な選挙集会が行われており、驚いたことに誰もマスクをせずに狭い会場に密集している。
会場入り口では、検温や消毒を行い、入場者には全員にマスクを配っているのにもかかわらず、誰もマスクをしない。
第一、候補者のトランプ氏自身がマスクを拒否し続けている。
どうやら、マスクをつけるのは弱さの表れという見方があるらしい。
強いリーダーを見せたかったら、マスクは不要というわけだ。
いまやアメリカの累計感染者は230万人を超え、死者は12万人に達している。
この数字は今なお増え続けており、第2波の到来で死者は20万人を超えるだろうと予想されている。
パンデミックは1国だけの問題ではない。
日本国内で感染が収まったとしても、終息には至らず、世界の別のところの流行が日本へ波状的に襲ってくる。
世界の感染状況を見ると、パンデミックの終息は簡単ではないと覚悟せざるを得ない。
2020年06月01日
第2波への備え:パンデミックBCP
緊急事態宣言が全面解除されて1週間、新しい日常が動き始めた。
事業者への休業要請は大幅に緩和され、学校も再開。
元の日常に復帰したわけではなく、第2波の警戒をしながら、日常を取り戻していくステップに入った。
街中の人出も少しずつ増えてきた。
臨時休業だった飲食店も開き始めた。
観光地には近隣の人たちが訪れるようになってきた。
電車やバスなどの公共交通機関にも人が戻ってきている。
ただ、北九州市のように、解除と同時に急に感染拡大を見せる地域もあり、緊張感は緩められない。
この新型コロナウィルスがどの程度の季節性があるのかは不明な点が多い。
だが、過去の感染症の事例から、夏場に一旦小康状態になるという希望的観測があった。
いま、まさにその希望的観測通り、日本は小康期を迎えている。
新型感染症の状況は刻々と変化する。
その変化のフェーズごとに名前が付けられている。
海外発生期→国内発生早期→感染拡大期→蔓延期→回復期→小康期
これは新型インフルエンザを想定したフェーズ設定なので、今回のコロナウィルスについては、公式に使われていない。
しかし、このフェーズ設定は、日本国内における状況認識のために非常に分かりやすい。
今回のコロナ感染をこのフェーズにあてはめると、次のようになる。
12月〜1月:海外発生期
2月〜3月:国内発生早期
4月:感染拡大期
5月:回復期
6月〜:小康期
緊急事態宣言の発出中は、感染拡大期〜回復期に当てはまる。
日本では幸いにも蔓延期がなかった。
いま、小康期にあるが、これで終息に向かうのではなく、いつ第2波が来るか分からない状態だ。
第2波が始まったとすると、再び感染拡大期に入ることになる。
そして、蔓延期、回復期、小康期と進んでいく。
感染拡大期から小康期のループを何度か繰り返しながら終息に向かうことになる。
第1波はたまたま蔓延期がなく済んだ。
第2波はどうなるか分からない。
過去の経験からは、第1波よりも第2波が大きくなるケースがあった。
また、第1波で感染ダメージの小さいところほど、第2波の被害が大きくなるというパターンも知られている。
第1波の様子から、第2波も同じような対応で十分と判断するのは危険だ。
新型コロナに、インフルエンザのような季節性があるとすると、これから夏場はしばらく小康状態が続き、秋から冬にかけて第2波が始まることが予想される。
この小康期は、いままでの遅れを取り戻し、第2波への備えをする貴重な時間だ。
企業としては、第2波で来るかもしれない蔓延期の備えがいる。
この蔓延期というのは、日本国内で感染爆発が起きている状態だ。
市中感染がいたるところで発生し、医療現場は崩壊し、実際に従業員の中に感染者や重症者が出始める状況と考える。
この時、企業として考えるべきは、職場で集団感染を起こさないこと、重要業務を維持することだ。
蔓延期に、我が社はどのように業務を行なっていくのかについて、いまのうちに検討しよう。
従業員一人ひとりが守るべき行動ルールも、いまのうちに整備しておこう。
事業者への休業要請は大幅に緩和され、学校も再開。
元の日常に復帰したわけではなく、第2波の警戒をしながら、日常を取り戻していくステップに入った。
街中の人出も少しずつ増えてきた。
臨時休業だった飲食店も開き始めた。
観光地には近隣の人たちが訪れるようになってきた。
電車やバスなどの公共交通機関にも人が戻ってきている。
ただ、北九州市のように、解除と同時に急に感染拡大を見せる地域もあり、緊張感は緩められない。
この新型コロナウィルスがどの程度の季節性があるのかは不明な点が多い。
だが、過去の感染症の事例から、夏場に一旦小康状態になるという希望的観測があった。
いま、まさにその希望的観測通り、日本は小康期を迎えている。
新型感染症の状況は刻々と変化する。
その変化のフェーズごとに名前が付けられている。
海外発生期→国内発生早期→感染拡大期→蔓延期→回復期→小康期
これは新型インフルエンザを想定したフェーズ設定なので、今回のコロナウィルスについては、公式に使われていない。
しかし、このフェーズ設定は、日本国内における状況認識のために非常に分かりやすい。
今回のコロナ感染をこのフェーズにあてはめると、次のようになる。
12月〜1月:海外発生期
2月〜3月:国内発生早期
4月:感染拡大期
5月:回復期
6月〜:小康期
緊急事態宣言の発出中は、感染拡大期〜回復期に当てはまる。
日本では幸いにも蔓延期がなかった。
いま、小康期にあるが、これで終息に向かうのではなく、いつ第2波が来るか分からない状態だ。
第2波が始まったとすると、再び感染拡大期に入ることになる。
そして、蔓延期、回復期、小康期と進んでいく。
感染拡大期から小康期のループを何度か繰り返しながら終息に向かうことになる。
第1波はたまたま蔓延期がなく済んだ。
第2波はどうなるか分からない。
過去の経験からは、第1波よりも第2波が大きくなるケースがあった。
また、第1波で感染ダメージの小さいところほど、第2波の被害が大きくなるというパターンも知られている。
第1波の様子から、第2波も同じような対応で十分と判断するのは危険だ。
新型コロナに、インフルエンザのような季節性があるとすると、これから夏場はしばらく小康状態が続き、秋から冬にかけて第2波が始まることが予想される。
この小康期は、いままでの遅れを取り戻し、第2波への備えをする貴重な時間だ。
企業としては、第2波で来るかもしれない蔓延期の備えがいる。
この蔓延期というのは、日本国内で感染爆発が起きている状態だ。
市中感染がいたるところで発生し、医療現場は崩壊し、実際に従業員の中に感染者や重症者が出始める状況と考える。
この時、企業として考えるべきは、職場で集団感染を起こさないこと、重要業務を維持することだ。
蔓延期に、我が社はどのように業務を行なっていくのかについて、いまのうちに検討しよう。
従業員一人ひとりが守るべき行動ルールも、いまのうちに整備しておこう。
2020年05月27日
郵便局の営業時間短縮は妥当か:新型コロナ対策
急ぎの書留郵便物があったので、16時過ぎに郵便局に出かけたら、なんと15時に閉店した後だった。
しかたないので、翌日朝一番で出そうと思って、9時に出かけたら、営業開始は10時からとの張り紙。
10時まで待つことはできず、先を急ぐ。
結局この日も郵便を出せず、3日目にしてようやく出せた。
新型コロナ対策として営業時間を短縮しているのだが、果たして郵便局の時短は意味があるのか。
飲食店やパチンコ店が営業自粛したり、時間短縮したりするのは意味がある。
店が開いていれば、どうしても客が来てしまい、そこで感染リスクが発生してしまうからだ。
閉まっていれば、諦めようとなる。
諦めたとしても、問題はない。
ところが、郵便局は事情が違う。
人びとは郵便局に暇つぶしに来ているわけではない。
必要があるから来るのだ。
郵便局が閉まっていたからといって、郵便を出すのを諦めるということはありえない。
営業時間が短縮すると、その限られた時間に利用客が集中する。
むしろ、3密状態をわざわざ作っていることになる。
すると、利用客にとっても、郵便局職員によっても感染リスクを増大させていることになるのだ。
基本的なインフラにかかわる事業者は、コロナ禍においても極力通常営業を維持する方向で対策すべきではないか。
しかたないので、翌日朝一番で出そうと思って、9時に出かけたら、営業開始は10時からとの張り紙。
10時まで待つことはできず、先を急ぐ。
結局この日も郵便を出せず、3日目にしてようやく出せた。
新型コロナ対策として営業時間を短縮しているのだが、果たして郵便局の時短は意味があるのか。
飲食店やパチンコ店が営業自粛したり、時間短縮したりするのは意味がある。
店が開いていれば、どうしても客が来てしまい、そこで感染リスクが発生してしまうからだ。
閉まっていれば、諦めようとなる。
諦めたとしても、問題はない。
ところが、郵便局は事情が違う。
人びとは郵便局に暇つぶしに来ているわけではない。
必要があるから来るのだ。
郵便局が閉まっていたからといって、郵便を出すのを諦めるということはありえない。
営業時間が短縮すると、その限られた時間に利用客が集中する。
むしろ、3密状態をわざわざ作っていることになる。
すると、利用客にとっても、郵便局職員によっても感染リスクを増大させていることになるのだ。
基本的なインフラにかかわる事業者は、コロナ禍においても極力通常営業を維持する方向で対策すべきではないか。
2020年05月24日
不正受給:持続化給付金
FRIDAYデジタルの報道による。
持続化給付金の受付・支給が実施されているが、当初から懸念されているのが不正受給の横行だ。
迅速至急を優先させるために、申請方法は極力シンプルに複雑さを避けた仕組みになっている。
善良な国民を想定して完全に性善説を前提に作られている。
当然、ここには不正可能な穴がそこかしこにある。
詐欺師がそれを放っておくはずがない。
報道では、ある40代男性の事例が紹介されている。
この男性は節税目的のペーパーカンパニーを2社持っている。
前年度の売上はほぼゼロ。
これでは、持続化給付金の対象にならないので、税務署に修正申告書を提出して200万円ほどの売り上げを粉飾。
同時に経費も200万円分計上。
利益はゼロで法人税もゼロ。
今年度のある月の売上を前年度の半分以下になるように作成。
これだけで、形式上は上限の200万円を受給できる。
当然、コロナショックで収入が減ったわけでも、資金繰りに窮しているわけでもない。
それでも、ペーパーカンパニー2社+個人事業主1人で3件、計500万円分の給付金を申請したという。
この事例の男性はいまは申請した段階で、実際にこれで受給できるかどうかは分からない。
実際には、もっと多くのペーパーカンパニーを持っている人もいるはずで、もっと多額の不正受給をしようとすれば同じ手法で簡単にできそうだ。
これは明らかに粉飾決算であり虚偽申告だ。
実際に受給したとなると詐欺罪が成立する。
だが、現実にはこの混乱の中、1件ずつ細かく裏どりをしている余裕はない。
単純作業的に支給が行われるだろう。
この不正のポイントは、前年度確定申告の修正申告にある。
これがないと、売上半減以下という条件をクリアできないからだ。
修正申告後の給付金申請は不正の疑いが濃厚だ。
しかし、経産省と税務署は情報共有できていないという問題がある。
ここは不正受給を抑止するためにも、悪質なケースを摘発して、社名や個人名をさらすべきだ。
不正疑いのケースを見つけるのは簡単。
修正申告後の給付金申請がキーワードになる。
複数のペーパーカンパニーの修正申告を一度に行い、直後に給付金申請しているようなケースはよく目立つ。
何をしても簡単に受給できると分かれば、更に詐欺行為を助長する。
このような雰囲気は、国民全体にモラルハザードを引き起こしかねない。
すべての申請を細かく精査する余裕はない。
目立ったケースをピックアップし、詐欺罪での摘発事例として公表する。
一罰百戒で、モラルハザードを抑止する手立てが欲しい。
持続化給付金の受付・支給が実施されているが、当初から懸念されているのが不正受給の横行だ。
迅速至急を優先させるために、申請方法は極力シンプルに複雑さを避けた仕組みになっている。
善良な国民を想定して完全に性善説を前提に作られている。
当然、ここには不正可能な穴がそこかしこにある。
詐欺師がそれを放っておくはずがない。
報道では、ある40代男性の事例が紹介されている。
この男性は節税目的のペーパーカンパニーを2社持っている。
前年度の売上はほぼゼロ。
これでは、持続化給付金の対象にならないので、税務署に修正申告書を提出して200万円ほどの売り上げを粉飾。
同時に経費も200万円分計上。
利益はゼロで法人税もゼロ。
今年度のある月の売上を前年度の半分以下になるように作成。
これだけで、形式上は上限の200万円を受給できる。
当然、コロナショックで収入が減ったわけでも、資金繰りに窮しているわけでもない。
それでも、ペーパーカンパニー2社+個人事業主1人で3件、計500万円分の給付金を申請したという。
この事例の男性はいまは申請した段階で、実際にこれで受給できるかどうかは分からない。
実際には、もっと多くのペーパーカンパニーを持っている人もいるはずで、もっと多額の不正受給をしようとすれば同じ手法で簡単にできそうだ。
これは明らかに粉飾決算であり虚偽申告だ。
実際に受給したとなると詐欺罪が成立する。
だが、現実にはこの混乱の中、1件ずつ細かく裏どりをしている余裕はない。
単純作業的に支給が行われるだろう。
この不正のポイントは、前年度確定申告の修正申告にある。
これがないと、売上半減以下という条件をクリアできないからだ。
修正申告後の給付金申請は不正の疑いが濃厚だ。
しかし、経産省と税務署は情報共有できていないという問題がある。
ここは不正受給を抑止するためにも、悪質なケースを摘発して、社名や個人名をさらすべきだ。
不正疑いのケースを見つけるのは簡単。
修正申告後の給付金申請がキーワードになる。
複数のペーパーカンパニーの修正申告を一度に行い、直後に給付金申請しているようなケースはよく目立つ。
何をしても簡単に受給できると分かれば、更に詐欺行為を助長する。
このような雰囲気は、国民全体にモラルハザードを引き起こしかねない。
すべての申請を細かく精査する余裕はない。
目立ったケースをピックアップし、詐欺罪での摘発事例として公表する。
一罰百戒で、モラルハザードを抑止する手立てが欲しい。
2020年05月18日
申請支援で過大の手数料:持続化給付金の便乗商法
17日付中日新聞による。
持続化給付金の受付が今月から行われており、8日からは実際に支給が始まった。
売上が前年同月比で50%以上減少した中小企業に最大200万円、個人事業主に大100万円を支給する。
この給付金の申請手続きを支援する業者が現れ、過大な手数料を請求しているという。
ウェブサイトやツイッターで宣伝している。
手数料は支給金額の10%〜20%が相場。
例えば、最大金額200万円の給付を得られたとすると、そのうちの20〜40万円が手数料となる。
目ざとい業者が給付金ビジネスに目を付けた。
個人事業主の中には、こういう申請手続きが嫌いで、文字だらけの申請要領を読むのも苦手という人もいる。
パソコンのスキルがなく、オンライン作業ができないという人もいる。
そういう需要を狙ったものだろう。
だが、この持続化給付金については、手続き支援をするほどの内容はまったくない。
国も迅速に必要なところに緊急の資金を注入することに力点を置いているので、手続きは非常にシンプルだ。
申請はオンラインですべて完了する。
企業情報と売上数字を入力すると支給額が自動計算される。
「確定申告書」「法人事業概況説明書」「該当月売上明細」を画像データで送る。
入金先口座情報と通帳の写真を送れば申請完了だ。
申請サイトもものすごく分かりやすくできており、専門家でなければ分からないようなところは1つもない。
独立して事業を行なっている経営者や事業主であれば、これぐらいの作業は難しくもなんともないはず。
どうしても分からなければ、地元の商工会か、なじみの税理士に相談すれば簡単に済む。
この給付金は、売上が激減してキャッシュフローが逼迫している事業者を緊急支援するための支援策だ。
その貴重な給付金から高額な手数料を中抜きしようとするのは、人の弱みに付け込んだ悪徳商法に近い。
こんな業者に無駄金を投げるのはもったいない。
実際にこれでどれだけの受注を得ているのかは不明だ。
たぶん、相談や問い合わせぐらいは来ているだろうが、実際に申請代行する受注にまでは至っていないのではないか。
ウェブサイトで宣伝し、申請代行の依頼を受けたとしても、必要な帳票類の画像データを送ってもらう必要があり、そんなやり取りがオンラインでできるような事業主であれば、自分で直接にオンライン申請ができてしまうからだ。
また、申請方法を電話やメールでアドバイスしてもらいながら、自分で申請するとすれば、それは、公的な相談窓口に問い合わせるのと違わない。
支援業者に過大な手数料を払うような必要性は存在しないことになる。
あるとすれば、パソコンもスマホもいじったことがない個人事業主が、すべての作業を依頼するケースだ。
その場合、事業主のところに出向いて、帳票類をスキャンするところから作業を代行することになる。
それでも、商工会とのつながりがない、税理士との付き合いがないという零細の個人事業主に限られる。
となると、ウェブサイトやツイッターで宣伝していても、このような客がアクセスしてくるチャンスはない。
こう考えると、この給付金ビジネスは成り立たないことになる。
持続化給付金の受付が今月から行われており、8日からは実際に支給が始まった。
売上が前年同月比で50%以上減少した中小企業に最大200万円、個人事業主に大100万円を支給する。
この給付金の申請手続きを支援する業者が現れ、過大な手数料を請求しているという。
ウェブサイトやツイッターで宣伝している。
手数料は支給金額の10%〜20%が相場。
例えば、最大金額200万円の給付を得られたとすると、そのうちの20〜40万円が手数料となる。
目ざとい業者が給付金ビジネスに目を付けた。
個人事業主の中には、こういう申請手続きが嫌いで、文字だらけの申請要領を読むのも苦手という人もいる。
パソコンのスキルがなく、オンライン作業ができないという人もいる。
そういう需要を狙ったものだろう。
だが、この持続化給付金については、手続き支援をするほどの内容はまったくない。
国も迅速に必要なところに緊急の資金を注入することに力点を置いているので、手続きは非常にシンプルだ。
申請はオンラインですべて完了する。
企業情報と売上数字を入力すると支給額が自動計算される。
「確定申告書」「法人事業概況説明書」「該当月売上明細」を画像データで送る。
入金先口座情報と通帳の写真を送れば申請完了だ。
申請サイトもものすごく分かりやすくできており、専門家でなければ分からないようなところは1つもない。
独立して事業を行なっている経営者や事業主であれば、これぐらいの作業は難しくもなんともないはず。
どうしても分からなければ、地元の商工会か、なじみの税理士に相談すれば簡単に済む。
この給付金は、売上が激減してキャッシュフローが逼迫している事業者を緊急支援するための支援策だ。
その貴重な給付金から高額な手数料を中抜きしようとするのは、人の弱みに付け込んだ悪徳商法に近い。
こんな業者に無駄金を投げるのはもったいない。
実際にこれでどれだけの受注を得ているのかは不明だ。
たぶん、相談や問い合わせぐらいは来ているだろうが、実際に申請代行する受注にまでは至っていないのではないか。
ウェブサイトで宣伝し、申請代行の依頼を受けたとしても、必要な帳票類の画像データを送ってもらう必要があり、そんなやり取りがオンラインでできるような事業主であれば、自分で直接にオンライン申請ができてしまうからだ。
また、申請方法を電話やメールでアドバイスしてもらいながら、自分で申請するとすれば、それは、公的な相談窓口に問い合わせるのと違わない。
支援業者に過大な手数料を払うような必要性は存在しないことになる。
あるとすれば、パソコンもスマホもいじったことがない個人事業主が、すべての作業を依頼するケースだ。
その場合、事業主のところに出向いて、帳票類をスキャンするところから作業を代行することになる。
それでも、商工会とのつながりがない、税理士との付き合いがないという零細の個人事業主に限られる。
となると、ウェブサイトやツイッターで宣伝していても、このような客がアクセスしてくるチャンスはない。
こう考えると、この給付金ビジネスは成り立たないことになる。
2020年05月15日
小康期を経て第2波へ備える:新型コロナ
14日、緊急事態宣言について39県で解除した。
これらの地域では、新規感染者が非常に少ないレベルに抑えられており、感染爆発に至る恐れがなくなったからだ。
この中に、愛知県が含まれていることは注目に値する。
名古屋は、一時期、いくつかのクラスターが発見され、東京や大阪以上に感染拡大が広がっていた。
ところが、クラスター潰しを徹底的に行うことで、経路不明の感染拡大を防ぐことができたようだ。
人口の多い都市部では、感染拡大抑止は非常に難しいが、名古屋では初動がうまくいったらしい。
宣言解除の対象から外れた8都道府県についても、明らかに感染は収束の方向に向かっており、宣言解除も近そうだ。
2月には、中国武漢で医療崩壊が起き、感染者と死者が急増する様子を見て、明日は日本か、と恐れた。
3月には、イタリアなどヨーロッパ諸国で爆発的な感染拡大が起き、2週間後の日本か、と心配した。
4月には、アメリカのニューヨークで感染爆発が起き、次は東京だ、と恐怖した。
ところが、日本が諸外国の後追いをする気配は少しもなく、まずは一旦小康状態に至りそうだ。
5月6日現在での10万人当たりの死者数を比較すると、日本の少なさが際立つ。
スペイン:55.3
イタリア:49.12
イギリス:45.35
フランス:38.53
アメリカ:22.44
ドイツ:8.77
日本:0.44
日本が2月にクルーズ船の対応に苦労しているとき、ロンドン市長選の候補者が「2020年の五輪はロンドンで開催する用意がある」とコメントし話題になったが、このような油断と認識の甘さが、現状を招いた。
いまや、イギリスの死者数は3万4千人。
10万人当たり死者数では、イギリスは日本の100倍以上に達している。
日本の対策が特別に優れているように見えないのに、なぜ感染爆発が起きず、死亡者も最小に抑えられているのか。
これは、ジャパンミラクルとして、いまや世界の謎だ。
ここに諸外国が学ぶべきとっておきの秘策でもあればいいが、それがなかなか見つからないところが悩ましい。
それで、これをどう解釈すればいいのか、海外メディアも困っているようだ。
たぶん、特別の対策が功を奏したというよりも、地味で目立たない活動が効果的だったのだろう。
国内感染早期では、検査数を絞りクラスターをできる限り追跡して叩くという戦略が実行されていた。
クラスター追跡の特別チームが編成され、見えないところで活動していたようだ。
その片鱗は、NHKのスペシャル番組で紹介され、私たちの目に見える形で知らされた。
このような見えないところで、優秀な頭脳集団が地道な活動をしていたのだ。
不思議と、民放にはこの活動をしっかり取材報道するテレビ局がなかった。
ただ表面的な情報を捉えて、いろんなコメンテーターに政府批判をさせているだけだった。
「検査数が少ない」「全国一斉休校にしても無意味」「緊急事態宣言が遅い」
民放の情報番組だけを見ていると、日本は世界一ダメな国に見える。
この調子で進むと6月には緊急事態宣言は全面解除ということになりそうだ。
解除といっても、元通りの生活に戻るわけではない。
一旦、小康状態になるだけだ。
ウィルスは終息に至っておらず、それがいつまた再燃するか分からない。
「第2波は必ず来ると考えよ」と専門家が言うようになった。
その第2波はいつ来るか分からない。
警戒が緩むと同時に第2波が始まるのかもしれないし、夏場の間は小康状態が続き、秋口から感染が再燃し始めるのかもしれない。
いずれにせよ、ここで小康期を向かえることになるわけだ。
この小康期は、私たちにとって非常に貴重な時間となる。
いままでの遅れを取り戻し、第2波への備えをする時間だからだ。
今回の宣言解除をもって、私たちは元に戻るのではなく、新たなステージに進むことになる。
これらの地域では、新規感染者が非常に少ないレベルに抑えられており、感染爆発に至る恐れがなくなったからだ。
この中に、愛知県が含まれていることは注目に値する。
名古屋は、一時期、いくつかのクラスターが発見され、東京や大阪以上に感染拡大が広がっていた。
ところが、クラスター潰しを徹底的に行うことで、経路不明の感染拡大を防ぐことができたようだ。
人口の多い都市部では、感染拡大抑止は非常に難しいが、名古屋では初動がうまくいったらしい。
宣言解除の対象から外れた8都道府県についても、明らかに感染は収束の方向に向かっており、宣言解除も近そうだ。
2月には、中国武漢で医療崩壊が起き、感染者と死者が急増する様子を見て、明日は日本か、と恐れた。
3月には、イタリアなどヨーロッパ諸国で爆発的な感染拡大が起き、2週間後の日本か、と心配した。
4月には、アメリカのニューヨークで感染爆発が起き、次は東京だ、と恐怖した。
ところが、日本が諸外国の後追いをする気配は少しもなく、まずは一旦小康状態に至りそうだ。
5月6日現在での10万人当たりの死者数を比較すると、日本の少なさが際立つ。
スペイン:55.3
イタリア:49.12
イギリス:45.35
フランス:38.53
アメリカ:22.44
ドイツ:8.77
日本:0.44
日本が2月にクルーズ船の対応に苦労しているとき、ロンドン市長選の候補者が「2020年の五輪はロンドンで開催する用意がある」とコメントし話題になったが、このような油断と認識の甘さが、現状を招いた。
いまや、イギリスの死者数は3万4千人。
10万人当たり死者数では、イギリスは日本の100倍以上に達している。
日本の対策が特別に優れているように見えないのに、なぜ感染爆発が起きず、死亡者も最小に抑えられているのか。
これは、ジャパンミラクルとして、いまや世界の謎だ。
ここに諸外国が学ぶべきとっておきの秘策でもあればいいが、それがなかなか見つからないところが悩ましい。
それで、これをどう解釈すればいいのか、海外メディアも困っているようだ。
たぶん、特別の対策が功を奏したというよりも、地味で目立たない活動が効果的だったのだろう。
国内感染早期では、検査数を絞りクラスターをできる限り追跡して叩くという戦略が実行されていた。
クラスター追跡の特別チームが編成され、見えないところで活動していたようだ。
その片鱗は、NHKのスペシャル番組で紹介され、私たちの目に見える形で知らされた。
このような見えないところで、優秀な頭脳集団が地道な活動をしていたのだ。
不思議と、民放にはこの活動をしっかり取材報道するテレビ局がなかった。
ただ表面的な情報を捉えて、いろんなコメンテーターに政府批判をさせているだけだった。
「検査数が少ない」「全国一斉休校にしても無意味」「緊急事態宣言が遅い」
民放の情報番組だけを見ていると、日本は世界一ダメな国に見える。
この調子で進むと6月には緊急事態宣言は全面解除ということになりそうだ。
解除といっても、元通りの生活に戻るわけではない。
一旦、小康状態になるだけだ。
ウィルスは終息に至っておらず、それがいつまた再燃するか分からない。
「第2波は必ず来ると考えよ」と専門家が言うようになった。
その第2波はいつ来るか分からない。
警戒が緩むと同時に第2波が始まるのかもしれないし、夏場の間は小康状態が続き、秋口から感染が再燃し始めるのかもしれない。
いずれにせよ、ここで小康期を向かえることになるわけだ。
この小康期は、私たちにとって非常に貴重な時間となる。
いままでの遅れを取り戻し、第2波への備えをする時間だからだ。
今回の宣言解除をもって、私たちは元に戻るのではなく、新たなステージに進むことになる。
2020年05月08日
持続化給付金の支給開始:新型コロナ支援策
中小零細事業者向けの救済策として立ち上がった持続化給付金。
早くも本日から実際の支給が始まるという。
この持続化給付金というのは、新型コロナの影響により売上が激減した事業者に対して、当面の資金繰り支援の目的で設けられた。
中小企業に最大200万円、個人事業主には最大100万円が支給される。
支給条件としては、今年の1月以降で、去年の同月比で50%以上の売上減少月があれば対象となる。
支給金額の計算式も提示されていて、「前事業年度総売上ー該当月売上×12」で算出できる。
申請はオンラインですべて完了する。
企業情報と売上数字を入力すると支給額が自動計算される。
確定申告書、法人事業概況説明書、該当月売上明細を画像データで送る。
入金先口座情報を入力すれば申請完了だ。
ものすごく分かりやすくてシンプル。
前例のないこれほどの仕組みをよく短時間に立ち上げたものだ。
細かいチェックよりも、迅速な支給を優先していることが分かる。
性善説に立って仕組みを作ったようだ。
「濫救を恐れて、漏救を起こすなかれ」
不正受給のリスクを恐れて支給条件を厳しくすると、本当に必要なところに資金が供給されなくなる、それを避けたかったのだろう。
中小企業の場合は最大200万円という上限がある。
これは、財務体力の弱い小規模零細事業者を優先に救うことを想定しているからだ。
8日だけでも2万件以上、250億円以上の現金支給が行われるという。
中小企業向けには他にも様々な支援策が立ち上がっている。
無利子無担保融資、雇用調整助成金による100%給与保証も始まった。
給与保証額の上限引き上げ、休業中の失業手当の特例措置、家賃支援も検討されているらしい。
パンデミック時の中小企業の生き残りのポイントの1つに「資金繰り」がある。
キャッシュインが急激に減少することで、資金繰り悪化を招く。
BCPにおける資金対策の目安としては、事業が完全停止しても、3か月は耐えられるだけの手元資金が用意できることが理想だ。
しかし、これは地震や風水害のような自然災害を想定した目安だ。
パンデミックの場合は、影響が長期に及ぶ。
2月に影響が始まり既に3か月が経とうとしている。
手元資金が潤沢にある企業でも、いまから苦しい時期を迎える。
持続化給付金の支給開始は、ベストタイミングだった。
今後も様々な支援策が立ち上がってくるだろう。
中小企業は、情報感度を上げ、利用できる支援は遠慮なく使っていくべきだ。
早くも本日から実際の支給が始まるという。
この持続化給付金というのは、新型コロナの影響により売上が激減した事業者に対して、当面の資金繰り支援の目的で設けられた。
中小企業に最大200万円、個人事業主には最大100万円が支給される。
支給条件としては、今年の1月以降で、去年の同月比で50%以上の売上減少月があれば対象となる。
支給金額の計算式も提示されていて、「前事業年度総売上ー該当月売上×12」で算出できる。
申請はオンラインですべて完了する。
企業情報と売上数字を入力すると支給額が自動計算される。
確定申告書、法人事業概況説明書、該当月売上明細を画像データで送る。
入金先口座情報を入力すれば申請完了だ。
ものすごく分かりやすくてシンプル。
前例のないこれほどの仕組みをよく短時間に立ち上げたものだ。
細かいチェックよりも、迅速な支給を優先していることが分かる。
性善説に立って仕組みを作ったようだ。
「濫救を恐れて、漏救を起こすなかれ」
不正受給のリスクを恐れて支給条件を厳しくすると、本当に必要なところに資金が供給されなくなる、それを避けたかったのだろう。
中小企業の場合は最大200万円という上限がある。
これは、財務体力の弱い小規模零細事業者を優先に救うことを想定しているからだ。
8日だけでも2万件以上、250億円以上の現金支給が行われるという。
中小企業向けには他にも様々な支援策が立ち上がっている。
無利子無担保融資、雇用調整助成金による100%給与保証も始まった。
給与保証額の上限引き上げ、休業中の失業手当の特例措置、家賃支援も検討されているらしい。
パンデミック時の中小企業の生き残りのポイントの1つに「資金繰り」がある。
キャッシュインが急激に減少することで、資金繰り悪化を招く。
BCPにおける資金対策の目安としては、事業が完全停止しても、3か月は耐えられるだけの手元資金が用意できることが理想だ。
しかし、これは地震や風水害のような自然災害を想定した目安だ。
パンデミックの場合は、影響が長期に及ぶ。
2月に影響が始まり既に3か月が経とうとしている。
手元資金が潤沢にある企業でも、いまから苦しい時期を迎える。
持続化給付金の支給開始は、ベストタイミングだった。
今後も様々な支援策が立ち上がってくるだろう。
中小企業は、情報感度を上げ、利用できる支援は遠慮なく使っていくべきだ。
2020年04月28日
生き残り戦略が問われている:パンデミックBCP
コロナリスクが継続している。
緊急事態宣言が発出されて以降、人々の行動は変わった。
東京、名古屋、大阪などの都市部では、明らかに人出が減少した。
新宿:81.9%減、名古屋:80.9%減、梅田:87.8%減。
公共交通機関も、利用者の減少が目立つ。
特に長距離の特急電車は、ほとんど空の車両を走らせているような状況だ。
その甲斐あってか、感染者の減少傾向がみられるようになってきた。
まだ、予断を許さないが、行動自粛の効果は確実で出始めている。
さて、企業にとって、このコロナリスクは、深刻だ。
リスクは2種類ある。
1つは、従業員が感染し出社できなくなるリスク。
もう1つは、経済停滞による需要減少のリスク。
従来、パンデミックBCPは従業員の感染リスクだけを想定しているケースが多かった。
だが、いまの日本では、欧米のように感染爆発には至っておらず、このリスクはそれほど大きくない。
それよりも、深刻なのは、国民の行動自粛による経済の停滞だ。
飲食業、観光業、宿泊業については、行動自粛が需要の消滅に直結しており、既に深刻な状況にある。
国民の行動自粛が直撃しない業界でも、間接的にその影響は出始めており、事態長期化にともなって、その影響は大きくなる。
新型感染症リスクは、簡単には終わらない。
一般には、二冬超えないと終わらないと言われている。
すると、夏場に一旦小康状態に至ったとしても、次の冬場に第2波がやってくることを覚悟しなければならない。
過去の例では、第1波よりも第2波の方が被害が大きいということもあった。
いま、日本では感染拡大が落ち着く方向にある。
一旦小康状態になったら、その時が非常に重要な時間となる。
今までの分を至急取り戻すと同時に、やがてやってくる第2波への備えを万全にする時間だからだ。
パンデミックBCPでは、単なる感染予防の話だけでは終わらない。
長期的経済停滞への備えの方が重要度が高い。
従来通りの業務のやり方や事業内容では立ち行かなくなる。
ならば、我が社はこの難局をどのように乗り越えていったらいいのか。
これは、戦略的に考えていく必要がある。
今回のコロナリスクに直面して、既に新たな試みを始めている企業は続々と出始めた。
酒造会社が、高濃度アルコールの消毒剤を製造。
老舗料亭が、サテライトオフィスの場所貸し。
雨合羽メーカーが、医療用防護服の製造。
ホワイトボードメーカーが、アクリル板による防護壁の製造。
これらは、我が社の技術力をいまの需要に役立てようとする試みだ。
飲食店が、テイクアウトのメニューを開発。
野菜の卸業者が、新鮮野菜の通信販売。
学習塾がオンライン指導。
音楽アーティストが、コンサートのライブ配信。
これらは、お客様へのアプローチの仕方を変える試みだ。
昨日ウェブ会議である中小企業の社長と話をすることができた。
その会社では、2009年の新型インフルエンザの時に、パンデミックBCPの準備を始めたという。
マスクや消毒剤の備蓄は十分あった。
感染症が始まった時の行動計画も既に作ってあった。
在宅勤務の備えもしてきた。
今回は、計画にのっとり、3月には一部社員を在宅勤務に切り替え、4月からは全社員を在宅勤務にした。
事前の準備のおかげでスムーズに移行できたらしい。
この社長は、前回の新型インフルエンザの時に、新型感染症は10年に1回起きるリスクだということを認識しており、まさに今回がその時だと捉えて迅速に行動したようだ。
当初は、社員から「そこまで大げさにしなくても」という声もあったそうだが、結果として正しかった。
この夏場の小康状態の時が非常に大事だ。
いままで備えのなかった企業は、その遅れを取り戻し、第2波に備える貴重な時間となる。
コロナリスクは、まだまだ始まったばかりだ。
長期的な視野で生き残り戦略を準備していこう。
緊急事態宣言が発出されて以降、人々の行動は変わった。
東京、名古屋、大阪などの都市部では、明らかに人出が減少した。
新宿:81.9%減、名古屋:80.9%減、梅田:87.8%減。
公共交通機関も、利用者の減少が目立つ。
特に長距離の特急電車は、ほとんど空の車両を走らせているような状況だ。
その甲斐あってか、感染者の減少傾向がみられるようになってきた。
まだ、予断を許さないが、行動自粛の効果は確実で出始めている。
さて、企業にとって、このコロナリスクは、深刻だ。
リスクは2種類ある。
1つは、従業員が感染し出社できなくなるリスク。
もう1つは、経済停滞による需要減少のリスク。
従来、パンデミックBCPは従業員の感染リスクだけを想定しているケースが多かった。
だが、いまの日本では、欧米のように感染爆発には至っておらず、このリスクはそれほど大きくない。
それよりも、深刻なのは、国民の行動自粛による経済の停滞だ。
飲食業、観光業、宿泊業については、行動自粛が需要の消滅に直結しており、既に深刻な状況にある。
国民の行動自粛が直撃しない業界でも、間接的にその影響は出始めており、事態長期化にともなって、その影響は大きくなる。
新型感染症リスクは、簡単には終わらない。
一般には、二冬超えないと終わらないと言われている。
すると、夏場に一旦小康状態に至ったとしても、次の冬場に第2波がやってくることを覚悟しなければならない。
過去の例では、第1波よりも第2波の方が被害が大きいということもあった。
いま、日本では感染拡大が落ち着く方向にある。
一旦小康状態になったら、その時が非常に重要な時間となる。
今までの分を至急取り戻すと同時に、やがてやってくる第2波への備えを万全にする時間だからだ。
パンデミックBCPでは、単なる感染予防の話だけでは終わらない。
長期的経済停滞への備えの方が重要度が高い。
従来通りの業務のやり方や事業内容では立ち行かなくなる。
ならば、我が社はこの難局をどのように乗り越えていったらいいのか。
これは、戦略的に考えていく必要がある。
今回のコロナリスクに直面して、既に新たな試みを始めている企業は続々と出始めた。
酒造会社が、高濃度アルコールの消毒剤を製造。
老舗料亭が、サテライトオフィスの場所貸し。
雨合羽メーカーが、医療用防護服の製造。
ホワイトボードメーカーが、アクリル板による防護壁の製造。
これらは、我が社の技術力をいまの需要に役立てようとする試みだ。
飲食店が、テイクアウトのメニューを開発。
野菜の卸業者が、新鮮野菜の通信販売。
学習塾がオンライン指導。
音楽アーティストが、コンサートのライブ配信。
これらは、お客様へのアプローチの仕方を変える試みだ。
昨日ウェブ会議である中小企業の社長と話をすることができた。
その会社では、2009年の新型インフルエンザの時に、パンデミックBCPの準備を始めたという。
マスクや消毒剤の備蓄は十分あった。
感染症が始まった時の行動計画も既に作ってあった。
在宅勤務の備えもしてきた。
今回は、計画にのっとり、3月には一部社員を在宅勤務に切り替え、4月からは全社員を在宅勤務にした。
事前の準備のおかげでスムーズに移行できたらしい。
この社長は、前回の新型インフルエンザの時に、新型感染症は10年に1回起きるリスクだということを認識しており、まさに今回がその時だと捉えて迅速に行動したようだ。
当初は、社員から「そこまで大げさにしなくても」という声もあったそうだが、結果として正しかった。
この夏場の小康状態の時が非常に大事だ。
いままで備えのなかった企業は、その遅れを取り戻し、第2波に備える貴重な時間となる。
コロナリスクは、まだまだ始まったばかりだ。
長期的な視野で生き残り戦略を準備していこう。
2020年04月17日
10万円は寄付の選択肢を設置せよ:全国民一律給付
安倍総理は、新型コロナウイルスの感染者急増を受け、全47都道府県に緊急事態宣言を発令した。
ゴールデンウィークに向けて、ヒトの移動を全国的に抑制することで、感染拡大を抑えようとする考えによる。
また、今回、「特定警戒都道府県」という位置づけも新たに設けた。
既に警戒宣言を発令済みだった7都府県と合わせ特に感染拡大のリスクが高まっている地域を指定した。
新たに加わったのは、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都。
これらの地域は、累計感染者が100人以上、感染者数の倍増が10日未満、感染経路不明者が半数という3条件を満たす。
全国一律に緊急事態宣言をだすものの、その中でも特にリスクの大きい地域を明確にしている。
宣言の期間は、これまで通り5月6日まで。
これに合わせて、10万円の一律給付も決まった。
今までは、所得制限を設け、ダメージの大きい世帯を優先的に手厚い補助を行なうという考え方で対処してきたが、不公平感のない線引きが難しいこと、準備に時間がかかりすぎることから、批判の声が上がっていた。
特に、公明党からの強力な要請があり、所得制限の30万円給付を撤回し、国民一人ひとりへの一律給付となったようだ。
全国民一律給付の前提を整えるための、緊急事態宣言の全国拡大という側面もあった。
この全国民一律給付は、損失補填の要素はなく、緊急事態宣言で行動自粛に協力してくれた国民に対して、協力謝礼金のような意味がありそうだ。
収入が激減し、この給付金を必要とする人もいるだろう。
ところが、今回のコロナリスクで、収入がほとんど変わらない世帯もある。
中には、普段よりも繁忙になり、給料や臨時ボーナスが増えている人もいる。
また、十分な資産のある人は、10万円をもらう喜びよりも、手続きのわずらわしさを感じているだろう。
この給付の仕組みは、自己申告になりそうだ。
ならば、受給の他に、寄付の選択肢も設置したらどうか。
例えば、「医療関係者への支援に」という項目があれば、喜んで寄付する人もいるに違いない。
補償金や給付金の話は、国民を卑しくする。
国からお金がもらえることをありがたく思うどころか、「遅すぎる」「少なすぎる」という意見ばかりが先行する。
お金は、どんなにあっても満足するものではないので、もらい始めると、「もっと欲しい」となりがち。
他の人がもらって、自分がもらえないとなると、見過ごせなくなる。
東京都民が十分な給付金をもらっているのに、神奈川県民が少ないと不公平だと文句が出る。
ある報道番組で、ある国民のこんなインタビューが紹介されていた。
「いつまでこんな状態が続くのか分からないのに、10万円ではやっていけない。まぁ、もらえるものは、とりあえずもらっておきますけど」
国民みんなが、カネをたかり始めるようになる。
こんなムードにしてはいけない。
なぜこんなことになってしまうのか。
それは、国が助ける側、国民は助けられる側、と位置付けられてしまっているからだ。
だから、国民はただ口を開けて待っているだけになってしまう。
政府の対策に、「遅い」「少ない」「不公平」と、ただ文句を垂れるだけの存在になってしまう。
そうではなくて、国民がコロナ対策の主役であることを自覚してもらう必要がある。
そのためにも、給付金の自己申告に、寄付の選択肢を設けることに意義がある。
給付金は、本当に困っている人に回そう。
みんなで我慢し、助け合って難局を乗り越えよう。
という意識を国民全体で共有できる。
大地震や大雨洪水の災害があれば、全国から義捐金が集まる。
日本人はもともと他人を思いやる優しい民族だ。
昔から自然災害に幾度も襲われてきた日本。
本当に困っている人をみんなで支え合って、難局を乗り越えていくのは、私たち日本人のDNAにしみついた国民性のはずではないか。
日本人を、カネをたかる卑しい国民にしてはいけない。
ゴールデンウィークに向けて、ヒトの移動を全国的に抑制することで、感染拡大を抑えようとする考えによる。
また、今回、「特定警戒都道府県」という位置づけも新たに設けた。
既に警戒宣言を発令済みだった7都府県と合わせ特に感染拡大のリスクが高まっている地域を指定した。
新たに加わったのは、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都。
これらの地域は、累計感染者が100人以上、感染者数の倍増が10日未満、感染経路不明者が半数という3条件を満たす。
全国一律に緊急事態宣言をだすものの、その中でも特にリスクの大きい地域を明確にしている。
宣言の期間は、これまで通り5月6日まで。
これに合わせて、10万円の一律給付も決まった。
今までは、所得制限を設け、ダメージの大きい世帯を優先的に手厚い補助を行なうという考え方で対処してきたが、不公平感のない線引きが難しいこと、準備に時間がかかりすぎることから、批判の声が上がっていた。
特に、公明党からの強力な要請があり、所得制限の30万円給付を撤回し、国民一人ひとりへの一律給付となったようだ。
全国民一律給付の前提を整えるための、緊急事態宣言の全国拡大という側面もあった。
この全国民一律給付は、損失補填の要素はなく、緊急事態宣言で行動自粛に協力してくれた国民に対して、協力謝礼金のような意味がありそうだ。
収入が激減し、この給付金を必要とする人もいるだろう。
ところが、今回のコロナリスクで、収入がほとんど変わらない世帯もある。
中には、普段よりも繁忙になり、給料や臨時ボーナスが増えている人もいる。
また、十分な資産のある人は、10万円をもらう喜びよりも、手続きのわずらわしさを感じているだろう。
この給付の仕組みは、自己申告になりそうだ。
ならば、受給の他に、寄付の選択肢も設置したらどうか。
例えば、「医療関係者への支援に」という項目があれば、喜んで寄付する人もいるに違いない。
補償金や給付金の話は、国民を卑しくする。
国からお金がもらえることをありがたく思うどころか、「遅すぎる」「少なすぎる」という意見ばかりが先行する。
お金は、どんなにあっても満足するものではないので、もらい始めると、「もっと欲しい」となりがち。
他の人がもらって、自分がもらえないとなると、見過ごせなくなる。
東京都民が十分な給付金をもらっているのに、神奈川県民が少ないと不公平だと文句が出る。
ある報道番組で、ある国民のこんなインタビューが紹介されていた。
「いつまでこんな状態が続くのか分からないのに、10万円ではやっていけない。まぁ、もらえるものは、とりあえずもらっておきますけど」
国民みんなが、カネをたかり始めるようになる。
こんなムードにしてはいけない。
なぜこんなことになってしまうのか。
それは、国が助ける側、国民は助けられる側、と位置付けられてしまっているからだ。
だから、国民はただ口を開けて待っているだけになってしまう。
政府の対策に、「遅い」「少ない」「不公平」と、ただ文句を垂れるだけの存在になってしまう。
そうではなくて、国民がコロナ対策の主役であることを自覚してもらう必要がある。
そのためにも、給付金の自己申告に、寄付の選択肢を設けることに意義がある。
給付金は、本当に困っている人に回そう。
みんなで我慢し、助け合って難局を乗り越えよう。
という意識を国民全体で共有できる。
大地震や大雨洪水の災害があれば、全国から義捐金が集まる。
日本人はもともと他人を思いやる優しい民族だ。
昔から自然災害に幾度も襲われてきた日本。
本当に困っている人をみんなで支え合って、難局を乗り越えていくのは、私たち日本人のDNAにしみついた国民性のはずではないか。
日本人を、カネをたかる卑しい国民にしてはいけない。
2020年04月11日
地域ごとの警戒レベルの発信をせよ:緊急事態宣言
愛知県、京都府、岐阜県が、国の緊急事態宣言の対象地域への追加を要請していたが、国からは現時点での追加の必要性はないとの見解が出された。
今回の緊急事態宣言の対象地域の選定には専門家会議の判断によっている。
その判断基準も明確だ。
1つは、感染拡大スピードの変化。
もう1つは、感染経路不明の感染者の増加傾向。
この判断基準は非常に明確で、先日の総理記者会見の場で、専門家会議の尾身氏からも説明があった。
愛知県、京都府、岐阜県については、感染拡大も落ち着いており、経路不明の感染者も限定的であることから、対象地域からは外された。
ただ、対象外であるからといって、警戒を緩めていいわけではなく、行動自粛を呼び掛けながらも、今後の推移を見守っていくという位置づけだ。
だが、愛知県などから国に対して対象追加の要請が出る事情も分かる。
対象地域から外されたことで新たな不安が増幅しているのだ。
愛知県は、警戒が緩んで感染拡大がひどくなるのではないか。
医療現場に適切な手が打てずに手遅れになるのではないか。
国から見捨てられているのではないか。
コロナリスクに敏感な人ほど、国の慎重な姿勢に苛立ちを覚えるに違いない。
緊急事態宣言の対象地域になるかならないかの2つしかないために、このようなことが起きる。
緊急事態宣言は、最終段階であり、いきなりここに行ってしまうと、もうこれ以上のステージがない。
早々と緊急事態宣言を出したとしても、更に事態が進行した時に、もう次のカードがないのだ。
いま、警戒レベルは、地域によってまったく様子が違う。
緊急事態宣言の出ていない地域でも、もう緊急事態目前の地域もあれば、ほとんど感染者が出ていない地域もある。
なので、地域ごとの警戒レベルが判断できる指標を作るべきだ。
気象情報の場合、注意報、警報、特別警報というように、警戒レベルが人々に正しく伝わる仕組みができている。
状況が刻々と変化していく災害の場合、このような判断基準が必要だ。
今回のコロナリスクも、緊急事態宣言に至る前段階の警戒レベルを提示するようにしたらどうか。
例えば、「注意地域」「警戒地域」「特別警戒地域」そして最終が「緊急事態」だ。
そうすれば、自分の地域がどのレベルにあるかが分かる。
事業者の対応も、全面休業にするか、時間短縮にするか、業務縮小で対応するか、注意しながら平常業務とするかなど、判断がしやすくなるだろう。
今回の緊急事態宣言の対象地域の選定には専門家会議の判断によっている。
その判断基準も明確だ。
1つは、感染拡大スピードの変化。
もう1つは、感染経路不明の感染者の増加傾向。
この判断基準は非常に明確で、先日の総理記者会見の場で、専門家会議の尾身氏からも説明があった。
愛知県、京都府、岐阜県については、感染拡大も落ち着いており、経路不明の感染者も限定的であることから、対象地域からは外された。
ただ、対象外であるからといって、警戒を緩めていいわけではなく、行動自粛を呼び掛けながらも、今後の推移を見守っていくという位置づけだ。
だが、愛知県などから国に対して対象追加の要請が出る事情も分かる。
対象地域から外されたことで新たな不安が増幅しているのだ。
愛知県は、警戒が緩んで感染拡大がひどくなるのではないか。
医療現場に適切な手が打てずに手遅れになるのではないか。
国から見捨てられているのではないか。
コロナリスクに敏感な人ほど、国の慎重な姿勢に苛立ちを覚えるに違いない。
緊急事態宣言の対象地域になるかならないかの2つしかないために、このようなことが起きる。
緊急事態宣言は、最終段階であり、いきなりここに行ってしまうと、もうこれ以上のステージがない。
早々と緊急事態宣言を出したとしても、更に事態が進行した時に、もう次のカードがないのだ。
いま、警戒レベルは、地域によってまったく様子が違う。
緊急事態宣言の出ていない地域でも、もう緊急事態目前の地域もあれば、ほとんど感染者が出ていない地域もある。
なので、地域ごとの警戒レベルが判断できる指標を作るべきだ。
気象情報の場合、注意報、警報、特別警報というように、警戒レベルが人々に正しく伝わる仕組みができている。
状況が刻々と変化していく災害の場合、このような判断基準が必要だ。
今回のコロナリスクも、緊急事態宣言に至る前段階の警戒レベルを提示するようにしたらどうか。
例えば、「注意地域」「警戒地域」「特別警戒地域」そして最終が「緊急事態」だ。
そうすれば、自分の地域がどのレベルにあるかが分かる。
事業者の対応も、全面休業にするか、時間短縮にするか、業務縮小で対応するか、注意しながら平常業務とするかなど、判断がしやすくなるだろう。
2020年04月08日
タクシー会社の乗務員解雇:建前と本音のはざま
朝日新聞の報道による。
東京都内でタクシー事業を営むR社が、グループ会社を含む5社で約600人いる乗務員全員を解雇する方針であるという。
同社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で業績が急激に悪化。
緊急事態宣言で今後も回復が見込めないためだ。
乗務員には「感染拡大が収束した段階で再雇用する。希望者は全員受け入れる」と説明したという。
先の見えない中、雇用したまま丸抱えして経営が行き詰まり、休業手当すら払えなくなったら、従業員を路頭に迷わせることになる。
それよりも、早々に解雇し、失業手当を受け取れるようにしてあげた方が、従業員のためだ。
いきなり全員解雇というと非情な経営者というイメージだが、これは従業員の立場を慮っての行動だろう。
このように、企業が突発的な非常事態に見舞われたとき、従業員を解雇してあげるということは実際によく行われる。
ところが、今回のケースは大きな問題がある。
それは、企業側が、「感染拡大が収束した段階で再雇用する」と約束してしまっていることだ。
再雇用を約束した解雇では、一時帰休しているだけで、失業者にならない。
それでは、失業手当をもらえないのだ。
再雇用の約束を隠して失業手当をもらったら、それは不正受給ということになる。
失業手当は、本当に失業してしまった人のためにある。
突然に会社都合で解雇され、収入の道を断たれてしまった人に、次の職が見つかるまでの生活支援をするための制度だ。
だから、失業中は、求職していることも条件となる。
ハローワークに通い、職探しをしていなければならない。
次の職が見つかるまでの生活支援なので、職を見つけようとしていない人に手当てが与えられるわけがない。
更に、失業中は収入のある仕事をしていないことも条件だ。
災害で会社が行き詰まり解雇された場合、元従業員が会社の後片付けや再開準備に呼び出されることがある。
その時、ただ働きさせるわけにいかないので、いくらかの給金を出す。
すると、収入があったということで、失業手当の受給資格を失う。
収入があったのに、失業者を装い続けると失業手当の不正受給だ。
これも当たり前の話だ。
突然に収入の道を断たれてしまった人を救うための失業手当なのだから、収入のあった人に手当てが出るはずがない。
失業手当の不正受給は公金の横領と同じなので、罰則は厳しい。
給付金の返還を求められるのは当然だが、その2倍額の罰金が科される。
つまり、不正受給は3倍返しなのだ。
罰金が科されるのは、会社ではなく元従業員の方だ。
企業が突発的な非常事態に見舞われたとき、解雇することで従業員を守るというのは、現実に行われることだ。
だが、これは、見方によっては制度を悪用した不正になりかねず、公には推奨されていない。
しかも、従業員に犯罪まがいの危ない橋を渡らせようとする一方、会社側はノーリスクである点も問題だ。
ここには、本音と建前があり、そのはざまで有用されている手法ということになる。
今回は、タクシー会社の側が、従業員をいきなり切り捨てる非情な経営者と思われないために、思わず口走ってしまったようだが、迂闊であったとしか言いようがない。
東京都内でタクシー事業を営むR社が、グループ会社を含む5社で約600人いる乗務員全員を解雇する方針であるという。
同社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で業績が急激に悪化。
緊急事態宣言で今後も回復が見込めないためだ。
乗務員には「感染拡大が収束した段階で再雇用する。希望者は全員受け入れる」と説明したという。
先の見えない中、雇用したまま丸抱えして経営が行き詰まり、休業手当すら払えなくなったら、従業員を路頭に迷わせることになる。
それよりも、早々に解雇し、失業手当を受け取れるようにしてあげた方が、従業員のためだ。
いきなり全員解雇というと非情な経営者というイメージだが、これは従業員の立場を慮っての行動だろう。
このように、企業が突発的な非常事態に見舞われたとき、従業員を解雇してあげるということは実際によく行われる。
ところが、今回のケースは大きな問題がある。
それは、企業側が、「感染拡大が収束した段階で再雇用する」と約束してしまっていることだ。
再雇用を約束した解雇では、一時帰休しているだけで、失業者にならない。
それでは、失業手当をもらえないのだ。
再雇用の約束を隠して失業手当をもらったら、それは不正受給ということになる。
失業手当は、本当に失業してしまった人のためにある。
突然に会社都合で解雇され、収入の道を断たれてしまった人に、次の職が見つかるまでの生活支援をするための制度だ。
だから、失業中は、求職していることも条件となる。
ハローワークに通い、職探しをしていなければならない。
次の職が見つかるまでの生活支援なので、職を見つけようとしていない人に手当てが与えられるわけがない。
更に、失業中は収入のある仕事をしていないことも条件だ。
災害で会社が行き詰まり解雇された場合、元従業員が会社の後片付けや再開準備に呼び出されることがある。
その時、ただ働きさせるわけにいかないので、いくらかの給金を出す。
すると、収入があったということで、失業手当の受給資格を失う。
収入があったのに、失業者を装い続けると失業手当の不正受給だ。
これも当たり前の話だ。
突然に収入の道を断たれてしまった人を救うための失業手当なのだから、収入のあった人に手当てが出るはずがない。
失業手当の不正受給は公金の横領と同じなので、罰則は厳しい。
給付金の返還を求められるのは当然だが、その2倍額の罰金が科される。
つまり、不正受給は3倍返しなのだ。
罰金が科されるのは、会社ではなく元従業員の方だ。
企業が突発的な非常事態に見舞われたとき、解雇することで従業員を守るというのは、現実に行われることだ。
だが、これは、見方によっては制度を悪用した不正になりかねず、公には推奨されていない。
しかも、従業員に犯罪まがいの危ない橋を渡らせようとする一方、会社側はノーリスクである点も問題だ。
ここには、本音と建前があり、そのはざまで有用されている手法ということになる。
今回は、タクシー会社の側が、従業員をいきなり切り捨てる非情な経営者と思われないために、思わず口走ってしまったようだが、迂闊であったとしか言いようがない。
緊急事態宣言:日本の戦略が明確になった
緊急事態宣言が出された。
対象となるのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡。
昨日、総理の記者会見が行われたが、今までと違うのが、専門家会議の尾身氏が同席したことだ。
今回の判断の裏付けとなる考え方を尾身氏の口から聞くことができた。
対象となるのがどうしてこの7都府県になったのかについても尾身氏から説明があったが、まことに明快で説得力のあるものだ。
まず、感染拡大のスピードについて、感染者が倍増するのにどのぐらいの時間がかかっているかを見る。
2,3日になると感染爆発の恐れありと判断したらしい。
もう一つは、感染経路不明の割合の増加。
これが増加してきているとリスクが高いと判断したようだ。
特徴的なのは、福岡県が入っていること。
いままであまり福岡県は話題にならなかった。
ところが、感染拡大のスピードが急激に上がっていることと、感染経路不明の割合が全国で一番高い。
これで対象に入った。
逆に、北海道と愛知県が外れた。
当初は、感染者や死者の多い順番に対象が選ばれるのではないかと言われ、北海道と愛知県も当然入るものと予想する人もいた。
だが、北海道と愛知県は、一時感染拡大した時期があったものの、最近は落ち着いてきている。
そして、これまでの感染も、ほとんどが感染経路をたどれるものだった。
クラスターつぶしを徹底したことで、いま感染拡大を抑えることができているのだろう。
ヒトとの接触を8割減らすことで確実に感染拡大を減らせるという説明もあった。
2週間ぐらいで、状況が好転し、1か月で結果が出るという見通しだ。
いま、日本がどのような戦略で対応しようとしているのかも明確だ。
尾身氏が同席することで、総理会見の裏付けが明確になった。
そして、日本がこのコロナ禍にどのように対処しようとしているかもはっきりした。
リスクコミュニケーションとしては、申し分ない。
対象となるのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡。
昨日、総理の記者会見が行われたが、今までと違うのが、専門家会議の尾身氏が同席したことだ。
今回の判断の裏付けとなる考え方を尾身氏の口から聞くことができた。
対象となるのがどうしてこの7都府県になったのかについても尾身氏から説明があったが、まことに明快で説得力のあるものだ。
まず、感染拡大のスピードについて、感染者が倍増するのにどのぐらいの時間がかかっているかを見る。
2,3日になると感染爆発の恐れありと判断したらしい。
もう一つは、感染経路不明の割合の増加。
これが増加してきているとリスクが高いと判断したようだ。
特徴的なのは、福岡県が入っていること。
いままであまり福岡県は話題にならなかった。
ところが、感染拡大のスピードが急激に上がっていることと、感染経路不明の割合が全国で一番高い。
これで対象に入った。
逆に、北海道と愛知県が外れた。
当初は、感染者や死者の多い順番に対象が選ばれるのではないかと言われ、北海道と愛知県も当然入るものと予想する人もいた。
だが、北海道と愛知県は、一時感染拡大した時期があったものの、最近は落ち着いてきている。
そして、これまでの感染も、ほとんどが感染経路をたどれるものだった。
クラスターつぶしを徹底したことで、いま感染拡大を抑えることができているのだろう。
ヒトとの接触を8割減らすことで確実に感染拡大を減らせるという説明もあった。
2週間ぐらいで、状況が好転し、1か月で結果が出るという見通しだ。
いま、日本がどのような戦略で対応しようとしているのかも明確だ。
尾身氏が同席することで、総理会見の裏付けが明確になった。
そして、日本がこのコロナ禍にどのように対処しようとしているかもはっきりした。
リスクコミュニケーションとしては、申し分ない。
2020年04月02日
富士山大噴火被害想定:中央防災会議
政府の中央防災会議の作業部会が富士山噴火の被害想定をまとめた。
富士山の大規模噴火で首都圏周辺に降灰の被害が及ぶ。
微量な降灰で鉄道が運行停止。
乾燥時10p以上、降雨時3p以上で二輪車が通行不能。
降雨時0.3p以上で絶縁低下(ショート)による停電発生。
最悪のケースとして、西南西の風が強く、雨が降っていた場合、
噴火後3時間で横浜市から千葉市にかけて鉄道の運行が停止し、都市の大部分で停電が発生。
降灰が継続すると15日目には鉄道への影響は関東一円に拡大。
停電は、東京と神奈川全域、千葉と埼玉の一部に拡大。
政府は4月に関係省庁や事業者による検討会を設置し、具体的対策の策定に着手するという。
コロナ禍の対応に追われる中ではあるが、従来からの災害リスクへの備えも着実に進んでいることは頼もしい。
コロナ禍は長期化の様相を見せている。
いまコロナ禍への対応が忙しいからといって、その間、別の災害が発生を控えてくれるわけではない。
最悪の事態は最悪のタイミングでやってくる。
いま一番起きてほしくないのは、大地震や大噴火だろう。
起きてほしくないことは考えないようにするのではなく、起きてほしくないからこそ、いま敢えて検討する意味がある。
日本は、先進国の中では新型コロナの被害は最小限に抑えることができているが、自然災害の多発国としては、いま最もリスクの高い状況に置かれていると言えるかのかもしれない。
富士山の大規模噴火で首都圏周辺に降灰の被害が及ぶ。
微量な降灰で鉄道が運行停止。
乾燥時10p以上、降雨時3p以上で二輪車が通行不能。
降雨時0.3p以上で絶縁低下(ショート)による停電発生。
最悪のケースとして、西南西の風が強く、雨が降っていた場合、
噴火後3時間で横浜市から千葉市にかけて鉄道の運行が停止し、都市の大部分で停電が発生。
降灰が継続すると15日目には鉄道への影響は関東一円に拡大。
停電は、東京と神奈川全域、千葉と埼玉の一部に拡大。
政府は4月に関係省庁や事業者による検討会を設置し、具体的対策の策定に着手するという。
コロナ禍の対応に追われる中ではあるが、従来からの災害リスクへの備えも着実に進んでいることは頼もしい。
コロナ禍は長期化の様相を見せている。
いまコロナ禍への対応が忙しいからといって、その間、別の災害が発生を控えてくれるわけではない。
最悪の事態は最悪のタイミングでやってくる。
いま一番起きてほしくないのは、大地震や大噴火だろう。
起きてほしくないことは考えないようにするのではなく、起きてほしくないからこそ、いま敢えて検討する意味がある。
日本は、先進国の中では新型コロナの被害は最小限に抑えることができているが、自然災害の多発国としては、いま最もリスクの高い状況に置かれていると言えるかのかもしれない。
津波28m予測:千島海溝地震
産経新聞の報道による。
3月29日、内閣府の有識者会議「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」が新たな検討結果を発表した。
心配されている千島海溝地震が発生した場合、北海道東部の太平洋側で最大約28mの津波が襲来し、市街地で最大14.5mの深さで浸水する可能性があるという。
えりも町:27.9m
釧路町:27.3m
広尾町:26.1m
釧路市:20.7m
択捉島:29m
地震発生から最大波が到達するまでの時間は最短で29分。
千島海溝地震は、今後30年以内に7〜40%という確率で予想されている。
南海トラフ地震や首都直下地震ばかりが取りざたされるが、切迫性としては千島海溝地震も同列だ。
北海道東部は、過疎地域であること、避難できる高台が少ないこと、寒冷地であることなど、条件としては対応が難しいエリアだ。
内閣府としては、令和2年度から具体的な対策作りに着手するらしい。
3月29日、内閣府の有識者会議「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」が新たな検討結果を発表した。
心配されている千島海溝地震が発生した場合、北海道東部の太平洋側で最大約28mの津波が襲来し、市街地で最大14.5mの深さで浸水する可能性があるという。
えりも町:27.9m
釧路町:27.3m
広尾町:26.1m
釧路市:20.7m
択捉島:29m
地震発生から最大波が到達するまでの時間は最短で29分。
千島海溝地震は、今後30年以内に7〜40%という確率で予想されている。
南海トラフ地震や首都直下地震ばかりが取りざたされるが、切迫性としては千島海溝地震も同列だ。
北海道東部は、過疎地域であること、避難できる高台が少ないこと、寒冷地であることなど、条件としては対応が難しいエリアだ。
内閣府としては、令和2年度から具体的な対策作りに着手するらしい。
2020年04月01日
パンデミックBCP:事業継続に必要なもう1つの視点
新型コロナウィルスのリスクが拡大し続けている。
いままで、新型感染症のリスクは何度も世界を襲ったが、幸いにも日本での被害はほとんどなかった。
2003年のSARSの時には、中国に始まり、世界に感染が拡大したが、日本だけでは感染事例がほとんどなく、死者も出ずに終わった。
この時、台湾や韓国では深刻な被害があり、その時の経験が今回の新型コロナの迅速な対応に生きているのだという。
2009年の時には新型インフルエンザが世界を襲った。
春先に日本にも感染が広がったが、夏場に一旦小康状態になり、秋ぐちになって再燃し始めた。
インフルエンザの最盛期1月2月に最大の山が来るだろうと警戒したが、インフルシーズンが来る前にいつの間にか立ち消えになった。
この時の経験から、「新型感染症といっても大したことないね」というのが日本での受け止め方だった。
ところが、今回だけは様子が違う。
武漢での謎の感染症発生直後から日本でもしきりに報道され、人々の関心を集めた。
最も注目されたのは、クルーズ船が横浜港に寄港したことによる。
日々、感染者や死者の数字が公表され、その深刻さを実感することになった。
このクルーズ船がなかったら、日本でもそれほど報道されず、人々の関心も高まらなかったかもしれない。
いま、コロナウィルスが日本社会に及ぼす影響は大きい。
だが、感染拡大や死者の増加という点で深刻になっているのではない。
諸外国に比べて、日本だけが極端に感染者や死者の数値が低く、そのことが世界の謎と言われている。
いまのところ被害を最小限に抑えることができている日本も、いつイタリアやフランスのように感染爆発を起こすか分からない状況にあり、予断を許さない。
さて、企業がパンデミックBCPを考えるとき、そのポイントは1つだった。
それは、職場の集団感染を起こさないことだ。
場合によっては、従業員に自宅待機を求めたり、一部の業務を縮小したりして、重要業務の継続に注力する。
感染症の拡大レベルに合わせて、業務対応の仕方を柔軟に変え、最悪の時でも最低限の機能維持を続けながら、状況回復を待つ。
感染が収束に向かってきたら、それに合わせ、少しずつ業務を復旧していき、通常業務に戻していく。
常に、感染拡大の状況を見ながら対応を考えるというところがパンデミックBCPのポイントとなる。
ところが、今回の場合、日本ではまだ感染爆発という状況にない。
にも関わらず、既に業種によっては業務に深刻な影響が出ている。
特に、観光業、宿泊業、飲食業、イベント業、旅客業などだ。
国や自治体による各種の自粛要請によって、ヒトの活動が激減した。
そのために、これらの業種については、売上が一気に消滅してしまった。
ヒトやモノなど経営資源は何も傷ついていないにも関わらず、突然、事業継続不能の状態に陥っている。
これは、従来のBCPでは想定してこなかったケースだ。
普通、需要の減少により経営難に陥るケースは、BCPの対象リスクにならない。
というのは、需要の増減は常に起こり得るものであり、それを想定しながら経営をするのが当たり前だからだ。
日常業務の中で経営を脅かすリスクは「経営リスク」と呼ばれ、BCPの対象リスクから外されるのが通例だ。
本来、BCPは、自然災害のように、我が社のコントロールではどうしようもないところで発生し、突然に我が社を非常事態に陥れるようなリスクを対象とする。
今回のコロナ禍による需要減は、一部は経営リスクに入るものだが、それを超えるような影響が出ている。
インバウンド狙いの観光業。
中国や韓国の団体客をあてにした業者が、いま窮地に陥っている。
これは、経営リスクに入る部分が大きい。
コロナ禍とは関係なく、もともとリスクが大きかった。
尖閣諸島で問題が起きただけで、中国の団体客が激減したことがあった。
韓国旅行客は、最近の日韓関係の悪化の時から減少が始まっていた。
京都では、ホテルの建設ラッシュが続いており、レンタル着物店が相次いで開店した。
ところが、当てが外れ、ホテルの建設予定が中断したり、レンタル着物店が閉店したりしている。
これらは、もともと不安定な需要に頼り切ったビジネスがリスクが大きいことの表れに過ぎない。
一方、ほとんど想定外の売上消滅も起きている。
飲食業、イベント業などがそうだ。
これらの業種も、社会情勢の変化で需要の変動は常にあるが、突然に売上が消滅することはない。
これは、明らかに世の中の自粛によるものだ。
そして、このような全世界レベルの活動停止状況というのは、感染症災害でなければあり得ない。
地震や風水害の場合は、被害が深刻だったとしても、対象エリアは限定的だ。
東日本がダメなら、西日本で代替ができる。
建屋や機械が傷ついたとしても、直ちに復旧すれば業務を立ち上げることができる。
ところが、新型感染症の場合は、逃げ場がない。
経営資源は何も傷ついておらず、復旧するすべがない。
学習塾が、オンライン授業に切り替えている。
老舗の旅館が、客間をサテライトオフィスとして貸し出そうとしている。
突然の需要消滅の中でも、知恵を出し合って何とか新規の需要に対応できる道筋を模索が始まっている。
今回のコロナ禍は、長期戦を覚悟する必要がある。
事業者も、国の支援策を待っているだけではだめだ。
この長期戦をいかに乗り越えていくかという生き残り戦略を考える段階にある。
いままで、新型感染症のリスクは何度も世界を襲ったが、幸いにも日本での被害はほとんどなかった。
2003年のSARSの時には、中国に始まり、世界に感染が拡大したが、日本だけでは感染事例がほとんどなく、死者も出ずに終わった。
この時、台湾や韓国では深刻な被害があり、その時の経験が今回の新型コロナの迅速な対応に生きているのだという。
2009年の時には新型インフルエンザが世界を襲った。
春先に日本にも感染が広がったが、夏場に一旦小康状態になり、秋ぐちになって再燃し始めた。
インフルエンザの最盛期1月2月に最大の山が来るだろうと警戒したが、インフルシーズンが来る前にいつの間にか立ち消えになった。
この時の経験から、「新型感染症といっても大したことないね」というのが日本での受け止め方だった。
ところが、今回だけは様子が違う。
武漢での謎の感染症発生直後から日本でもしきりに報道され、人々の関心を集めた。
最も注目されたのは、クルーズ船が横浜港に寄港したことによる。
日々、感染者や死者の数字が公表され、その深刻さを実感することになった。
このクルーズ船がなかったら、日本でもそれほど報道されず、人々の関心も高まらなかったかもしれない。
いま、コロナウィルスが日本社会に及ぼす影響は大きい。
だが、感染拡大や死者の増加という点で深刻になっているのではない。
諸外国に比べて、日本だけが極端に感染者や死者の数値が低く、そのことが世界の謎と言われている。
いまのところ被害を最小限に抑えることができている日本も、いつイタリアやフランスのように感染爆発を起こすか分からない状況にあり、予断を許さない。
さて、企業がパンデミックBCPを考えるとき、そのポイントは1つだった。
それは、職場の集団感染を起こさないことだ。
場合によっては、従業員に自宅待機を求めたり、一部の業務を縮小したりして、重要業務の継続に注力する。
感染症の拡大レベルに合わせて、業務対応の仕方を柔軟に変え、最悪の時でも最低限の機能維持を続けながら、状況回復を待つ。
感染が収束に向かってきたら、それに合わせ、少しずつ業務を復旧していき、通常業務に戻していく。
常に、感染拡大の状況を見ながら対応を考えるというところがパンデミックBCPのポイントとなる。
ところが、今回の場合、日本ではまだ感染爆発という状況にない。
にも関わらず、既に業種によっては業務に深刻な影響が出ている。
特に、観光業、宿泊業、飲食業、イベント業、旅客業などだ。
国や自治体による各種の自粛要請によって、ヒトの活動が激減した。
そのために、これらの業種については、売上が一気に消滅してしまった。
ヒトやモノなど経営資源は何も傷ついていないにも関わらず、突然、事業継続不能の状態に陥っている。
これは、従来のBCPでは想定してこなかったケースだ。
普通、需要の減少により経営難に陥るケースは、BCPの対象リスクにならない。
というのは、需要の増減は常に起こり得るものであり、それを想定しながら経営をするのが当たり前だからだ。
日常業務の中で経営を脅かすリスクは「経営リスク」と呼ばれ、BCPの対象リスクから外されるのが通例だ。
本来、BCPは、自然災害のように、我が社のコントロールではどうしようもないところで発生し、突然に我が社を非常事態に陥れるようなリスクを対象とする。
今回のコロナ禍による需要減は、一部は経営リスクに入るものだが、それを超えるような影響が出ている。
インバウンド狙いの観光業。
中国や韓国の団体客をあてにした業者が、いま窮地に陥っている。
これは、経営リスクに入る部分が大きい。
コロナ禍とは関係なく、もともとリスクが大きかった。
尖閣諸島で問題が起きただけで、中国の団体客が激減したことがあった。
韓国旅行客は、最近の日韓関係の悪化の時から減少が始まっていた。
京都では、ホテルの建設ラッシュが続いており、レンタル着物店が相次いで開店した。
ところが、当てが外れ、ホテルの建設予定が中断したり、レンタル着物店が閉店したりしている。
これらは、もともと不安定な需要に頼り切ったビジネスがリスクが大きいことの表れに過ぎない。
一方、ほとんど想定外の売上消滅も起きている。
飲食業、イベント業などがそうだ。
これらの業種も、社会情勢の変化で需要の変動は常にあるが、突然に売上が消滅することはない。
これは、明らかに世の中の自粛によるものだ。
そして、このような全世界レベルの活動停止状況というのは、感染症災害でなければあり得ない。
地震や風水害の場合は、被害が深刻だったとしても、対象エリアは限定的だ。
東日本がダメなら、西日本で代替ができる。
建屋や機械が傷ついたとしても、直ちに復旧すれば業務を立ち上げることができる。
ところが、新型感染症の場合は、逃げ場がない。
経営資源は何も傷ついておらず、復旧するすべがない。
学習塾が、オンライン授業に切り替えている。
老舗の旅館が、客間をサテライトオフィスとして貸し出そうとしている。
突然の需要消滅の中でも、知恵を出し合って何とか新規の需要に対応できる道筋を模索が始まっている。
今回のコロナ禍は、長期戦を覚悟する必要がある。
事業者も、国の支援策を待っているだけではだめだ。
この長期戦をいかに乗り越えていくかという生き残り戦略を考える段階にある。
2020年03月23日
K-1の開催強行:主催者のために中止命令すべきだった
キックボクシング団体K-1のビッグイベント「ケイズフェスタ3」が22日、さいたまスーパーアリーナで開催された。
開催前から、政府や県知事からは主催者側に自粛要請が繰り返されていたが、開催強行に至った。
当日の観客は予定よりも少なかったが、それでも6500人もの人が集まった。
主催者は、入場時に観客全員に住所、氏名、連絡先を書かせていた。
このイベントは、クラシックコンサートのようなおとなしい催し物とは違って、大勢の観客が密集し、熱狂したファンが大声を上げながら応援するという。
「閉鎖空間」「ヒトの密集」「大声」という感染拡大の条件をすべて網羅しているようなイベントだ。
タイでは、この格闘技の試合開催が感染拡大の要因とされ、深刻な事態へとつながっているらしい。
主催者側には、このイベントを中止できない事情があった。
このイベントを主催者判断で中止したらどうなるか。
主催者の自己都合の中止と同じ扱いとなり、チケットの払い戻しに応じることになる。
ここで巨大な損失が発生し、たちまち運営会社は資金繰りに行き詰まる。
逆に、開催を強行したらどうなるか。
チケットの売り上げはそのまま収入になる。
当日、自己判断で来ない観客もいるだろう。
しかし、主催者に払い戻しの義務はない。
当初の売上と利益を確保することができる。
もちろん、このイベントをきっかけに感染拡大のリスクがある。
だが、その責任を主催者が負うことはない。
もしも、参加者の中で、感染拡大が認められた時には、損害賠償責任を負うような話が確定しているのであれば、主催者はそのリスクを重視する。
ところが、そんな規定はどこにもない。
このイベントが後の感染拡大のきっかけになったということが分かった時に、社会的な非難を受けることになるだろう。
しかし、感染拡大が必ず起きると確定しているわけでもないし、感染拡大が起きたとしてもそれがこのイベントが原因だということを立証するのは難しい。
立証できたとしても、かなり時間がたった後だし、それで主催者にどこまでの責任があるのかは不明だ。
いま中止したら、直ちに莫大な資金流出で資金ショートを起こすのが確実。
一方、中止しなかったときの損失は決まった話ではない。
これでは、主催者側に中止しようというインセンティブが働かないのは当たり前だ。
この問題の本質は、政府や県にイベント中止を命じる権限がないことだ。
県の判断でイベント中止を命じたら、主催者は中止にせざるを得ない。
そうなれば、主催者は損失が出たとしても、保険適用で対応可能だ。
チケットの払い戻しも、主催者の責任は免除される。
場合によっては、保険対応で払い戻しに応じることもできる。
非常事態宣言を発して県に強制力を持たせる意味はここにある。
非常事態宣言は、国や県が権力で人権を抑圧するかのようなイメージだけで語る人がいるが、実態は違う。
このようなイベント主催者を守ることにもなるのだ。
現状では、国や県に強制力がないがために、「要請」という形でお願いすることしかできない。
だから、体力の弱い主催者は、簡単に自粛することができなくなってしまうのだ。
それで、無理やりイベントを開催し、観客を感染リスクにさらすことになってしまう。
観客の方も、感染リスクが怖いが、イベントが開催される以上、勝手なキャンセルで払い戻しはしてもらえないので、もったいないから行こうということになる。
現状でリスクを負っているのは、国でも県でも主催者でもない。
一般の観客にリスクを押し付けていることになってしまっているのだ。
開催前から、政府や県知事からは主催者側に自粛要請が繰り返されていたが、開催強行に至った。
当日の観客は予定よりも少なかったが、それでも6500人もの人が集まった。
主催者は、入場時に観客全員に住所、氏名、連絡先を書かせていた。
このイベントは、クラシックコンサートのようなおとなしい催し物とは違って、大勢の観客が密集し、熱狂したファンが大声を上げながら応援するという。
「閉鎖空間」「ヒトの密集」「大声」という感染拡大の条件をすべて網羅しているようなイベントだ。
タイでは、この格闘技の試合開催が感染拡大の要因とされ、深刻な事態へとつながっているらしい。
主催者側には、このイベントを中止できない事情があった。
このイベントを主催者判断で中止したらどうなるか。
主催者の自己都合の中止と同じ扱いとなり、チケットの払い戻しに応じることになる。
ここで巨大な損失が発生し、たちまち運営会社は資金繰りに行き詰まる。
逆に、開催を強行したらどうなるか。
チケットの売り上げはそのまま収入になる。
当日、自己判断で来ない観客もいるだろう。
しかし、主催者に払い戻しの義務はない。
当初の売上と利益を確保することができる。
もちろん、このイベントをきっかけに感染拡大のリスクがある。
だが、その責任を主催者が負うことはない。
もしも、参加者の中で、感染拡大が認められた時には、損害賠償責任を負うような話が確定しているのであれば、主催者はそのリスクを重視する。
ところが、そんな規定はどこにもない。
このイベントが後の感染拡大のきっかけになったということが分かった時に、社会的な非難を受けることになるだろう。
しかし、感染拡大が必ず起きると確定しているわけでもないし、感染拡大が起きたとしてもそれがこのイベントが原因だということを立証するのは難しい。
立証できたとしても、かなり時間がたった後だし、それで主催者にどこまでの責任があるのかは不明だ。
いま中止したら、直ちに莫大な資金流出で資金ショートを起こすのが確実。
一方、中止しなかったときの損失は決まった話ではない。
これでは、主催者側に中止しようというインセンティブが働かないのは当たり前だ。
この問題の本質は、政府や県にイベント中止を命じる権限がないことだ。
県の判断でイベント中止を命じたら、主催者は中止にせざるを得ない。
そうなれば、主催者は損失が出たとしても、保険適用で対応可能だ。
チケットの払い戻しも、主催者の責任は免除される。
場合によっては、保険対応で払い戻しに応じることもできる。
非常事態宣言を発して県に強制力を持たせる意味はここにある。
非常事態宣言は、国や県が権力で人権を抑圧するかのようなイメージだけで語る人がいるが、実態は違う。
このようなイベント主催者を守ることにもなるのだ。
現状では、国や県に強制力がないがために、「要請」という形でお願いすることしかできない。
だから、体力の弱い主催者は、簡単に自粛することができなくなってしまうのだ。
それで、無理やりイベントを開催し、観客を感染リスクにさらすことになってしまう。
観客の方も、感染リスクが怖いが、イベントが開催される以上、勝手なキャンセルで払い戻しはしてもらえないので、もったいないから行こうということになる。
現状でリスクを負っているのは、国でも県でも主催者でもない。
一般の観客にリスクを押し付けていることになってしまっているのだ。
K-1の開催強行:主催者のために中止命令すべきだった
キックボクシング団体K-1のビッグイベント「ケイズフェスタ3」が22日、さいたまスーパーアリーナで開催された。
開催前から、政府や県知事からは主催者側に自粛要請が繰り返されていたが、開催強行に至った。
当日の観客は予定よりも少なかったが、それでも6500人もの人が集まった。
主催者は、入場時に観客全員に住所、氏名、連絡先を書かせていた。
このイベントは、クラシックコンサートのようなおとなしい催し物とは違って、大勢の観客が密集し、熱狂したファンが大声を上げながら応援するという。
「閉鎖空間」「ヒトの密集」「大声」という感染拡大の条件をすべて網羅しているようなイベントだ。
タイでは、この格闘技の試合開催が感染拡大の要因とされ、深刻な事態へとつながっているらしい。
主催者側には、このイベントを中止できない事情があった。
このイベントを主催者判断で中止したらどうなるか。
主催者の自己都合の中止と同じ扱いとなり、チケットの払い戻しに応じることになる。
ここで巨大な損失が発生し、たちまち運営会社は資金繰りに行き詰まる。
逆に、開催を強行したらどうなるか。
チケットの売り上げはそのまま収入になる。
当日、自己判断で来ない観客もいるだろう。
しかし、主催者に払い戻しの義務はない。
当初の売上と利益を確保することができる。
もちろん、このイベントをきっかけに感染拡大のリスクがある。
だが、その責任を主催者が負うことはない。
もしも、参加者の中で、感染拡大が認められた時には、損害賠償責任を負うような話が確定しているのであれば、主催者はそのリスクを重視する。
ところが、そんな規定はどこにもない。
このイベントが後の感染拡大のきっかけになったということが分かった時に、社会的な非難を受けることになるだろう。
しかし、感染拡大が必ず起きると確定しているわけでもないし、感染拡大が起きたとしてもそれがこのイベントが原因だということを立証するのは難しい。
立証できたとしても、かなり時間がたった後だし、それで主催者にどこまでの責任があるのかは不明だ。
いま中止したら、直ちに莫大な資金流出で資金ショートを起こすのが確実。
一方、中止しなかったときの損失は決まった話ではない。
これでは、主催者側に中止しようというインセンティブが働かないのは当たり前だ。
この問題の本質は、政府や県にイベント中止を命じる権限がないことだ。
県の判断でイベント中止を命じたら、主催者は中止にせざるを得ない。
そうなれば、主催者は損失が出たとしても、保険適用で対応可能だ。
チケットの払い戻しも、主催者の責任は免除される。
場合によっては、保険対応で払い戻しに応じることもできる。
非常事態宣言を発して県に強制力を持たせる意味はここにある。
非常事態宣言は、国や県が権力で人権を抑圧するかのようなイメージだけで語る人がいるが、実態は違う。
このようなイベント主催者を守ることにもなるのだ。
現状では、国や県に強制力がないがために、「要請」という形でお願いすることしかできない。
だから、体力の弱い主催者は、簡単に自粛することができなくなってしまうのだ。
それで、無理やりイベントを開催し、観客を感染リスクにさらすことになってしまう。
観客の方も、感染リスクが怖いが、イベントが開催される以上、勝手なキャンセルで払い戻しはしてもらえないので、もったいないから行こうということになる。
現状でリスクを負っているのは、国でも県でも主催者でもない。
一般の観客にリスクを押し付けていることになってしまっているのだ。
開催前から、政府や県知事からは主催者側に自粛要請が繰り返されていたが、開催強行に至った。
当日の観客は予定よりも少なかったが、それでも6500人もの人が集まった。
主催者は、入場時に観客全員に住所、氏名、連絡先を書かせていた。
このイベントは、クラシックコンサートのようなおとなしい催し物とは違って、大勢の観客が密集し、熱狂したファンが大声を上げながら応援するという。
「閉鎖空間」「ヒトの密集」「大声」という感染拡大の条件をすべて網羅しているようなイベントだ。
タイでは、この格闘技の試合開催が感染拡大の要因とされ、深刻な事態へとつながっているらしい。
主催者側には、このイベントを中止できない事情があった。
このイベントを主催者判断で中止したらどうなるか。
主催者の自己都合の中止と同じ扱いとなり、チケットの払い戻しに応じることになる。
ここで巨大な損失が発生し、たちまち運営会社は資金繰りに行き詰まる。
逆に、開催を強行したらどうなるか。
チケットの売り上げはそのまま収入になる。
当日、自己判断で来ない観客もいるだろう。
しかし、主催者に払い戻しの義務はない。
当初の売上と利益を確保することができる。
もちろん、このイベントをきっかけに感染拡大のリスクがある。
だが、その責任を主催者が負うことはない。
もしも、参加者の中で、感染拡大が認められた時には、損害賠償責任を負うような話が確定しているのであれば、主催者はそのリスクを重視する。
ところが、そんな規定はどこにもない。
このイベントが後の感染拡大のきっかけになったということが分かった時に、社会的な非難を受けることになるだろう。
しかし、感染拡大が必ず起きると確定しているわけでもないし、感染拡大が起きたとしてもそれがこのイベントが原因だということを立証するのは難しい。
立証できたとしても、かなり時間がたった後だし、それで主催者にどこまでの責任があるのかは不明だ。
いま中止したら、直ちに莫大な資金流出で資金ショートを起こすのが確実。
一方、中止しなかったときの損失は決まった話ではない。
これでは、主催者側に中止しようというインセンティブが働かないのは当たり前だ。
この問題の本質は、政府や県にイベント中止を命じる権限がないことだ。
県の判断でイベント中止を命じたら、主催者は中止にせざるを得ない。
そうなれば、主催者は損失が出たとしても、保険適用で対応可能だ。
チケットの払い戻しも、主催者の責任は免除される。
場合によっては、保険対応で払い戻しに応じることもできる。
非常事態宣言を発して県に強制力を持たせる意味はここにある。
非常事態宣言は、国や県が権力で人権を抑圧するかのようなイメージだけで語る人がいるが、実態は違う。
このようなイベント主催者を守ることにもなるのだ。
現状では、国や県に強制力がないがために、「要請」という形でお願いすることしかできない。
だから、体力の弱い主催者は、簡単に自粛することができなくなってしまうのだ。
それで、無理やりイベントを開催し、観客を感染リスクにさらすことになってしまう。
観客の方も、感染リスクが怖いが、イベントが開催される以上、勝手なキャンセルで払い戻しはしてもらえないので、もったいないから行こうということになる。
現状でリスクを負っているのは、国でも県でも主催者でもない。
一般の観客にリスクを押し付けていることになってしまっているのだ。
2020年03月14日
アメリカ:国家非常事態宣言
トランプ米大統領は13日、新型コロナウイルスへの対応で国家非常事態を宣言。
「状況は悪化する可能性がある。今後8週間が重大な局面となる」
「連邦政府の全権を解き放つために、非常事態を宣言する」
「新型コロナ対応に向け最大500億ドルの拠出に道を開く」
ここまで、アメリカ大統領は楽観的な姿勢を見せていたが、国内感染が広がる中、無策を続けているわけにいかず、一気に非常態勢にかじを切った。
これを受けて、株価は一気に上昇に転じたという。
実にアメリカらしい。
必要となれば大胆に行動を起こし、それを国民が評価をする。
注目すべきは、「今後8週間が重大な局面」と宣言したことだ。
約2か月は影響が及ぶと表明したことになる。
これは、おそらく大統領個人の勝手な感想ではなく、専門家の知見が入っている。
というのは、新型インフルエンザの場合は、感染拡大期の影響は8週間に及ぶのが1つの基準と考えられているからだ。
日本では、「1〜2週間」「10日間」と、政府が警戒を呼び掛けるのにも細かく刻んでいる。
いきなり8週間と言うと、国民の受ける衝撃が大きすぎるので、少しずつ瀬踏みをしている感じだ。
だが、この新型コロナの影響は、長期に及ぶことを覚悟すべきだろう。
政府は、その長期的な見通しをある程度提示してもいいのではないか。
大阪府は13日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため自粛してきた府主催イベントについて、21日から順次再開する方針を決めた。
今回のコロナウィルスは、どのような環境で感染するのかが分かってきたからだ。
その条件さえ回避すれば、イベント開催はできるとの判断だ。
府としては思い切った決断だが、これ以上、世の中の活動を停止してしまうことの弊害を最小限にとどめようとする現実的な対応だ。
影響が長期に及ぶことを前提に対応策を検討しているのが分かる。
大阪府は、別途、感染拡大が進むことを想定して、感染者の症状別の対応スキームを決定した。
国の方針が決まるのを待つことなく、先手先手の対策を講じている。
いま、日本のフェースは感染拡大期に入ってきており、ここからは、各都道府県単位の対策に委ねられる。
国の方針が決まってから、「唐突すぎる」と文句を垂れているような知事は、有事のリーダーとして失格だ。
今後は、知事の感度の違いで、対応に違いが出てきそうだ。
「状況は悪化する可能性がある。今後8週間が重大な局面となる」
「連邦政府の全権を解き放つために、非常事態を宣言する」
「新型コロナ対応に向け最大500億ドルの拠出に道を開く」
ここまで、アメリカ大統領は楽観的な姿勢を見せていたが、国内感染が広がる中、無策を続けているわけにいかず、一気に非常態勢にかじを切った。
これを受けて、株価は一気に上昇に転じたという。
実にアメリカらしい。
必要となれば大胆に行動を起こし、それを国民が評価をする。
注目すべきは、「今後8週間が重大な局面」と宣言したことだ。
約2か月は影響が及ぶと表明したことになる。
これは、おそらく大統領個人の勝手な感想ではなく、専門家の知見が入っている。
というのは、新型インフルエンザの場合は、感染拡大期の影響は8週間に及ぶのが1つの基準と考えられているからだ。
日本では、「1〜2週間」「10日間」と、政府が警戒を呼び掛けるのにも細かく刻んでいる。
いきなり8週間と言うと、国民の受ける衝撃が大きすぎるので、少しずつ瀬踏みをしている感じだ。
だが、この新型コロナの影響は、長期に及ぶことを覚悟すべきだろう。
政府は、その長期的な見通しをある程度提示してもいいのではないか。
大阪府は13日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため自粛してきた府主催イベントについて、21日から順次再開する方針を決めた。
今回のコロナウィルスは、どのような環境で感染するのかが分かってきたからだ。
その条件さえ回避すれば、イベント開催はできるとの判断だ。
府としては思い切った決断だが、これ以上、世の中の活動を停止してしまうことの弊害を最小限にとどめようとする現実的な対応だ。
影響が長期に及ぶことを前提に対応策を検討しているのが分かる。
大阪府は、別途、感染拡大が進むことを想定して、感染者の症状別の対応スキームを決定した。
国の方針が決まるのを待つことなく、先手先手の対策を講じている。
いま、日本のフェースは感染拡大期に入ってきており、ここからは、各都道府県単位の対策に委ねられる。
国の方針が決まってから、「唐突すぎる」と文句を垂れているような知事は、有事のリーダーとして失格だ。
今後は、知事の感度の違いで、対応に違いが出てきそうだ。